偏愛的プレミアリーグ見聞録

オーレ・グンナー・スールシャール、捨て身の布陣変更!?　ラファエル・ヴァランが復帰した最終ラインに、マグワイアもリンデロフもいます。プレミアリーグ10節のトッテナム戦は、負けられない一戦。3バックか、5バックか、失点が止まらない守備を何とかしようと考えたようです。

GKデ・ヘア、DFリンデロフ、ヴァラン、マグワイア。WBにワン・ビサカとルーク・ショー、中盤センターはマクトミネイとフレッジ、ブルーノ・フェルナンデスの前にカバーニとクリスティアーノ・ロナウドという3-4-1-2です。スパーズの前線は、ハリー・ケインの後ろにソン・フンミン、ロ・チェルソ、ルーカス・モウラ。最初の5分は、イーブンの展開です。

6分に右から上がったのはルーカス・モウラ。折り返しをニアで受けたソン・フンミンの左足ミドルは、フレッジに当たってCKです。9分、ボックス右に侵入したワン＝ビサカがグラウンダーを中央に通すと、カバーニのダイレクトショットはエリック・ダイアーがブロックしました。13分のルーク・ショーのアーリークロスは、ロナウドに通らず。20分を過ぎても、両チームのエースにチャンスはありません。

守備時は5-3-2のアウェイチームは、奪った後に速いアタックに持ち込めず、CBに戻してやり直すシーンが目立ちます。24分にロ・チェルソのFKが壁に当たり、左サイドから立て直すと、ルーカス・モウラの浮き球でラインの裏に出たソン・フンミンは右足のシュートをニアに外しました。1分後、ブルーノがふわりと浮かしたボールをカバーニがヘッドで合わせるも、左にアウト。WBのドリブル突破ばかりのマン・ユナイテッドは、攻撃時の約束事はないのでしょうか。

33分のフレッジのミドルは、ロリスが右に飛んでセーブ。マンチェスター・ユナイテッドが先制したのは、39分でした。波状攻撃のクリアをマグワイアが拾い、ルーク・ショーからブルーノにつながると、ボックス右に上がった絶妙なフィードに走り込んだロナウドが、右足のボレーを左隅に決めました。36歳のベテランストライカーは、今季プレミアリーグ4発めです。

44分のロ・チェルソの左足ミドルは枠の上。前半のスパーズは、オンターゲットゼロで終わりました。後半開始2分、デ・ヘアのミスキックをカットしたルーカス・モウラがゴール前に持ち込んで左にはたくと、ソン・フンミンのダイレクトショットは惜しくも右に外れました。54分、ルーカス・モウラが下がってベルフワイン。スタンドのブーイングは、悪くなかったサイドアタッカーを下げるなというメッセージでしょうか。

64分、マンチェスター・ユナイテッドの追加点はカウンター。ハーフライン手前でインターセプトしたブルーノがロナウドに預け、完璧なスルーパスで抜け出したカバーニが、ロリスの飛び出しを見ながらチップキックを無人のゴールに転がしました。34歳の点取り屋は、今季プレミアリーグ初ゴール。ヌーノ監督は66分にオリヴァー・スキップを下げ、エンドンベレを投入しました。

71分、ロナウドに代わってラシュフォード。ロ・チェルソのポジションに入ったデル・アリは、4試合ぶりのプレミアリーグです。76分にブルーノをマティッチにチェンジしたのは、CLのアタランタ戦で3ポイントをゲットするためでしょう。81分に足をつったカバーニがお役御免となり、リンガードが前線へ。攻めているのはスパーズですが、ハリー・ケインとデル・アリは消えています。

86分、マティッチの縦パスで裏に抜けたラシュフォードが、ロリスの脇を抜いて0-3。無策だったスパーズは、オンターゲットゼロのままタイムアップを迎えました。ハリー・ケインのパス成功本数はたったの11本で、シュートは終盤の1本のみ。右サイドに張り付いたソン・フンミンは怖くありません。20分プレイしたデル・アリは、ボールタッチ11回という数字しか残せませんでした。

個人力でリードしてカウンターという勝ちパターンに持ち込めたマンチェスター・ユナイテッド。70歳コンビが決定機を活かし、ラシュフォードが守備陣の心理的な負担を消し去ってくれました。ヴァランが戻ってきた最終ラインがクリーンシートを達成したのが、最大の収穫です。アタランタ戦の後、次節のプレミアリーグはマンチェスターダービー。厳しい戦いになりそうですが、何とか勝ち点をもぎ取り、チェルシーの背中が見えるポジションで踏ん張っていただければと思います。