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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Swansea×Liverpool】まるでマンガ…シェルヴェイ、4点に絡む大立ち回りもなぜかドロー!?

クラブ史上初めて、「プレミアリーグ開幕無失点で3連勝」を決めたリヴァプールが、スウォンジーの本拠地、ザ・リバティ・スタジアムへ乗り込み、これまたクラブ史上初の開幕4連勝を狙う一戦。ゲームは、開始直後から派手に動きます。前半2分、ホームのスウォンジーがいきなりの先制点。この夏、リヴァプールから移籍したばかりのジョンジョ・シェルヴェイが、「古巣への恩返し」とばかりにワンマンショーを披露しました。ヘンダーソンのヘディングでのクリアを中央でさらうと、自ら打った当たり損ねのミドルシュートを拾ってそのまま右へドリブル。2発めのシュートもDFにブロックされますが、そのこぼれをまたもフォローして、最後は左足でクロスへのコントロールシュート!スウォンジーは最高の形でゲームをスタートさせます。

しかしその喜びもつかの間、たった2分後、今度はシェルヴェイの「古巣へのプレゼント」で、試合は振り出しに戻ってしまいます。自陣中央、ペナルティエリア前でルートリッジからパスを受けたシェルヴェイは、ヘンダーソンにプレッシャーをかけられると、GKへ不注意なバックパス。これを狙っていたのは、開幕3戦連続ゴールのスタリッジです。直前に負ったケガが癒え、このゲームに間に合わせてきた背番号15は、このパスに抜け目なく反応すると左足ダイレクトで軽く蹴り込み、1-1。ここまでキックオフからたった4分。攻撃的なスウォンジーがホームなだけに、この後も派手な攻め合いが期待されます。

前半、両チームでいちばん目立っていたのはチェルシーからリヴァプールにレンタルでやってきたヴィクター・モーゼスでしょう。この日、左サイドに入った彼のドリブルが脅威となり、スウォンジーはラインを上げきれず、思うようなパスサッカーができません。25分には左のコーナーでDFふたりを置き去りにして、中央に走り込んだフリーのスタリッジに完璧なラストパス。このヘディングシュートはGKフォルムが何とかクリアしたものの、好調リヴァプールのペースが続きます。

そして、36分。シェルヴェイがまたもやってしまいました。センターサークル付近で右サイドに展開しようと出したグラウンダーは、いちばんボールを持たせたくなかったモーゼスへのプレゼントパス。これをさらったモーゼスはそのままドリブルで中央に侵入しますが、マークにつくべきシェルヴェイは既に落胆モードでただ近くを並走しているだけ。ノーマーク同然でゴール前までくれば、ボールコントロールに長けたモーゼスが枠を外すわけがありません。GKとDFが左に重心を寄せたのをみて、逆のニアサイドへ打ったシュートが決まり、1-2、逆転!シャレにならない「古巣への逆・倍返し」は、パスミスよりも、その後の緩いマークが問題。前半35分過ぎに、右からのミドルをGKミニョレがぎりぎりではじき、CFボニーの前にボールがこぼれた瞬間にみせたシュクルテルの鬼神のクリアと比べれば、その集中力とプロ意識は雲泥の差です。

サー・アレックス・ファーガソンが監督ならば、逆転ゴールのシーンはハーフタイムの「ヘア・ドライヤー」といわれる激怒の対象となり、シェルヴェイは後半、ピッチに姿を見せることはなかったでしょう。しかしここはウェールズ、監督はジェントルなミカエル・ラウドルップです。後半開始からダイアーをデ・グズマンに代えるという積極性を見せつつ、子どものような背番号8をフル出場させたのは、かつて「ジェラードの後継者」とまでいわれた未完の大器への期待の表れなのでしょう。

さて、後半です。開始早々、右からのクロスをヘンダーソンが折り返し、ウィズダムが放った惜しいシュートがありましたが、その後は一転してスウォンジーペース。この日の選手交代戦術は、ラウドルップ監督の完勝でしょう。前半から豊富な運動量でボールに絡んでいたランゲルやブリットンにデ・グズマンが加わり、リヴァプールは右サイドを狙い撃ちされ、時間が経つにつれて劣勢を強いられます。55分には、プレイする機会が少なかったコウチーニョ(9/18追記:負傷だったようですね)をイアゴ・アスパスに代えますが、アスパスはまたもや最後まで試合に入っていけず。完全にボールを支配したスウォンジーが同点に追いついたのは、64分。決めたのはミチュの左足ですが、ルートリッジからの浮き球を中央に走り込み、柔らかいヘッドでスライドさせる見事なアシストをみせたのは…お騒がせシェルヴェイでした。

直後、スウォンジーがトップのボニーを下げ、ロジャース監督が右サイドを補修すべくウィズダムをベテランのコロ・トゥレにスイッチすると、一気に得点への期待感が下がり、ゲームは収束に向かいます。デ・グズマンのFKやミドルシュート、ミチュの突破など、いくつかチャンスを作ったスウォンジーが圧倒的なポゼッションで攻め込みますが、リヴァプールは中盤は放棄しつつも、最後の砦を譲りません。結局、2-2。コメディタッチのサッカーマンガでも見せられているかのようなシェルヴェイの独り相撲は、勝ち点1ずつを分け合うという、穏便といえば穏便な結果に着地しました。察するに、ラウドルップ監督は「やれやれ」、ロジャース監督は「やむなし」といった心境ではないでしょうか。

何とか勝ち点10で首位を守ったリヴァプールの課題は、サコやアスパスなど、新戦力をどれだけ早くフィットさせられるかでしょう。今日のような、相手が攻勢になったときの打開策がないと、次節で戦うセインツなど、FWが強力なチームとの試合で勝ち点を失うことになります。…あ、そうでした。失礼。あと2週間で、「強力な打開策」が戻ってきますね。好調スタリッジの背後で、背番号7のウルグアイのエースが虎視眈々とゴールを伺うフォーメーションは、上位クラブにとっても大きな脅威です。(ジョンジョ・シェルヴェイ:写真著作者/Olly Groome/Harry Murphy ミカエル・ラウドルップ:写真著作者/Paul Blank)

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“【Swansea×Liverpool】まるでマンガ…シェルヴェイ、4点に絡む大立ち回りもなぜかドロー!?” への4件のフィードバック

  1. トーレス下さい。あ、赤い方ね より:

    面白い試合でしたね!シェルベイがここまで大暴れするとは、レッズサポながら予想外です。もっと影響力の少ない選手だろうと思ってました。
    モーゼスの得点シーンのシェルベイの守備について、管理人さんと同意見です。リプレイで見た時唖然としましたよ。まぁこういう計算できないとこがシェルベイなんですよね。
    一方リバプールはまだ課題も多いですが、その内のいくつかはスアレス復帰の一事で解決・緩和されると思って楽観してます。なんせ昨季は4試合消化で勝ち点2だったので。スアレスが戻って2,3試合を経れば、今季のリバポの真の課題とその深刻さも見えてくるでしょうね。

  2. makoto より:

    トーレス下さい。あ、赤い方ね さん>
    シェルヴェイは、ポテンシャルは高いんですよね。安定しないのが最大の弱点ですが。
    リヴァプールは、私も楽観視しています。Jスポーツの中継ではサコのレベルが低い、という話がされてましたが、その判断をするのは時期尚早。今後、チームにフィットするに従ってクオリティが上がってくるはずです。やはり心配は「アスパスの元気のなさと、ジェラードがケガしたらどうするか」ですね。

  3. Taka より:

    いつも貴重な分析ありがとうございます。非常に参考になります。

  4. makoto より:

    Takaさん>
    いえいえ。これからも精進いたします。

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