イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【MAN.UTD×MAN.CITY】今まででいちばん悲しいダービー。監督が諦めたら終わりですね…。

コンパニがマンチェスター・ダービーに間に合う、と聞いたとき、既に嫌な予感はしていたんです。ましてや直前になって、ファン・ペルシが欠場です。いやいや、看板選手がいないぐらいでグチッたりしていたら、ガナーズとレッズサポーターに叱られます。それにしても、厳しいゲームでした。プレミアリーグ第5節、注目のマンチェスター・ダービーは、4-1の大差でマンチェスター・シティの勝利。彼我の差は「モチベーション」「判断力」だったのではないでしょうか。

縦を急ぐあまり、無謀なパスが多いマン・ユナイテッドと、ボールを持っている味方選手が出しやすいポジションに素早く動き、数的優位を作って裏を狙おうとするマン・シティ。ボールを簡単に失うシーンが多いマン・ユナイテッドは、10分を過ぎると明らかに劣勢です。前半16分のアグエロの先制点は、スモーリングとバレンシアが相手についてはいながらプレッシャーをかけておらず、自由にさせ過ぎたのが敗因。アグエロの左足ボレーは素晴らしいテクニックでしたが、勝負はその前についていました。

その後も、完全なるマン・シティペース。コンパニの読みがマン・ユナイテッドの単調なパスまわしをことごとくつぶし、DFラインが安定したため、ヤヤ・トゥレが今までより前で機能します。こうなると、カーディフ、ハル・シティ、ストークに苦戦していたヨレヨレのチームとはまるで別の集団。ダヴィド・シルヴァがいないにも関わらず、センターMFやコンパニからナスリやアグエロ、ヘスス・ナバスに効果的なパスが入り、彼らがドリブルで仕掛けようと相手DFと距離を計る間に、コラロフ、サバレタの両SBがどんどん追い越していきます。前半のシュート数は13対1。上位同士の対決では、なかなか見られない極端なワンサイドゲーム。それでも1-0で45分を終えられればまだ巻き返しようもあったのですが、前半の追加タイムにCKから痛い2点めを奪われます。フェライニが目を離したすきに、ゴール前でヤヤ・トゥレがフリーになり、中央で競り勝ったネグレドのヘッドを押し込み、ゴール!歓喜のヤヤ・トゥレ。マンチェスター・ユナイテッドは完全に意気消沈。アウェイチームにとっては最悪の展開で、ハーフタイムです。

さて、みなさんは昨季のアーセナルを覚えていらっしゃいますか?トッテナムやチェルシー、マンチェスター・ユナイテッドなど上位同士の対戦で、前半のスロースターターぶりがたたり0-2での折り返しを繰り返しながらも、後半は別のチームが出てきたかのようによくなり、必ず反撃に転じていました。これを見て、さすがヴェンゲル監督、ハーフタイムに的確な指示出しとチーム全体のモチベートをしてるなと思っていたのですが…。今夜のマンチェスター・ユナイテッドは、ハーフタイムの後、昨季のアーセナルでは考えられない低いテンションでピッチに登場したのでした。うまくやれば充分追いつけるチャンスはあるのに、大丈夫か、こんなトーンで!?

えてして、こういう心配は当たるものです。後半開始から、マンチェスター・ユナイテッドはサンドバッグ状態。ネグレドとヘスス・ナバスのスペイン人コンビにいいようにサイドを崩され、DF陣は大混乱。47分のアグエロ、51分のナスリとも、至近距離からどフリーで打たれています。CBコンパニに、ゴール前まで走り込まれる悪夢としかいいようのない時間。さらに信じられないことに、ナスリに決められ4-0とされた直後に、モイーズ監督はアシュリー・ヤングを下げ、クレヴァリーを投入します。ハーフタイムでもなければ、戦況をみたわけでもない後半開始早々の中途半端な時間の交代が、予定のものでも狙ったものでもないのは明らか。意志を持って勝ちにいくなら、ハーフタイムにスモーリングを諦め、バレンシアをSB、香川真司かナニを投入するなど、選手を鼓舞しながら打てる手もあったはずです。ここで交代とは…間違いなく、ベンチも動揺しています。

この後は、満腹になったマン・シティは追加点を欲張らず、後ろに人数をさいて安全を確保しながらマン・ユナイテッドにボールを持たせます。ルーニーのシュートがゴールバーを越え、フェライニの左足ミドルはGKハートに弾かれ、どんどん時間はなくなっていきます。ルーニーのFKでやっと1点を返したのは、87分。もう、とっくに勝負はついています。悲しかったのは、クレヴァリー投入以降、モイーズ監督がベンチに腰を下ろしたきり、全く動かなかったこと。なぜ、香川真司やチチャリート、ナニを使わなかったのでしょう。今後のためのテスト、フォーメーションのトライアル、不満のガス抜き、最後まで諦めない姿勢をみせるため、など交代枠を使い切るプラスはいくらでもあるというのに。20数年間、勝負へのこだわりが人一倍強い方の采配を見続けてきたので、こんな悲しい思いでゲームを観たのは初めてです。監督が諦めたら終わりですね…。

いいドライブがかかりそうな会心の勝利を得たマンチェスター・シティと、自信や信頼が揺らぎ、次のゲームに悪影響を残しかねない最悪の敗戦に終わったマンチェスター・ユナイテッド。プレミアリーグ開幕からしばらく、相手関係が厳しいのはわかっていましたが、5戦で2敗は許容範囲外。ここからの5試合は、WBA、サンダーランド、サウサンプトン、ストーク、フラム。この相手に、さらに負けを重ねるようなら、プレミアリーグ連覇は諦めざるをえないでしょう。いま一度メンタルを立て直して、ぜひ5連勝を決めていただければと願っています。

そうそう、香川真司、出しましょうよ。縦を焦るばかりで、単調で判断力も弱いバレンシアやアシュリー・ヤングのサイド攻撃だけでは、欧州はおろか、アーセナルやトッテナムにも勝てないと思います。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“【MAN.UTD×MAN.CITY】今まででいちばん悲しいダービー。監督が諦めたら終わりですね…。” への4件のフィードバック

  1. makoto より:

    こんにちは!
    毎日わくわくしながら更新を待たせてもらってます

    ぼくはガナーズなんでアーセナルの調子の良さに最近ものすごく気分いいんですがマンチェスターダービーを見て驚きましたね(汗)
    RVPがいないだけであそこまで攻撃が機能しないとは…
    ユナイテッドを特に応援しているわけではないですが香川がいることや歴史的にもシティよりは断然すきなので少しショックでしたね
    驚きは本当にモイーズさんが動かなかったことですね
    思いきってルーニーを休ませたりチチャリートなど少し不満が溜まっている選手を使うのかとおもいきやなんの意図か分からないクレヴァリーの投入…
    あれをやられるとしょーじき応援する側もつらいですよね笑

    まあまだまだあるし確かに対戦相手も厳しいこともあったのでこれからに期待ですね

    今年はアーセナルいける気がするのですがどうでしょうか?笑
    リーグとCLどちらをとりにいくか明確にしていかないとおそらく選手層的には厳しいと思うので…

    —–
    ウィルシェアさん>
    マンチェスター・ユナイテッドは、昨季からはファン・ペルシの個人打開力への依存度が高いのですね。コンパニのようなヨミのいいDFがいるチームや、バイエルンやレアル・マドリードのような組織的な守備を敷くチームからは、今のサッカーではなかなか点が獲れないと思います。
    クレヴァリーの投入は、フェライニを前に上げたいということだったのでしょうが、動けてなかったウェルベックと、完全にやられていたスモーリングを残した意味がわかりません。1点差も5点差も負けは負け、と開き直って香川真司とチチャリートを入れればいいのに、と思いました。

    私の、モイーズ監督への不満は「視点が低いようにみえる(プレミアリーグを戦うことでいっぱいいっぱいで、欧州で勝てるサッカーについて考えてなさそう)」「勝負へのこだわりのなさ」「保守的・慎重すぎる」「ターンオーバーを戦略的に使えず、メンバーを固定しすぎ」といったところです。

    アーセナルは、昨日「独走の可能性まである」と書いたくらいなので、いけるとみています。タイトルを狙うなら、プレミアリーグ1本でしょう。大前提、よく「どれかに絞る」といいますが、CL一本に絞るなどという芸当ができるのは、下との格差が大きく、どんなに手を抜いても4位には落ちないスペインの2強のみです。他国のクラブは、そんなことしたらCL出場権を獲れなくなりますから。つまり、リーグを捨てることはできないのです。

    さらにいえば、CLはさすがにバイエルンとレアル・マドリードが強すぎますね。FAカップは、ガナーズはあまり得意ではないでしょう。一発勝負もしくはホーム&アウェイのカップ戦で勝つには、DFの層が薄いと思います。チェルシーやマン・ユナイテッドのように、「CBが4枚いてどの組み合わせでもOK、SBの控えにも代表クラスがいる」くらいでないと、プレミアリーグを戦いながら勝ち進むのは難しいのではないか、と。

  2. makoto より:

    そうですね。makotoさんには正直悪いと思うのですが今シーズンのユナイテッドはサッカー自体にそこまで魅力がないと個人的に感じますね
    確かにスモーリングのことを考えるとラファエウの攻撃力がどれほどありがたかったかわかりますね。この試合は後半、ユナイテッドがポゼッションしはじめた頃から香川投入は確実だと思ったのですが…ヘディングにも自信のあるシティのディフェンス陣に単純なクロスでどうやって点をとろうと思ったんですかね。

    前任者があまりにも優秀だったので欠点がボロボロ出てくるのはしょうがないといったらしょうがないですね笑

    ほんとうにリーグ優勝してほしいですね!今年はうまくいくと思ったモウリーニョなど上位陣の監督交代があまりうまく進んでいないのでアーセナルはほんとにチャンスなので。とにかく去年のビッグ4に勝てないというのを克服できればいけると思うんですがね。とゆーより単純に勝つとこが見たいですね笑

    ちなみにノースロンドン仲間としてスパーズも見ているのですがエリクセンは来そうですね。プレミア初挑戦、しかもまだ1,2試合であそこまでチームの決定機を作り出せるとは…驚きです。
    彼が来るまでは正直どうかなという感じだったんですが充分ベイルの穴を埋められそうですね

    —–
    ウィルシェアさん>
    エリクセンは本物の天才です。今年の冬くらいから、ずっと欲しいと思ってました。チアゴやセスクより、マンチェスター・ユナイテッドには運動量があって長いパスがいいエリクセンです。

  3. What a pleasure to find someone who thinks through the issues

  4. Thank God! Someone with brains speaks!

makoto へ返信するコメントをキャンセル