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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Newcastle×Arsenal】最後はジルー!2013年プレミアリーグ王者にふさわしいアーセナルの組織力

2013年のプレミアリーグも、本日が最終日。このゲームを勝てば、首位で年末を締めくくれるアーセナルですが、敵地で好調ニューカッスルと戦うとなると、どう転ぶかわかりません。この日のスタメンには、コシールニーが戻ってきた一方で、エジルがお休みでベンチ外。宮市亮が久しぶりにベンチに顔を見せています。対するニューカッスルは、前節、ストークに5-1で圧勝したメンバーからは、ベナルファをティオテに代えただけ。キャバイェ、シソコ、ロイク・レミーが並ぶ中盤と前線の攻撃力には要注意です。

中盤での激しいせめぎ合いを期待していたのですが、前半30分までは一方的なアーセナルのポゼッション。休養をとってフレッシュなロシツキ、ウィルシャーの出足がよく、ウォルコット、カソルラ、サニャがたびたび右サイドで数的優位を作り、サイドから危険なクロスがゴール前に入ります。ヴェンゲル監督から指示があったのか、いつもよりひとつ早いタイミングでシュートを打つシーンが目立ち、26分にサニャ、カソルラとつないだボールを中央からロシツキがシュート。30分には右サイドでボールを受けたカソルラが左足でカーブをかけたミドルを放ちますが、いずれもGKクルルがストップ。41分には、セットプレイで上がっていたメルテザッカーが前線に残り、シュートのこぼれ球をペナルティエリアすぐ外から右足で狙います。

アーセナルDF陣の読みがよく、縦へのくさびが入らずに苦戦していたニューカッスルは、前半終了間際にパスミスをロイク・レミーが拾ってショートカウンター。キャバイェのシュートはコシールニーにブロックされますが、ルーズボールを後ろから思い切り打ったMFシソコのロングシュートは、あわやゴールという素晴らしい弾道。これはGKシュチェスニーが何とか右手で弾きましたが、直後のCKでもDFドビュッシーのヘッドでの折り返しがゴール寸前となり、アーセナル守備陣をあわてさせます。前半は0-0。ジルー、カソルラが倒され再三ゲームが止まる激しい試合ですが、どちらが先にゴールを陥れるのでしょうか。

後半、ニューカッスルが中盤を立て直し、当初の期待通りの中盤でのバトルがスタート。最初の10分はホームチームの運動量が首位チームを凌駕します。54分には、アーセナルGKシュチェスニーの不用意な飛び出しからヒヤリとするシーンがありましたが、ここはサニャがヘディングでかわし、メルテザッカーのクリアで事なきをえます。アーセナルのDF陣は終始冷静でボールが見えており、こぼれ球を先に触られることすらありません

しばらくは威勢がよかったニューカッスルですが、ロシツキとウィルシャー、フラミニが絡んだアーセナルの囲い込むようなボールカットが効果的で、60分を過ぎるとまたもガナーズペース。すると64分、歓喜の瞬間がアーセナルに訪れます。左サイドのFKをウォルコットがゴール前に上げると、いち早く落下点に走り込んだのはエース・ジルー。ヘディングで薄くタッチしてクルルの足元を破る、絶妙なシュートが決まり0-1!10試合以上ゴールから遠ざかっていたセンターフォワードが、大事な試合で最高のゴールを決めました。

これで勢いに乗ったアーセナルは68分、追加点のチャンスを迎えます。右に上がってボールをキープしたカソルラが中央に押し上げてきたウィルシャーにボールを預けると、10番は裏に飛び出したウォルコットに絶品スルーパス。最初のシュートはGKクルルがブロックし、リバウンドを浮かしたループシュートはゴールライン上でドビュッシーがクリア。ニューカッスルが必死の守備をみせ、プレミアリーグ首位チームを楽にさせません。

70分を過ぎると、ニューカッスルが反撃を始めます。キャバイェのセンターライン付近からのロングフィードと、途中から入ったベナルファのドリブルが再三、メルテザッカーとコシールニーを襲いますが、いずれもシュートには至らず。80分には、ニューカッスルにとってこの試合最大のチャンス。仕掛け人は何とシュチェスニーです。バックパスを受けたポーランド人GKは、キックを前にいたロイク・レミーの腹に叩き込み、跳ね返ってきたボールはわずかにゴール左にそれていきます。アーセナルベンチとスタジアムに陣取った少数のグーナーをフリーズさせたこのシーンが得点ならずで終わると、ニューカッスルはさらに攻勢を強めます。ベナルファは脅威ではありましたが、シュートやラストパスが不正確なのが惜しかったですね。2回あったCKでは、GKクルルまで上がってきて必死にゴールを狙いますが、ガナーズDF陣が落ち着いて対処してタイムアップ。0-1で難敵を下したアーセナルが、2013年のプレミアリーグ首位を確定させました。

この日のMVPを選ぶとすれば、ロシツキとメルテザッカーでしょう。ロシツキのプレイを観ていると、トップ下として今の香川真司に足りないものを彼が確実に体現しているなと思います。ボールを簡単に後ろに戻さず、ゴールに背を向けてパスを受けても、彼独特の速いターンからすぐに前を向く積極性。パスコースを消す守り方だけでなく、相手の足元にチェックしにいってボール奪取しようとする泥くさい守備。前方にコースを見つければ、すかさずミドルシュート。もらいやすいところに素早くポジションを取る動き。33歳があれだけ走ってチームに貢献しようとする背中を見せれば、チームメイトも「彼に渡せば何とかしてくれそう」と感じて、おのずとパスは出てきます。香川真司は最近、結果を焦って難しいポジションでボールをもらおうとし過ぎて、自らのプレイの機会を狭めてしまっているように見えます。

ロシツキの奮闘、メルテザッカーの危険なスペースをつぶす動きに加え、フラミニ、ウィルシャーの寄せの速さ、コシールニーの相変わらずのヨミのよさもあり、この日のアーセナルの守備はまさしくプレミアリーグナンバーワンの組織力でした。

アーセナルは、エヴァートン戦、リヴァプール戦が素晴らしいゲームでしたが、ニューカッスル戦も負けず劣らずいい試合でしたね。玄人好みのプレイが多くてシブいチェルシー、攻めが空回りすることが多くてしょっぱいマンチェスター・ユナイテッド、調子に乗ると一方的なゲームになるエグいマンチェスター・シティに比べて、今季のプレミアリーグはアーセナルとリヴァプール絡みにエキサイティングでおもしろい試合が多いです。何はともあれ、2013年プレミアリーグ首位フィニッシュ、おめでとうございます!来年もぜひ、いいサッカーを見せてください。

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“【Newcastle×Arsenal】最後はジルー!2013年プレミアリーグ王者にふさわしいアーセナルの組織力” への2件のフィードバック

  1. バッジョ より:

    はじめまして。グーナーですが、いつも鋭くかつ公平な分析に楽しく読ませてもらってます。
    いやー勝って良かったです。スランプ?気味のジルーにゴールが生まれてホッとしましたし。今年は内容いいのに大量得点が少なくてシブイ勝ち方が多いのでヒヤヒヤしますね(笑)まだまだ混戦のプレミアですが、ひさしぶりのタイトルget して欲しいです。
    ライバルはやっぱりモウリーニョのチェルシーとマンチェスター勢だー!

  2. makoto より:

    バッジョさん>
    昨日のアーセナルは、とにかく守備がよかったですね。大量得点もサポーターとしてはうれしいものですが、こういう「ヒヤヒヤ」を勝ちきれるところがガナーズの強さなんじゃないでしょうか。真価が問われるのは、強豪4連戦がある3月ですね。

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