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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【MAN.UTD×Tottenham】元の攻め方でよかったのに…ゴールを遠くした、複雑で無謀な采配!

キャリックが復帰し、ファン・ぺルシ不在以外はほぼベストメンバーのマンチェスター・ユナイテッド。一方、監督交代以降は2勝1分けと好調ながら、パウリーニョやシグルズソンを欠くトッテナム。メンバーの充実度でいえばマンチェスター・ユナイテッドのほうがいい状態であり、場所はオールド・トラフォードとくれば順当に勝つだろうと楽観視していたのですが…。終始、ゲームをリードしていたマンチェスター・ユナイテッドでしたが、天才・エリクセンとアデバヨルにしてやられ、今季プレミアリーグでホーム4敗めとなる痛い敗戦を喫しました。

試合開始から34分のアデバヨルのゴールまでは、マンチェスター・ユナイテッドがゲームを支配していました。スモーリングが縦への突破からのシュートを放つなど、DFの押し上げが積極的。バレンシアとヤヌザイのドリブルでサイドを崩しにかかり、フリーになると素早く中へフィードする攻撃は、決して創造的とはいえませんが迫力があります。個人的には、昨季着手しようとしていたサイド一辺倒からの脱却を進めてほしいという思いはありますが、短期的にはサイド攻撃を徹底するのが勝ち点3への近道であるというのはわかります。トッテナムは追い詰められてCKやサイドへのクリアに逃げるシーンが多く、先制は時間の問題だろうとふんでいました。

しかし、先に点を獲ったのはトッテナムでした。34分、右から上がってきたエリクセンの完璧なクロスにファーサイドで合わせたのはアデバヨルです。彼に対応しなくてはいけなかったスモーリングはまったく競ることができず、右のサイドネットへと弧を描く絶妙なシュートをGKデ・ヘアは呆然と見送るだけ。この後さらに、好調のアーロン・レノンの揺さぶりを受け、ソルダードが触れば1点というクロスを出されるなど冷や汗をかかされるシーンはありましたが、前半は0‐1で終了。数少ないチャンスを活かされてしまうという試合運びはよくありませんが、まだ45分あります。この日のマンチェスター・ユナイテッドなら、1点は確実にひっくり返せるはずです。

しかし、後半が始まって15分が過ぎても、マンチェスター・ユナイテッドに得点のチャンスは生まれません。61分、モイーズ監督が打った手は、香川真司とチチャリートを入れ、スモーリングとキャリックを外すというもの。トップにウェルベックとチチャリートが入り、香川真司とヤヌザイがサイド。センターMFにルーニーとクレヴァリーを並べ、バレンシアがSBに下がります。この交代に対する第一印象は、「大丈夫か!?」でした。エヴァートン戦で決勝ゴールを入れられてしまったオビエドのマークを外すなど、SBバレンシアは守備に相当不安があります。残り30分というまだ時間がある状況で、ここまでスクランブルなフォーメーションにスイッチしてしまっていいのでしょうか。そして、今季のプレミアリーグでは終始、FWで使われていたルーニーをいきなりセンターMF起用です。おそらく、この形は練習で試したりもしていないでしょう。整理すると、こういうことになります。「交代によって攻め方は変わらず、いちばんゴールの期待値が高いルーニーをゴールから遠ざけ、バレンシアSBというリスクをとる」。プラスマイナスでいうと、どうもマイナスが大きく見えます。

そして、その不安はあっさり的中してしまいました。交代からわずか5分後、右サイド深い位置で香川真司が奪われたボールをソルダード、レノンとつながれますが、マンチェスター・ユナイテッドの中盤の戻りが遅く、上がっていく選手についていけません。それでも、カウンターが決してうまくないトッテナムの攻撃もスムーズとはいえず、レノンが右から出したラストパスをバレンシアが難なくさばいて終わりのはずでしたが、バレンシアの緩慢なプレイのスキを突いてエリクセンが体を入れ、シュート!デ・ヘアは手に当てるもののクリアできず、0-2。この1点は、痛い!

直後に、ヤヌザイの縦パスからウェルベックが1点を返し、その後20分にわたりマンチェスター・ユナイテッドが一方的に攻め立てますが、同点に追いつくことはできません。せっかく香川真司とチチャリートが入ったのに、ヤヌザイやウェルベックがドリブルで突っ込んでいく単調なスタイルが変わらなければ、交代の意味がありません。あげく、84分の交代はクレヴァリーout、アシュリー・ヤングin。これで、センターMFは香川真司とルーニーとなり、香川に何をしてほしかったのかも曖昧になってしまいました。Jスポーツの解説は、「(慎重だった)モイーズ監督が大胆で積極的な采配を見せた」と好意的にコメントをしていましたが、とんでもない、これは無謀で無定見な采配だと思います。かくして、敗戦。ああ、またも遠のくプレミアリーグ連覇。勝ち点11差のアーセナルは影すら見えず、4位リヴァプールですら5勝ち点差。もう負けられないと言い出してから、何回負けたのでしょうか。これといったプラス材料もなく、来季の欧州は厳しいかもしれません。

いやいや、待てよ。そうだ。キャピタルワンカップとFAカップがあるじゃないですか!キャピタルワンカップで準決勝まで進んでいたのをすっかり失念していました。今季は、万力こめてカップ戦奪取ですね。弱気なことをいうようですが、ヨーロッパリーグ出場が決まっているのとそうでないのとでは、同じどん底でも心のありようが違います。5日のFAカップ、スウォンジー戦は必勝でお願いします!

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“【MAN.UTD×Tottenham】元の攻め方でよかったのに…ゴールを遠くした、複雑で無謀な采配!” への10件のフィードバック

  1. ウィルシェア より:

    すみません
    61分のところモウリーニョになってますよ

  2. バッジョ より:

    おめでとうございます

    ユナイテッド後半ほとんどボール支配していたのに、ゴールが遠かった~(T-T)
    失点のシーンは2つ共防げてましたね!マーキングが甘かった。同感です。
    ルーニーはやっぱり攻撃の中心にしとかないと得点の予感が半減するのも同感です。

    対してアデバイヨール、イキイキしてましたね。攻撃にリズムをもたらして得点もあげて守備でもルーニーとぶつかってましたし。スパーズ復活の予感がします。

  3. プレミア大好き! より:

    スパーズはカウンターがうまくないはちょっとおかしい
    スパーズは確実にカウンター主体で行った方が相手は怖いですよ
    ハリー時代から見てれば間違いなくそう思うはず
    勿論ベイルが抜けカウンターのキレ味は落ちたのは否めませんけど。

  4. より:

    モウリーニョ(笑)
    管理人さんの願望がダダ漏れな一文でしたね

  5. スパーズ推し より:

    いやー、新年を大変気持ちよく迎えられました(笑)

    エリクセンは期待通りの活躍でしたが、
    やはり僕はアデバを過小評価していたようです
    ただ、デフォーがいなくなる可能性がある以上、FWは補強候補だと思っています
    (再三言うように左サイドバックは当然として)

    この試合はスパーズに対し、有利な判定があったように思います
    恐らく、去年なら間違いなくユナイテッドに有利な判定になっていたでしょう
    ジャッジが今回はそうだっただけ、と言えばそれまでですが
    今年の調子、監督の出来、そういったものが影響を与えていると感じます
    ……やはり、あの監督の偉大さを実感せざるを得ない訳です

    ちなみに、まだ僕はマンUの4位以内を信じています
    スパーズが4位に入れるとは思いませんし、上のチームが今後落ちてくることも十分に考えられます
    何より、ガナが今後も順調に走るなんて考えたくありませんww
    どうか頑張ってください
    そして、願わくばノースロンドンの赤いチームを引きずり落としてください(笑)

  6. makoto より:

    森さん ウィルシェアさん>
    失礼しました。「モウリーニョ→モイーズ」訂正しました。ほれぼれする采配を見せられて、名前が頭に残っていたのでしょうね。

  7. makoto より:

    バッジョさん>
    モイーズのやりたいサッカーを今のスパーズがやっている、という構図になっていますね。

    プレミア大好き!さん>
    レドナップのチームと、その後のヴィラス・ボアス監督のチームは全く別物です。ヴィラス・ボアス監督時代に、敵陣でボールカットした場合はともかく、いわゆるカウンターをきれいに決めるシーンなどほとんどなかったはず。それができるなら、ソルダードはもっと得点を重ねられたでしょう。

  8. makoto より:

    スパーズ推しさん>
    私も、マンチェスター・ユナイテッドの4位は信じているのですが、それはあくまで願望で、今後のプラス要素がファン・ぺルシの復帰しかないのは厳しいなと思っています。

    ジャッジの件ですが、過去、ファーガソン時代はマンチェスター・ユナイテッドに有利な判定が出ていたというのは、あくまでも「そう見える年があった」というだけだと思います。われわれサポーターは、不利なジャッジを重ねられた年ばかり覚えているもので、つまりはみなさん(私も含めて)、「都合の悪いほうの情報は忘れがち」なだけじゃないか、と。

  9. チェルシー より:

    采配が当たるかどうかは紙一重ですがモイーズの采配は博打にしか見えませんでしたね(^^;

    ただ攻撃的な選手を増やせばいいっていうわけでもないですし
    間受けの名手香川を出したのになぜ縦に通せるキャリックを下げるのか

    二列目に香川、ルーニー、ヤヌザイなら面白いサッカーができそうなんですけどね

  10. makoto より:

    チェルシーさん>
    そうなんです。足し算引き算が、プラスにならないんです。状況みて狙ってやっているならOKなのですが、そういうわけでもなく。

    やはり、「狙いある交代」はモウリーニョ監督が秀逸で、「押す・引く」のバランスがいいのはペジェグリーニ監督。博打打たせるなら「あれもこれも追わずに”ここ1点”を絞って強く博打うつ」ロジャース監督とマルティネス監督がいいですね。ヴェンゲル監督は交代策はやや単調、モイーズ監督は近視眼的・感情的にみえます。

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