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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Tottenham×MAN.CITY】またも大敗、返り討ちトッテナム!明暗を分けた2つのジャッジ…!?

個々のジャッジについて「正しい」「間違っている」といった評価はしません。サッカーという競技は、その都度レフェリーが下した判定が常に絶対的に正しいスポーツなのだと思います。しかしこの日のゲームでは、勝負を分ける重要な場面での微妙なジャッジが、ことごとくマンチェスター・シティを利する結果になったことは事実。前半のシュート数が2本対13本だったことを考えれば、ジャッジがどうあれマンチェスター・シティの勝利は動かなかったと思われますが、1-5という点差を生んだ要因のひとつは、後半開始早々のダニー・ローズ退場という非情な判定でしょう。エティハドで6-0で破ったトッテナムを、またもや1-5という大差で下したマンチェスター・シティは、これでプレミアリーグ8連勝。アーセナルをかわしてついに首位の座を奪いました。

前半開始から、マンチェスター・シティはアクセル全開。4分にはさっそく、今季プレミアリーグで絶好調のアグエロがドリブルで中央から右にまわりこみ、ポストにぶち当てる惜しいシュートを放ちます。10分のジェコの左サイドからのシュートも1点もので、ゴールが決まるのは時間の問題と思われた14分、アウェイチームがあっさり先制します。コンパニからの縦パスを、中盤右サイドで受けたダヴィド・シルヴァが、ゴール前に走り込んだアグエロに必殺スルーパス!このボールをアグエロは、GKロリスの鼻先で軽くインサイドでコースを変えて流し込み、1-0。前回のトッテナム戦より先制が13分遅くなりましたが、それでもこのペースでいけば5~6点は堅いんじゃないかという勢いです

この後も、圧倒的なマン・シティペースでゲームは進みますが、追加点は奪えず。トッテナムの脅威はセットプレイでのエリクセンのキックです。18分、中央突破からアデバヨルがCKを獲ると、直後にエリクセンが危険なボールをゴール前に入れ、アデバヨルが触りさえすれば同点というシーンを創ります。20分、今度はマンチェスター・シティに決定的なチャンスが到来。クリシーが左サイドをドリブルで突破し、左足で浮かしたクロスをドンピシャのヘッドで合わせたのはアグエロ!これは2点め…と思わず腰を浮かした強烈なシュートは、GKロリスがぎりぎりで左手に当てるビッグセーブ。この一撃を防いでからは、トッテナムが左サイドを起点に徐々に攻撃の時間を増やし、ホームの意地を見せ始めます。

36分、最初の微妙な判定は、トッテナムのゴールの是非でした。危険なエリクセンが、左サイドからのFKをゴール前に蹴り込むと、アデバヨルの頭を越えたボールはいちばん外にいたCBドーソンへ。ドーソンは体でボールを枠に入れ、同点…と思われた直後、無情にもラインズマンの旗が上がり、スコアは0-1のまま。ボールを完全に支配するマン・シティに対して、トッテナムの希望は左SBダニー・ローズの攻め上がりとエリクセンのキックのみだったので、このゴールが認められなかったのは痛かったですね。44分には、先制ゴールのアグエロが太ももを痛めてヨヴェティッチに交代。エースを失ったマン・シティを、残りの45分でトッテナムはどこまで押し返せるのか。少なくともここまでは、勝負の行方はわかりませんでした。

そして後半に入った49分、この日ふたつめの微妙なジャッジが、勝負の趨勢を一気に決めてしまいます。後方からのパスを受けてうまく抜け出したジェコの足元に、追いかけたダニー・ローズがスライディング。映像では先にボールに触れたようにも見えましたが、ジェコの足を削って転倒させたのも、もう一方の事実です。レフェリーの判定は、ホームチームにとっては最悪の「PK&ローズ一発レッドカード」。これをヤヤ・トゥレが落ち着いてゴール右に決めて0-2。その2分後、10人になったトッテナムの混乱を突いて、サバレタからパスをもらったダヴィド・シルヴァがペナルティエリア内をドリブルで左に持ち込みシュート。GKロリスが弾いた後のこぼれ球をDFがクリアミスしてしまい、これを抜け目ないジェコが拾ってガラ空きのゴールに蹴り込み0-3。後半が始まってたった8分、トッテナムが反撃をみせる間もなく、アウェイチームの勝利が事実上、決まりました。

何点獲っても飽くことを知らないマンチェスター・シティは、この日も容赦なく追加点を重ねます。77分、フェルナンジーニョのパスを左サイドで受けたヨヴェティッチが、中に持ち込みミドルを右隅に決め、プレミアリーグ初ゴールをゲット。88分にはジェコのシュートがこぼれたところを、CBコンパニが押し込んで5点め。トッテナムの反撃は58分、やはり後半もデンジャラスだったエリクセンのCKを、こちらもカプエがプレミアリーグで初めてゴールに押し込んだ一発のみ。シャーウッド体制になってからは好調をキープし、このゲームにも期するところがあったトッテナムでしたが、残念ながらその実力を出し切ることなく、マンチェスター・シティに再度粉砕される結果となりました。プレミアリーグ5位にいながら得失点差マイナス1というところに、マン・シティ戦に大量失点でダブルを喫した爪痕が残っています。何せ、2試合でマイナス10ですから…。

ジャッジについて、ひとつだけいいたいのは、「今後のこととして、ゲーム間の明らかな判定基準の違いは是正を図ってください」ということ。昨日、マージーサイドダービーでスターリングを引っかけたGKハワードに黄色すら出ず、この日のダニー・ローズは退場&(おそらく)出場停止というのはあまりにもアンフェアです。結果についてはどうこういいませんが、この先のジャッジ基準をいま一度明確にしないと、しこりが残った後味悪い状態で、優勝やチャンピオンズリーグ出場権を諦めるチームやサポーターが出てしまいます。

それにしても強いマンチェスター・シティ。プレミアリーグ開幕当初より明らかにチーム力が上がり、もはや「アウェイで弱い」は過去の評判です。先日、ロベルト・マンチーニ前監督が、「マンチェスター・シティの基盤を築いたのは自分で、ペジェグリーニ監督はそれを踏襲しているだけ」という大人げないことをいってましたが、今季のこの強さは、中盤強化もさることながら、マラガからやってきたチリ人監督のお手柄でしょう。来週月曜日、エティハドに乗り込むチェルシーがストップをかけてくれないと、彼らが独走態勢を固めそうなので、ぜひここは抑えていただきたいですね。いやいや、5位相手に2試合で11点、プレミアリーグ23試合で68点は、やはり凄すぎる…。

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“【Tottenham×MAN.CITY】またも大敗、返り討ちトッテナム!明暗を分けた2つのジャッジ…!?” への7件のフィードバック

  1. トーレス下さい。あ、赤い方ね より:

    個人的な見解ですが、ジェコとスターリングの判定はいずれも正しいと感じます。ポイントは、「接触直前の状況が真に決定機か」です。
    まずジェコのはPK+レッドでしょう。「完ぺきな決定機に」「後ろからタックルして」「接触すれば」そりゃファールであり、決定機阻止レッドが出ても文句は言えません。僕がスパーズファンなら苦い判定なのは事実ですが、それとこれとは話が別。
    一方スターリングの判定も、PKであることは間違いないです。ただボールを完全に懐に納めていたジェコと違い、スターリングのトラップはでかすぎて「完ぺきな決定機」と言い難い状況だったと思います(ハワードとの接触がなかった場合、ボールはラインを割っていた)。
    3年前のリバプール対サンダーランドでも似たケースがありました。裏抜けしてGKと一対一となったスアレスが、GKをかわそうとボールを右に出したところ後ろから追いついたDFに倒されたしたケースです。PKは与えられましたが、フィルダウドはボールが右に流れ過ぎていて決定機とは言い難いとしてレッドは出しませんでした。

  2. makoto より:

    トーレス下さい。あ、赤い方ね さん>
    既にジャッジされた事象について、議論をするのはあまり意味がないと思っていますが、せっかく見解をいただいたので、私の見解を附記させていただきます。

    1)ジェコの件の論点の第一は、「ジェコを蹴ったのか、ボールを蹴った足にジェコが触れたのか」です。ここが微妙で、私は「映像を見る限りはローズのファーストコンタクトはボールなので、ファールではない」と思いました。ただし、「サッカーの判定には映像は使用しない」というのが前提ですので、主審が足に先に触ったと見做せば、それが答えです。ここでいいたいのは、「どちらとも取れる、極めて微妙な状況であった」ということですね。

    2)論点その2は、レッドやイエローの基準についてですが、これは「決定機だったかどうか」ではなく、「決定機を故意につぶそうとするプレイだったかどうか」が線引きの基準だという認識です。
    そうでないと、「当該プレイの後、ボールが伸びたか伸びないか、という後出しジャンケンで判定が変わってしまう」ことになります。私が記した基準が正だとすれば、よりレッドに近いのはダニー・ローズよりもハワードということになるかもしれません。ただしこれもまた、「決定機かどうか」「故意かどうか」はレフェリーの主観に委ねられるので、その判断次第です。

    いずれにしても、最近のプレミアリーグのジャッジ基準には統一性が欠けていると感じています。最終的に主観が介在するのはやむなしとしても、「何をもってレッドとするのか」には一定のガイドラインの確認が必要なのではないか、と。

    トーレス下さい。あ、赤い方ね さんの意見を頭から否定するものではありませんが、ジェコとスターリングでいえば、周囲にGKしかいなかったスターリングの状況のほうがより「決定機」であり、ダニー・ローズは後手を踏んではいたものの、スライディングすれば充分足が届く「プレイング・ディスタンス」で、GKとDFでふたりいるこちらのほうが決定的ではない、という見解もあるかと思います。

  3. プレミア大好き! より:

    ジェコ明らかに先にボール触られて軽くダイブってたじゃんw
    まぁ結果が変わった気はしないけどここまでの虐殺にはならなかったでしょう
    ローズの出場停止が取り消されることを祈る

    スパーズサポ

  4. ちくちく より:

    マンチェスターシティは毎試合五点取るような状況で、ちょっと異常なくらいにバカスカ点取りますよね。わかっているけど止められない何かがあるんだと思いますが、その辺りの話機会が有りましたらレビューを聞いてみたいので、またお願いします!

  5. makoto より:

    プレミア大好き!さん>
    私は、本編ならびに先のコメントで書いた通り、「レフェリーがレッドというならレッド」という意見ですが、「もし自分がレフェリーだったら」という目線で語るならば、プレミア大好き!さんと近しい感覚です。まとめると、「レフェリーからは見えなかった&ジェコもうまかった」のでしょう。

    演技力、倒れるか否かの判断力含め、PKもらうのも一定”能力”(率直にいって、スアレスはうまい)。逆にPK取られるのは、ペナルティエリア内でプロフェッショナルファールを意図的にやる選手はまずいないので、「状況が不利なのにいってしまった判断ミス」「ボールを触れなかった、ディフェンススキル不足」がほとんどなのだと思います。ダニー・ローズの場合は、私はボールに触っていたように見えたので、「正当なタックルだったが、運がなかった」のだという見解です。

    サポーターならなおのこと、「あれはないよ!」といいたくなりますよね。その気持ちもわかります。私もときどきいいたくなりますが、「ジャッジに文句はいうべからず。それがサッカー」というポリシーを自分に課しているので、一所懸命ガマンしてます(笑)。

  6. トーレス下さい。あ、赤い方ね より:

    ちくちくさん>
    マン・シティの強さに関する私の見解は、
    「サイドでフリーになる状況を徹底的に創りにいき、それを実現できる能力が高いこと」がいちばんだと思ってます。サイドといってもマンチェスター・ユナイテッドのようなワイドではなく、ペナルティエリアの幅ですね。

    ポイントは、
    1)サイドでフリーになろうとするプレイヤーの数の多さ。具体的にはSB、サイドMF、トップ下、FWと、常に3~4人で数的優位を創りにいっている。多くのチームは通常2人。3人以上になることもあるが、マン・シティに比べるとその頻度は低い。これは徹底度と、戦術理解度の違い
    2)中盤にパス能力が高い選手が多いこと。いちばんいやらしいのは、SBやヘスス・ナバス、ミルナーなどのサイドMFが、斜めに走ってきてそこにスルーパスを出される場面。ダヴィド・シルヴァ、ヤヤ・トゥレ、フェルナンジーニョが3人とも、絶妙のタイミングでパスが出せる。出せる人間が多いので、ときどき、ダヴィド・シルヴァがこのスペースに入ってくることもある。他のチームだと、「能力の高いパサーはトップ下のみ」あるいは「センターMFのひとりは守備専門」だったりする。
    3)サイドを奪ったときの、中央の人数の多さ。だいたい3人、多いときは4人います。これは、ファーガソン監督やオシムさんも攻撃時の約束事として徹底していたことで、ペジェグリーニも相当、練習させているはずです。

    2)については、マンチェスター・ユナイテッドは、マタが入る前まで「0.5人(=キャリックが、ダヴィド・シルヴァの半分くらいはやる。他の選手はワイドにしか出せない)」だったのですね。
    ざっとこんな感じでしょうか。上記1~3ができるのは、あれだけ能力があり、チームプレイ志向が高い選手たちがいることが前提です。マンチェスター・ユナイテッドは個人主義の選手が多すぎて、中央志向が強いアーセナルやリヴァプールは、マン・シティとめざしているサッカーが違うようにみえます。

    —–
    お返事おありがとうございます。異なる見解を提示してくれたのは非常にうれしかったです。ですが、どうしても付け加えたいので付言させてください笑

    どの決定機阻止にレッドが出るのかに関して、結局は審判の主観に頼っている現状というのは誰も否定しないでしょう。ですが主観判断の対象に「阻止故意性」は含まれず、あくまで「決定機性」一本で判断しているというのが持論です。
    ルールブックにも”Committing an offence that denies an opponent an obvious goal-scoring opportunity”がレッドの対象とあるのみで、エリア内ハンドの場合と異なりdeliberateによる限定は見当たりません。
    それにそもそも、決定機性と阻止故意性の2点を一瞬で判断することを人間に求めるのは不合理だとみます。

    となるとやはりobvious goal-scoring opportunityの定義付けが曖昧なことが具体的欠陥だと思います。エリア内ハンドについてルールブックでは、故意のものだけがPK対象となるとした上で、その故意性を判断するための要素が5点列記されています(腕の出す方向、ボールと腕との距離etc)。しかし決定機性の判断要素はなんら提示されていません。
    なにが決定機なのかを定義づけるガイドラインを策定公開し、渦中の判定については試合後「これこれの項目に該当すると判断したのでレッドにしたんだよ」と開陳するだけでずいぶん風通しが良くなるでしょうし、主審の判断も相対的に統一されるでしょう。

    ジェコとスターリングの判定に関して全主審にアンケートをとったら結果がバラバラになりました~。視聴者はそういう疑いをもっておかしくない状況ですし、審判組織は信頼を勝ち取る努力をしてほしいものです。

  7. makoto より:

    トーレス下さい。あ、赤い方ね さん>
    そうなんです。私がいちばん問題にしたいのはそこで、端的にいえば、「私のブログのコメント欄で、数人がコメントしただけで、既に判断基準自体の共通認識がない」状況。基準と言語が一般化しないと、良質な議論は生まれないと思います。

    プレミアリーグが動くかどうか、わからないので、こういうときは、当事者である監督はぜひ問題にしていただきたいですね。もちろん、発言によるペナルティは受けてほしくないので、個別のレフェリーに対する恨み言ではなく、一段視点が高い論点で。

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