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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【MAN.CITY×Chelsea】レジェンドが愛するクラブを止めた…マン・シティの歓喜なき同点ゴール!

「今朝、起きたとき、自分が何を求めているのかわからなかった。もし、ピッチに立ったにも関わらず、自分の仕事をこなさなかったら僕はプロ失格だった。…それにしても、言葉が見つからない。途中出場でゴールを挙げることなど想像してなかった」

この試合の最大のクライマックスは、チェルシーサポーターだけでなく多くのプレミアリーグファンが一瞬目をそむけた、80分の同点劇。チェルシーの歴史であるフランク・ランパードが古巣の連勝を4で止めるきれいなボレーを決めた瞬間、ブルーのユニフォームに身を纏ったサポーターの中には、複雑な表情をゆがめて泣き出す人もいました。守ってカウンターといういつもの戦略が見事にはまり、シュールレのゴールで先制したチェルシーは、最も受け入れがたいシナリオでドロー着地。アーセナル戦に続いて最後に追いついたマンチェスター・シティは、昨季のプレミアリーグでダブルを喰らった優勝候補の独走をかろうじて阻止しました。

レスターとマンチェスター・ユナイテッドの大味で明るい殴り合いを観た後のゲームは、プレミアリーグの事実上の決勝戦ともいうべき緊張感の高い攻防。0-0のまま残り20分まで均衡が破れなかったこの試合は、チェルシーが初めてシュートらしいシュートを放ったのが58分、しかもセスクのFKという、中盤の攻防に終始したゲームでした。

マンチェスター・シティは、夏に獲得したCBマンガラが初登場でしたが、これはやばいですね。スキンヘッドの23歳のフランス人は、横にいるコンパニを超える器かもしれません。素晴らしいのは、ボールが出てくる危険なスペースを察知する力。ただでさえフェルナンジーニョとヤヤ・トゥレにセスクのパスの出しどころを抑えられ、アザールやジエゴ・コスタがサイドから打開するしかなかったチェルシーの勝負のパスは、ことごとくプレミアリーグナンバーワンのCBコンビにカットされます。

シュートレンジに入れず、ジエゴ・コスタも守備に駆り出されるチェルシーに対して、マンチェスター・シティの攻撃は、シュートまでは辿りつきます。7分にはコラロフのクロスをジェコがヘッド。直後、ダヴィド・シルヴァのラストパスをヤヤ・トゥレがヘッド。30分には、アグエロがクロスのこぼれをボレーで狙うも、惜しくも枠の上。フィニッシュはGKクルトワに抑えられるものの、いくつかチャンスがあったホームチームに対して、チェルシーがゴール前に迫ったのは、前半終了間際、CKからのヘディングの折り返しにジエゴ・コスタが足を伸ばしたシーンぐらいでしょう。シュート数は5対0。前半は両チームともゴールの匂いがないまま、後半の45分に望みを託します。

後半に入っても、中盤の攻防が続きます。押しているのはマン・シティ。49分にはペナルティエリアを突破しようとイヴァノヴィッチと競り合ったヤヤ・トゥレがPKをアピール。54分にはCKのこぼれ球に走り込んだフェルナンジーニョが強烈なシュートを放ちますが、ボールはゴール左にそれていきます。56分には、ホームチームにこれまでで最大の決定機。サバレタ、ミルナー、ジェコとつながったボールを受けたアグエロのシュートがゴール前にこぼれると、そこに飛び込んだのはジェコ。触れば1点というボールでしたが、ラミレスの戻りがわずかに早く、チェルシーはピンチを逃れます。61分、モウリーニョ監督はラミレスをシュールレにスイッチ。ウィリアンをミケルに代え、引き続き守りながらのカウンターにチャンスを求めると、71分、10分前に入ったばかりのシュールレが、ボスの期待に応えて大きな仕事をやってのけます。

チェルシーの攻撃の起点はアザール。左にいたイヴァノヴィッチにパスを出すと、背番号10は右サイドに回り込み、中央のジエゴ・コスタからパスを受けてドリブルで中を窺います。シュールレが素晴らしかったのは、当初右サイドにいながらも、アザールにボールが渡ったのを見るや、逆サイドまで回り込んでDFが手薄なファーでラストパスを待ったこと。一度視界から消えたFWを、マンチェスター・シティのDF陣は捉えきれず、グラウンダーをプッシュしたシュールレのまわりに歓喜の輪が広がります。またもチェルシー勝利かと思われた試合は、しかし80分、ダヴィド・シルヴァの浮き球を左から走り込んだミルナーが絶妙な左足ダイレクトで落とし、そこにいたのは…。

歓喜なき、同点ゴール。

ドラマチックでもあり、両者の攻守の質も高く、素晴らしい試合でした。ひとりずつ、MVPを上げるとすれば、マンチェスター・シティはミルナー。右MF、右SB、セントラルMF、最後は左から突破と、試合の状況に合わせてさまざまなポジションをこなした彼の献身的なプレイが、同点ゴールにつながりました。チェルシーはラミレスかクルトワですが、冷静さと守備範囲の広さで、相手の攻撃の芽を何度も未然に摘み取ったエースGKを推しましょう。

チェルシーの強さもさることながら、より怖いのはマンチェスター・シティの調子が上がっていくことでしょう。今後、マンガラが完全に覚醒すれば、プレミアリーグ上位クラブでもゴールを奪うのは至難の技。バロテッリやディ・マリアのような、飛び道具が繰り出す出会い頭の一発しか想像できません。その一方で、ストークやレスターのような中堅・下位クラブに、青系の強いクラブたちが苦戦を強いられるのですから、プレミアリーグは何が起こるかわかりません。来週は、チェルシーは3位につけているアストン・ヴィラ、マンチェスター・シティはしぶとくトップ10に喰らいついているハル・シティと戦います。普通に考えれば両者勝ち点3ですが、果たして順当にいくのかどうか…。

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“【MAN.CITY×Chelsea】レジェンドが愛するクラブを止めた…マン・シティの歓喜なき同点ゴール!” への10件のフィードバック

  1. Joe より:

    マンガラは脅威ですね。コンパニーが2人いるんじゃないかと思うくらい、質の高いCBでした。対チェルシー戦でランプスを使うのは反則だよ ( ;´Д`)

  2. プレミアム より:

    今まで見てきたランプスのゴールの中で唯一嬉しくないゴールですね…
    試合内容とエティハドって事を考えれば勝ち点1取れたのは悪くないですが

    —–
    サバレタの退場には触れないのですか?
    コスタはとんでもない野郎でしたよね。

    マンガラは本当に凄かった。ヒートアップした展開の中ファールも少なく、カウンターの芽をことごとく潰すスピードは、ちょっと世界でも見られないレベル。
    あれで左利きで技術も高い・・・

    鬼ですね笑

    —–
    コスタそこまで言われるほどのことですかね?
    あれもコスタの旨さの一部なような気もしますが

    人数が少なかった相手だったからチェルシーとしては勝ちたかったのかもしれませんが、シティ相手のアウェーで勝ち点1はいい結果でもあるんじゃないでしょうか
    ライバルチーム達は勝ち点落としますしね

  3. リバサポ より:

    他サポですがみれてよかった試合です。前半、後半と選手、戦術、交代などレベルの高い試合でした。マイク.ディーン審判のカード祭りにも関わらず近年のプレミアリーグベストゲームに入るこの一戦は両チームの総合力の高さを示しました。ランパードの顔をみるとなんともいえない辛さがありましたが、プロフェッショナルという言葉がほんとに似合う男です。かっこいい

  4. パックン より:

    Joeさん Bluesさん>
    シビアな優勝争いをしているなかで、ランパードを出すな!とまではいえませんが、切ないゴールでしたね。さすがに。

    slashさん プレミアムさん リバサポさん>
    いただいた件、2つありまして。

    ひとつは、ジャッジの是非について。私の考え方が、「サッカーでは、たとえ理不尽であろうとも審判は絶対」であり、大手サッカー掲示板でジャッジを巡ってコメントが荒れているのを見かけると、あまりいい気持ちがしないこともあって、ブログのなかではジャッジのいい・悪いをいわないようにしています。記事を通じて、プレミアリーグのおもしろさを感じてもらえればそれでいい、と思って書いています。

    もうひとつは、「とはいえサバレタ退場という大きなトピックスについて、書くか書かないか」。こちらも迷ったのですが、「いい試合だった」「マンガラとミルナー、シュールレが素晴らしかった」「ランパードのゴールという最大の事件」というあたりを書きたかったので、サバレタの件は優先順位が結果的に下がりました。つまり、リバサポさんがおっしゃっているようなことを書きたかった、ということですね。ただし、チェルシーが勝っていれば、優先順位は上がったような気もしています。

    せっかくご意見をいただいたので、「あくまで個人的な意見です」というただし書きでサバレタの件についていえば、
    →せっかくの好ゲームには残念なジャッジの厳しさだったと思います。危険なファールは多くなかったという認識です。
    →前半1枚もらっていたサバレタには、我慢してほしかったなと思います。ジエゴ・コスタがどうあろうが、相手にしなければ両者イエロー&サバレタ2枚めとはならなかったはずなので。
    という感じです。

    —–
    同点ゴールを決められてもバナーを掲げチャントを唄うチェルシーサポーター。
    複雑な思いを抱えながらもアウェイスタンドに出向きそれに応えるランパード。
    試合後の光景は両者の深い絆を感じさせる素晴らしいものでした。

    試合の方もビッグマッチらしい締まった好ゲームだったと思います。
    まあコスタに関してはラテン系の選手によくある駆け引きってやつでしょう。
    カードを貰ってるのに不用意なファールを冒したサバレタも軽率だったと思いますし。
    まあカードを乱発した前半のレフェリングがちょっとまずかったですかね。

  5. ちくちく より:

    この試合と関係がなくて恐縮ですがセインツがなんと二位ですね。大草苅場に補強もそれほどと思ってましたがどいう事なんでしょうか。。お時間ありましたらその辺の話また書いてもらえると嬉しいです。

  6. makoto より:

    ちくちくさん>
    セインツは、いい補強をしました。こちらについても書かせていただきますね。

  7. Uボマー より:

    シティは勝負強かったですね。10人、1点リードされる展開で出てきたヘスス・ナバスのチェイシングは見事でした。ユナイテッドのバカ試合を見ると勝ち点への執念を感じさせました。この辺の差がシーズン終盤の成績に表れてくるんでしょうね。

  8. makoto より:

    Uボマーさん>
    おっしゃるとおりです。アーセナルとチェルシーに勝たせなかったのは大きいと思います。

  9. ぷれみあふぁん より:

    ほとんどモウリーニョの計算通りに試合展開だったと思います
    シティで崩せないなら他のチームで崩せるチームはあるのでしょうか

    シティはアーセナル戦もですが
    負けを引き分けにできたのは大きいでしょう
    ランパードゴールは見事でした
    またワクワクする試合をどのチームにも期待します

  10. makoto より:

    ぷれみあふぁんさん>
    おっしゃりとおり、この2戦の勝ち点1は、マン・シティにとって大きいですね。勝ち点1が大きいというより、「チェルシーとアーセナルの勝ち点3阻止が大きい」のかもしれませんが。

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