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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Liverpool×Sunderland】ゴール欠乏症のリヴァプール、足りないのはサイドからの崩し!

63分、スターリングが左から流したボールをルーカスがダイレクト。77分、スターリングのパスをフリーで狙ったコウチーニョの右足。81分、ミニョレが横っ飛びで逃れたジョルディ・ゴメスの強烈な左足。枠内シュートは、両者合わせて3本のみ。これに、ララナのクロスに合わせたリッキー・リー・ランバートのヘッドと、53分にCKを左足で合わせたコナー・ウィッカムの強烈なボレーを足せば、以上がアンフィールドに集まった両チームのサポーターを湧かせたすべての決定機です。リヴァプールとサンダーランドのゲームは、どちらがホームかわからないような静かな展開のまま、0-0のスコアレスドローに終わりました。マンチェスター・ユナイテッド、トッテナム、エヴァートン、チェルシーとの戦いをすべてドローに持ち込み、今季のプレミアリーグで既に9引き分けのしぶといサンダーランドが相手とはいえ、本拠地アンフィールドでのノーゴールには、レッズサポーターはがっかりでしょう。上記、サンダーランドに勝ち点1を持っていかれたクラブは、すべてアウェイです。

今季プレミアリーグで、15試合で19ゴールはウエストハムやスウォンジーより少なく、無得点が4試合。ゴール欠乏症のリヴァプールの攻撃を観ていて感じるのは、サイド攻略が少ないことです。モウリーニョ監督やペジェグリーニ監督のサッカーは、突き詰めると「どうやってサイドでフリーになり、ニアの選手に決めさせるか」を追求しているのだと思います。特にマンチェスター・シティは、複数の選手の絡みでペナルティエリアの隅をえぐって、ニアに入ったストライカーにダイレクトでシュートさせる攻撃を徹底しています。「フリーになれば、正確なクロスをベストなタイミングで出せる」「パスは受け手に近ければ近いほど精度が上がる」「ゴールに近いほうがシュートは決まりやすい」「パスが出てからシュートまでの時間が短ければ短いほど、相手のDFは準備しにくい」といったところが、よりゴールに近い位置からのクロスを狙う理由でしょう。

チェルシーは、イヴァノヴィッチやアスピリクエタがサイドからクロスを上げる瞬間、アザール、ジエゴ・コスタ、オスカルらが、ニアとファー、センターにバランスよくポジションを取っています。マンチェスター・シティの攻撃は、コラロフとミルナー、サバレタとヘスス・ナバスというSBとサイドアタッカーのコンビにダヴィド・シルヴァやナスリが絡み、3人のダイレクトパスの交換からサイドを陥れるシーンが目立ちます。セスクとダヴィド・シルヴァは、ペナルティエリア脇のスペースで味方をフリーにさせるスルーパスをいつも狙っています。

翻って、リヴァプールの攻撃はどうでしょうか。昨日のサンダーランド戦では、コウチーニョやスターリングのドリブルはDFが構えている中央に向かうことが多く、サイドで勝負するシーンもその多くが単独ドリブル。アルベルト・モレノやグレン・ジョンソンからのクロスは少なく、上がったとしても遠めからファーを狙うクロスです。15本のシュートは、相手が打つタイミングを把握しやすいミドルが大半。サイド攻撃からの惜しいシーンは、ララナが切り返しから逆サイドのランバートに合わせた場面ぐらいでした。

昨日の攻撃でシュートが決まる可能性があったとすれば、77分にスターリングのパスをフリーでもらったコウチーニョが縦あるいは中にもう1本持ち、DFとGKのタイミングをうまく外した場合だけだと思いました。実際の背番号10のシュートは、サンダーランド守護神パンティリモンのヨミどおりのタイミングでリリースした、あまりに素直なGKの脇への弾道でした。ゴール欠乏症のチームに多くみられる症状として、チャンスをつかんだ選手が余裕や遊びを失い、シュートが正直になるというものがあります。

サー・アレックス・ファーガソン時代のマンチェスター・ユナイテッドは、サイドからクロスが上がる瞬間、2人のストライカーがニアとファーに走り込み、中央のスペースでMFが待つという攻め方が徹底されていました。モイーズ監督に代わった昨季、80本を超えるクロスを上げてもフラムに勝てなかったのは、中央の人数が薄いうえに、誰を狙っているのかわからないクロスをやみくもに上げていたからです。攻撃に約束事や工夫、狙いの徹底がなければ、プレミアリーグの中位・下位相手にもなかなかゴールは決まらないということでしょう。彼らは、守りに入ると、とにかく中を固めてきますから。スターリングやコウチーニョにいくらスピードとテクニックがあっても、中央からくるとわかっていれば、その突破が決まるのは1試合にせいぜい1回か2回だと思います。

リヴァプールに足りないのは、サイドからの崩し。それも、ゴールにより近い、ペナルティエリア脇のスペースを奪うことではないでしょうか。サイド攻撃を徹底すれば、相手のラインが左右に開きやすくなり、より中央突破も効果的になるでしょう。今のリヴァプールは、チェンジオブペースやスペース攻略の人数のメリハリがなく、約束事や連携のアイデアが乏しい個人技担保のサッカーになっているようにみえます。ロジャース監督に、ゴール欠乏症の処方箋はあるのでしょうか。早期に効能が現われる特効薬がなければ、バーゼル、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナルと続く厳しい3連戦で、1点も獲れないという惨状すらあるのではないかと危惧しています。

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“【Liverpool×Sunderland】ゴール欠乏症のリヴァプール、足りないのはサイドからの崩し!” への4件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    凡戦と呼ぶに相応しいゲームだと思います。このゲームは比較的左からの崩しが多いように見受けられましたが、どれも不発でしたね。それにつけても枠内シュートが少な過ぎます、、、。連動がないせいか、パスの出しどころがキツくなるとバックパスをするというシーンが何度も見られました。相手にすると守りやすかったでしょうね。連動からくる崩しが全くないです。CLバーゼル戦は相手は引いて守ってくるかもしれません。今のレッズはこの手のチームを相手する時はアイデアが乏しいので非常に心配です、、、。

  2. リバサポ より:

    更新お疲れ様です。
    見事にサンダーランドの守備にはまってしまいました。相手によって引き起こされたエラーを試合中に修正できないのは昨シーズンからずっと続く問題ですね。
    サイド攻撃以前に前線の選手が、ボールを離した後、動きが少なすぎます。コウチはそろそろもっとDFラインの裏に飛び出す意識を、スターリングはDFとの駆け引き、左足をもっと使えるようになりましょうというところですかね。二人ともチームの顔なんですから。

  3. より:

    いっそトップをスターリングにして左ララーナ右マルコビッチとかにしてみるのはどうなんだろうか。
    ボリーニも先発1トップとかで使ってみても良い気がするんですけどねー。
    点は取れてないけど、おしいシーンや、良い連携してる事もあったから、長めに使ってみてはどうかと。
    献身的にDFもするし、がむしゃらに動きまわるから今のレッズには良いと思うんだけど。

    とか想像はしてみるものの、正直今はどうやったらうまくいくのか全然分かりません・・・。

  4. makoto より:

    Mackiさん リバサポさん>
    おっしゃるとおり連動性に乏しく、ナナメへの動きやDFを連れていく動きが少ないので、前の選手は常にガチンコ勝負になります。バーゼル戦では、どこまでアグレッシブにいってくれるでしょうか。期待半分、不安半分です。

    ご さん>
    スターリングトップ、その後ろにランバートもおもしろいかもしれません。ポスト役ができてさばきもうまいランバートに当てて、中盤がもらった瞬間スターリングが裏へ走る…なんていかがでしょうか。

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