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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【MAN.CITY×Chelsea】スーパーアグエロ、失意のテリー…チェルシーは3失点完敗で2戦未勝利!

昨季プレミアリーグの直接対決は2試合ともドロー。攻めるマンチェスター・シティ、がっちり受けて逆襲を仕掛けるチェルシーという図式は、2015-16シーズンも続くのでしょうか。開幕のWBA戦を0-3と快勝したマン・シティのトップに、プレミアリーグ得点王のアグエロが帰ってきました。スターリング、ダヴィド・シルヴァ、ヤヤ・トゥレ、ヘスス・ナバス、フェルナンジーニョは現状のベストメンバーです。スウォンジー戦でクルトワが退場となったチェルシーは、GKがベゴヴィッチでオスカルは不在、中盤にラミレスを入れた以外はいつものメンバー。ベンチにはズマ、ミケル、クアドラードらが控えており、モウリーニョ監督はリードした際のゲームの畳み方はシミュレーション済みでしょう。1点を争う終盤になれば、イヘアナチョ、ボニー、ファルカオ、ロイク・レミーらが満を持して登場するはずです。

開始20秒、ダヴィド・シルヴァのスルーパスからアグエロが完全に抜け出し、いきなりベゴヴィッチと1対1。ストークから来たGKはこれをブロックし、プレミアリーグ有数の実力者であることを証明します。フォローしたヘスス・ナバスの右足もわずかにポストの外、マン・シティが絶好のチャンスを逃したことは、この後の展開にどう影響するでしょうか。7分にはラミレスのドリブルからジエゴ・コスタが強引にシュートを狙おうとするものの、マン・シティの最終ラインは冷静に対処。ダヴィド・シルヴァのパスの切れ味とスターリングのスピードを警戒したチェルシー守備陣は、ラインを低くして対応しています。

8人で守るマン・シティに対して4~5人しか上がってこない安全運転のチェルシーと、チェルシーの守備陣を包囲するように人数をかけるホームチーム。16分、フェルナンジーニョからコラロフに展開したボールが中央のアグエロに渡ると、振り向きざまのシュートはベゴヴィッチがビッグセーブ。2分後、右から上がったヘスス・ナバスのクロスを直接狙ったアグエロの一撃も、ベゴヴィッチが防ぎます。開幕のスウォンジー戦でも気になったのですが、プレミアリーグ王者の最終ラインは総じてコンディションが悪そうで、特にアスピリクエタとテリーがスピードにやられるシーンが目立ちます。チェルシーの攻撃は、相変わらずアザールの孤軍奮闘。22分、コラロフのアーリークロスにテリーが触れず、しかしアグエロのボレーは左ポストの脇に逸れていきます。

前半のチェルシーがいちばんゴールに迫ったのは、アザールのクロスをニアのマティッチがヘッドで合わせた21分のシーンでした。イヴァノヴィッチやウィリアンがミドルを狙うようになり、チェルシーのエンジンがかかってきたように見えた矢先の31分、ついにマンチェスター・シティが先制します。右に流れていたダヴィド・シルヴァのパスを中で受けたヤヤ・トゥレがアグエロにつなぐと、狭いスペースであっさりケーヒルをかわしたアグエロは、ベゴヴィッチの読みを外すような巧妙な左足シュート。左のサイドネットに転がったボールを見て、エティハドのサポーターが絶叫します。チェルシー、ピンチ。今までの攻め方では、集中しているコンパニやマンガラのマークをかわすのは難しいでしょう。43分、コラロフのFKをケーヒルに先着したマンガラのヘッドは、当たりが薄くて枠にいかず、チェルシーは助かりました。前半は1-0の最少得点差ですが、完全なる王様アグエロのゲーム。決定機の数では4-0のワンサイドです。王者チェルシーは、昨季プレミアリーグの2試合にはなかったビハインドを背負ったハーフタイムを過ごすことになりました。

後半、ズマがピッチにいます。このモウリーニョ采配にはびっくりしました。ベゴヴィッチとの接触で鼻血を出していたケーヒル交代かと思いきや、いないのはテリーです。彼がアグエロを止められなかったのは確かですが、絶対的なレギュラーCBを外すのは、相当勇気のいる決断です。開始早々、コラロフのFKからマン・シティがチャンスをつかむと、チェルシーは左からのクロスをラミレスがゴールに流し込むものの、判定はオフサイ。イヴァノヴィッチとヤヤ・トゥレがイエローをもらい、マンガラとジエゴ・コスタがもつれ合うなど、前半以上にエキサイティングな攻防が続きます。

58分、イヴァノヴィッチがウィリアンめがけて惜しいアーリークロス。チェルシーの攻撃は厚くなってはいるものの、ジエゴ・コスタのボールロストが多いのと、セスクが消えているのが気になります。60分、ヘスス・ナバスがニアのヤヤ・トゥレにグラウンダーを打たせた形は、プレミアリーグ開幕節でWBA相手に成功した攻略法です。なかなか攻めきれない状況に、モウリーニョ監督はラミレスを諦め、クアドラード。65分、カウンターからのアグエロの左足シュートがわずかに右に外れると、ペジェグリーニ監督がヘスス・ナバスをナスリという最初のカードを切りました。68分、ジエゴ・コスタ、アザール、ウィリアンがカウンターで攻め込み、アザールのシュートはGKジョー・ハートが身を挺してブロックします。ペジェグリーニ監督は、デミチェリスを入れるなどして中盤の底を抑えたほうがいいのではないでしょうか。プレミアリーグを制したチームに1点リードという千載一遇のチャンスに、上がりすぎて少人数でのカウンターを許すのは不細工です。

と思っていたら、そうですそうです、79分にスターリングが下がってデミチェリスです。モウリーニョ監督がウィリアンをファルカオに代えたのが敵のCKのタイミングだったのは、冷静さを欠いていたのではないでしょうか。直接的な失点の原因ではなかったものの、80分、CKでニアに走ったコンパニがイヴァノヴィッチをかわしてヘッドを逆のポストに流し込んだ瞬間、勝負は決まりました。とどめは85分。セスクの不用意なパスをペナルティエリアのすぐ外でダヴィド・シルヴァに拾われ、フェルナンジーニョが文句なしの強烈なミドルを叩き込みました。

マンチェスター・シティ、完璧な3-0。アグエロとダヴィド・シルヴァはスペシャルでした。攻撃もさることながら、むやみに下がらずバイタルエリアで自由にさせず、気持ちが入っていた守備陣もリスペクトしたいと思います。モウリーニョ監督のチームに、プレミアリーグを独走した昨秋の「強いチェルシー」の面影はありませんでした。テリーを代えるという劇薬を使っての完敗が、チームのメンタルにネガティブな影響を残さなければいいのですが…。開幕2戦未勝利となったチェルシーの来週の相手は、同じアウェイでマン・シティが楽勝したWBAです。昨季プレミアリーグで3敗しかしていないディフェンディングチャンピオンに、連敗はないはずです。(セルヒオ・アグエロ 写真著作者/Голубович Дмитрий)

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“【MAN.CITY×Chelsea】スーパーアグエロ、失意のテリー…チェルシーは3失点完敗で2戦未勝利!” への13件のフィードバック

  1. シティさぽ より:

    更新早いですね
    ご苦労様です
    シティはアグエロ、シルバ、ヤヤ、コンパニが要ですね
    攻撃も守備も良かったです
    何度か決定機を作られましたがチェルシー相手にこれだけできれば十分すぎます
    クリーンシートでしたし
    何はともあれ勝ててよかったです

  2. とっとこ肘太郎 より:

    コスタが少しでも接触があるとプレーを自ら止めることがおおかったのが気になりました…まえから少しはありましたが今日の試合では何回そのようなことが見受けられたか…

  3. makoto より:

    シティさぽさん>
    おめでとうございます。後半、危険なシーンはありましたが、マンチェスター・シティの守備陣は気合いが入っていたと思います。ここ2戦のサッカーを年間を通じて続けられれば、ぶっちぎりの優勝間違いなしです。課題は、いかにスランプの時期を短くできるかですね。

    とっとこ肘太郎さん>
    そうですね。スランプを自覚して苛立っているのか、ぎりぎりまで競らない姿が目立ってましたね。

  4. パックン より:

    開幕戦もそうでしたがコスタに力強さが見られません。
    度重なるハムストリング負傷の影響で無理が利かなくなっているのでしょうか。
    彼の調子が上がらないようだとチェルシーはかなり厳しいですね。

    一方シティの方はスターリングも早々にフィットし良い感じ。
    昨季の悔しさからかハングリーさが戻っている感じがします。
    噂のデブライネが加われば攻撃陣は質・量共に素晴らしいクオリティになりますね。

  5. chelさぽ より:

    初コメです。(以前から拝見はさせて頂いてました)
    シティは総合力の高さが素晴らしいですね。アグエロの今シーズンのゴール量産も簡単に想像できます。
    チェルシーですが、PSMから調子もあがらず、スウォンジー戦でもイマイチだったコスタを使い続ける意味がわかりません。給料大幅カットしてでも来てくれたファルカオや常に控えのレミーのほうが大いに期待できます。
    ババを獲得したことによってアスピの負担は軽減されそうですが、スピード勝負に持ち込まれると不安定なDFラインが気になって仕方ありません。
    アザール頼みの2列目の攻撃も迫力に欠けますし、クアドラードは可能性をまるで感じません。

    静かな市場となっておりますが、こんなチームでCLは遥か遠い状態です。出すべき選手は出し、もっと的確な補強を期待したいものです。

    長文失礼いたしました。

  6. グローリーグローリー より:

    アグエロ圧巻でしたね
    タイトルを獲得するチームには絶対彼のような選手がいますよね。シティーのプレミアリーグ制覇は時期尚早ながら固いかなと感じました。少なくとも管理人さんの5位予想は盛大にはずれそうですね笑

  7. makoto より:

    パックンさん>
    ハーフタイムに代えるなら、ジエゴ・コスタのほうだと思ってました。スターリングは出だし上々ですね。デブライネを獲ったら凄そうですが、スターリング、ダヴィド・シルヴァ、ヤヤがいいので、そんなに大きな足し算にはならない気もします。スランプ時にターンオーバーできるのはプラスですが。

    chelさぽさん>
    今後ともよろしくお願いいたします。予想記事に書いたのですが、ロイク・レミーがいちばん可能性が感じられると思ってました。ジエゴ・コスタもさることながら、セスクが気になっています。CLを見据えれば、中盤の前と真ん中ができるMFがもうひとりほしいところです。トニ・クロースのような。

    グローリーグローリーさん>
    いやいや、昨シーズンの秋と2~3月をお忘れではありませんか?いいときのマンチェスター・シティを見ていると、これは最強だ、絶対優勝だと思うのですが、彼らの課題はスランプをこじらせるところです。昨季も一時は4位にまで落ちました。今季は下が強いので、今までと同じことになると致命的な後れをとりそうです。悪いときに踏ん張れるか、ですね。

  8. makoto より:

    パックンさん>
    ハーフタイムに代えるなら、ジエゴ・コスタのほうだと思ってました。スターリングは出だし上々ですね。デブライネを獲ったら凄そうですが、スターリング、ダヴィド・シルヴァ、ヤヤがいいので、そんなに大きな足し算にはならない気もします。スランプ時にターンオーバーできるのはプラスですが。

    chelさぽさん>
    今後ともよろしくお願いいたします。予想記事に書いたのですが、ロイク・レミーがいちばん可能性が感じられると思ってました。ジエゴ・コスタもさることながら、セスクが気になっています。CLを見据えれば、中盤の前と真ん中ができるMFがもうひとりほしいところです。トニ・クロースのような。

    グローリーグローリーさん>
    いやいや、昨シーズンの秋と2~3月をお忘れではありませんか?いいときのマンチェスター・シティを見ていると、これは最強だ、絶対優勝だと思うのですが、彼らの課題はスランプをこじらせるところです。昨季も一時は4位にまで落ちました。今季は下が強いので、今までと同じことになると致命的な後れをとりそうです。悪いときに踏ん張れるか、ですね。

  9. シティさぽ より:

    確かにシティはこれはいけると思っても下位にあっさり負けてしまいますよね
    ただ昨季は全体的に不調なシーズンながら2位になれたことも事実で
    ユナイテッドとアーセナルはチャンスを生かせませんでしたよね
    11-12、13-14シーズンの優勝争いはかなりの接線でしたが
    優勝を手にしたのはシティでした
    ここぞというときは、やってくれるでしょう

  10. にわかスパーズファン より:

    更新おつかれさまです。
    いやー、予想が外れました(笑)

    しかしアグエロは抜群に良かったですね。
    キレが半端ではなかった。

    さらにマンガラ、コンパニのCBは非常に安定していて、それもびっくりでした。
    コスタが点を取るイメージがわきませんでした。

    そしてエティハドの雰囲気の良さ。座席増設の効果は思ってた以上で、これは内弁慶のシティはさらにホームで負けなくなると思いました。

  11. シティズン より:

    嬉しい!嬉しすぎる‼︎
    ていうかアグエロ上手すぎ

    …イスコがコバチッチの玉突き移籍で出て行く可能性が出ているらしいのですがシティにもワンチャンありますかね?

  12. パチ より:

    ラミレスが右なのを見てコラロフ対策かと思ったんですが、全く警戒するそぶりがなかったですね…。これが最初から指示もなにもなかったのか、モウの求心力低下を意味するのか…。
    まあプレシーズンから続くマンネリ感から考えると予想通りだという気もします。

    ただ後半のテリー交代が今後の変革を指し示しているのなら面白いかなと。ズマ投入は高いラインで勝負したかったからだというコメントが出ていましたが、もうちょっと全体的にコンパクトにしてアザールやセスクがもっと近い位置でプレーできるようにしていけたらなと。
    後はババ獲得がきまったので、メッシとアウベスやロナウドとエブラ・マルセロのようにアザール・ババの強力な縦ラインを期待したいですね。どうしても右に持ち替えてしまうアスピリクエタではやはり行き詰まりを感じてしまいます。

  13. makoto より:

    シティさぽさん>
    ペジェグリーニさんの契約延長は、選手の心理的に大きいのではないかと思います。いなくなるのが決まっているボスの下では、控え選手のモチベーションが上がらないと思われるので。

    にわかスパーズファンさん>
    エティハド、いい盛り上がりでしたね。チェルシーは、昨年の後半疲れてしまった反省をふまえて最初からコンディションを上げにいかなかったのではないかとみています。ジエゴ・コスタもこれからエンジンがかかり始めると思いますが、それにしても厳しかったですね。

    シティズンさん>
    いやいや、やめてください。ダヴィド・シルヴァ、イスコ、スターリング、ヤヤが揃っているクラブとはサッカー以外で勝負したいです(笑)

    パチさん>
    まだ2試合ですが、選手交代がうまく機能していない感があります。おっしゃるとおり、ババは楽しみですね。

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