イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【New Castle×Chelsea】後手後手チェルシー、やっとの2ゴールで19位相手にドロー!

つい先日、「チェルシーはプレミアリーグ勢のなかで最も欧州の頂点に近いチーム」「昨秋の強かった自分たちを思い出してほしい」と書きましたが、不調にあえぐ彼らの出口が見えません。マイク・ディーン氏の仕切りばかりが話題になってしまった先週のアーセナル戦では、チェルシーのサッカーには復活の兆しがあり、キャピタルワンカップでシェフィールド・ウェンズデイ相手にホームゲームで敗れたニューカッスルならあっさり勝つだろうと思っていました。しかし、結果は2-2、ドロー。しかもその内容は、2-0で敗戦寸前だったところを、ラミレスの奮闘と少しばかりの幸運で何とか追いついた低調なものでした。

プレミアリーグ王者に何が起こっているのでしょうか。単純に「コンディションが上がっていない」のか、「昨季も無敗をストップされたニューカッスルには相性が悪い」と苦笑いで済ませていいのか。あるいは「峠を過ぎたベテランが衰え、強さは戻ってこない」と深刻に受け止めるべきなのか。何とも判断しかねます。

昨シーズンのチェルシーになかった現象として、「簡単に先制点を奪われる」ことがあります。「前半の出来は、0点から10点でいえばマイナス1点だった。あらゆる面で悪かった」とモウリーニョ監督が振り返った通り、この日のゲームは0-0で我慢できないぐらい最初の45分が低調でした。4分にズマが強烈なFKを蹴り、12分にイヴァノヴィッチの右からのグラウンダーにロイク・レミーがプッシュしたあたりまではよかったのですが、16分にワイナルドゥムに右サイドを破られ、ミトロヴィッチに彼らしいヘッドを打たれたあたりから、ペースはホームチームに傾きます。

17分、シソコがきわどいミドル。28分にはアヨゼ・ペレスのシュートをGKベゴヴィッチが弾くと、そのこぼれ球をヤンマートとシソコのワンツーであっさり崩され、シュートはベゴヴィッチが何とかセーブします。プレミアリーグで3敗しかしなかった昨季のチームは、軽いチェックでゴール前に侵入されるような守備はしていませんでした。42分の失点は、アニータが右から蹴ったハイクロスに、ズマもイヴァノヴィッチも触れなかったところで勝負ありでした。あれだけ滞空時間の長いボールにCBが対応できなければ、ゴールを覚悟しなければなりません。ズマは好不調の波があり、よくないときはポジショニングに難があります。1-0で終わった前半のラスト15分は、セスクが2回放ったミドルシュート以外にチェルシーに見るべきものはありませんでした。

60分のCKでセスクがワイナルドゥムを追わず、フリーでヘディングシュートを許して2-0。残り20分を切っても、攻撃の枚数が少ない昨季プレミアリーグ王者はゴールを奪えません。しかしここから、モウリーニョ監督のテコ入れが当たりました。73分にオスカルに代わってピッチに入ったラミレスは、6分後にズマのロングフフィードを受けたアザールの落としを思い切りよく狙い、ゴール左上に世界一のGKでも捕れないミドルを叩き込みます。

これで勢いがついたチェルシーは、81分にアザールが左から斬り込み、4人をかわして最後は左からシュート。コースに入ってブロックしたムベンバの冷静な対応がなければ、試合はここでイーブンになっていたでしょう。82分にセスクのロングパスを受けたペドロ・ロドリゲスは、クルルとの1対1を決めなければいけませんでした。チェルシーがようやく追いついたのは86分。直接FKを蹴ったのは途中出場のウィリアンでしたが、クルルが触れなかったのは、目の前をラミレスが横切り惑わされたからでしょう。とはいえ、GKは自分のすぐ横を通るボールはセーブしなければなりません。2-2、あと1点で勝ち点3。しかし、チェルシーの追い込みはここまででした。89分、ウィリアンFK、ラミレスヘッドと2点めと同じコンビが決定的なチャンスを創るも、クルルがファインセーブ。セットプレーとミドル以外の打開策が少なかったチームは、2点が精一杯でした。

失点は最終ラインのミスとセットプレーでしたが、課題は中盤の守備のまずさにあるように思います。昨季のマティッチはコースの切り方が的確だったので、テリーとケーヒルはパスやシュートのコースを読み切り、インターセプトや足元に思い切って飛び込むプレイが目立っていました。今のチェルシーは、守備の対応が後手にまわることが多く、ボールが出たときに棒立ちになるシーンがときどきあります。1対2と数的にも優位で、アヨゼ・ペレスのトラップからシュートの動きはさほどスムーズではなかったのにやられてしまったのは、最終ラインの選手のマインドが受けにまわっていたからではないでしょうか。

特効薬はなさそうですが、この日よかったラミレスをマティッチと組ませて、セスクを休ませるのも手かもしれません。勝ち点8、15位。チェルシーの苦闘が続きます。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“【New Castle×Chelsea】後手後手チェルシー、やっとの2ゴールで19位相手にドロー!” への2件のフィードバック

  1. chelさぽ より:

    なんだか守備よりも攻撃が上手くいかないことのほうが原因かなって気がします。
    後ろからボールを回しながら運ぶことができない→アザールら2列目の選手が受けに下がる→SBが代わりにあがったりするわけでもないので前線が手薄に→結局個頼みになり防がれカウンター、と。

    マティッチ・セスクでいくのなら攻撃的にいくしかないと思うし、アーセナル戦ではその姿勢がいいプレーにつながったと思うんですけどね…。

    —–
    守備も酷いですが、攻撃もでしたね。
    期待したレミーには失望させられ、代わって入ったファルカオにもボールはあまり入らず。
    かといって2列目でまわしても(まわさせられても)崩しのアイデアも悪く、ブラナのクロスも精度の悪さが目立ちました。

    何が原因なんですかね。

    主さんも仰っていらしたように、ラミレスはコンディション良さそうなのでもっと出場機会が増えてもいいと思います。
    守備陣に関しては、一度ジロボジが見てみたいですね。

    モウリーニョがハーフタイムに「6人代えたいが、3人しか代えられないから困っている」発言で後半から良くなったものの、この悪い流れはまだ引きずりそうですね。

  2. makoto より:

    パチさん>
    モウリーニョさんのチームは、相手の攻撃をきちんとつぶしてゼロにおさえ、どこかでギアチェンジして勝つという形が創れているときが強いという印象なのですが、攻められないからムキになって崩そうとして後ろのバランスが崩れ、崩れないようにすると下がってしまって前が薄くなるという負の連鎖があるように思いました。「不健康なポゼッション6割超え」でしたね。

    chelさぽさん>
    「守りに対する不安」は大きいのではないかと思います。パチさんが指摘している前の手薄感も、後ろの不安定さに起因しているのではないか、と。

chelさぽ へ返信するコメントをキャンセル