イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Chelsea×Saints】判断ミスが多く、足が止まるチェルシー…復活の道筋が見えない3失点完敗!

セスクとラミレスのセントラルMF、マティッチはベンチ。2列めにはオスカル、アザール、ゥィリアン。ジョン・テリーが復活して、ケーヒルとコンビ。イヴァノヴィッチを使い続けていることと、トップがファルカオであること以外は納得のスタメンです。プレミアリーグ15位と低迷するチェルシーは、グラツィアーノ・ペッレとマネが要注意のサウサンプトンと対戦します。「キャリア最悪の時期」と語っていたモウリーニョ監督は、浮上のきっかけをつかめるでしょうか。

前半、最初のチャンスはセインツ。6分、スティーブン・デイヴィスのFKはおもしろいボールでしたが、いち早く落下点に入ったケーヒルがクリア。すると10分、キックが絶好調のウィリアンが、3戦連続で左からのFKを決めます。ゴール右隅にコントロールされ、右ポストの最上部を叩いた一撃は、GKステケレンブルクもノーチャンスの完璧なキック。先に点を獲った試合は絶対的に強かった昨季プレミアリーグ王者は、いいときの自分たちを思い出せるでしょうか。

15分、チェルシーの守備陣崩壊の兆しはここで既に現れていました。中央のタディッチへの楔を、中に絞ったアスピリクエタがカットするもののすぐに取り返され、右でフリーになったスティーブン・デイヴィスがシュート。うまく当たらずボールは右に逸れていきましたが、アスピリクエタがいたポジションを埋める選手がおらず、テリーはボールをウォッチしていただけでした。ホームチームは、ひとり抜かれると魔法にかかったように全員の足が止まり、瞬間的な判断が遅れます。アザールのミドルやオスカルの右足は、ステケレンブルクが難なくキャッチ。チェルシーに2点めの予感はありません。41分、マネがドリブルで左に流れると、最終ラインの足はまたもストップ。ウィリアンがイヴァノヴィッチに、バートランドの走り込みについていくようコーチングをするものの背番号2は動けず、スルーパスにバートランドがどフリーです。GKベゴヴィッチが飛び出してコースを切り、CKに逃れたのもつかの間、2分後にセインツが同点に追いつきます。

ハーフライン付近からのロングボールに左にいたグラツィアーノ・ペッレが競り勝ち胸で落とすと、イヴァノヴィッチはただ下がってしまい、スティーブン・デイヴィスにセスクがついていきません。ぽっかり空いたスペースから放ったスティーブン・デイヴィスのダイレクトボレーがGKのニアを破り、1-1。チェルシーの守備は明らかに機能していません。クーマン監督はハーフタイムにロメウをウォード=プラウズ、モウリーニョ監督はラミレスをマティッチ。この交代は、攻撃に厚みが生まれそうなセインツに対して、プレミアリーグ王者のほうは守備が堅牢になるイメージがありません。代えるならセスクだったのではないでしょうか。ここからの45分は、両者がユニフォームを交換したかのようなゲームでした。開始直後からマネを中心にラッシュをかけるサウサンプトンは、昨季のチェルシーのように後半の早い時間での勝ち越しを狙っています。

48分、バートランドからのロングボールをポストプレーがうまいペッレが頭で落とすと、スティーブン・デイヴィスがダイレクトで左に展開し、タディッチがフリー。最初の一発はグラウンダーを右足で合わせたマネ、これをベゴヴィッチがブロックすると、ケーヒルのボールを奪い返したマネが右足でもう一発。ケーヒルに当たって右サイドに出たボールに反応したタディッチは、簡単にイヴァノヴィッチを抜き去ってラストパス。中央のマネの3発めがDFに当たると、こぼれ球を狙ったウォード=プラウズの右足はポストの右に外れ、ようやく猛攻が切れました。アウェイチームのゴールは時間の問題でしょう。

57分、ペナルティエリア内でステケレンブルクの飛び出しに転倒したファルカオは、シュミレーションのジャッジ。ステケレンブルクが接触しないよう手を引いたのを、レフェリーはよく見ていました。60分、やはり勝ち越しゴールはセインツでした。タディッチとのパス交換からグラツィアーノ・ペッレが前線にボールを送ると、そこにいたのはマネとテリー。落ち着いて体を寄せればやられずに済んだシーンでしたが、前でインターセプトしようとしたテリーが後逸してしまい、体を入れ替えたマネのシュートがGKに当たってゴールに転がります。

73分、スタンフォード・ブリッジのプレミアリーグで3点めを獲られたことがないモウリーニョ監督のチームは、鮮やかなカウンターを喰らって試合を終えます。自陣でボールを奪取したマネのドリブルが速く、イヴァノヴィッチが追いつけずに3対2。2つあったラストパスの出し先のうち右を選んだマネは、グラツィアーノ・ペッレの左ポストを叩く完璧なゴールに「してやったり」の表情を浮かべます。GKがシュートを弾いても、やはりゴールは決まっていたでしょう。混乱に陥っていたチェルシー守備陣は、シュートの瞬間、中にいたタディッチとマネを誰もケアしていませんでした。

ゴールの直後、モウリーニョ監督はロイク・レミーを投入しましたが、ハーフタイムに入れたマティッチを諦めるという交代は、「展開を見誤りました」と自ら認めるような苦渋の決断です。途中出場のストライカーは、ペドロ・ロドリゲスともども結果を出せませんでした。1-3で負けたチームのポゼッション61%は、攻めあぐんで速攻にやられたゲームでよく見る数字です。快勝したセインツは今季初めての連勝。敗れたチェルシーは、たった8試合で昨季プレミアリーグの3敗を上回ってしまいました。

敗因は、「自信喪失」ではないでしょうか。最終ラインがバラバラで、守備戦術がないようにみえるチェルシーは、実際にないのではなく、「誰かが抜かれると集団でパニックに陥ってしまい、練習で確認したことができなくなる」状態なのではないかと思いました。サッカー経験者なら覚えがあるのではないかと思いますが、相手に恐怖を感じているDFは、ラクになりたいという潜在的な要求が働き、我慢してついていけずに一発で当たりにいって抜かれるプレイが増えてしまったりします。

もし、問題が精神的なものだとすると、「どこをいじれば」がないだけに、立て直すのに時間がかかるでしょう。トップの指示をメンバーが守れなくなっている組織の特効薬は「指揮官の交代」だと思われますが、優勝監督を代えるのは、リスクが高いギャンブルです。モウリーニョさんを世界有数の監督と認めるアブラモヴィッチさんには、名将の後釜など思い浮かばないでしょう。アーセナル戦の勝利は、チームを勇気を取り戻すきっかけにはならなかったようです。暫定首位に立ったマンチェスター・シティとの勝ち点差は10。マンチェスター・ユナイテッドがアーセナルに勝てば、さらにトップとの差は11に広がります。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“【Chelsea×Saints】判断ミスが多く、足が止まるチェルシー…復活の道筋が見えない3失点完敗!” への2件のフィードバック

  1. しん より:

    なにかコメント欄が寂しいことになってませんか…
    すべての試合見てないので分かりませんが、ファルカオはへんにファールを貰いに行ってるような気がします。Aマドリード

    タラレバの話で、実際どうなってたかは分かりませんが、チェフは

  2. chelさぽ より:

    マネは半端じゃなかったですね。
    ハードなチェックをしていたラミレスはイエローで制限され、代わって入ったマティッチも目立った仕事が出来ず下げられました。
    ファルカオは懸命なプレーも見られましたが、2列目とのコンビネーションはまだまだ馴染みそうにないですね。急にルカクが恋しくなりました。

    DF陣のバランスもいつも通り崩壊してましたね。ブラナがタディッチに抜かれたシーンなんかは笑ってしまいましたよ。試合最初のコーナーでテリーが振り切られたシーンも、あれだけモウリーニョがセットプレーの守備に言及してたのにフリーでヘディングを許してしまってました。

    成績不振ですが、モウリーニョを解任しても変わらないでしょう。勘ですが。
    スタンフォードブリッジで3失点する守備陣を引き連れたままじゃあ、CLはおろかELも難しそうですね。

chelさぽ へ返信するコメントをキャンセル