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【Liverpool×Saints】3度めのドロー…クロップ監督のプレミアリーグ初勝利はまたもお預け!

現地のプレミアリーグのファンには、せっかちで皮肉が好きな方もそこそこ多いようで、SNSではトッテナム戦、ルビン・カザン戦を連続ドローで終えたクロップ監督を「ドローゲン・クロップ」「引き分けのスペシャリスト」などと揶揄する向きもあるようです。ストライカーがオリギしかいないなかでバトンを受けた新指揮官に、早急に結果を求めるのは酷でしょう。とはいえ、木曜日のゲームの後半にベンテケとフィルミーノが戻ってきました。クロップ監督としても、プレミアリーグでは初のアンフィールドとなるサウサンプトン戦で、口が悪いイギリス人たちを見返す勝利を挙げたいところです。オリギ、ミルナー、ララナ、エムレ・ジャン、コウチーニョと最終ラインは過去2戦と変わらず。クラーシが復帰したセインツは、グラツィアーノ・ペッレ、マネ、タディッチ、ワニャマが揃い、長期離脱しているGKフォースター以外はベストメンバーといっていい布陣です。

得点力が課題のリヴァプールが、どうやってゴールを奪うのかが最大の注目ポイント。しかし序盤は、レッズよりもセインツの出足のよさが目立ちます。15分、右サイドで縦パスをもらって突破を図ったマネのグラウンダーはペッレに合わず。ターゲットマンのペッレにロングボールを入れ、落としを狙われるのが、クロップさんにとってはいちばん嫌でしょう。レッズにはヨーロッパリーグの疲れが残っているのでしょうか。足元の細かいミスが多く、今までの試合と比べてフルスロットルで攻撃陣が上がるシーンが減っているようにみえます。

24分、MFが一斉に上がったのに、オリギが軽いヒールパスを奪われたのは非常に残念です。チームがチャンスと見定めたシーンは確実にチャンスにつなげ、ムダ走りを避けなければなりません。30分、ミルナーが左サイドでドリブルを始め、ララナとのワンツーから右足で放ったシュートは、惜しくも右にアウト。32分にコウチーニョの浮き球でララナが裏に抜け、落としをミルナーに打たせると、ワニャマがスライディングでブロックしました。この時間になって、ゲームは完全にリヴァプールのペースです。

ところが34分、シュクルテルが縦パスからマネと入れ替わってしまったシーンから、アウェイチームが逆襲に転じます。39分、セインツ前半最大の決定機は、FKにいち早く反応したファン・ダイクのヘディングシュート。至近距離からの一撃は、GKミニョレが落ち着いて弾いてCKとなりましたが、ヘッドが強い選手が多いセインツのセットプレーは要注意です。サコやアルベルト・モレノにビルドアップ時のパスミスがあり、シュートが打てる形に持ち込めないリヴァプールは、新監督就任以来、最低の出来です。クロップ監督は、後半どこを修正してくるのでしょうか。

後半、オリギに代わってベンテケ登場。47分、楔のパスを巧みなタッチでララナに落としたベンテケは、そのまま左を走ってララナの折り返しを受け、グラウンダーを入れる好プレーを披露します。55分、ララナがペナルティエリア右から出したグラウンダーが流れ、アルベルト・モレノがエムレ・ジャンとのワンツーで縦に出たシーンは迫力がありましたが、高速クロスがゴール前を横切りゴールならず。アンフィールドのサポーターは、チャントのボリュームを一段UPして選手たちを鼓舞しています。

64分、クーマン監督の最初のカードは、タディッチをウォード=プラウズ。クロップ監督はララナに代え、フィルミーノを使います。セインツは、セントラルMFのクラーシとワニャマが効いており、レッズにいい態勢でシュートを打たせていなかったのですが、75分にクラーシを下げたクーマン監督が選んだのはロメウではなくFWのファンミでした。この交代の直後、ついに均衡が崩れます。右からミルナーが長いクロスを入れると、フォンテに競り勝ったベンテケが右のサイドネットに刺さる完璧なヘッド!クロップ監督は、ジャンプしながらのガッツポーズです。

82分にジョーダン・アイブに後を譲ったコウチーニョは、決定機には絡めなかったものの悪くなかったと思います。このままで終わりたかったリヴァプールでしたが、86分に追いつかれてしまいます。左からのFKをフォンテが頭で流すと、途中出場のガストン・ラミレスがヘッドでファーサイドに送り、最後に体で押し込んだのはマネ。クロップ監督、今度は苦笑い。ゴール前で、相手にフリーで3タッチも許せば、失点はまぬがれないでしょう。

92分にロングボールをベンテケが頭で落としたシーンは、走り込んだフィルミーノがプレミアリーグ初ゴールかと腰が浮きましたが、わずかに合わずシュートは打てませんでした。90分を過ぎてからイエローを2枚もらったマネの退場という代償を払ったものの、セインツが残り時間を守り抜き、クロップ監督は0-0、1-1に続く3度目のドローでホームゲームを終えました。

失点もさることながら、いちばんの問題は2点めが獲れないことでしょう。総得点9は、プレミアリーグ最少得点のワトフォードとWBAより1点多いだけで、このチームのゴール欠乏症はなかなかの重症です。もったいなかったのは、シュートが打てないオリギと過ごした最初の45分。今日は、ベンテケが頭からいくものだとばかり思っていました。ダニー・イングス、ジョー・ゴメス、ヘンダーソン、ロシター、スタリッジなどケガ人が多いなか、クロップ監督の理想に近づけるためには、コンディションがよくフィット感が高い選手を優先すべきではないでしょうか。一方、中盤の守備が安定していたクーマン監督のチームは、ミドルレンジをうまく塞いでおり、枠内シュートを2本に抑えたのが勝ち点1を持って帰れた最大の理由だと思います。

疲れもあったのかもしれませんが、リヴァプールの選手たちは、クロップ監督の魔法にかかりきっていませんね。今、彼らに必要なのは、自分たちが進んでいる道は間違っていないという信念です。キャピタルワンカップのPK戦も入れれば、ここ9試合を1勝8分けと勝ち切れないレッズは、どこで開眼するのでしょうか。プレミアリーグ4位のマンチェスター・ユナイテッドとは勝ち点6差。CL出場権争いに残るためには、来週、絶不調のチェルシーとのサバイバルゲームに負けるわけにはいきません。(ジェームズ・ミルナー 写真著作者/Станислав Ведмидь)

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“【Liverpool×Saints】3度めのドロー…クロップ監督のプレミアリーグ初勝利はまたもお預け!” への3件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    中々勝てませんね(苦笑)ELの疲れも感じさせるゲームでしたが、ベンテケのゴールで行ける!と思ったのも束の間でしたね。
    ご指摘の通り2点目が遠いですね。以前のチームよりは良く可能性があるだけに、次のチェルシー戦までの建て直しを期待します。あとベンテケは頭から使っても良さそうですね。

  2. makoto より:

    Mackiさん>
    ポストも裏への飛び出しもハイクロスもOKのベンテケを長い時間使えていれば、コウチーニョのプレイの幅がさらに増え、2点めもあったかと思うと残念です。

  3. nyonsuke より:

    前半の出来は最悪でしたが、個人的にサウサンプトン相手に引き分けは悪くないと思います。

    今のチームはロジャーズ時代に獲得した選手がほとんどですから、やはりクロップがどういう選手を獲得して放出するかだと思いますし、今はその見極め段階でしょうね。早ければこの冬の移籍市場から動きがありそうですし、来年の夏は大規模な変革がありそうですね。

    —–
    ベンテヶの起用はチェルシー戦に向けて慎重になってるんでしょうかね?
    ベンテヶとコウチーニョの連携は前から悪くなかったので元気な前半のうちから見たかったですね。

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    更新お疲れ様です。
    これはロジャース監督のときから思っていましたが中盤の底もしくはディフェンスラインでゲームを作れる選手が必要な気がします。
    ロジャース政権で調子がいい時はジェラードがいてヘンダーソン、コウチーニョとの関係から苦しいときも自陣からゲームを作ることができていました。
    ルーカスとチャンはボール奪取まではいいのですが、攻撃への切り替えや遅攻の時の判断に少し物足りなさがあります。
    ヘンダーソンが戻ってくれば違うかもしれませんが、ゲームを落ち着かせることができる選手が今はコウチーニョしかいないのが苦しいですね。
    今節のミルナーのアシストのような場面が増えることを期待してチェルシー戦も応援したいです。

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