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【Chelsea×Bournemouth】10戦勝利なしの不振クラブを崩せず、CK一発でチェルシー敗戦!

慢心、焦燥、モチベーション低下、コンディション不良…どの言葉も、チェルシーの敗戦を形容するものとしてフィットしません。なぜ、彼らは勝てないのでしょうか。クルトワが復帰し、イヴァノヴィッチ、ズマ、ケーヒル、ラーマン・ババが並んだ最終ラインは、アスピリクエタのベンチスタートが気になるものの、充分な布陣。セスク、マティッチ、ウィリアン、オスカル、ペドロ、アザールは、現状のベストといっていいでしょう。モウリーニョ監督のフォーメーションは、オスカル、ペドロ、アザールが入れ替わりで最前線に顔を出すゼロトップです。対するボーンマスは10人の負傷者を抱えており、これはニューカッスルと並んで現在のプレミアリーグワースト。最近10試合を4分6敗と勝ちがなく、キャピタルワンカップ3回戦のプレストン・ノースエンド戦ですら、PK戦でやっとの勝利でした。私は、プレミアリーグ15節における昨季のTOP6のなかで、エミレーツでサンダーランドと戦うアーセナルよりも、チェルシーの勝ち点3のほうが鉄板だと思っていました。ところが、スタンフォードブリッジの最初の決定機は、ボーンマスのきれいなカウンターでした。

13分、連携ミスからジョシュア・キングにボールを奪われたチェルシー守備陣はドリブルでの突破を許し、追いすがるズマをかわしたスタニスラスが左足でクロスにシュート。一発めをクルトワが弾いた後、こぼれ球をジョシュア・キングが丁寧にトラップしていれば、ここで決まっていたでしょう。何とか戻ったマティッチのクリアで先制は防いだものの、ホームチームにとっては不穏な立ち上がりです。ボーンマスは、15分にもワンツーで簡単にマティッチを外し、右に展開。流れてきたボールをジョシュア・キングがニアに蹴り込むと、クルトワが左に倒れて指先でセーブします。

ボールをキープしている時間はチェルシーのほうが長かったものの、このところのプレミアリーグ同様、彼らにはサイドからの単純なクロス以外にフィニッシュにつながる道筋がなく、ボーンマスの中央を崩せません。27分にイヴァノヴィッチの速いクロスをペドロがボレーで合わせるも、枠を捉えられず。直後、ゴスリングに打たれたミドルはマティッチが足に当ててCKに逃れましたが、こちらのほうがヒヤリとさせられるシーンでした。

前半も残り10分となると、チェルシーにエンジンがかかってきました。35分、相手のミスパスをハーフライン付近で拾ったペドロがダイレクトで右にいたアザールにロングフィードを通すと、切り返しからの左足シュートがポスト際を襲いますが、GKボルツに冷静にセーブされます。40分、ウィリアン、アザールとつながったボールがさらに左のペドロに渡り、コントロールショットを右隅に放つと、これもボルツがセーブ。43分、左に流れたオスカルにアザールが出したスルーパスで、フリーになったオスカルが左足を振り抜くと、三たびボルツに止められます。敗因を特定するのは難しいゲームですが、「相手のGKがよかった」のは、ひとつの要素です。0-0、イーブンで折り返したゲームは、後半に入るとますますチェルシーペースに傾きます。

46分、オスカルが下がり、ジエゴ・コスタ。チェルシーの攻撃はペナルティエリア手前でスローダウンすることが多く、クロスを入れる前に相手に落ち着く時間を与えてしまっています。54分に右サイドからウィリアンが上げたクロスはマティッチの頭にまっすぐ向かいますが、ニアでクックが触って浮いたためにジャストミートしませんでした。62分にジエゴ・コスタが左からグラウンダーを出した際に、直前のスライディングで残っていたアダム・スミスの手にボールが当たりましたが、レフェリーはボールに対して手を出していないと見做してPKは取りません。75分、アザールが右に展開したボールをイヴァノヴィッチがグラウンダ―でファーに通したシーンは、ようやく先制かと腰が浮くチャンスでしたが、ペドロのシュートをサイモン・フランシスがブロック。残り10分を過ぎてもスコアは0-0のまま変わりません。

アザールとペドロの動きは決して悪くなかったと思いますが、ジエゴ・コスタがいい形でシュートを打つ形がなく、オスカルのほうが可能性があったのではないでしょうか。プレミアリーグで3ゴールに留まっているストライカーは、周囲からいいボールが出てこないというより、危険なエリアに入ってこられない自身のポジショニングの問題が大きそうです。それでもまだ10分残っており、チェルシーには勝つチャンスは充分ありましたが、82分にセットプレーからやられてしまいます。

左からのCKに手を伸ばしたクルトワのクリアが小さかったのが、命取りでした。こぼれてきたボールをクックが必死のスライディングで左に浮かすと、ハウ監督が切った唯一の交代カードだったグレン・マーレーと、ダニエルズがフリーです。マーレーのヘッドを、ケーヒルが体を投げ出してクリアしようとするも及ばず。リードされたモウリーニョ監督は、ラーマン・ババとセスクを下げて、ロイク・レミーとトラオレで追いつこうとしますが、狙いがはっきりしません。さらにボーンマスに2度の決定機を許し、時間を浪費したチェルシーは、何もできないままタイムアップ。セットプレーとカウンターは、番狂わせが起こる際の2大アイテムですが、昨季プレミアリーグ王者は、ワンツーとカウンターしか攻撃のアイデアがなかったチャンピオンシップ王者に対して、絵にかいたような敗戦への道を辿ってしまいました。

チェルシーには「11月は持ち直した」という声もありましたが、チャンピオンズリーグでの2勝は印象的だったものの、プレミアリーグでは1勝1分1敗。ヨーロッパリーグから中2日だったトッテナムに引き分けた以外はホームでノリッジに勝っただけで、状態はさほどよくなっていないのかもしれません。いちばん気になったのは、ペナルティエリア手前で減速するシーンが多く、相手の守備網と対峙するとサイドからの長いクロスしか攻め手がなかったことです。エジル、カソルラ、キャリック、モドリッチ、シャビ・アロンソらがときどき入れる速い楔はスピードUPの合図になることが多いのですが、ゴールに近づいたところで意図的にギアを上げられなければ、ダイレクトパスやワンツーをかませた崩しは成功しません。タクトを振るうべきセスクやオスカルが、相手の嫌がるところにボールを出せなかったため、ボーンマス守備陣から冷静な判断を奪えなかったのではないでしょうか。

試合後、モウリーニョ監督は、「われわれはおそらくTOP6を考える位置になっている」と語っていましたが、チェルシーは年末に首位レスターと4位マンチェスター・ユナイテッドとのアウェイ戦を残しており、ここで踏ん張れなければ2015年中にプレミアリーグ6位すら厳しくなる可能性もあります。レスターが残り23試合を8勝7分8敗の「1勝1分1敗ペース」でフィニッシュすると、チェルシーは15勝3分5敗というなかなかのハイペースでやっと同点です。前年の優勝クラブがぎりぎりで残留したレスターをかわせないなどという終わり方は、あるのでしょうか。来週のマンデーナイト、ラニエリ監督のチームとのシックスポインターは必勝です。

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“【Chelsea×Bournemouth】10戦勝利なしの不振クラブを崩せず、CK一発でチェルシー敗戦!” への4件のフィードバック

  1. 名無し より:

    やっとクルトワが復帰して良いプレーしてたのに、最後そのクルトワのやらかしで負けるあたり、今のチャルシーのやばさを物語っていますね…

  2. chelさぽ より:

    あれだけコーナーを獲得できたのに得点はおろか、惜しいシーンも見られずボーンマスはゴスリングがクルトワのポジショニングを上手く消していましたね。チェルシーにもあれが必要だと思います。

    コスタは相変わらず駄目でブラナからのグラウンダーのクロスに持っていった攻撃の流れは私がチェルシーに求めていたものだったので、どうしても決めて欲しかったです。
    アザールは献身的にやってくれているものの、マークが強いのでシュートまでもっていけるドリブルが以前よりかなり減っているのが痛いです。

    レミを使わず今回前回のようなゼロトップを続けていくのならば、テイシェイラ等2列目の選手の冬の市場での獲得はしなければいけないかもしれません。

  3. パチ より:

    >タクトを振るうべきセスクやオスカルが、相手の嫌がるところにボールを出せなかったため、ボーンマス守備陣から冷静な判断を奪えなかったのではないでしょうか。

    まあSBが高い位置をとらないので出しどころが少ない、とかCBからのフィードとかほとんどないので相手に読まれやすいとかも一因ですかね。

    あとセスク、マティッチ、ウィリアン、オスカル、ペドロ、アザールというメンバーは面白いんだけど、セスクとオスカルの位置変えたほうが良いんじゃない?って思いますね。正直こういうサッカーやるんならマタとかデブライネみたいにワンタッチでのプレーが上手い選手がトップ下に欲しいなと、今さらだけど…。で現メンバーならセスクトップ下にして3列目をオスカルもしくはロフタス=チークとかにしてボールを散らさせるとかにした方が相手は嫌かなと。絵としては昨シーズン開幕戦のシュールレのゴールシーンみたいな感じで…。

  4. makoto より:

    名無しさん>
    サッカー自体もさることながら、うまくかみあわない、巡りあわせが悪いといった運の悪さも気になりますね。

    chelさぽさん>
    やはりジエゴ・コスタが気になりますね。彼がシュートを打てるポジションに入らないなら、ゼロトップでかきまわしたほうが未来があるように思います。パスセンスがある中盤の選手がもうひとり、ほしいですね。

    パチさん>
    セスクとオスカルを逆にするというアイデアは、おもしろいですね。私も、ゼロトップ経験があり、周囲を使える選手がトップ下にいたほうがいいと思ったのですが、オスカルがんばれ!という発想になっていました。ありだと思います。

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