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【Leicester×Chelsea】「いつもの2人」が決めた最強レスターが会心の勝利!

前節終了時点でプレミアリーグ首位に立ったチームと14位の対戦ですが、昨季の順位は逆でした。レスターVSチェルシー。モウリーニョ監督のチョイスは、チャンピオンズリーグのポルト戦と同じメンバーで、セスクはベンチ。チェルシーの指揮官同様、レギュラーを固定させて戦うラニエリ監督もいつもの顔ぶれを揃えており、セカンドトップは岡崎慎司ではなくウジョアです。開始直後、敵陣でボールを奪ってショートカウンターを仕掛ける青いユニフォームを見ると、こちらがチェルシーかと錯覚してしまいそうですが、左足でシュートを放ったのは今季プレミアリーグ10ゴールのマフレズ。キングパワースタジアムに集まったホームサポーターの声援を受け、レスターが優位にゲームを進めています。

11分、中盤でのパスカットから、ドリブルで一気に前線に飛び出したドリンクウォーターの積極性に、レスターの好調ぶりが見てとれます。14分には右からのクロスに一瞬フリーになったアザールが左足で狙いますが、シンプソンの寄せが速く、今季プレミアリーグ初ゴールはお預けです。16分、レスターに激痛のアクシデント。ここまでチームのハブとして獅子奮迅の活躍を見せていたドリンクウォーターが、ハムストリングを押さえてピッチの外へ。おそらく彼は、年明けまで戻ってこられないでしょう。18分、ロングスローのこぼれ球を放ったマフレズの左足は、GKクルトワの正面。レスターの仕掛けにチェルシーが耐える展開です。

ここまでのチェルシーは、悪いときの彼らです。スペースに走る選手が不在で、パスで攻撃のスピードを上げられない「足元地獄」。ジエゴ・コスタが簡単に左サイドに逃げてしまうのも、今シーズンの「チェルシーあるある」です。29分、今度はアザールが足を引きずってロッカールームに消えていってしまいました。ヴァーディのチェックで転倒した際は、打撲かと思われたのですが、モウリーニョ監督は躊躇せずペドロ投入です。

33分、レスターの先制ゴールは、ラニエリ監督がウジョアを投入した狙いが形になった見事な一撃でした。カンテの縦パスにポスト役に入ったウジョアが右のマフレズにはたくと、GKとDFの間を狙ったマフレズのクロスに飛び込んだのは、ジェイミー・ヴァーディ!ズマを置き去りにしたプレミアリーグ得点王の15発めは、クルトワに何もさせない完璧なボレーでした。チェルシーは、ウィリアンのCK以外にこれといったチャンスがないまま前半を終わります。前線からの厳しいプレス、手数をかけずに前へ運ぶ攻撃と、レスターのプロモーションビデオを撮っているかのような45分でした。チェルシーのポゼッション63%、シュート2本は「持たされて負ける」典型的な数字です。こういう状況を打開するには、セスクのパスセンスが必要なのではないでしょうか。

48分、自分たちのペースをつかむ前に、チェルシーは痛い2点めを決められてしまいました。左からの攻撃を止められたレスターは、後ろで受けたオルブライトンが長いサイドチェンジ。トラップしてシュートコースを窺うマフレズに、名手アスピリクエタは完全に翻弄され、絶望的なシュートが左のサイドネットに突き刺さります。モウリーニョ監督はテリーをセスクに代え、3バックという荒療治です。60分、チェルシーにようやく決定機。オスカルがジエゴ・コスタに合わせたクロスのクリアが、ゴールの真ん前でフリーだったペドロに渡りますが、焦りがあったのかシュートを打ちきれず。2分後にはセスクがジエゴ・コスタを走らせGKと1対1のシーンを創るも、シュマイケルが足に当ててこれを阻みます。直後のCKも、ファーサイドのポスト際でプッシュしたイヴァノヴィッチのシュートがDFに当たり、2点のビハインドは変わりません。

66分、モウリーニョ監督最後のカードは、オスカルをロイク・レミー。74分にマティッチが左のウィリアンに展開したカウンターも、ゴール前に走り込んだロイク・レミーが打ちきれません。チャンスはあったものの決められなかったチェルシーは、77分に交代選手2人が素晴らしい仕事をします。ペドロが左から上げたクロスを、ゴール正面で頭で叩いたのはロイク・レミー。ここにきて、ペースを握っているのは前年のプレミアリーグ王者のほうです。82分、ラニエリ監督は守備固め。マフレズに代わってスイス代表MFインレルが登場しました。88分には、ヴァーディが下がって岡崎慎司がピッチへ。長いボールを入れるしかなくなったチェルシーは、5分の追加タイムをシュートゼロで過ごしました。2-1のまま笛が鳴った瞬間、古巣に勝ったラニエリ監督はガッツポーズ。後半はピンチの連続ではあったものの、イタリア人指揮官にとってはゲームプラン通りの会心の勝利だったのではないでしょうか。

レスターの立役者は、チェルシー守備陣をかき回したマフレズと、中盤で走り回って速い攻撃を封じたカンテでしょう。チェルシーにとっては、後半頭に奪われた2点めがとにかく痛恨でした。モウリーニョ監督は、ハーフタイムの過ごし方を変えてしまったのでしょうか。今までのチェルシーなら、0-1のハーフタイムには指揮官から勇気が注入され、後半開始からラッシュをかけて早い時間に追いつき、最後に突き放して勝ち点3を奪っていました。自分たちがやっていたことを相手にやられて負けているあたりに、低迷クラブの余裕のなさを感じます。とはいえ、後半は最強チームを完全に押し込み、フィニッシュさえ正確であればというシーンを創れており、悪いばかりではなかったと思います。

「上位の順当勝ち」という表現が妥当なのでしょう。レスターは首位キープ。9敗めの昨季プレミアリーグ王者は16位に転落し、週末のサンダーランド戦に負けようものならいよいよ降格ゾーン突入です。(エンゴロ・カンテ 写真著作者/Dim50)

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“【Leicester×Chelsea】「いつもの2人」が決めた最強レスターが会心の勝利!” への9件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    モウ、終わりやね

  2. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    いや〜レスター強いし、スタジアムの雰囲気が最高にいいですね。
    マンオブザマッチはカンテにあげたいくらい頑張ってましたね。ラニエリ古巣に強烈な一撃をくらわしたのではないでしょうか。
    レスター12月の強敵ぞろいを負け無しで乗り切ったら、まさかが起こり得るかもしれませんね。

  3. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    トップと20勝ち点差はきついですね。

    Mackiさん>
    おっしゃるとおり、キングパワーは最高でしたね。ドリンクウォーターの穴をインレルとキングで埋められれば、2勝2分ぐらいでいってしまうかもしれません。

  4. シティさぽ より:

    順位通りの結果ですね
    今季プレミアのサプライズの2チームの対戦でした
    レスターの躍進にチェルシーの不調
    これを予想できた人はいないでしょう
    コスタの味方に対する態度が話題になってますね
    昨季優勝したチーム到底思えません
    さすがにアブラモビッチも我慢ならないのでは

  5. 名無し より:

    チェルシーは攻撃はチャンスを決めるだけの問題だから心配ないけど守備が
    例年より緩いのは気になるなあ

  6. パチ より:

    先制された時点でもう勝ちはないなと思いました。
    今のチェルシーは先制できれば勝ちの目がでるけど、後追いの場合に逆転までもっていくだけの力も策もありません。

    反撃しようとすると前に選手を増やしてパワープレーに走りやすいモウのサッカーでは、バとトーレスがいた一昨シーズンとドログバがいた昨シーズンならまだしも今の戦力でそれをやっても効果は薄いし、今の2列目のタレントを考えれば方向性が違うなと。
    CLでも見たとおりシティやアーセナルではSBの飛び出しが逆転のチャンスを生み出すことがあるがチェルシーにはそれがない。自分がシティやアーセナルの方がヨーロッパでチェルシーより可能性あると思うのはそこですね(まあアーセナルは相手があれですが…)。
    そのあたりの改善を期待し続けてきましたが、そろそろ限界ですかね…。

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    ターンオーバーしてないから怪我をしたら昨年のサウサンプトンみたいに崩れないか不安です…

  8. リッキー より:

    筆者様が覚えてらっしゃるか分かりませんがレスターの四連戦の星取り表予想は一歩リードですね(^.^)(笑)

  9. makoto より:

    シティさぽさん>
    上がってきませんね。私も、オーナーの忍耐力が気になってきました。

    名無しさん>
    スペースのカバーリングがよくないですね。ピンチになると冷静さを失う傾向があるように思います。

    パチさん>
    確かに、SBの攻め上がりの弱さは、先行されるとそのまま終わる要因のひとつですね。サイドで押されるシーンが多いのが気になってました。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    そのリスクはありますよね。中堅や下位に確実に勝てる相手がいなくなってしまったので、他のトップクラブもターンオーバーはあまりできていないのですが。

    リッキーさん>
    いやー、まずい。私も先行逃げ切り派ですので、残り3戦の逆転は険しい道のりです(笑)

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