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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Liverpool×Arsenal】フィルミーノ、ジルー…壮絶な打ち合いは、レッズが粘ってドロー決着!

負傷者の多さと相手の強さをかけ合わせれば、今シーズンのリヴァプールにとって最も厳しい試合はこの日のアーセナル戦なのかもしれません。カソルラ、コクラン、アレクシス・サンチェスを欠くとはいえ、チェフとコシールニーを中心とするプレミアリーグ首位チームの最終ラインはベストメンバー。エジル、ラムジー、ジョエル・キャンベル、フラミニ、ウォルコットの中盤に、ジルーのワントップという顔ぶれは破壊力抜群です。対するレッズは、新戦力のコーカーがベンチに入り、サコとコロ・トゥレがスタメンと、CBは何とか格好がつきました。中盤から前も、ヘンダーソン、エムレ・ジャン、ミルナー、ララナ、ジョーダン・アイブ、フィルミーノならまずまずです。プレミアリーグ21節最高の好カードは、ホームのレッズがアグレッシブに攻める立ち上がりとなりました。

6分、エムレ・ジャンが中盤を疾走して最前線に出たララナに危険なパスを送りますが、ガナーズ守備陣が挟み込んでストップし、チェフがクリア。10分、またもエムレ・ジャンです。自陣で苦し紛れにドリブルしたウォルコットを囲んで奪い、ペナルティエリアの角から23番が強烈なシュートを放ったところで勝負あり。チェフは何とかセーブするものの、リバウンドをトラップしたフィルミーノが左足でコシールニーの股間を通し、今度は名手も何もできません。これでリヴァプールペースになるかと思いきや、プレミアリーグ首位チームは5分で追いつきました。ジルーが競ったこぼれ球を受けて、素晴らしい縦パスを通したのはジョエル・キャンベル。走り込んだラムジーが決めたシュートコースは、ニアにわずかに空いたひと筋の道でした。アンフィールドは最高潮。前線でつぶれ、ピッチ脇で出血のケアを受けたジルーが戻ってくると、アウェイサポーターがいつものチャントで称えています。

1-1となった19分、すかさずリヴァプールが勝ち越しました。ペナルティエリア外でのせめぎ合いで流れてきたボールを、ミルナーが最前線のフィルミーノへ。右足を振り抜き、右隅に見事に決めたシュートは、コウチーニョを思い出させる美しい弾道でした。ここまでプレミアリーグで1ゴールしか決めていなかった新戦力が、大事な試合で輝いています。エジルがまともにボールを触ったのは、20分を過ぎてからでした。今度こそレッズがいくかと思えば、またもアーセナルが5分で同点に持ち込みます。

中央のワンツーからラムジーが抜け出し、ミニョレの目前で放ったループシュートをサコがクリアしたCK。ニアでジルーがサコに競り勝ち、左足でコースを変えたボールがミニョレに当たってゴールに収まりました。アーセナルでは、ジョエル・キャンベルがスペシャルです。29分、ウォルコットを縦に走らせたスルーパスは完璧。14番のグラウンダーも申し分なしでしたが、ジルーがスライディングシュートをしくじってしまい、アウェイチームはリードを奪えません。

33分、アルベルト・モレノのミスパスをインターセプトしたジョエル・キャンベルのミドルは、DFがクリア。41分にミルナー右のフィルミーノをフリーにしたシーンは、ゴールエリア脇からのラストパスをチェフが素晴らしい反応でクリアし、ララナに通りません。47分、ナサニエル・クラインのクロスをコシールニーがクリアしきれず、ワントラップで振り向きざまに狙ったフィルミーノの一撃は、バーをかすめてプレミアリーグ初のハットトリックならず。リヴァプールの速い寄せと直線的な攻撃が目立った前半は、2-2で折り返します。このペースで、レッズは最後まで持つのか。後半最初のシュートは、エジルの絶妙なクロスを右から狙ったジョエル・キャンベルです。

始まって5分もしないうちに、後半も殴り合いになる気配が漂っています。56分のアーセナルの勝ち越しゴールは、ベジェリンのインターセプトから始まりました。右からドリブルで持ち込み、つないだジョエル・キャンベルからジルーへのパスはアルベルト・モレノが触りましたが、これを受けたジルーはコロ・トゥレを相手にしませんでした。振り向きざまの左足の一撃は、文句なしの左隅。この試合で、アーセナルが初めてリードしました。クロップ監督の頭にあるのは、ベンテケの出しどころでしょうか。

腰に手をやっていたミルナーが下がり、ベンテケが入ったのは66分でした。アルベルト・モレノのミドルもフィルミーノのヘッドも枠に届かず、リヴァプールは攻めながらもフィニッシュが決まりません。72分にジョーダン・アイブが右からえぐったシーンも、中が薄く、シュートにつながりません。残り20分を切ってからのアーセナルは、セーフティファースト。75分、ヴェンゲル監督はウォルコットとジョエル・キャンベルを下げ、ギブスとモンレアルを縦に並べた「二段重ね弁当」とチェンバレンの運動量で勝ち点3に向かいます。

ジョーダン・アイブ、ナサニエル・クライン、アルベルト・モレノがサイドから執拗に仕掛けるレッズは、コシールニーとメルテザッカーの壁を崩せません。87分、エジルをアルテタ。1分後にクロップ監督がララナをコーカーに代えたのは、守備固めではなく放り込み狙いでしょう。90分、クロップ監督の采配が実ります。ロングクロスを左にいたベンテケがヘッドで逆サイドに落とすと、右足のボレーを叩き込んだのは、8分前にピッチに入ったジョー・アレン!3分の追加タイムには、何も起こりませんでした。3-3、ドロー。15分前にマンチェスター・シティが本拠地エティハドで引き分けてくれたのですが、ガナーズはライバルを引き離すことができませんでした。

双方が持ち味を出し、美しいゴールシーンが多かったこのゲームは、今季プレミアリーグにおけるベストマッチだったのではないでしょうか。エムレ・ジャン、ヘンダーソン、ミルナーが揃ったリヴァプールはやはり強いと再認識しました。レッズはCBの弱さ、ガナーズはバイタルエリアの守備の甘さと、それぞれのウィークポイントが打ち合いになった原因ではありましたが、失点の犯人探しをするより、ジルー、フィルミーノ、ジョエル・キャンベル、エムレ・ジャンらの素晴らしいプレイをリスペクトしたいと思います。今節、TOP5で勝ったのは、トッテナムとの「直接対決」を制したレスターだけという混戦のプレミアリーグ。次節のアーセナルはブリタニアでストーク、リヴァプールはマンチェスター・ユナイテッドと、厳しいゲームが続きます。

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“【Liverpool×Arsenal】フィルミーノ、ジルー…壮絶な打ち合いは、レッズが粘ってドロー決着!” への7件のフィードバック

  1. Macki より:

    クロップのゲーゲンプレッシングとゼロトップ采配、流石でした。フェルミーノとレッズ中盤にやられました。

    が、ガナーズも少ないチャンスをジルーが確実に決めてくれたので引き分けはやむなしかと。キャンベルも首尾に柔らかいパスに頑張ってましたね。完全に序列でチェンバレンを抜きました!

    混沌とした週末のプレミア、熱くなりそうですね。サンチェスの復帰を心待ちしてます。

    —–
    早朝の更新ご苦労様です。
    いいゲームでした。荒れる事なく双方が重要と理解しているので観ていて楽しかったです。勝利は難しいと思ってましたが納得のドローです。ヘンド、ミルナー、チャンが揃った中盤は盤石ですね。フィルミーノはやはりこの形が合ってますね。希望が持てるドローで次節のユナイテッド戦が楽しみです。

  2. リッキー より:

    最後に追い付かれたのは残念でしたが見ていて面白い好ゲームでしたね!
    前半のチャンスをジルーが決めてくれてれば、と思わずにいられない展開でしたがそれでもリーグ戦12得点は立派です。20得点も狙えるペースですね!
    それとやはりモンレアル、キャンベルが素晴らしかったです。キープするのかクリアするのかの判断が雑で自らピンチを招いていた印象です。1失点目もウォルコットの余計なドリブルからでしたし。。

  3. 駆け出しグーナー より:

    オープンな展開で見ていて楽しかったですね!(^o^)ただ、それだけに解説の播戸選手が残念でした(-_- )批判ばかりが目立ち、後半のはらはらして見ていた時間帯もどうでも良い髪型やら髭やらの雑談で正直不快でした(笑)

    —–
    終わった直後は悔しかったけど、冷静に観直すと妥当かなという感じでした

    残り10分上手く時間を使うという意味で交代を引っ張っても良かったかもしれませんね

    次節は鬼門ブリタニアですが頼れるサンチェス兄貴とモーツァルトが帰ってくるので期待したいです!!

  4. makoto より:

    ヤンガナ大好きさん>
    ジョエル・キャンベルに震えました。残してよかったですね!これぞプレミアリーグ!と叫びたくなるフェアな攻め合いでした。

    Mackiさん>
    最後に、監督の意図を選手たちがきっちり汲んだ成果だと思います。解説がベンテケをくさしてましたが、ニアに走り込んでつぶれるタイプではないので、彼にふさわしい役割は果たしていたのではないかと思います。

    リッキーさん>
    コロ・トゥレをあっさりかわすのもジルー、ゴール前2メートルでチャンスボールをミニョレにプレゼントしちゃうのもジルー、でも素晴らしいジルー、でした。ウォルコットのドリブルは、残念でしたね。3月に27歳で、そろそろベテランの域にさしかかるところですので、判断力を上げてもらえればと思いました。

    がなさん>
    そうですね。サッカーは、ミスがなければほとんどの試合が0-0や1-0になるスポーツで、私たちが楽しいと感じる2-1や3-1にはミスがつきものなので、批判ではなく「どう素晴らしいか」「どういう狙いなのか」を語る解説であってほしいです。これについては、近いうちに書きたいと思ってます。

    駆け出しグーナーさん>
    「交代でチームを落ち着かせる」「時間を遣う」という意味では、3枚をあの時間に入れるのはありかなと思いつつ、アルテタを相手の3枚めのコーカーよりも先に出したのは、待ってもよかったかもしれません。コーカーが先なら、相手が放り込みにくるのがはっきりするので、中盤をアルテタで埋めるのではなく、より高いチャンバースで最終ラインに1枚足すという形がとれました。サッカーのおもしろいところでもあり、難しいところでもありますね。

    播戸さんが、「エジルを外して点を獲られたので、エジルが怒っている」と口走ったのは、さすがに勇み足、結果論、いいすぎでしょう。「こういうやり方もあったのでは?」ならいいのですが。ヴェンゲル監督の選択は結果的には勝利につながらなかったものの、キャプテンを入れてチームを落ち着かせようという意図や、囲まれまくっていた今日のエジルに最終盤のボールキープは期待しにくいという判断があったのかもしれず、私は采配ミスとまではいいません。

  5. queen より:

    今期後半の上位対決はアウェーが多いので、勝ってほしかったんですけど引き分けてしまいましたか、残念。
    エルネニーが加入したらラムジーやアルテタの扱いをどうするのか気になります。

  6. セオ より:

    勝ちきれないけど、いい試合だったと思いました。ほんとウォルコットは気付いたら中堅選手でもう若手ではないんですよね。だったらもっと安定感ほしいですよね。14番なんで、やっぱ特別な目で見てしまうんですけど、すごい能力があるのは間違いないんでしょうけど。しかし、個人的な意見ですが、ベンテケってレッズのユニフォーム似合わないなぁと見る度に思います。

  7. 更新お疲れ様です。

    皆様がコメントされています通り素晴らしい試合だったと思います。
    次戦のマン・ユナイテッド戦もこのような試合になるといいですね。

    —–
    初コメ失礼します。
    この試合、現地で観戦してきました。
    もちろん解説は聞いていないので、そこはスルーさせてもらいます。(笑)

    生で見て一番感じたことは、ヘンドのキャプテン・シーでした。
    練習、前後半の入りは必ず先頭なのは、テレビでも伝わることですが、ワンプレー毎に大きくジェスチャーして味方を鼓舞したり、審判に意見等していました。
    テレビで見ていてもある程度は感じていたのですが、やはり生で見るとより強烈に感じました。
    特にファール後のリプレイを審判がディレイするのには、全身で「止めるなよ!」と怒りを露わにしていました。
    そして90分、激しくプレーしていたにもかかわらず、ベンテケに当てたロングフィードの正確さは感動ものでした。

    あとはやはりフィルミーノのボールタッチが異常なまでに柔らかかったです。
    シュートが2本決まるなど、体調そのものもよかったのでしょうが、吸い付くようなボールタッチでした。

    相手とはいえ良いプレーを期待していたエジルにややキレが無かったかなと思いましたが、この日はジルーがかなりいい動きをしていたように感じました。
    特に自信2得点目のプレーは凄かったと思いました。モレノに当たってコースが変わったにもかかわらず、ワントラップで完璧な位置にボールをコントロールしていたのは驚きました。敵ながら美しさすら感じてしまいました。

    あと練習など見ていると、以前の記事でも書かれていらっしゃったとおり、メルテザッカーが声を掛けてチームをまとめているように感じました。エジルとジルー、特にエジルはアップで一番最後にいたり、動きも緩慢で「仕事すればいいんでしょ」みたいな感じで「引っ張る」という意識は皆無に見えました。
    ジルーもかなり自己主張が強烈そうでした。

    練習の動きを見ていると、明らかにガナーズの方がレベルが高いと感じましたが、レッズはチームワークが良さそうな感じがしました。

    あとクロップのジェスチャーは、やはり生で見ても迫力がありました(笑)。

    以上、長々と失礼しました。

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