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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Chelsea×Everton】終了間際の2発で勝負は二転!テリーがもぎ取った執念の勝ち点1!

現在プレミアリーグ得点王のルカクをワントップに、ロス・バークリー、アーロン・レノン、ミララス、ベシッチ、バリーが揃ったエヴァートンは、コールマンの不在以外はベストといっていい布陣。本拠地スタンフォード・ブリッジで戦うチェルシーは、ジエゴ・コスタ、セスク、ペドロ、ウィリアンという前線と、ミケルとマティッチの2センター。ここにアザールが加われば、ヒディンク体制の基本メンバーでしょう。プレミアリーグ22節、チェルシーとエヴァートンの対戦は、前半と後半が別の試合のような極端な展開となりました。

ヒディンク監督が就任してからのプレミアリーグで1勝3分と負けなし。復調気配のチェルシーがより積極的で、エヴァートンはロス・バークリーを中心にシンプルな速攻を仕掛けます。16分、センターサークルにいたジエゴ・コスタが起点となったカウンターは、セスクのパスが右からラインの裏を窺っていたウィリアンに通り、あっという間にGKハワードと1対1です。正直なウィリアンのシュートは、ハワードがコースを読んでストップ。チェルシーの前半のシュートは、この1本だけでした。その2分後、ロス・バークリーがドリブルでイヴァノヴィッチをかわして左からペナルティエリアに入ると、切り返して右足を振り抜いたシュートはズマに当たって中にこぼれます。右サイドから侵入していたオヴィエドが左足にうまく当てていれば、ここでエヴァートンが先制でしたが、背番号8はミートできずに右のポストの脇を外れていきます。

40分、ズマをトラップ一発で抜き去ったミララスが、ペナルティエリアのすぐ外から右足でシュート。これはGKクルトワが左に手を伸ばしてCKに逃れますが、イヴァノヴィッチの緩いチェックは、負け続けていた頃のチェルシーを思い出させます。速攻主体だったエヴァートンが、もっと厳しく圧力をかけて攻めの姿勢をみせていれば、チェルシーは危なかったのではないでしょうか。両者合わせて6本とシュートが少ないゲームは、後半になって一変します。

50分、チェルシーの失点は、ルカクを4人で囲みながらドリブルを止められず、最も危険なロス・バークリーにつながれたのが原因でした。左からオーバーラップしたレイトン・ベインズが中に強いボールを入れると、プレミアリーグ得点王の10番に触らせまいとしたテリーがキックミスしたボールをゴールに押し込んでしまい、痛恨のオウンゴール。勢いがついたエヴァートンは、52分にもショートカウンターから決定機をつかみます。敵陣でボールをカットしたのはレイトン・ベインズ。中にいたミララスがすかさず左のロス・バークリーを走らせると、フリーで放ったニアへの強烈なシュートはポストを直撃し、チェルシーは命拾いします。

しかしその4分後、エヴァートンが追加点を奪いました。ハーフラインから始まったロス・バークリーの鋭いドリブルにセスクは追いつけず、アーロン・レノンに落としたボールはすぐに左のレイトン・ベインズへ。グラウンダ―が中に入ると、ミララスはトラップでミケルをかわし、右のサイドネットに完璧な左足シュートを叩き込みます。戻りが遅れたミケルが振られ、コースが空いてしまったのは確かですが、トラップからシュートへの淀みのない動きと正確なキックは、見た目より難易度の高いプレイです。0-2、5節にネイスミスにハットトリックを許したチェルシーは、同じくプレミアリーグのボトム10に沈んでいるエヴァートンにダブルを喰らうのか。絶望的な状況に追い込まれたホームチームは、ここから秋のモウリーニョ時代には見られなかった底力を披露します。60分にセスクのヒールキックがバーに阻まれた後、64分からの3分間であっさり同点です。

ジエゴ・コスタが縦に走るのをよく見ていたセスクから、ジャギエルカが処理を誤る絶妙なロングボール。ジエゴ・コスタの突破にGKハワードも対応を間違え、後ろに逸らしたボールを復調のストライカーが無人のゴールに流し込みます。エヴァートンの動揺は、相手にただ着いているだけという消極的な守備となって表れました。66分、ジエゴ・コスタとのワンツーで抜け出したセスクのシュートがジョン・ストーンズに当たり、逆に動いていたハワードはボールを見送るしかありません。セスクは、これが今季プレミアリーグの初ゴール。2-2、こうなると完全にホームチームのペースです。

75分、左サイドからのボールをペナルティエリア内にいたアスピリクエタがゴール前に通したシーンは、フリーのジエゴ・コスタがキックミス。直後にミララスがラインの裏に飛び出してつかんだ1対1のチャンスは、クルトワのビッグセーブに阻まれます。勝利が見えてきていたチェルシーが痛かったのは、ジエゴ・コスタの負傷退場でした。79分にロイク・レミーに後を譲ったストライカーは、足を引きずりまともに歩けません。同時にロス・バークリーをピーナールとしたマルティネス監督の交代は、「絶対にゴールを許さない」というメッセージでしょうか。エースがいなくなったチェルシーの勢いが止まり、2-2で進んだゲームは、91分に動きました。CKのクリアを拾ったデウロフェウがふわっとしたクロスをファーに入れると、ジャンプしながら右足アウトで押し込んだのはフネス・モリ!普通のゲームならこれで決まりですが、オヴィエドとジエゴ・コスタの治療時間の煽りで、残り時間は7分あります。一方的に攻めるチェルシー、残り時間は1分…。

時計の針は97分をまわり、チェルシーは放り込みにすべてを賭けます。左サイドからのボールをイヴァノヴィッチがヘッドで落とすと、ボールは最終ラインとハワードの間に落ちました。走り込んだのは、オウンゴールで打ち合いを誘発したテリー、この土壇場で何とラボーナ!0-0の均衡を破った男が、最後にドローに戻してタイムアップとなりました。

いやー、大変な試合でした。ヒディンク監督就任後、勝利への意欲と攻撃力は明らかに向上したチェルシーは、テリーとイヴァノヴィッチが1年前のレベルにはなく、今後も失点は覚悟しなければならないようです。欧州の大会を勝つという未来の希望を語れないなか、アブラモヴィッチオーナーは最終ラインにいい選手を連れてこれるでしょうか。補強がうまくいかなければ、昨季プレミアリーグ王者は、今までいた場所に戻れないのではないかと思います。

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“【Chelsea×Everton】終了間際の2発で勝負は二転!テリーがもぎ取った執念の勝ち点1!” への4件のフィードバック

  1. りっきー より:

    エヴァートンはこういった展開の試合が多いですね。守りきれないというか勝てるゲームをモノに出来ないというか。。。
    テリーの得点はオフサイドだったように見えましたがそこも含めて運がない。
    とはいえやはり試合を見ると良いチームだなと改めて感じました。逆にチェルシーはコスタの調子が上向いていただけに離脱が長いと縦へのスピードが不安です。

  2. makoto より:

    りっきーさん>
    ロベルト・マルティネスさんが、追加タイムの長さと判定に怒っておりましたが、それはそれとして、エヴァートンはもっとうまく時間を使えたのでは?と思いました。リードしてからの8分間をどう過ごすのかが、意志統一できていなかったという印象です。とはいえ、いいチームですよね。
    チェルシーは、ベラヒーノかパトを獲るんですかね?ファルカオもいないなか、レミーとケネディだけとなると不安ですよね。

  3. chelさぽ より:

    迫力のある面白い試合でしたが、物議を醸すのは間違いないですね。ATを過ぎてから2プレーありましたし、テリーのゴールは間違いなくオフサイド。
    素直に喜ぶことはできませんが、2点ビハインドから追いついたのはいつぶりでしょうか。この日のスタンフォードブリッジのムードは最高でサポーターの声援とそれに応えるチームの精神は惚れ直しました。勝ち点1よりチームの成長を感じた試合でもありました。ですがやはり失点シーンは残念ですし最終ラインのテコ入れは必須です。コスタが復調してきただけに離脱が痛いですね。

  4. makoto より:

    chelさぽさん>
    ジエゴ・コスタは1試合休めば出て来られそうですね。最終ラインはSBとCBを両方できる選手を獲りつつ、来季はクリステンセンを呼び戻せばいいのではないでしょうか。私は、ズマより彼のほうを期待しています。

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