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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Chelsea×MAN.UTD】悔やまれるデパイ、執念のジエゴ・コスタ、最高だったデ・ヘア&クルトワ!

マンチェスター・ユナイテッドにとっては、チャンピオンズリーグ出場権が得られるプレミアリーグ4位争いに残るため。チェルシーは、来季の欧州への望みを残すため。両者にとってのこの試合の重要さを表現すると、こんな言葉になるのではないでしょうか。プレミアリーグ25節、スタンフォード・ブリッジでのサバイバルゲーム。チェルシーのトップはもちろんジエゴ・コスタ。セスク、オスカル、ミケル、マティッチ、ウィリアンはヒディンク監督が好む5人です。マンチェスター・ユナイテッドを見ると、ルーニー、マルシアル、マタ、リンガード、キャリックまではいいのですが、セントラルMFのもうひとりはフェライニですか。うーん、シュナイデルランのほうが安心なのですが…。キックオフ直後から、押しているのはアウェイのマンチェスター・ユナイテッド。フェライニ、ボースウィック=ジャクソンとダルミアンのクロスは質が高く、テリー、イヴァノヴィッチ、ズマ、アスピリクエタのチェルシー守備陣は、最初の10分の大半をペナルティエリア内で過ごしています。

13分、キャリックのミドルはクルトワがキャッチ。試合前に、「ポゼッションを過大評価するべきではない。行けるときには速く攻めたい」と語っていたヒディンク監督は、望む形がなかなか創れない状況に苛立ちを募らせているかもしれません。オスカルが最初のシュートを打つまで、ホームチームは16分という時間を要しました。18分、ペナルティエリア左から放ったマルシアルの強烈なシュートは、ゴールの右隅に向かって一直線。クルトワというワールドクラスのGKがぎりぎりで手に当てなければ、アウェイチームはここで先制していました。

マン・ユナイテッドは、何本のCKをズマやテリーにクリアされたでしょうか。29分、先にCKからシュートを放ったのはチェルシーのジョン・テリーでしたが、デ・ヘアが素晴らしい反応で決定的なヘディングをキャッチします。30分過ぎからは、チェルシーのペース。32分に右から縦に抜けたジエゴ・コスタのクロスへのシュートは、名手デ・ヘアも見送るきれいな弾道でしたが、惜しくもポストの外です。

35分、ボースウィック=ジャクソンを翻弄したウィリアンのグラウンダーは、オスカルが触れずゴール前を横切ります。ミケルが中盤でボールを散らしてゲームを創るチェルシーは、マティッチが安心して攻め上がっており、マン・ユナイテッドは防戦一方です。44分、アウェイチームに久々のチャンス。リンガードのスルーからダルミアンがグラウンダーを通すも、球足が速くルーニーの飛び出しは間に合いません。前半終了間際にウィリアンのクロスが左SBに当たって中央に流れ、テリーがボレーを放ったシーンはブリントの腕に当たったようにも見えましたが、主審のマイケル・オリバーはCKを指示しています。前半は0-0。流れを変えたいのは、ファン・ハール監督のほうでしょう。

50分、ブリントのオーバーラップで空いたルーニーのシュートはクルトワがセーブ。左からドリブルで抜けたマルシアルの右足はニアにアウト。53分のリンガードのコントロールショットはクルトワが左手で弾き、直後のルーニーの高速クロスもGKが阻みます。ヒディンク監督が55分にオスカルをアザールに代えた直後、チェルシーに悲劇が訪れました。ジャンプの着地で膝を逆に曲げてしまったズマがリタイア。今季プレミアリーグで22試合出場のCBの主軸は、十字じん帯をやってしまったかもしれません。

61分、押しまくっていたマンチェスター・ユナイテッドが、見事な攻撃でついに先制しました。サイドチェンジを左で受けたマルシアルがマタに落とすと、オーバーラップしたボースウィック=ジャクソンが高速クロス。ルーニーが触ったボールをアスピリクエタを背負って受けたリンガードは、振り向きざまのボレーを右隅に突き刺しました。ゴールを決めなければならないヒディンク監督は、マティッチを下げてペドロを投入。68分、セスクのクロスをキャリックとアスピリクエタが競ると、落下点にいたイヴァノヴィッチが強烈なボレー。同点かと思われた一撃は、デ・ヘアの超人的なセーブでCKです。72分、アザールのパスを受けたセスクが右足を振り抜いた素晴らしいシュートも、デ・ヘアがストップ。残り時間が15分あれば、まだまだどちらが勝ってもおかしくありません。

78分、ファン・ハール監督は、これが最初のカード。フェライニを下げてシュナイデルランは、中を締めようという意図でしょう。時間が経つにつれ、ファールが増えるマンチェスター・ユナイテッド。86分にリンガードに代わったデパイは、前線でボールをキープするのが仕事です。残り1分、ウィリアンのFKに合わせたジエゴ・コスタのヘッドはバーの上。追加タイムは6分あります。91分、ここまで耐えてきたマンチェスター・ユナイテッドは、ブリントが不用意に上がり、いちばん空けてはいけない選手をフリーにしてしまいました。セスクからジエゴ・コスタに出たスルーパス。慌てて戻ったボースウィック=ジャクソンがスライディングで触るも、ルーズボールはジエゴ・コスタの足元です。飛び出していたデ・ヘアは戻れず、無人のゴールに流し込んだジエゴ・コスタは、ゴール裏のサポーターに向かって拳を握りしめて絶叫します。1-1となった96分、最後の最後で決定機を得たジエゴ・コスタは、渾身のシュートを打ち込むも、デ・ヘアが4度めのビッグセーブ!両者とも譲らなかったゲームは、両者とも痛いドローに終わりました。

試合全体を俯瞰すれば、ドローは妥当な結果だったと思いますが、試合の流れを追えば、90分を0-1で通過したマンチェスター・ユナイテッドにとっては勝たなければいけないゲームでした。悔やまれるのは、失点直前のデパイです。キャリックのロングボールを受け、右サイドでドリブルを始めたデパイの横には、シュナイデルランとマタがフリー。逆サイドでは、マルシアルもボールをもらいやすいポジションにいました。追加点にこだわらず、時間を遣えばいいこの場面は、確実に味方にボールを渡すか、しっかりキープするかの二択です。しかしデパイは、シュナイデルランに難しいパスを通そうとしてマイボールをロスト。このプレイから30秒も経たないうちに、同点ゴールが決まってしまいました。前線のマルシアルとルーニーを残すなら、ムラのあるデパイではなく、マクネアで後ろに鍵をかけるか、エレーラを先に入れてセスクやペドロを追わせてもよかったのではないでしょうか。終盤の采配には、大いに疑問が残りました。

…気を取り直して、クルトワとデ・ヘアには力いっぱい拍手を送りたいと思います。プレミアリーグNo.1どころか、世界一を争う2人の素晴らしいセービングの数々に感動しました。両チームとも、気迫がこもったプレイを最後まで続けたナイスゲームだったと思います。ヒディンク監督のプレミアリーグ無敗を継続したチェルシーは、4位と勝ち点17差となり、5位とも11差で、来季の欧州行きが厳しくなってしまいました。マンチェスター・ユナイテッドも、4位とのギャップはひとつ開いて6差。レスターの背中は、もはやまったく見えません。時間が経つと悔しさがこみ上げてきそうなので、このへんでお開きとさせていただきます。最後にアウェイチームのサポーターとして、ひとつだけいわせてください。「君は戦い抜いた。よかったよ、ボースウィック=ジャクソン!」と。

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“【Chelsea×MAN.UTD】悔やまれるデパイ、執念のジエゴ・コスタ、最高だったデ・ヘア&クルトワ!” への8件のフィードバック

  1. りっきー より:

    チェルシーの守備陣はリンガードの得点時もそうでしたがクロスが中まで抜けてってシュートを打たれるシーンが多かったですね。
    しかし両チームともキーパー素晴らしかったです。

  2. Uボマー より:

    勝ち点の差と同じだけの試合数が必要と言われているので、ユナイテッドにとって優勝の望みがほぼ無くなりました。今のサッカーじゃ来季も苦しいと思いますが、経営陣はまだ動かないのかなぁ…。

  3. グローリーグローリー より:

    ピッチで頑張っている選手達を80分以上見てたにも関わらすあの舐めたプレー。デパイはもう擁護できませんね。彼より序列を下にされてる選手達の事を考えるとこれからはプレータイムを与えることすら疑問に思ってしまいます。

    ただユナイテッドは良い試合をしたと思います。来季のCLに出るにはこれからの上位陣との対戦でそれ相応の戦績を残す必要があるわけですが、チェルシー戦のような試合ができたら可能性はあるかなと感じました。相当甘い見積もりだとは自覚してますが、今は試合を見ていて楽しいと思えているのでチームに期待したいと思います。

  4. makoto より:

    りっきーさん>
    GKは感動的でしたね。ベストセービングを選ぶとすると、マルシアルのシュートを外に追い出したクルトワですかね。あれは普通はゴールです。

    Uボマーさん>
    よほど壊れなければ、今季いっぱいは監督交代はなさそうですね。4位は射程圏内で、あちらも結構やばそうなので、負傷者の復帰に期待してます。

    グローリーグローリーさん>
    デパイには、なぜ自分がベンチなのかを考えてもらったほうがいいですね。おっしゃるとおり、昨日は全体的によかったと思います。相手も強かったのでドローに終わりましたが、今後の巻き返しに充分期待できそうです。

  5. Uボマー より:

    勝ち点の差と同じだけの試合数が必要と言われているので、ユナイテッドにとって優勝の望みがほぼ無くなりました。今のサッカーじゃ来季も苦しいと思いますが、経営陣はまだ動かないのかなぁ…。

  6. queen より:

    安心して下さい

    CL圏内争いはほぼほぼ終戦ですよ

    —–
    互いにとって、「激痛分け」の結果になってしまいましたね。
    今後はヨーロッパ圏を狙いつつ、せめて若手や新戦力の熟成をしっかり行えるといいですね。そして来季以降の復活を期待します。
    ところで、フェライニはどうも使いどころが分かりかねます。帯に短したすきに長しと言いますか、悪い選手じゃないけど、なんか違うという感覚がぬぐえません。

  7. chelさぽ より:

    いや、よく1点もぎ取れましたよ。デヘアはどんだけ止めるんですか(笑)クルトワも良くやってくれましたが、失点シーンは仕方ないですね。あれはリンガードのゴラッソです。
    ズマの怪我が気になりますが、ケイヒルの出番が増えるのでプラスに考えることにします。ホジソンも観戦してましたし、ここから頑張ってほしいですね。
    最近気になるのはセットプレー(特にCK)での得点が少ないのでキッカーをCKくらいはセスクに蹴って欲しいですね。惜しいシーンも少ない気がします。前回の対戦ではマルシャルを下げてくれたファン・ハール監督ですが、今回はそうはいかなかったですね。イヴァノヴィッチは相当やられてましたし、ああいうタイプとマッチするのはやっぱりアスピの方が安心できます。

  8. makoto より:

    queenさん>
    フェライニは、TOPの後ろがいちばんいいのではないかと思います。ルーニー、マタがいるチームでは、それだけだと出場機会をうしなうので、本人がやりたがっているセントラルで起用しているのでしょう。

    chelさぽさん>
    何しろGKが素晴らしかったです。状況的には勝ち点を落としたのは激痛ですが、あれだけ強いチームにアウェイでドローは喜ばしい結果なのだと思います。

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