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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Crystal Palace×Liverpool】GKのスリップと幸運なPK…最後に笑ったのは10人のリヴァプ―ル!

上位の停滞で、勝てばチャンピオンズリーグ出場権まで6差に迫るリヴァプールと、12月19日のストーク戦以来、プレミアリーグで11試合勝利がないクリスタル・パレスの一戦。クロップ監督がナサニエル・クライン、コウチーニョ、スタリッジをベンチスタートとしたのは、プレミアリーグ同士の対決となった来週のヨーロッパリーグ、マンチェスター・ユナイテッド戦を見据えての策でしょう。SBはフラナガンとアルベルト・モレノ、中央にはデヤン・ロブレンとサコ。エムレ・ジャン、ヘンダーソン、ミルナー、ララナ、フィルミーノ、オリギは申し分のないメンバーです。ボラシェ、キャバイェ、ザハ、ジュディナクが揃ったクリスタル・パレスが、なぜこれだけ勝てなくなってしまったのかはわかりません。本拠地セルハースト・パークで立ち上がりからアグレッシブに攻めている姿をみると、まずまずその謎は深まります。

6分の攻防は見ごたえがありました。ララナのパスから右サイドを抜け出したフィルミーノがゴールライン際から入れたグラウンダーをGKマッカーシーがセーブすると、クリスタル・パレスが速攻。アデバヨルが左サイドをドリブルで進み、最高のタイミングで入れた右足アウトのラストパスにボラシェとミニョレが激突。GKの勇敢な飛び出しがチームを救いました。10分には、デヤン・ロブレンのクリアした位置がゴールラインを割っていたのではないかと足が止まったレッズ守備陣の隙を突いて、左サイドのスアレからの高いクロスをアデバヨルがフリーでヘッド。決定的なシュートはバーに当たり、レッズは命拾いします。

ようやく落ち着いた試合は、クリスタル・パレスのペース。25分には敵陣でインターセプトしたボールがザハ、キャバイェとつながり、今季プレミアリーグで5ゴールを挙げているキャバイェのコントロールショットが右のポストすれすれを襲います。選手の距離感がよく、ショートパスがまわるリヴァプールは、前にいるオリギやフィルミーノに入れた後がつながればチャンスになります。30分、エムレ・ジャンの落としに思い切りよく右足を振り抜いたオリギのシュートはバーの上。32分にフィルミーノがキャバイェに倒され、直接FKはミルナーのシュートが壁に当たってアウト。直後に逆襲に入ったクリスタル・パレスは、ペナルティエリア内で囲まれたボラシェが粘って左に浮かし、アデバヨルに合わせるも、デヤン・ロブレンがシュートを許しません。

42分、4対3の形になったカウンターは、エムレ・ジャンの焦ったドリブルが長くなりフィニッシュまでいけず。危険なアデバヨルを何とか抑えての前半0-0は、レッズにとっても悪くない折り返しです。しかし後半立ち上がりの48分、先制はクリスタル・パレスでした。CKからピンボールのように2度3度とシュートがはね返された後、フィルミーノの短いクリアをダイレクトで打ったのはジョー・レドリー。今季プレミアリーグ初ゴールとなった左足の一撃は、ゴール右隅を正確に射抜きました。盛り上がるセルハースト・パーク。再三にわたるオリギのシュートは、ホームチームの守備陣に体を張って防がれます。

60分、きました、コウチーニョです。クロップ監督が交代相手に選んだのはフラナガンでしたが、SBに回したかったミルナーが直後に2枚めのイエローで退場です。どうする、リヴァプール。CBエムレ・ジャン、SBにデヤン・ロブレンでしょうか。マンチェスター・シティ戦で素晴らしいプレイを見せたララナは、今日は持ち過ぎが目立ち、キャバイェとジェディナクが待つクリスタル・パレスの中盤につかまっています。68分、フィルミーノの縦パスでペナルティエリア右からララナが抜けたチャンスは、オリギのボレーがポストの右。パーデュー監督は、キャバイェをジョーダン・マッチ。新しい選手を中盤の前方に配し、高い位置からチェックを始めようという意図でしょう。しかし…。

クロップ監督の目論見がミルナー退場で空振りに終わったのと同様に、パーデュー監督の守備を固めたいという狙いもアクシデントに邪魔されました。レドリーのバックパスをもらったマッカーシーがよもやのスリップ。キックは目の前にいたフィルミーノの足元に入り、背番号11は右足インサイドで労せず流し込みます。1-1、同点。10人でも勝ちにいくクロップ監督は、次のゴールを奪うべくベンテケを投入します。ベルギー代表FWのファーストタッチは、80分のCKでした。デヤン・ロブレンがヘッドでコースを変えると、左のベンテケはフリーでしたが、丁寧過ぎたボレーはマッカーシーの正面。パーデュー監督のバカリ・サコ投入もまた、狙いは勝ち点3でしょう。

87分、前線から流れてきたボールを迷わず打ったアルベルト・モレノの左足のロングシュートは決まったかと思われましたが、ポストを叩いて勝ち越しならず。追加タイムは4分です。93分、コウチーニョのスルーパスを切り返して放ったベンテケの右足をマッカーシーが止めたときは、これで終わりだと思ったのですが、最後にゲームを決めたのは両チームのアタッカーではなく、主審のアンドレ・マリナー氏でした。右からドリブルで突破を図り転倒したベンテケに対して、デラニーは明らかに足を引いており、引っ掛けてはいなかったのですが…。今季プレミアリーグで7発めとなるベンテケのPKがゴール右隅に転がったときには、時計の針は94分をまわっていました。GKのキックミスとラッキーなレフェリングで2ゴールを決めたリヴァプールが、貴重な勝ち点3をゲットしました。

日頃から本ブログを読んでくださっている方々なら、私がレフェリングについてクレームめいたことを書かないのはご存じかと思いますが、素晴らしいプレイを伝えることを優先したいといってもあのラストシーンに触れないわけにはまいりません。あれだけはっきりPKを避けにいったデラニーが咎められたのは、さすがにかわいそうでした。コウチーニョにシュートを打たせず、よく守っていたクリスタル・パレスには勝ち点が与えられるべき内容だったと思います。「キツネにつままれた」という古い言葉を思い出してしまう結末に、こんなこともあるんですねとしかいいようがありません。とはいえ、ミニョレのナイスセーブやエムレ・ジャンの奮闘は称賛されるべきで、勝ちは勝ち、これもまたサッカーです。リヴァプールがまた一歩、来季の欧州に近づきました。

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“【Crystal Palace×Liverpool】GKのスリップと幸運なPK…最後に笑ったのは10人のリヴァプ―ル!” への16件のフィードバック

  1. 名無し より:

    引いた時に曲げた膝が完全にベンテケに当たってますけどね
    まったく触れてないってのはどういう見方なんですか?

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    もう一度リプレイを見返して記事を推敲された方がよろしいかと思います。
    ベンテケの左足踵にDFのひざがかかっているのは明白ですよ。軸足に対する後方からのチャージです。

  3. とにかく明るいモイモイ より:

    名無しさん
    リヴァプール大好きなのは分かりますし、スローで見たらベンテケの足の裏が膝に触れてるようにも見えます。でもスローで見なければ全く触れてないようにしか見えないですし、そんな喧嘩口調でなくてもよくないですか?

    パーデューは一回スランプになると長いですね。ニューカッスルのときもそうでしたし。最初10試合やった時点では、ウェストハムとクリスタルパレスが今年のダークホースだと思ってたんですけど、中々当たらないもんですね、、、

    —–
    ↑お〜リバプールサポ吠えるね〜
    あれがPKだとガチで思ってるのか
    さすがに管理人に絡むなよw

    しかしまぁ、ベンテケはハマる!キリ!とはこういう事だったか!(笑)

  4. 名無し より:

    ※3
    ガイジかな

  5. makoto より:

    名無しさん プレミアリーグ大好き!さん>
    いわんとしていたのは、「デラニーは足をひっこめており、接触があったとしても逆の右足から崩れて倒れたのは取らないのではないか」ということです。ただし、「まったく触れていなかった」という表現は適切ではなかったですね。誤解のないよう、表現を訂正させていただきました。ご指摘ありがとうございました。

    しんさん>
    ありがとうございます。そうですね。接触の後、右足から崩れて倒れているので取らないという判断が通常かと思いましたが、ファールという見方をする方もいらっしゃるのだなと思いました。いずれにしても、出来るだけ早く試合についてお伝えしたいと思い速報で書かせていただいていることもあり、後で見たら書き過ぎ、いい過ぎだったということもあるかもしれません(できるだけそうならないように、見返したりはしているのですが)。おっしゃるとおり、冷静にやりとりできるとありがたいです。

    とにかく明るいモイモイさん>
    以前にも申し上げましたが、コメントは控えていただきますよう、よろしくお願いいたします。

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    別角度、右横からの写真で膝が踵から足の裏を直撃してる場面がSNSで流れてまして。もちほん試合中のリプレイは全然当たってるように見えませんでしたが。凄いクリアな写真でした。

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    リバプールを応援しているものですがいつも楽しく読ませていただいています。
    PKについては上記コメントで論じられているので置いておいて、ユナイテッドサポーターであるにも関わらず多くのチームをサッカーの内容で別け隔てなく論じられている事に感心しております。
    むしろリバプールは内容も順位も今二つなのに毎試合取り上げて頂いて感謝感謝です(笑)。
    色々なご意見はあるでしょうがこれからも記事を楽しみにしているリバプールファンもいるという事をお伝えしたくコメントしました。

  8. nyonsuke より:

    更新ご苦労さまです。

    レッズファンですが、引き分けが妥当な試合だったかと思います。
    PKに関しては、皆様が仰るとおり微妙な判定で、放送のリプレイでは私もファールではないと思いました。
    しかし、最終的には管理人さんの仰るとおりこれもサッカーかと思います。
    リヴァプールもこれまで勝ちに相応する試合を何試合も落としてきたので、パレスファンの方には申し訳ないですが久々に負け試合を拾ったというのが正直な気持ちです。
    しかし、この結果を呼び込んだのは10人になっても戦い抜いたリヴァプールと10人を相手に試合をコントロールできなかったパレスの差とも思います。
    前半は明らかにパレスのペースで、レッズは決定機を作れず苦しみました。
    1-0となり、ミルナーが退場した後パレスの重心が下がり、さらにキャバイェが交代したことで守備から攻撃へのスムーズな切り替えができなくなりました。
    逆にレッズは、10人とはいえコウチーニョが入り、引いた相手にもカウンターを恐れず攻め続けました。
    もしパレスがキャバイェがいるうちに2点目を決める、もしくは重心を下げきらずカウンターで攻め抜いていれば、違う結果だったと思います。
    いろいろ長くなりしましたが、今節は幸運な勝利で今後リヴァプールに不利な判定が下るゲームもあると思います。
    次はELでのマン・ユナイテッド戦、初めてのヨーロッパでの伝統の一戦ですので、両者の熱いプレーで盛り上がってほしいですね。
    楽しみです。

  9. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    10人になり負けを覚悟し後にゴールしアディショナルタイムではドローを覚悟し、最後の最後でPK獲得でゴールし終了とはサッカーは分からないですね、、、。このゲームは正直パレスに持って行かれたと思ってました。それだけ彼らが素晴らしい出来でした。パーデューとチームは辛い敗戦ですね。これはレッズサポーターの私も同情してしまいます。
    ELユナイテッド戦はすっきりとした形で勝負を期待します。

  10. ウォータードリンク より:

    キャバイエ下げレドリーも下げたらセットプレー蹴るやついなくなるのに。それに1-0なんてセーフティリードじゃないし、時間も残ってたから、引かずにもう一点狙いに行くべきだったと。何考えてたんでしょう、パーデューは。
    10人にも関わらず攻め続け、相手よりも多いシュートを放ったレッズが気持ちでも勝っていましたね。

  11. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    接触はありましたね。うまくいいづらいのですが、私にはベンテケは残せたのではないか、右足をつく瞬間に倒れにいっているのではないか、PKは厳しい判定だったのではないかと思えました。

    リヴァプールサポーターのみなさんに、これだけはお伝えしたいと思います。私には、ベンテケがもらいにいったのか、バランスを崩して転倒したのかまではわかりません。ただし、仮にダイブだったとしても、彼のチャレンジとPKをもらったという収穫については拍手したいと思っています(逆に、寝なければ決定機なのに、倒れて笛が鳴らなかっ選手は、何やってんだといわれるものだとも思います)。スアレスはもらいのが天才的に巧い選手だったと思っており、サッカーがレフェリーの肉眼と印象でジャッジされるスポーツである以上、それもルール上「あり」で、ひとつのワザなのだと思っておりますので。

    そしてもうひとつ、たとえベンテケがダイブだったとしても、そのことで勝者が後ろ指をさされることはないとも思ってます。そういう考えから、私はデラニーのほうだけに触れたのです。「ベンテケはダイブで、リヴァプールの勝利に価値はない」と強調したのなら、強く批判されてしかるべきだと思いますが、そういう意図はないことだけ、追記させていただきました。

    nyonsukeさん、ありがとうございます。まったく同感です。10人のチームが最後にあれだけチャンスを創り、きわどいシュートを打ち続け、諦めなかった結果が1-2でしたね。パーデュー監督は、守りに入った采配をしたわけではなかったと思いますが、選手の気持ちがレッズにおされてしまっていたように思います。

    Mackiさん>
    そうですね。サッカーとして、劇的でした。私も、木曜日は明快な勝負となることを期待しています。もし、ベンテケとロホに同じことがあったとしても、「ロホには厳しいジャッジだったですねぇ」としかいわないと思います。

    ウォータードリンクさん>
    私も、前に決定的なボールを出せるキャバイェは残しておいたほうがいいのではないかと思いました。結果的に、レッズの攻撃時間を増やす采配になってしまいましたね。

    —–
    プレミアリーグ大好き!さん>
    リバプールは内容も順位も今二つなのに毎試合取り上げて頂いて感謝感謝です
    →こちらこそ、ありがとうございます。好きなんですよね。好きという意味では、ほんとうはもっとセインツやエヴァートン、ウェストハムのことも書きたいと思ったりしているのですが、体がひとつしかなく…。今後とも、よろしくお願いいたします!

  12. プレミアリーグ大好き! より:

    チャレンジ制度がいつまでたっても導入されない現状、あそこで後ろからタックルした時点でDFの負けですよね。PKかどうかは審判によって異なるとは思いますが、決して審判の心象は良くないプレーでしょうし。昔、あの位置での不用意なスライディングタックルはダイブで有ろうと無かろうとPKに繋がっても仕方ないと、SKYでキャラガーかネビルがそのようなことを話していました。

    すっきりと気持ちのいい勝利ではありませんが、1人減っても攻め続けたアタッカーたちと、それと獅子奮迅のプレーで相手をつぶしまくったジャンやロブレンを讃えたいです。

  13. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    その観点はありますね。ベンテケはゴールに向かっていなかったので、ついていって中を切る守り方をしていれば最悪の結果を逃れたかもしれません。

  14. リバプール好き より:

    アンドレ・マリナーのような主審がが未だ現役を張っているリーグですから、誤審も含めてフットボールという考えなのでしょう。クリアにしたいならビデオ判定を導入すれば良いのですから。
    PKの真偽についてはさておき、ベンテケのようにフィジカルの強い選手にあんな風に転ばれると、正直ガッカリする気持ちがありますが、責められるとしたら選手ではなくジャッジでしょうね。

  15. あああ より:

    PKかどうかはさておきファールをもらいに行くのも立派なプレーですからねぇ。
    接触があった以上ベンテケの勝利だったと思います。
    パレスは大分ショックでしょうけど。

  16. ガナーズ より:

    まあ、完全に抜け出した相手に後ろからスライディングを試みて、ボールに一切触れず足を引っ掛けて倒れられたらまず間違いなくPKだわな。
    むしろあの場面は粘って倒れずPK貰おうとしないのは馬鹿だよ。
    そしてなによりDFが馬鹿すぎる。なんだよあの意味不明なタックル。

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