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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Chelsea×West Ham】ラスト1分、ジエゴ・コスタ!劇的勝利でコンテ・チェルシーは上々の船出!

大きな大きな1勝でした。プレミアリーグ第1節、チェルシーVSウェストハム。ホームで開幕を迎えたチェルシーがゲームのイニシアティブを握り、ウェストハムはセットプレー以外でなかなかチャンスが創れない状況ではありましたが、アイェウ、ノルトヴェイト、マスアクと要所に新戦力を配置したハマーズはしぶとく、最終盤はどちらが勝つかわからない試合でした。ジエゴ・コスタが決勝ゴールを決めたのは、ラスト1分。このゴールがなければ、コンテ監督は初めてのプレミアリーグで苦しいスタートとなり、自分たちのスタイルを完成させることよりも、セーフティな布陣を優先せざるをえなくなっていたかもしれません。

開始5分、エネル・バレンシアが左から入れたFKは、浮いたボールをクルトワがパンチで逃れましたが、チェルシーにとってハマーズの精度の高いプレースキックはやっかいです。コンテ監督の4-2-4が見たかったのですが、前線にジエゴ・コスタを置いてカンテが中盤の底を締める布陣は、4-2-3-1あるいは4-1-4-1のようです。両翼からアザールとウィリアンが仕掛け、中にはオスカルとマティッチ。印象的だったのは、SBのイヴァノヴィッチとアスピリクエタが、今までのチェルシーよりもアグレッシブに上がってくることです。11分、オスカルのスルーパスを受けて前線に飛び出し、切り返しから左足を振り抜いたイヴァノヴィッチはストライカーのようでした。GKアドリアンの瞬発力がなければ、チェルシーはここで先制していました。

14分には、ロングスローのこぼれ球をアザールが思い切りよくミドルシュート。2014-15シーズンのプレミアリーグMVPはドリブルのキレを取り戻しており、左サイドから中に斬り込んでフィニッシュを狙う得意の形でハマーズ守備陣を脅かします。ビリッチ監督は、右SBにマイケル・アントニオ、CBにはオグボンナではなくコリンズを起用しておりましたが、この2人には10番のケアは荷が重い仕事だったかもしれません。

アイェウ負傷でギョクハン・トレが入った後、37分にウィリアンが右サイドを突破してグラウンダーを入れると、直後にジエゴ・コスタが左45度からミドル。サイドをスピーディーに上がり、遠目からでも積極的にゴールを狙うチェルシーの速攻はエキサイティングです。ベンチのコンテ監督のオーバーアクションにつられたのか、スタンド観戦のアブラモヴィッチさんもシュートが外れるたびに体を揺らし、明るく悔しがっています。47分、ウィリアンの直接FKは、コースを読んだアドリアンが確実に上に弾きました。前半は0-0ですが、このままいけばチェルシーが勝ち点3を得る展開です。

後半開始早々、イヴァノヴィッチのロングクロスを左で受けたジエゴ・コスタが、マイケル・アントニオとコリンズをかわしてシュート。ニアを塞いでいたアドリアンがかろうじてセーブしましたが、こぼれたボールを強引にドリブルで運ぼうとしたマイケル・アントニオがアスピリクエタにカットされ、慌てて後ろから引っかけた瞬間にレフェリーの笛。右SBが冷静に外につないでいれば、PK献上はありませんでした。アザールが冷静に決めて、1-0。ペナルティエリア手前で相手ボールを獲りにいったのがSBのアスピリクエタだったあたりに、アグレッシブに前でチェックするコンテ監督のスタイルを感じます。右サイドの守備がウィークポイントとなっていたハマーズ。前半にアイェウのアクシデントで1枚カードを使っていなかったら、ビリッチ監督はハーフタイムに手を打っていたでしょうか。52分という早い時間にマイケル・アントニオは下げられ、サイドのチェックを託されたのはバイラムです。

1-0となった後も、攻勢はチェルシー。63分には中央で奪ったボールをオスカルがすかさず前線にいたウィリアンに通し、クロスに狙ったシュートはアドリアンがぎりぎりでセーブします。前で奪って、素早く縦へ。コンテサッカーは、思いのほか早くチームにインストールされているのかもしれません。直後のCKで完全にフリーになったケーヒルは、ヘディングシュートを左に外してしまいました。67分、ビリッチ監督が最後のカードで勝負に出ます。昨季プレミアリーグで最大のサプライズ、ディミトリ・パイェ登場。76分、劣勢だったウェストハムがついに追いつきます。パイェのキックをコリンズがヘッドで落とすと、競り合ったボールが再度コリンズの足元へ。1点めの原因となってしまった男は、躊躇しませんでした。左足ボレーが右隅に突き刺さり、1-1。これで勝負はわからなくなりました。

80分、ペドロ・ロドリゲス。85分、ビクター・モーゼスとプレミアリーグデビューのミヒー・バチュアイ。勝ち点3を奪うべく、次々とカードを切ってきたコンテ監督に対し、アイェウのトラブルと右サイドの綻び修繕で打ち手を出し尽くしていたビリッチ監督。勢いは、フレッシュなチェルシーにあります。86分、モーゼスが左から上げたクロスのクリアをペドロがボレーで狙うと、わずかに左ポストの外。1分後、右からの速いクロスに足を高く上げたジエゴ・コスタは届きません。

しかし、それからすぐに歓喜の瞬間がやってきました。前線のターゲットマンにピタリと合わせたマティッチのロングフィードも、体を捻りながらジエゴ・コスタに落としたバチュアイも見事。さらに素晴らしかったのは、当たってこないコリンズの股間を狙って左隅に突き刺したジエゴ・コスタの冷静なミドルでした。絶叫渦巻くスタンフォード・ブリッジ。サポーターと抱き合うコンテ監督の喜びようは、眼鏡を壊すクロップ監督以上のハイテンション。思わず「まだ終わってませんから!」と、画面に向かってツッコミを入れてしまいました。その後のアウェイチームの反撃をクルトワの奮闘で何とかさばいたチェルシーは、2-1のままでタイムアップの笛を聞きました。

上位が軒並み不調だった開幕節で、リヴァプールと並んで仕上がりのよさを感じさせたチェルシー。噂のルカクに加えて手薄な最終ラインを2枚ほど補強できれば、彼らもプレミアリーグ優勝候補リストに名前を加えたほうがいいのかもしれません。ウェストハムは、同点に追いついた執念と追加タイムの猛攻はさすがのビリッチ的ファイティングスピリッツでしたが、内容的には完敗でした。結果だけ見れば、「中堅クラブにチェルシー辛勝」「仕上がり途上のチェルシーに負けたウェストハムは、前評判ほど強くなさそう」ともいえるのかもしれませんが、秋になったら、この両者こそが強者だったと気づかされるのかもしれません。アーセナルVSリヴァプールもおもしろかったのですが、名将の戦術・采配をはじめ、勝負として最もエキサイティングだった開幕節のゲームは、コンテVSビリッチのロンドンダービーだったと思います。

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“【Chelsea×West Ham】ラスト1分、ジエゴ・コスタ!劇的勝利でコンテ・チェルシーは上々の船出!” への7件のフィードバック

  1. シティふぁん より:

    チェルシーは決めるべき人が決めましたね
    カンテは移籍しても変わらずいい選手です
    まだ完成度が高いチームはなく今後どうなるか予想がつかないですね

  2. yuto より:

    オスカルが攻撃だけでなくプレスにも積極的な姿勢が見られて非常に良かった印象です。
    コンテ監督のプレミア初采配ということでとても楽しみなゲームでしたが、感想はとにかく熱いの一言です。
    リヴァプール戦だったらどうなってしまうのだろうと少し心配してしまうほど熱く素晴らしいゲームでした。

  3. ワルテルFC より:

    更新お疲れさまでございます。ブルーズは役者がいい仕事をしたようで、今年はトップ4返り咲きを果たしてもらいたいです。オスカルにも光が見えて嬉しい。健全な競争で、うまくペドロやクアドラドやセスクがモチベーションキープできれば。後は懸念のCBと、アスピのバックアッパー欲しいですね。

  4. M より:

    更新お疲れ様です
    決めるべき人がしっかり決め、それぞれの本来の動きを見せてもらえると昨シーズンのようなことにはならないと信じています
    それにしてもアスピ、ずっとフル回転で丈夫やなぁ…頼れる…笑

  5. 雨好 より:

    更新お疲れ様です。
    試合自体は残念ながら見れておらずハイライトのみですが、いいスタートを切れたと思います!昔プレミアやCL制覇を成し遂げたどんな監督の時もギリギリでも勝てるチームでしたが、昨シーズンは押し切れないチームになってしまいました。まだ1節ですが、コンテが来て吹き飛ばしてくれた感はあるのでこの先も楽しみです。

  6. makoto より:

    シティふぁんさん>
    ジエゴ・コスタがいいですね。カンテはやはり効いていました。コンテ戦術のキーマンは彼ですね。

    yutoさん>
    そうですよね。オスカルがコンテサッカーで蘇るのではないかと思いました。怖いですね。

    ワルテルFCさん>
    おっしゃるとおり、ズマの戻りが遅れるので、CBひとり、SBひとり。できればどちらかは複数ポジションをカバーできるタイプがいいと思います。

    Mさん>
    アスピリクエタはセンスいいなとあらためて思いました。なくてはならない存在です。

    雨好さん>
    最終盤のスタンフォードブリッジは、久しぶりにみる凄い雰囲気でした。コンテが煽るこのスタジアムは、アウェイチームにとってはますます嫌な場所になりそうです。

  7. makoto より:

    コスタ レッドが妥当のファールがなぜなかったのか疑問が残りましたが、負けて当たり前な内容でしたね。
    アユをトレに変え、トレのファーストプレイがピンチを作った所で負けを悟りましたね
    結果論ですが、アントニオを一列上げて、アユをバイラムになぜしなかったのか…

    —–
    おはむさん>
    決して結果論ではなく、プレミアリーグ経験値が高いマイケル・アントニオを上げるという戦術はありでしたね。パイェの後、交代というオプションがなくなってしまったのは、結構痛かったのではないかと思いました。

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