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【Watford×Chelsea】2試合連続で最後にジエゴ・コスタ!チェルシーを救ったセスクのスルーパス!

最終盤のジエゴ・コスタの決勝ゴールで難敵ウェストハムを振り切り、プレミアリーグデビュー戦勝利を飾ったコンテ監督は、2戦めもまたエースの土壇場の勝負強さに救われました。ヴィカレージ・ロードで行われたワトフォードとのアウェイゲーム。コンテ監督のスタメンは、ウィリアンに代わってペドロを起用した以外は前節と同じです。GKクルトワ、DFイヴァノヴィッチ、テリー、ケーヒル、アスピリクエタは、モウリーニョとヒディンクも好んで並べたお馴染みのメンバー。中盤の底でエンゴロ・カンテが危険なエリアをカバーし、アザール、マティッチ、オスカル、ペドロ。最前線のジエゴ・コスタは、今季は開幕から絶好調です。カプェのフィードをディーニーとイガロが決めるワトフォードの速攻には要注意。静かに始まったゲームで、最初に決定機を迎えたのはワトフォードです。7分、最終ラインからの縦1本で左サイドを抜け出したのはホレバス。クルトワとの1対1は角度がなく、足を投げ出したGKのブロックに阻まれます。

ディーニーやアムラバトが執拗にクロスを上げるワトフォード。対するチェルシーは、11分にアザールが左サイドを突破。グラウンダーのラストパスはジエゴ・コスタに届かなかったものの、1年ちょっと前にはプレミアリーグMVPを獲得したサイドアタッカーは、当時の鋭さを取り戻しつつあります。エキサイティングなバトルを期待した滑り出しでしたが、ここからは打って変わってシブい展開になりました。イガロ、ディーニー、アムラバト、カプェと少人数でしか攻めてこないワトフォードに対して、カンテを中心に守備が堅いチェルシーもまた、リスクを冒しません。24分、右からドリブルで上がったアムラバトがニアに走ったイガロに合わせると、ボレーはバーの上。ボールを支配する時間が長いチェルシーの攻撃は、ペースが一定で、ワトフォード守備陣が脅かされる決定的なシーンはありません。

43分、イヴァノヴィッチがファーサイドに出したロングフィードをマティッチが中に落とすと、ジエゴ・コスタとGKゴメスがこぼれ球を争いますが、ここは守護神が何とかキャッチ。アザールのFKはGKの正面へ行ってしまい、0-0のまま前半が終わります。両チーム合わせてシュート5本、オンターゲットはわずか1本の神経戦。後半、両者とも戦い方を変えなければ、スコアレスのまま終わる可能性も充分です。

なぜ、そのときだけ、そこだけノーマークだったのか。55分のワトフォードの先制ゴールは、スローインをトラップしてクロスを上げたグエディウラはノールックでした。おそらく彼は、手前にいたディーニーめがけて蹴っただけで、その裏でチェルシーが珍しくどフリーにしていたカプェは見えていなかったでしょう。しかし、ボールは中央を抜けてカプェに届きました。ワントラップ、左足一閃!「シュートはGKの足元か肩口」といわれますが、ゴール左上にあれだけ強いボールを蹴られれば、プレミアリーグ屈指の名手クルトワもなす術がありません。1-0、ホームチームが先制しました。コンテ監督は、何かを明確に変えなければなりません。

イガロがラインの裏を狙うワトフォードに対して、チェルシーは中央からのミドルと点で合わせるクロスしかなく、次のゴールに近いのはホームチームのように見えます。残り20分、勝ち点3に必要なのは2ゴール。コンテ監督は、ペドロをヴィクター・モーゼス、オスカルをバチュアイ、マティッチをセスクと7分の間にカードを切り終わりました。80分、セスクからアザールにボールが渡ると、ホレバスはコースを切らずに下がってしまいます。カプェのチェックが入る前に、アザールが強烈なミドル。ゴメスは捕れなかったのか。前にこぼれたボールに先着したのはミヒー・バチュアイ。新加入のストライカーは、プレミアリーグ初ゴールを無人のゴールに容赦なく突き刺しました。ついに1-1、コンテ監督はもう1点だと選手を煽っています。

83分、シュート体勢に入ったジエゴ・コスタの足元に飛び込んだカプェが足を痛め、ドゥクレにチェンジ。逆転を狙うチェルシーは、イヴァノヴィッチがゴール前に入るスクランブルでセスクのパスを受け、こぼれたボールをバチュアイが縦に持ち込み折り返した決定機は、キャスカートの必死の守備が阻みます。87分…ワトフォードは勝ちにいったのでしょうか。勝ち点1を死守するなら、ハーフライン付近まで最終ラインを上げる必要はなかったでしょう。グエディウラが横に出したパスをセスクにインターセプトされる最悪の取られ方。セスクの完璧なスルーパスがCB2人の間を切り裂き、ジエゴ・コスタは3タッチでゴメスの真ん前に現われます。股間を狙い澄ましたシュートがゴールに吸い込まれ、1-2。ワトフォードには、この劣勢を跳ね返す気力もアイデアもありませんでした。殊勲のバチュアイは、94分に中央からバーにぶち当てるシュートを放ち、もう15分もあればハットトリックを決める勢いです。用兵を当てたコンテ監督と、手を打つ前に逆転されたマッツァーリ監督は、残酷なコントラストを描いてピッチを後にしました。

1-1で終わっていれば、「ワトフォードがしたたかに勝ち点1をキープした」という評価もできたのですが、最後のゴールは戦い方を明確にしなかった指揮官のミスではないでしょうか。直前まで、アザールやバチュアイのアタックに晒され、ピンチが多かったチームがなぜ極端に前がかりになったのか。同点になってからの7分間は、ホームチームが人数を前にかけてゴールを狙える状況ではなかったと思います。明確に勝利をめざしていたチームに対して、弱者が道を空けてパスを素通ししてしまった悪夢の瞬間。セスクの超絶スルーパスと、ジエゴ・コスタのストライカーとしての嗅覚とシュート技術をリスペクトしつつも、ドイツワールドカップでオーストラリアに敗れた日本代表をトレースしたかのような、ワトフォードの試合運びのまずさが無念です。2試合連続ドローでも決しておかしくなかったチェルシーは、コンテ監督の情熱が連勝という最高の結果をもたらしました。実力伯仲のリーグ戦では、彼らのような勢いに乗ったチームが最もやっかいです。

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“【Watford×Chelsea】2試合連続で最後にジエゴ・コスタ!チェルシーを救ったセスクのスルーパス!” への3件のフィードバック

  1. シティふぁん より:

    ジエゴコスタはうまいですね
    加入してすぐにゴールを量産してたのを思い出しました
    2連勝できたチームはユナイテッド、シティ、チェルシー、そしてまさかのハルシティ
    このまま連勝を続けられるチームはあるのでしょうか

  2. makoto より:

    シティふぁんさん>
    チェルシー、勝負強いですね。ハル・シティとマンチェスター・ユナイテッドは次節直接対決で、その翌週にマンチェスターダービーですので、相手関係で連勝しそうな…を選べばチェルシーです。

  3. 雨好 より:

    更新お疲れ様です。
    粘り強さが帰ってきました!が…
    メンバーが変わらない事で引かれた相手にボールを持たされる際のアイデアが乏しいのは相変わらずでした。ただカンテやバチュアイがいい変化球になりそうです。そこをどう融合させるのか、コンテの采配に期待です。

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