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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Burnley×Liverpool】強引すぎたミドルとクロス…カウンター2発に沈んだレッズに足りなかったもの

クリスチャン・ベンテケのクリスタル・パレス移籍が発表された日に、ベンテケが恋しくなるような試合をしてしまいました。プレミアリーグ第2節、バーンリーVSリヴァプール。この時期のプレミアリーグでは、チャンピオンシップから昇格したクラブが上位クラブを倒すのが恒例イベントとなっていますが、今季の餌食はハル・シティに敗れたレスターと、いいところがなかったこの日のリヴァプールでした。開始2分、ナサニエル・クラインがララナに通そうとしたパスをアンドレ・グレイがインターセプト。自陣深くでボールを失い、すかさず最前線のサム・ヴォークスに通されては、デヤン・ロブレンとラグナル・クラヴァンのCBコンビはどうしようもありません。ファーのコースをクラヴァンが切っていたので、ロブレンがもう1歩踏み込んでいればミスを誘えたかもしれませんが、ニアに突き刺さった一撃は打ったストライカーをほめるべきでしょう。2013-14シーズン、今はレッズ所属のダニー・イングスと「驚異の42発コンビ」を組んでいたサム・ヴォークスは、自身4シーズンめのプレミアリーグで初ゴールです。

避けなければいけない失点ではありましたが、ワイナルドゥム、ヘンダーソン、コウチーニョ、フィルミーノ、ララナ、スタリッジが揃ったレッズなら、バーンリーの守備陣を崩せるはずです。しかし4分、次の決定機もバーンリー。縦パス1本でアンドレ・グレイに裏に抜け出され、ミルナーは追いつけず。ミニョレの手前でデヤン・ロブレンがカットして事なきをえますが、レッズは2点めを先に奪われるわけにはいきません。12分、フィルミーノのパスを左で受けたコウチーニョが、得意の角度から右足で巻いてゴール右隅を狙いますが、思った通りに落とせません。2分後、コウチーニョが縦に流したボールに反応し、左から突破したララナはニアのフィルミーノへのラストパスをDFに当ててしまいます。

中央を固めるバーンリーに対して、リヴァプールはサイドで優位に立つことはできても、いい形でフィニッシュに持ち込めません。23分、左のミルナーから入ったグラウンダーは、振り向きざまに右足で狙ったララナのシュートが力なくGKヒートンへ。26分のCKも、ひとりかわして打ったララナの一撃がデフォアに当たってしまい、浮いたボールはヒートンのグラブにおさまります。3分後、ナサニエル・クラインの短いパスで前が空いたスタリッジは、左足のミドルをファーポストの脇に外します。

なかなか決められないレッズが強引になったところを突いたのは、デフォアでした。37分、自陣深くからのカウンター。ドリブルでハーフラインまで持ち上がったデフォアに、クラヴァンが一発で当たりにいって抜かれたのが最初のミス。中央を単独で上がったデフォアは、右でフリーになっていたアンドレ・グレイにラストパス。ペナルティエリアに入ったグレイは、やはり一発で引っ掛けようとしたヘンダーソンと戻ったクラヴァンを簡単にかわし、デヤン・ロブレンの中途半端なポジショニングをみて左隅に流し込みました。どこか1ヵ所でも冷静に対応し、無理にタックルせずにコースを切っておけば決まらなかったゴールです。コウチーニョはミドルの精度を欠き、前半はバーンリーにとって大満足の2-0。1点までならやってもいいホームチームは、後半はさらに引いてくるはずです。

50分、ドリブルで右から中央に動いたスタリッジが預けたボールを、ダイレクトで狙ったコウチーニョの右足はヒートンが正面でキャッチ。直後に縦1本で裏のスペースを突かれ、走り込んだアンドレ・グレイに3点めを喰らいそうになったピンチは、クラヴァンが最後に触って何とかセーフ。フィルミーノの強烈なミドルはヒートンに弾かれ、左からのクロスの落としを直接打ったスタリッジのボレーは左に大きく外れます。70分にも、時折決めているゴールやや左からのミドルを打ち上げたコウチーニョは、彼の日ではないとしかいいようがありません。

クロップ監督が、スタリッジをオリギ、ミルナーをアルベルト・モレノ、ララナをグルイッチというおとなしい交代しかできなかったのは、攻撃のタレントが不足していたからです。79分、グルイッチが中央から放った左足ボレーは、ヒートンが上に弾いてゴールならず。強引なミドルとターゲットが曖昧なクロスしかなかったリヴァプールは、バーンリー守備陣をラクにさせてしまいました。追加タイム3分、ヘンダーソンのFKをワイナルドゥムがヘッドで外すと、そのままタイムアップ。クロップ監督のチームらしからぬ工夫なき攻撃と無骨な守備で、レッズはバーンリーにプレミアリーグ復帰初勝利をプレゼントしました。

ボールポゼッションは19:81。シュート数3対26ながら、枠内は2対5で2-0完敗。クロスをはね返され、ミドルは枠にいかず、致命的なカウンターを喰らったレッズの自滅を示すスタッツが残ったゲームでした。外からクロスを入れるところまではいけていただけに、ターゲットとなるベンテケがいればと振り返ってしまいそうになる皮肉な展開。しかし、意志を持って9番を売ったクラブは、引いた相手に対してどうするかを今のメンバー前提で考えなければなりません。最も可能性が感じられたのは、ララナやミルナーがペナルティエリアに入って縦に突破し、速いグラウンダーで勝負した攻撃ではないでしょうか。外からのロングクロスではなく、ダイレクトパスを使ってペナルティエリア内で縦をえぐる形を徹底できれば、バーンリーの守備陣をより混乱させられたのではないかと思います。

冷静さを欠いたコウチーニョとスタリッジのミドル。打開策なく打たされたララナやナサニエル・クラインのミドル。リヴァプールに足りなかったのは、攻めも守りも「我慢」だったのではないかと思います。一発で当たったほうがラク、コースが見えたら打ってしまったほうがラク、そんなシーンで我慢して、相手のコースを切ったりいいポジションにいる味方を使ったりできれば、縦1本しか攻め手がなかったプレミアリーグ昇格直後のチームには負けなかったはずです。開幕してまだ2戦。今後も、格下のチームに先制される展開はあるでしょう。カウンターに冷静さを失い、簡単に当たりにいってしまった主将のヘンダーソンとベテランのクラヴァンをはじめ、主力選手のみなさんには「自分たちのスタイルを貫けば決められる」「落ち着いて戦えば勝てる」という強い信念をもってプレイしていただければと思います。

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“【Burnley×Liverpool】強引すぎたミドルとクロス…カウンター2発に沈んだレッズに足りなかったもの” への9件のフィードバック

  1. おはむ より:

    クロップらしいですね、まさかの相手に負けるとは、リバプールもお笑いクラブから抜け出せないですね。

  2. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    まさかの失点でかなり浮足立ちましたね。キャラガーも指摘してますが、2戦で5失点はまずいですね。次節はスパーズです。難敵ですが、このゲームをどう糧にしていくかが浮上の鍵でしょうね。少なくとも今は昨シーズンに戻ってしまいました、、、。

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    せっかくサイドで優位に立っても、片方のサイドにスターリッジ、左のサイドバックにミルナーを置いてるようでは…、という感じでした
    昨期のドルトムント戦の逆転劇のように、右のサイドからミルナー、中のスターリッジらが合わせる、というような攻撃に活路を見出したいところでしたが、いくつかのポジションのそもそもの配置がチグハグだった印象です
    やはりスターリッジは真ん中の選手だし、ミルナーもサイドバックは本職ではなくなるべく右サイドに出やすいところに居て欲しい選手なので、その辺りを交代含めて上手く修正して欲しかったのですが…

  4. へんだーそん より:

    おっしゃる通りです。我慢が足りませんでした。強いスカッド以前の問題です。クロップが静かだったのも気になります。

  5. より:

    スタリッジ使うなら中央で使って欲しかったですね。
    突破を狙うでもないし、ボールロストも多かったし。

    今回のようにガッツリ引いた相手にはミルナーではなくモレノの方がよかったのでは?と思います。
    守備よりも攻撃面やスピードを考えて。

    あと守備は何か緩かったですね。
    キャラやルーカスのように、危険を察知してガツンと行ってくれるタイプがやはり必要です。
    ヘンドは前寄りかサイドにしてジャン入れた方が安定するんじゃないでしょうか。

    来週が怖いですねー。

  6. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    完全に自滅ですね。
    バーンリーの策にはまったものの、逆転をしなければいけない試合でした。
    試合開始直後の失点が全てだったと思いますが、攻撃のためララーナをCMFに置くのであれば中盤の底がヘンドでは無理があると思うし、なぜスタリッジが右サイドだったのかもわかりません。
    そもそもスタリッジのプレーは凡庸で全くキレがなく最初からオリジのほうがよかったと思います。
    フットボリスタの記事にありましたが、ベストメンバーを選ぶときにヘンダーソンとスタリッジを外す決断ができるかがクロップ監督の難題とありましたが、まさにその問題が露呈したと思います。
    中盤の底はチャン、トップはフィルミーノが最適で、今回の試合に限れば右にララーナ、ヘンドは一列前のほうがバランスがよかったと思います。
    外野の声を気にすることなくクロップ監督のベストメンバーを選ぶことができないのではと疑いたくなる人選と試合でした。
    クロップ監督も静かで静観していたのも気になります。
    もしくはどのような内容であろうと今季はこの布陣でいくというクロップ監督の決意かもしれませんので、我々ファンにもまだまだ我慢が必要だということですかね。
    スパーズ戦ではぜひフルパワーの試合を期待します。

  7. グローリーグローリー より:

    悪しき2面性今季も健在ですね。ボトルネック部分の強化にお金を使わず、非ボトルネック部分の強化にお金を使った分その性質は加速するんじゃないでしょうか。リバプールは今季素晴らしいフットボールでリーグを沸かせるんでしょうね。ただこの試合のような試合を乱発してしまって最終的な順位は昨季とかわらないんじゃないですかね。ベンテケを放出してしまった分、昨季より低くなることもあると思います。ただやってるフットボールは本当に魅力的です!

  8. K より:

    今年の目標は4位なんだと強く認識しました。ヘンドのスタメン縛りでは昨年以下もあり得ます。昨年からの繰り返しになりますが、1番の問題は彼です。前を向いていい形でボール貰った時に出る綺麗なロングパス以外の武器がありません。
    相変わらずモレノはチームに調和せず、ミスを繰り返し自分の道を走ってるのも問題ですが。そしてミルナーのSBはやるなら前の守備意識が高くてクロスが活きる右ですね。

    補強よりも昨季後半のカンかスチュアートで真ん中を安定させ、ミルナーまたはアレンの運動量でスペース埋めた4-2-3-1の守備を思い出すべきです。3列目にダフードやコバチッチなど目指して金を積むべきで、4-3-3をやるには完成度も個々の能力も足りません。昨年と違って戦力よりも戦い方の問題なので修正して4位に入ることを期待しています。優勝は現在の完成度では全くノーチャンスです

  9. makoto より:

    おはむさん>
    攻撃が単調になってしまいました。

    Mackiさん>
    焦りと我慢の足りなさでやられてしまいましたね。気持ちを切り替えてがんばっていただければ。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    確かに、適材適所ではなかったですね。スタリッジは中でこそ活きる選手だと思います。

    へんだーそんさん>
    内心は相当怒っていたのではないでしょうか。トッテナム戦はメンバーを変えてくるのではないかとにらんでます。

    ご さん>
    こういう相手なら最初からモレノにしてもよかったかもしれません。スタリッジについては賛成です。

    nyonsukeさん>
    この布陣でも十分勝てるだろうという気持ちがあったのかもしれません。痛いですね。

    グローリーグローリーさん>
    もっと追えるし、もっと工夫できるチームだと思います。クロップ監督の仕切りなおしに期待します。

    Kさん>
    完成度を上げにいっている時期なので、これからではないでしょうか。左SB以外は補強はなくてもいいのではないかと思います。

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