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【MAN.UTD×MAN.CITY】完成度と対応力で上回ったペップが全勝対決を制す!

プレミアリーグ4節、ここまで全勝のマンチェスター・ユナイテッドとマンチェスター・シティが、オールド・トラフォードで直接対決です。おお、これはおもしろい。モウリーニョ監督のほうが、より意図的にメンバーを変えてきました。ハル・シティ戦の先発から、落としたのはマタとマルシアル。イブラヒモヴィッチの左右にリンガードとムヒタリアンを抜擢し、トップ下のルーニー、ポグバとフェライニのセントラルMF、最終ラインとデ・ヘアはプレミアリーグ開幕から戦い続けているメンバーです。アグエロを欠いたペップは、トップにイヘアナチョを起用し、スターリング、ノリート、フェルナンジーニョ、ダヴィド・シルヴァ、デブライネの中盤はいじらず。クリシーをコラロフにスイッチしたのが唯一の変更です。モウリーニョ監督は守備を考えたのか、崩すための布陣か。穿った見方も楽観的な解釈もせずに、まずはキックオフからの戦い方に目を向けましょう。

押しているのはマン・シティ。ダヴィド・シルヴァを中盤で自由にさせ過ぎ、左右からのグラウンダーをクリアさせられる時間が続きます。マンチェスター・ユナイテッドの最初のチャンスは7分でした。速攻から4対4になり、サイドチェンジを右のムヒタリアンが落とすと、ポグバがダイレクトのミドル。ボールは落ち切らず、ブラボの指先を越えていきますが、効果的なパスだけがつながったいいアタックでした。10分、バイリーのファールでつかんだ直接FKは、コラロフのシュートがデ・ヘアの頭上にアウト。攻められているマンチェスター・ユナイテッドが、最終ラインで何とかカットするシーンが目立ちます。

15分、怖れていたことが起こりました。ブラボ、コラロフから一発でロングフィードが前線に出ると、イヘアナチョの落としを受けたデブライネがトラップでブリントを抜き去ります。1対1となり、デ・ヘアのポジションを見たデブライネは空いていた左隅に文句なしのシュート。プレミアリーグ最少の1失点ながら、前線の連携が課題のマン・ユナイテッドにとっては、難しい展開になりました。攻め返したいホームチームは、厳しいプレスにパスコースを塞がれ、イブラヒモヴィッチやムヒタリアンのミスパスからピンチを招きます。25分にルーニーから始まったカウンターは、右に出たスルーパスを受けたムヒタリアンのクロスをコラロフがカット。30分には、ノリートの侵入を防いだフェライニのクリアが甘く、サニャのボレーがバーすれすれを襲います。

左サイドのノリートは、プレミアリーグで何年もプレイしてきたようにバレンシアの攻め上がりを封じています。彼とダヴィド・シルヴァ、コラロフのパスワークをマン・ユナイテッドがチェックできず、ボールを奪うのは深い位置にいるフェライニやブリント、バイリーです。36分、ホームチームはまたもデブライネにやられてしまいました。イヘアナチョとバイリーが競ったこぼれ球をデブライネが拾うと、切り返しでリンガードとブリントを簡単に振り切り左足シュート。ポストに当たったボールがイヘアナチョの真ん前にこぼれ、イージーなシュートがデ・ヘアの脇を抜けます。0-2は、完成度の差。重いビハインドを背負って折り返すのかと意気消沈しかけていると、42分にマンチェスター・ユナイテッドが予想外のゴールを奪います。

高く浮いたルーニーのFKは、ブラボがキャッチして終わりかと思いきや、プレミアリーグデビュー戦の守護神がジョン・ストーンズと接触してまさかのファンブル。ルーズボールがイブラヒモヴィッチの真ん前に浮けば、強烈なボレーを覚悟しなければなりません。それにしても、完璧でした。エースのプレミアリーグ4発めが左隅に刺さって1-2。これで空気が変わりました。47分には、ブラボとサニャの連携のまずさを突いたリンガードがボールを奪い、イブラヒモヴィッチにラストパスを流すも弱いシュートはジョン・ストーンズがブロック。折り返しで1点差なら、勝負はどう転ぶかわかりません。

モウリーニョ監督は、ハーフタイムにムヒタリアンとリンガードを下げて、ラシュフォードとエレーラで勝負。ラシュフォードはキックオフから素晴らしい突破を見せ、47分には左からドリブルで上がると、ジョン・ストーンズを抜き切らずに浮き球をズラタンへ。ボレーはコラロフのブロックに阻まれますが、前半のポゼッション35%が嘘のような変わりようです。ペップは53分にイヘアナチョをフェルナンド。デブライネをトップに据え、フェルナンドに中央のスペースをケアさせます。56分、切り返しが大きくなったブラボが、詰めてきたルーニーに先着したものの、足を削る格好となりオールド・トラフォードは大ブーイング。プレミアリーグの洗礼を受け続ける守護神は、落ち着きを取り戻さないといけません。

さすがペップ。フェルナンド投入以降、真ん中の危機は消え去りました。59分、スターリングを諦めてプレミアリーグ初登場のレロイ・サネを入れたのは、今までのゲームと同様に、自陣で奪ってカウンターを狙う「後半の戦い方」への完全シフトでしょう。66分、ルーク・ショーのロングフィードをフェライニが落とすと、イブラヒモヴィッチのボレーはバーの上。70分、ルーニーの長―ボールにラシュフォードが走ったカウンターは、右足のシュートがネットを揺らすもズラタンに当たってオフサイド。マン・シティの脅威はサネです。右から仕掛けるドリブルは、ルーク・ショーのケアだけでは不安です。75分には、右サイドを上がったサネの縦パスをデブライネが狙うと、本日2度めのポスト直撃!リスクを取らなければならないマン・ユナイテッドは、デブライネ、ダヴィド・シルヴァのシンプルな速攻に再三ヒヤリとさせられます。

さあ、マルシアルです。下がるのは何とルーク・ショー。残り10分、最後の勝負です。オープンな展開のなか、86分に中央から抜け出しかけたフェルナンジーニョは、大黒柱のバイリーがストップ。ルーニーやブリントが放り込み、ズラタンとフェライニが落としてマルシアル、ラシュフォード、ポグバが狙うというモウリーニョ監督のスクランブルは合理的だったと思いますが、ジョン・ストーンズとオタメンディを中心としたマン・シティの最終ラインには隙がありませんでした。本職ひとりの3バックで攻め立てたマン・ユナイテッドは、前半の失敗をリカバーできないままにタイムアップを迎えました。

完成度が高いほうが勝った。相手をよく研究していたほうが勝った。冷静だったほうが勝った。そんな試合だったと思います。プレミアリーグ3節のウェストハム戦から、アグエロ以外でたったひとり代えてきたコラロフが、守勢を強いられると弱いムヒタリアンとバレンシアのサイドを咎めるキーマンでした。この1週間、デブライネとダヴィド・シルヴァが怖いといい続けていたのですが、やはり彼らはスーパーだったと思います。的確な選手交代をしたペップと、最後まで耐えたマンチェスター・シティをリスペクトするべきゲームでした。

モウリーニョさんは、後半頭に指示したであろうラッシュで同点にし、しつこいパワープレーで勝ち点3という算段だったのだと思われますが、ラシュフォードを入れてからフェルナンドが出てくるまでの10分弱が勝負の分かれ目。ここで追いつけず、ペップに対応されたところで勝ち点3は遠のいてしまいました。両指揮官とも、見応えのある采配を見せてくれたエキサイティングな一戦。今日は負けましたが、連携の質が上がれば、エティハドで仕返しさせていただいたうえでプレミアリーグ優勝を実現できるのではないかという手ごたえがあります。熱かった。惜しかった。そしておもしろかった!結果以外は、期待にたがわぬマンチェスター・ダービーでした。

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“【MAN.UTD×MAN.CITY】完成度と対応力で上回ったペップが全勝対決を制す!” への9件のフィードバック

  1. シティふぁん より:

    前半はかなりシティペースでした
    ブラボのミスがなければもっと圧倒していたかも
    昨季上位陣に勝てず久しぶりの勝利が素直に嬉しいです
    新しく移籍して来た選手が低パフォーマンスでしたが
    これからペップのもと連携が深まり良いパフォーマンスを期待してます

  2. Man.Blue より:

    シティはメンバーこそ出場停止のアグエロ以外変えませんでしたが、
    戦い方はこれまでとは大きく違いましたね。
    これまでの両SBが中に絞る戦法を取らず、ワイドに開く戦法を取っていました。
    ユナイテッドのサイド攻撃とクロスを警戒して、
    こちらからサイド攻撃することで
    相手選手を自陣に押し込めようという算段だったのかもしれませんね。
    結果として上手くはまったようで、見ごたえのある好試合になりました。
    そして何より勝てたのが良かった。終盤のユナイテッドの波状攻撃は怖かったです…

  3. Man.Blue より:

    すいません何故か誤爆して二重書き込みになりました…失礼しました

  4. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    ユナイテッドは前半2失点が誤算でしたが、イブラのゴールで息を吹き返しましたが、あと一息でしたね。ダービーらしい展開でニュートラルに観ていても面白かったです。

  5. yuto より:

    堅守速攻がモウリーニョの武器なのでラッシュフォードがトップの方が良いのでは?
    イブラはカウンターになったときにあれじゃしんどいでしょう
    ユナイテッドは選手揃えてやるサッカーが放り込みばかり…
    熱く面白い試合でしたが第4節ではなくお互いもっと戦術が浸透してから試合が良かったですね

    —–
    前半の2失点するまではバレンシアとショーはシティの攻めに抑え込まれ、攻撃に参加できないなど非常に歯がゆい展開でした。
    そこから修正し巻き返したモウリーニョ監督、相手の勢いを落ち着かせたグアルディオラ監督は両者ともお見事です。
    負けたことにはショックですが、シティの方が勝利にふさわしかったですね。
    大きな期待を裏切らなかった熱いゲームに大満足です。

  6. mufc7 より:

    予想通りな結果になってしまいました。裏目にでてしまったリンガードとムヒの両ワイド、チグハグな攻撃と選手、監督ともにさえなかったです。ペップの率いるチームには演技力が付き、審判がコントロールされますね。まぁジャッジの前にシティとの差が歴然としていて、あらゆる補強を早めにしてそれなりの戦力を揃えてもモウリーニョではペップに勝てないのかなと思いました。モウリーニョが二、三手先を見れるのなら、ペップはさらにその先が見えているのかなと。この差は選手達と団結力で埋められていくといいのですが……

  7. のこ より:

    とても悔しいですが、現時点の完成度はシティが上でしたね。
    後半最初の攻勢で1点とれていれば、また違った展開もあったかもしれませんが、ペップとシティの選手はさすがにそれを許してくれないレベルの高さです。
    しかしデブライネは恐かった。彼が前線でボール持つ度に拳を握りっぱなしでした。

  8. 赤に白袖 より:

    シティふぁんさん>
    まともにシュートを打たせてもらえず、完敗でした。想像していたとおり、バレンシアのサイドを狙われてしまいました。エティハドではお返しできるぐらいまで、チーム力が上がってくれればと思います。マン・シティは素晴らしい勝利でした。

    Man.Blueさん>
    いえいえ、お気遣いなく。サイドを制圧しようとしていたのでしょうね。クリシーではなくコラロフというところに意志を感じました。モウリーニョさんの放り込み戦術も、練習していたのだと思います。選手に迷いはありませんでした。

    Mackiさん>
    デブライネが素晴らしかったですね。完敗でした。

    —–
    どちらも贔屓のチームでない私は純粋に楽しむことができる良いダービーでした

    前半40分までのシティの圧倒はすごかったですね
    アグエロが不在でもこれだけの力があるのは脅威です

    シルバとデブライネはもちろんですがフェルナンジーニョもこの試合は素晴らしかった
    終盤の足をつるまで前線にも顔を出せるとは、、、(笑)

    両チーム戦術の洗礼された後半戦での対決はより見物ですね

  9. makoto より:

    シティさぽさん>
    放り込みは、意図的にやったのでしょう。フェライニやルーニーのポジショニングをみて、かなり練習したんだろうなと思いました。カウンターだけを考えればラシュフォードかもしれませんが、ズラタンのシュート力は捨てがたく、オプションとして2トップで戦ってもいいのではないかと思いました。

    yutoさん>
    フェルナンドでペップが中を締めた後、モウリーニョがフェライニを上げて…と、見応えのある戦いでしたね。おっしゃるとおり、マン・シティが勝者にふさわしかったと思います。

    mufc7さん>
    スタメンは空振りでしたが、相手が嫌がりそうな放り込みをチョイスしたことも含めて、戦術的にはおもしろいなと思いました。エティハドでリベンジさせていただきましょう。

    のこさん>
    わかりますわかります、デブライネ!0-2とされたときは、0-5はさすがに嫌だなとやられる心配のほうが先に立ってしまいました。

    —–
    赤に白袖さん>
    前半のパスワークは圧巻でした。フェルナンジーニョ、よかったですよね。再来週はエミレーツですね。どちらも贔屓のチームでない私は、純粋に楽しみたいと思います(笑)

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