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【Sunderland×Everton】11分の衝撃!ルカクのハットトリックでエヴァートンが3位に躍進!

プレミアリーグ4節最後のゲームは、サンダーランドVSエヴァートン。マンデーナイトに観客を呼ぶコンテンツとしては迫力に欠ける組み合わせかと思いきや、スタジアム・オブ・ライトには4万人を超える熱きサポーターが集まったようです。私は、元よりこの試合には興味があったのです。サンダーランドの指揮官は、いわずと知れた元マンチェスター・ユナイテッドのデヴィッド・モイーズ。彼の下には、ジョン・オシェイ、ドナルド・ラブ、パディ・マクネア、アドナン・ヤヌザイと、オールド・トラフォードで戦っていた選手が揃っています。「この4年間、毎年プレミアリーグ残留を争い続けていたチームが、どうして突然変わるといえる?事実はごまかせない。みんな飛躍的に何かが変わると願っているだろうが、そんなことはありえない」と語ったモイーズ監督が、自らが礎を築いたエヴァートン相手にどんな試合をするのかと想像すると、ついつい観たくなってしまいます。

片やクーマン監督は、サウサンプトン時代から素晴らしい指揮官だと注目していたのですが、新しいチームでどんなサッカーを…おお、ベストメンバーじゃないですか!みなさん、確実に強くなった今季のエヴァートンを紹介させてください。

GKステケレンブルク、DFはジャギエルカ、アシュリー・ウイリアムズ、レイトン・ベインズのベテラン勢と復帰したシェイマス・コールマン。ギャレス・バリーとグイェがセントラルに入り、ロス・バークリー、ミララスと今季プレミアリーグ初先発のヤニック・ボラシェが2列め。トップはもちろんロメウ・ルカクです。GK&DFの平均年齢31.4歳は、プレミアリーグ最高齢ではないでしょうか。27歳のコールマンが若くみえる最終ラインは、スピードがない代わりに安定感は抜群です。

開始50秒、さっそくコールマンが右から仕掛けてクロスが入ると、中で競り合ったルカクの抜け出しより一瞬早くGKピックフォードがキャッチ。エヴァートンの攻勢でゲームが進みますが、10分にサンダーランドが決定機をつかみます。右サイドからのパスを受けたヤヌザイが左足に持ち直して中央からシュート。DFに当たり、ステケレンブルクとデフォーの間に落ちたボールは、プレミアリーグ15ゴールのストライカーが先にタッチしたものの、ハーフバウンドを打ち上げ、大きく枠を外れてしまいました。13分、右サイドのボラシェが上げたクロスはルカクの頭にぴったり。シュートはピックフォードが左手を出して弾きましたが、今季はこの2人がホットラインといわれるようになるかもしれません。ルカクは19分にもロス・バークリーの緩い縦パスをジロポジを背負いながらトラップし、倒れ込んで左足シュート。ホームチームのDF陣が、調子がよさそうなエヴァートンのエースを止めるのは難しそうです。

40分にゴーチのクロスがゴール右隅に向かっていきますが、ステケレンブルクが下がりながらクリア。ボラシェやミララスに素早くパスを出し、アグレッシブな両SBがフォローするエヴァートンのサイド攻撃をサンダーランドは抑えきれないでしょう。2列めの選手がルカクとともにゴール前に飛び込み、ジロポジとキルヒホフを攪乱する形を作りたいところです。45分に左から上がったボラシェがミドルを上に外すと前半が終了。劣勢のサンダーランドが先にゴールを奪えば、勝負はおもしろくなります。クーマン監督は、ハーフタイムにロス・バークリーを下げ、デウロフェウに突破を託します。

47分、デウロフェウがさっそく中央からドリブルで仕掛けると、ルカクへの縦パスは惜しくも通らず。51分に左に流れてパスを受けたデフォーの強引なシュートは、アシュリー・ウイリアムズがコースを切っています。直後のCKは、ラミーヌ・コネのヘッドがステケレンブルクの正面。53分に最終ラインの裏に飛び出したデウロフェウがシュートを放つと、DFに当たったボールをグイェがすかさずコールマンへ。渾身の右足シュートは、ルカクが触ってコースを変えるもわずかにポストの外です。ここまで耐えていたサンダーランドは、10分ちょっとの華やかなショーで勝ち点3を諦めることになります。

主役は、昨季プレミアリーグでは18発を決めたものの、新チームでゴールがなかったロメウ・ルカク。60分、ヴィラから来たグイェが浮かした正確なクロスが、ゴール前やや左でフリーになっていたルカクを捉えました。エースはセオリーどおりにヘディングシュートをGKの足元に叩きつけ、0-1。イージーなシュートだったからか、決めた本人はクーマン監督ほど喜びません。これでサンダーランドの守備陣は大混乱。ルカクに完全に負けていたジロポジは66分にも簡単にかわされ、右足の強烈な一撃がバーを叩きます。68分、エースの2発めは、左からマンキージョを抜き切らずに上げたヤニック・ボラシェの完璧なクロスからでした。ジロポジはボールウォッチャーとなり、ルカクはどフリーでヘディングシュート。これも簡単、手柄はアイツだといいたげに、ルカクはボラシェを指さしています。

ハットトリック達成は71分。デウロフェウの落としを中央でもらったミララスがCBの間をスルーパスで切り裂くと、完全に抜け出したルカクがGKのポジションを見て左隅に流し込みました。あまりにシャープなベルジャン・コネクション。ミララスのパスの精度もさることながら、早いタイミングで「コースがあるからラインの裏に出せ」とジェスチャーで要求していたルカクの状況判断がスペシャルでした。3発すべて、ルカクをまったくチェックできなかったジロポジにしてみれば、切れ味が凄すぎて痛みを感じないまま息の根を止められた感覚でしょう。プレミアリーグのトップクラブのDFたちは、昨季にもましてトフィーズの10番をケアしなければなりません。

何度も速攻を許し、ルカク、デウロフェウ、アルナ・コネらにシュートを打たれ続けたサンダーランドは、いいところなく0-3で撃沈しました。モイーズ監督は1分3敗でストークと勝ち点で並ぶブービーポジション。守備を立て直せなかったロベルト・マルティネス監督からクーマン監督にバトンタッチしたエヴァートンは、3勝1分で3位に躍進し、2失点はプレミアリーグ最少です。決して合流は早くなかった新戦力のグイェ、ボラシェ、アシュリー・ウイリアムズが完全にフィットしているあたりに、クーマン監督のチームづくりのうまさを感じます。セインツをプレミアリーグ6位に押し上げた名将は、戦力で勝るエヴァートンならもっと上…CL出場権争いに食い込むかもしれません。レスターとウェストハムだけでもやっかいだったのに、今季は上位のバトルに乱入してくるチームがもうひとつ、増えそうです。

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“【Sunderland×Everton】11分の衝撃!ルカクのハットトリックでエヴァートンが3位に躍進!” への8件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    ゲームを観ていないので、管理人様の記事からのコメントになってしまいますが、トフィーズはクーマン体制になってから早々に厄介なチームになりそうなのと、ルカクが本来の能力を出してきた感じですね。逆にサンダーランドは負のスパイラルが継続中ですね、、、これはまずいですよ、、、。

  2. makoto より:

    Mackiさん>
    ルカク、すごかったです。5~6発決めてもおかしくないぐらい、ジロポジを圧倒してました。エヴァートンは、CBにケガが多発しなければ、4位争いに食い込んできてもおかしくありません。サンダーランドはジロポジをはじめDFラインがこれでは厳しいですね。モイーズさんが、いつ頃までに食い止められるかです。

  3. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    私も試合をみていないでのコメントお許しください。
    これはまずいですね、Mackiさん・・・。
    レッズが落ち、トフィーズが4強なんてことになったら・・・、もちろんマン・ユナイテッドは優勝争いですので、ライバルクラブに置いてかれてしまいます 泣。
    私はちょっとエヴァートンの補強が地味だなと思い、本腰は来年かと油断しておりましたが、主力の流出をストーンズのみに押さえルカク残留、クーマン招聘が最大の補強だったとは・・・。
    選手層は厚くないと思いますが、ルカクに加えバークリー等の他選手がクーマン監督のもと本来の力、いやこれまで以上の力を発揮してくればトップ4争いに絡んでくること必至ですね・・・。
    これはやばいですよ・・・。

  4. おハム より:

    ウェストハムは今年も旋風を巻き起こしたいのですが…
    新スタジアムでは伝統芸の暴行事件が相次ぎ、選手間ではEL予選敗退のストレスが、ワトフォード戦で爆発し 主力選手達が監督への不信感が募っていると噂されています。こんな噂が出ているので、現場は穏やかではなさそうですね…次節も心配です

  5. トフィーズ より:

    更新お疲れ様です。

    この試合はまさに完勝でした。
    代表ウィークからハットトリックとルカクが徐々に調子を上げてきたところに、コールマン復帰。
    マッカーシー離脱を感じさせないグイェやボラシエら新戦力の活躍で3連勝とやはり今季のトフィーズには期待してしまいます。

    まだトップクラブとの試合は無いですが、今季は上位陣を苦しめてくれるのではないでしょうか。

    トップ4→CL→ルカク残留……まだ気が早いですね。

  6. K より:

    今は3位ですが対戦相手は現在20位と19位とWBAとホームでデンベレ抜きスパーズ。
    ボランチ増やして酷かった守備を締めたクーマンは見事ですが、去年のセインツの方が選手の質はかなり上。行けて勝点60でEL争いとみます

    トップ下もWGも決定力が微妙な2ボランチの4-3-3でボールを見てルカクを見てないジロポジ!
    決めて当然の至近距離フリーシュートを3回も許す辺りチェルシーで1試合も出られないのも納得です
    サンダーランドのDFラインは新加入多すぎて判断に困りますが、前線のタレントと監督のサッカーの得意どころも違うし、エムヴィラのレンタル終了もあるし冬の劇薬がなければ私は降格候補の筆頭に賭けます
    CLのために欲しいと思う選手が1人も居ないこの2チームから勝点8取れないチームはまずCLには届かないな、と私は思いました

  7. makoto より:

    nyonsukeさん>
    ベテラン勢が元気になった感があり、新戦力のフィットが早いです。おっしゃる通り、ルカクとクーマンが最大の補強ですね。

    おハムさん>
    負傷者が多かったからとはいえ、選手がダブついているのが気になります。

    トフィーズさん>
    ボラシェとルカクはホットラインでしたね。今後が楽しみです。

    Kさん>
    ストークは最下位ですが、他は「12位と”デンベレ抜きでも強いトッテナム”」ですね。昨季のセインツはほとんどの試合を観てますが、ファン・ダイクとシェーン・ロング、タディッチが働いて6位に食い込んだものの、好不調の波が激しい選手が多かったうえにシュナイデルランの穴が質的に埋まらなかったセントラルMFとSBを固められず、年末は大スランプでした。ペッレやバートランド、ワニャマは前年のほうが総合力で秀でていたように思います。昨季のセインツは今のエヴァートンに負けないというぐらいの表現ならば、なるほどと思うものの、「かなり下」ということはないのではないでしょうか。少なくともユーヴェにとっては、ルカクは「イグアインが獲れなければCLのためにほしい選手」だったはずです。

  8. K より:

    サウサンプトンより 誤 かなり 正 微妙に 劣るので行って勝点は60 台中盤 くらい
    かなりは間違えました。申し訳ありません。
    バークリーやバリー、グイェのレベルはワニャマと大差ないし、マネに加えてバック4にユーロ優勝メンバー2人とプレミアのGKで最高のスタッツを出したフォースター抱えた去年のサウサンプトンのタレントの総合力は波長があえば強豪クラブを倒せるほど高いですが、今年のエヴァートンに強豪クラブを倒せるほどのタレントは感じません
    正 プレミアで CL 目指す ために
    私の中ではイグアイン、アグエロ、イブラ、コスタ、スタリッジ、ケイン、ヴァーディ>>ルカク=ジルー>ペッレ>マンジュキッチなので
    プレミアでCL目指す戦力としては不要です

    若いが完成したルカクよりも選手のレベルが上なので高値でピーク年齢のイグアインを取るユーベのスカウトは優秀だと思います

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