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【Arsenal×Swansea】好調ウォルコットとエジルが決めて、アーセナルが天敵スウォンジーを振り切る!

プレミアリーグにおける最近10試合の対戦成績は4勝1分5敗。アーセナルにとって、スウォンジーは天敵といっていい存在です。ヴェンゲル監督は、ボブ・ブラッドリー監督の初陣となるやっかいなアウェイチーム相手に、ベストメンバーを揃えてきました。GKチェフ、DFベジェリン、ムスタフィ、コシールニー、モンレアル。ジャカとカソルラがセントラルに入り、2列前はエジル、イオビ、ウォルコット。トップはもちろんアレクシス・サンチェスです。新監督のチームは、シグルズソン、フェル、ルートリッジ、ジャック・コークなどおなじみのメンバー。トップにバローを据えた以外に、新しさはありません。プレミアリーグ5連勝、公式戦9戦連続無敗のガナーズは、立ち上がりからスウォンジーを圧倒。4分には波状攻撃からイオビが左足を振り抜きますが、DFに当たって枠を外れます。

5分を過ぎるとスウォンジーが反撃。右からのバローの突破は、コシールニーが体を入れてシュートコースを遮ります。12分、右からのCKに合わせたジルー…いや、ムスタフィのヘッドは、ファビアンスキの指先を抜くもクロスバーを叩いて上に外れます。アーセナルは、ペナルティエリアの手前までは運べるものの、中央でスワンズの守備陣に囲い込まれて効果的なラストパスが出せません。19分、スウォンジーはまたも右からバローが上がると、絶好のラストパスを受けたフェルはダイレクトショットを打ち上げてしまいます。21分にはエジルが左サイドでフリーになり、ラストパスはコースがあった中央のジャカに出ますが、大事に打とうとしたセントラルMFの一撃はDFがブロック。負ければプレミアリーグ降格圏にまで落ちるアウェイチームは寄せが速く、よく守っていたのですが、27分に致命的なミスを犯してしまいました。

前線に上がっていたウォルコットがイオビからの楔をアレクシス・サンチェスに落とすと、ダイレクトの浮き球が右のベジェリンへ。頭で中に入れたボールはアマトが先に触りますが、トラップが大きくなったところを背後から迫ったウォルコットがさらってプッシュし、ガナーズが先制です。勢いに乗ったホームチームは29分、縦パス1本でアレクシスが裏に抜け出し、左ポストをかすめるループシュート。その2分後、左に流れていたウォルコットにスルーパスが通ると、ダイレクトで浮かしたボールが逆サイドのエジルに渡り、追い越したベジェリンのシュートはファビアンスキが飛び出してぎりぎりで体に当てます。ここからのCKでした。こぼれ球というものは、えてして好調な選手の目の前に転がります。ジャカが競って落ちたボールを中央からどフリーで蹴り込んだのは、またもウォルコット。昨季プレミアリーグで5ゴールだった14番は、8試合めで早くも同じ数字に乗せました。

アーセナルの楽勝ムードは、38分のジャカのミスで怪しくなります。敵陣で強引なドリブルを引っかけたのは、正確なシュートが持ち味のシグルズソン。コシールニーが必死に間合いを詰めたものの、左隅を狙い澄ました一撃に名手チェフも何もできません。ここから押し込まれたアーセナルは、41分に右からのクロスをシグルズソンに狙われますが、ムスタフィの的確なプレッシャーでシュートは外に逸れていきます。ガナーズは、前半終了間際にもシグルズソンのFKをアマトに合わせられるピンチがあったものの、チェフが冷静に抑えました。2-1と僅差ながら、アレクシス・サンチェスとウォルコットの動きがいいホームチームは、開始当初のペースを取り戻せれば、後半も先にゴールを奪えるでしょう。

後半が始まって5分も経たないうちに、試合はオープンな展開となります。相変わらず右から仕掛けてくるバローはコシールニーが何とか抑え、左サイドから隙を窺うアーセナルは何度も裏へのパスを止められます。54分、ボックスの左でイオビがフリーになった決定的なチャンスは、クロスのルーズボールを狙ったウォルコットの左足シュートをファビアンスキがキャッチ。攻勢のガナーズは、58分に例のコンビが3点めをゲットします。右からノーステップで逆サイドに上げたのはアレクシス・サンチェス。ファーに走り、強烈なボレーをバーすれすれに叩き込んだのはメスト・エジルです。7番のクロスを11番がボレーで決める形は、今季プレミアリーグで早くも3発め。今度こそ決まりかと思いきや、66分にスウォンジーが完璧な崩しで1点差に迫ります。

右からドリブルでゴールライン際まで持ち込んだのは、やはりバロー。モンレアルがついていたものの、フェイントでタイミングを外して左足で出したクレバーなグラウンダーに、アーセナル守備陣の足が止まります。コシールニーは、5分前に入ったばかりのボルハ・バストンのマークを外してしまいました。ダイレクトでチェフの脇を抜いたニューフェイスの一撃は、プレミアリーグ初ゴールです。68分にイオビをコクランに代えたヴェンゲル監督は、その2分後に難しい状況に追い込まれました。明らかにボールに届かない状況で、後ろからバローにスライディングをかましたジャカが一発退場です。今日の彼は、いいところがありませんでした。10人になったガナーズに対して、ブラッドリー監督はすかさずジャック・コークをキ・ソンヨン。76分、左のルートリッジがラインの裏にクロスを出すと、ノーマークのバローが放ったヘディングシュートはチェフががっちりキャッチします。

80分、右からのクロスに絶妙なタイミングで走り込んだシグルズソンは、DFが気になったのか決定的なシュートを上に外してしまいました。ヴェンゲル監督は、アレクシス・サンチェスとエジルを下げて、ギブスとチェンバレンの「アンドレ・マリナー人違い事件コンビ」を投入。ギブスとモンレアルの「SB二段重ね弁当」で脆弱だった左を固め、バロー対策を敷いたものの、怖れていたアタッカーは痛めた足を引きずり、ランヘルに後を譲りました。84分、カウンターから左でパスを受けたウォルコットは、切り返しから淀みない動きで右隅を狙うもボールはポストを直撃。プレミアリーグ2014-15シーズンの最終戦以来、1年5か月ぶりとなるハットトリックはお預けです。

スウォンジーはハイクロスで同点をめざしますが、フェルやシグルズソンのヘディングシュートは、チェフが冷静にキャッチ。94分、自陣から素晴らしいスピードで縦に突破したチェンバレンが2対1の形を創り、最前線を走るウォルコットに今度こそ決めてくれとラストパスを通しますが、好調のアタッカーはGKがいないゴールに転がせばよかった絶好機をバーに当て、4点めは決まりません。前半は完璧、後半は外しまくりの14番は、結局ハットトリックはならず。アーセナルは、天敵に苦戦させられながらも3-2で逃げ切り、貴重な勝ち点3をゲットしました。

スウォンジーのサイド攻撃は徹底度が高く、バロー、フェル、シグルズソンらがいいポジションに入ってきていたのですが、フィニッシュに精度を欠いたのが命取りとなりました。4試合連続クリーンシートだったアーセナルは、不安定な守備を最後まで修正できず。モンレアルはバローに翻弄され、ボックスに走り込んできた選手のマークが曖昧になるシーンが目立ちました。クロスに対する守り方をいま一度修正しないと、上位との対戦ではやられてしまうでしょう。

一方で攻撃は、ダイレクトパスが効果的だった前半、カウンターが冴えた後半と、今季のチームらしい多彩な崩しで数多くの決定的なチャンスを創りました。アレクシス・サンチェスとウォルコットの2トップというべきか、偽9番が2人いるゼロトップというべきか。目立ったのはラインの裏に再三飛び出してきた2人とエジルでしたが、スペースが空いたと見るやタイミングよくパスを通していたイオビもまた、素晴らしかったと思います。きわどい試合をすべて勝ち点3で終わらせているガナーズは、これで10戦無敗です。次戦はルドゴレツ、さらにミドルズブラ、レディング、サンダーランド、ルドゴレツですので、ノースロンドンダービーまでは無敗記録を伸ばすのではないでしょうか。課題はありながらも勝負強さを見せて、ペップのチームに勝ち点で追いついたガナーズは、昨季よりもプレミアリーグ制覇に近いところにいるのではないかと思います。

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“【Arsenal×Swansea】好調ウォルコットとエジルが決めて、アーセナルが天敵スウォンジーを振り切る!” への8件のフィードバック

  1. おはむ より:

    昔のアーセナルがとっていた戦術に戻しと思います。
    無理やりなパスサッカーをやめ、パスサッカーを軸としたカウンターチームに

  2. ミハル より:

    ジャカの悪い部分が出ましたね^^;
    気性が荒いと聞いてはいましたが、
    あれはダメですね。大切な選手なんだから、
    劣性になっても冷静でいてほしいです。
    ウォルコットは良かったですが、
    もう一点、二点決めてくれたらもっと楽な
    展開になりました。ただまあ、面白かったですけどね^^

  3. ゆうま より:

    後半の後半は見ていてとても胃が痛くなる試合でした…左サイドが穴というのがバレてしまいましたね
    モンレアルの調子が上がらないのもありますが、イウォビのサイドの守備貢献が低めなのではと思います。マッチアップが足の早いWGならギブスとコクランをスタメンで解決策に…
    打って変わって前半〜後半途中までの攻撃は見ていて胸の高まるものばかりでした!ペップサッカーとまではいきませんが、ポジションの概念を半分捨てたような流動性に惚れ惚れしました。
    例年なら今日の試合展開でスワンズだと絶対勝ち点落としてたと思います。今年こそは!ジャカ切り替えて頑張れ!!!
    長文失礼しました

    —–
    ウォルコットの試合になるかと思っていましたがジャカの試合になってしまいましたね(苦笑)
    ムスタフィが入って最終ライン付近で繋いで繋いでということが多くなりましたので攫われる
    危険が増すのは仕方がありませんが、カバーリングなどの守備の連携を深める必要性を感じました

  4. ヤンガナ大好き! より:

    攻撃に関しては観るべきところ満載でしたが、守備が頂けませんでしたね。漸く右サイドのベジェリンの調子があがってきましたが、如何せんモンレアルがスピードでぶち抜かれるシーンが目立ちました。ボランチジャカ、左ウィング イオビのカバーリングを含め、開幕から改善されていません。

    そんな中で、攻撃はイオビの展開力が存分に発揮されていました。ドリブルよし、パスよし、シュートよしと三拍子揃ってました!ウォルコットはハットトリックを惜しくも逃したものの見違えるようなオフザボールの動きでしたね。そして、最後にシャドーストライカー、エジルのスーパーシュート!この、ゼロトップフォーメーションでは、ドイツ代表でのエジルの役割と同様、そのストライカーぶりがはまってますね!

    ジャカがレッドとなりましたが幸いコクランが戻ってきたので、何とかなりそうです!これから暫く引いて守る相手が続き、CL等で連戦となるのでターンオーバーでルーカス ワントップオプションも是非試して欲しいです!

  5. ガナユ より:

    エジルは点を決める能力に欠けると思っていたのですが使い方次第なんですね。サンチェスワントップもハマってますし改めてヴェンゲル凄いなと。これで守備ブロックもうまくハマれば終盤まで優勝争い出来そうです。

  6. queen より:

    ジャカが誘っているリカルドロドリゲスがほしくなるような後半でした。
    もっと中盤の強度を高める選手に頑張ってほしいです。個人的にはエルネニーもうすこし使ってほしいなあ。
    ウォルコットはジキルとハイドの様な試合でしたね。伝説に残ったクライファートのようになっていくのでしょうか。

  7. あじゃ より:

    ジャカの良いプレーも有ったよ
    サンチェスへのロングパスや
    2点目のコーナー取った起点になるパス

    ダッシュが嫌いなのは感じた
    レッドになったプレイもダッシュしたく無かったんだろうね
    コクランと同じ役割は出来ない分
    カソルラと組むと辛い

  8. makoto より:

    おはむさん>
    そんなに無理矢理なパスサッカーはしていないのではないでしょうか。

    ミハルさん>
    やっちゃいましたね。ウォルコットのシュートは、後半別人みたいになっちゃいましたね。動きはとてもよかったのですが。

    新米グーナーさん>
    モンレアルがいいときの彼ではないのもありますが、バローがキレキレでした。攻撃は、昨季以上に魅力的ですね。

    ゆうまさん>
    前半のミスを引きずってしまったのでしょうか。試合をおもしろくしてしまいましたね。

    ヤンガナ大好き!さん>
    イオビ、パスワークがよかったですね。エジルはベルカンプだ!と思いました。

    ガナユさん>
    ジルーがいないから…ではなく、狙ってここまでもってきたのだとすれば、ヴェンゲルさんの学習能力と未来予測力はすごいです。おもしろいシーズンになりそうですね。

    queenさん>
    私も、エルネニーをもっと使えばいいのにと思います。彼のさりげないパスコースを切るポジショニングは素晴らしいです。

    あじゃさん>
    みなさん、いいプレイがあったのはわかりつつ、失点に直結したプレイとボールにいかないレッドはカンベンしてね、とおっしゃっているのではないでしょうか。

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