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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Leicester×MAN.UTD】わずか6分の崩壊劇…迷将ラニエリの不可解采配でレスターは5戦連続無得点!

1年前の堅守と鋭いカウンターは、見る影もありません。暫定ながら、降格ゾーンの18位ハル・シティに勝ち点1差に迫られたレスターは、迷えるラニエリ監督が最適な布陣を探り当てられず。年明けのプレミアリーグで1分3敗、ゴールなしと絶不調です。昨季はプレミアリーグ36試合出場17ゴール11アシストでPFAの最優秀選手に輝いたマフレズが、PK以外ノーゴールでアシスト2という厳しい状況に陥るとは、誰も予想できなかったでしょう。岡崎慎司とヴァーディの2トップ、マフレズとムサのアウトサイドは、久しぶりのゴールを決められるでしょうか。

一方のマンチェスター・ユナイテッドは、プレミアリーグ14試合連続無敗ながら、直近3試合をドローと停滞中。ズラタン頼みの攻撃陣がフィニッシュの精度を上げられなければ、1年前と同様に、サポーターから「アタック!」と煽られそうです。モウリーニョ監督のスタメンは、GKデ・ヘア、DFバレンシア、バイリー、スモーリング、ロホ。アンカーのエレーラの脇にポグバとマタが入り、ラシュフォード、イブラヒモヴィッチ、ムヒタリアンの3トップです。

立ち上がりから押しているのはホームのレスター。4分、マフレズが左から上げたクロスは、セットプレーの流れで残っていたフートに向かいますが、ロホが手前に体を入れてクリアします。マンチェスター・ユナイテッドの最初のシュートは6分、アウトにかけたロホのミドル。10分を過ぎても、両チームともアバウトなプレイが多く、ボールが落ち着きません。15分、右からボックスに入ったマフレズは、ロホをかわしきれずにシュートは左にアウト。19分、右サイドのマフレズのFKをヴァーディが頭で逸らすと、ウェズ・モーガンのヘディングシュートはポグバが背中に当てて外に押し出します。

22分、エレーラの不用意なパスをヴァーディがさらうと、左から走り込んだムサにラストパスが通るも、バイリーがカットしてシュートを許しません。24分、マタの縦パスで右に出たムヒタリアンが、ファーから入ってきたラシュフォードにクロスを送ると、ボレーは大きくクロスバーを越えていきます。攻めあぐんでいたマンチェスター・ユナイテッドは、35分にズラタン、ポグバとつながって最後はラシュフォード。左からニアを襲った強烈なシュートは、シュマイケルが素晴らしい反応で外に弾き出します。

このまま終わるかと思われた42分、ムヒタリアンがワンチャンスを活かします。スモーリングがヘッドで流したボールを受けたアタッカーは、ワンタッチでフートを抜き去って一気にゴール前へ。右からクロスに打ったシュートはシュマイケルに当たりますが、勢いが勝りゴール左に突き刺さりました。ケチャップのキャップがこれで外れたのか、アウェイチームは2分後に追加点をゲット。右から仕掛けたバレンシアのグラウンダーに、ウェズ・モーガンはズラタンをチェックできず、GKのブラインドからゴール右に放ったボレーがあっさり決まります。あっという間の0-2に、ラニエリ監督の表情がゆがみます。岡崎慎司が最前線で粘り、エンディディに落とした45分のチャンスは、シュートコースを読んでいたデ・ヘアががっちりキャッチ。今のレスターにとって、このギャップは致命的なビハインドです。

ハーフタイムに、両監督が動きました。モウリーニョ監督は、ロホをブリント。ラニエリ監督は…ああ、岡崎慎司とムサに代えてアンディ・キングとデマライ・グレイ。アタッカーを2枚消して、オルブライトンしか攻めのカードを残していない昨季プレミアリーグ優勝監督は、どうやって2点差を埋めようとしているのでしょうか。48分、レスターの指揮官は、さっそく厳しい結果を目の当たりにします。エンディディを引き連れてドリブルで持ち込んだムヒタリアンが右のマタに流すと、マタからのパスをもらったムヒタリアンが縦に絶妙なリターン。ウェズ・モーガンが残ってしまったレスター守備陣は、ニアに突き刺したマタのフィニッシュを呆然と見送るしかありませんでした。絶望的な0-3…アンディ・キングで中盤を落ち着かせてドリンクウォーターのパスワークを活かす作戦は、わずか3分で水泡に帰しました。

ラシュフォードが角度のないところから狙ったシュートは、シュマイケルがセーブ。57分のマフレズのFKは、惜しくもサイドネットです。モウリーニョ監督は、イエローをもらったポグバ、エレーラ、マタをどこで代えようか思案していることでしょう。62分、縦に突破したマフレズのクロスはデ・ヘアがキャッチ。66分に左からのパスを受けたドリンクウォーターのミドルは、右に大きく外れます。75分、やはりモウリーニョ監督はマタをフェライニです。マン・ユナイテッドは、「安全第一、あわよくば4点め」。攻めに出ても、ファイナルサードに入ってくるのは6人までです。

83分、ラシュフォードをアシュリー・ヤング。残り1枚を使っていないラニエリ監督は、若いカプスツカやチルヴェルに場数を積ませることもなく、オルブライトンにチャンスを与えることもなく、無為な時を過ごすと決めたようです。プレミアリーグでは珍しい追加タイム1分を示すボードは、レスターを見かねて投げられたタオルのようです。0-3、完敗。42分のムヒタリアンから、ハーフタイムをまたいでわずか6分の崩壊劇。ドリブルで抜かれ、マークを外し、ラインコントロールできずと、フートとウェズ・モーガンは「CBが絶対やってはいけないこと」を3つも揃えてしまいました。相変わらずのスロースタートだったマンチェスター・ユナイテッドは、楽な試合展開に持ち込むことができ、プレミアリーグでは4試合ぶりの勝利。4位アーセナルとの勝ち点差を2に詰めました。

ラニエリ監督は、「スタメンは守備的に、リードされたら攻撃的に」すべきだったのではないでしょうか。後半は、岡崎慎司のチェイシングがなくなったおかげでパスをまわして時間を遣いやすくなり、スピードと決定力があるムサが消えて前線の脅威も半減しました。守備的な布陣を敷いて、0-2とされた後にムサを入れるなら理解できますが、失点覚悟の攻撃的な先発メンバーで2点獲られて、「失敗しました」とばかりにハーフタイムにムサという武器を放り投げるのは、いかにもちぐはぐです。衝動的な交代、不明確な戦術、やみくもなストライカー補強、手薄な最終ライン…昨季はあれだけ一体感があったチームだけに、無残な崩れ方が残念でなりません。

次節のプレミアリーグで、スウォンジーとのシックスポインターに敗れれば、レスターは降格ゾーンにいながらチャンピオンズリーグを戦うことになる可能性があります。2017年のプレミアリーグは1分4敗、得点ゼロ失点10。決定力不足とCBの不振を抱えたうえに、開幕からアウェイ未勝利と内弁慶のチームが、シグルズソンとジョレンテにやられてクリーンシートで負けても何の不思議もありません。(ファン・マタ 写真著作者/Станислав Ведмидь)

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“【Leicester×MAN.UTD】わずか6分の崩壊劇…迷将ラニエリの不可解采配でレスターは5戦連続無得点!” への3件のフィードバック

  1. ユナイテッド より:

    ついにSkybetのいわゆるSackRaceでもラニエリ監督がトップに来てしまいました。
    シーズン途中の解任は無いとは思いますが、一年前には優勝オッズレースでトップを走っていたのが、こうもジェットコースターの如く急落してしまうとは…
    ボトム6ではパレスとレスターが降格の筆頭だと個人的には思います

    —–
    ユナイテッドの内容はまだ完璧とは言えないですね。次節組織力のあるワトフォード相手にもしっかり勝ち点を取りに行きたいところです。
    しかしなぜマルシャルを使わないのでしょうか?
    最近せっかく調子を上げていたんですけど…

  2. のこ より:

    それぞれ、らしいゴールでの3得点でした。ケチャップの蓋はしばらく開けっぱなしを希望いたします。

  3. makoto より:

    ホタさん>
    クリスタル・パレスは巻き返しの可能性ありで、レスターは厳しいのではないかと思います。優勝監督をクビにはしないのではないかと思いますが…。

    ユナイテッドさん>
    そうですよね。こと左サイドでは、ラシュフォードより上だと思います。

    のこさん>
    まったく賛成です。ムヒタリアン、ラシュフォード、マルシアルのドボドボ希望です。

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