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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Middlesbrough×MAN.UTD】危なかった超守備的戦術…マン・ユナイテッドは一見完勝、実は辛勝!

ヨーロッパリーグ直後のプレミアリーグをランチタイムに戦うことに、不満を漏らしていたモウリーニョ監督。29節のミドルズブラ戦は、ズラタン・イブラヒモヴィッチとエレーラは出場停止、ブリントとポグバは負傷欠場、ムヒタリアンも大事をとってベンチという苦しい状況です。GKデ・ヘア、最終ラインはバイリー、スモーリング、フィル・ジョーンズの3枚。キャリックとフェライニがセントラルに入り、サイドにバレンシアとアシュリー・ヤング。前線にはリンガード、マタ、ラシュフォードが並びます。カランカ監督が事実上の解任となったばかりのミドルズブラは、ネグレドをトップにガストン・ラミレス、ダウニング、デローンが絡んで攻撃を仕掛ける布陣です。プレミアリーグ最少得点のチームは、上位相手に勝ち点を奪うことができるでしょうか。ホームのミドルズブラが押し気味に入ったゲームは、7分にマンチェスター・ユナイテッドが最初の決定機をつかみます。

縦パス1本で左からベルナルド・エスピノサを振り切ったラシュフォードがヴィクトル・バルデスと1対1。しかし右隅を狙ったインサイドキックは正直すぎ、スペイン人守護神が左手で弾き出します。10分、ボロのレッドビターが思い切りよく狙ったロングシュートは大きく上にアウト。13分に左サイドから上がったレッドビターがボックスの角にいたガストン・ラミレスにパスを通すと、中に持ち込んで放ったシュートはデ・ヘアが左に飛んでセーブします。20分、アウェイチームに久しぶりのチャンス。リンガードが縦に転がしたボールを受けたラシュフォードが、一瞬のスピードでゴールラインまでえぐり、ニアに走ったリンガードに折り返すもバラガンがコースに入ってフィニッシュを許しません。

23分、2列めから前線に飛び出したマタにタイミングよくパスが通り、左からの速いグラウンダーをラシュフォードがプッシュすると、バルデスが2度めのビッグセーブ!すかさずファーから走り込んだバレンシアが右ポスト際にボレーを放つと、好調のGKはこれも足でブロックしました。チャンスを逃したマン・ユナイテッドはサイド攻撃を緩めず、30分に先制します。リンガードが外のアシュリー・ヤングにはたくと、得意の右足で巻いたアーリークロスはフェライニの頭をぴったりでした。さすがのバルデスも、至近距離からのヘッドにはなす術がありません。ボロは即座に反撃。ファビオのロングクロスに競り勝ったネグレドのヘッドは、コースをコントロールできずに左に逸れていきます。

ボロの決定機は36分。中に入ったガストン・ラミレスがダイレクトで出したスルーパスで、ボックス左のデローンがフリー。グラウンダーがネグレドに合えば1点でしたが、ボールが早すぎ、ストライカーは足を出せません。42分にはリンガードとラシュフォードのコンビがまたも左から突破。縦パスを受けてDFを振り切った19歳のストライカーはボールにタッチするのが精一杯で、折り返しのコースを読んだバルデスが体に当てて事なきをえました。前半は0-1。負傷者の続出と過酷なスケジュールを嘆き、「日曜日は負ける」と吐き捨てたモウリーニョ監督は、ここまでの出来は悪くないと捉えているでしょう。

左サイドを執拗に攻めるボロ。ファビオとバレンシア、バイリーのマッチアップが激しくなってきました。55分、リンガードとラシュフォードが仕掛けた速攻は、中に折り返せなかったラシュフォードがスローダウンし、リターンをもらって強引に狙うもコースを塞がれバルデスに届かず。オーソドックスなサイド攻撃に徹するボロは、マンチェスター・ユナイテッドのゴール前の高さにはね返され続けます。両者ともシュートが枠にいかないまま、60分を過ぎました。マンチェスター・ユナイテッドの2点めは62分、バイリーから始まった速攻でした。マタがリンガードに落とし、左に流れてDFを引きつけると、コースが空いたのを見たリンガードがアウトにかけてサイドネットに突き刺す素晴らしいミドルを叩き込みました。

ダウニングが右から入れたクロスは、ネグレドのヘッドがデ・ヘアの正面。67分にガストン・ラミレスが中央に入れたピンポイントクロスは、フィル・ジョーンズの前に出たネグレドが頭でこするも、ポストの右に逸れてしまいます。アグニュー暫定監督がガストン・ラミレスとレッドビターをアダマ・トラオレとゲステデに代えると、モウリーニョ監督はマタを下げてロホ。縦へのスピードと高さでゴールを奪おうとするボロに対して、マンチェスター・ユナイテッドは後ろを固めてカウンター狙いです。77分、左からのクロスをネグレドがヘッドで折り返すと、フィル・ジョーンズのクリアはボックス内で高く上がり、デローンがヘッドでゴール前へ。スモーリングのクリアミスがゲステデの足元に入り、1月の入団後、プレミアリーグ初となるゴールが決まります。

80分、リンガードに代わってマルシアル。マンチェスター・ユナイテッドが逃げ切りたいのはわかりますが、プレミアリーグ最少得点チームに攻撃練習を施すような6-3-1はあまりにも消極的でしょう。88分、ダウニングが縦に入れたボールをデローンがネグレドにつなぐと、フィル・ジョーンズと競ったストライカーは左足のシュートを枠におさめられません。4人のCBは決して堅いとはいえず、むしろやりにくそうです。93分、CKのクリアがバレンシアに渡ると、ドリブルを奪われてチャンスは潰えたかに思われましたが、諦めずにGKに迫ったバレンシアに神が宿ります。チームを救ってきたヴィクトル・バルデス、悪夢のスリップ!悠々とボールをさらった25番がダメ押しゴールを突き刺し、マンチェスター・ユナイテッドが1-3で勝利。プレミアリーグで一番乗りとなる通算600勝を達成しました。

今日のモウリーニョ采配は、危険でした。両サイドが下がって最終ラインが6人になってしまったために、ボロに中盤を明け渡し、幾度となくハイクロスを入れられました。マタを代えるならドリブルで仕掛けられるマルシアルを入れ、マイボールの時間を増やしたほうが安全だったでしょう。ホームチームのキックに精度がなかったので何とか勝てましたが、早すぎた守備的布陣は、時間帯、交代の順番とも冷静ではなかったように感じられました。そもそもラシュフォードが決定機を活かしていれば、圧勝もあったと思われます。19歳の成長株がサイドではなく、ストライカーとして輝きたいなら、こういうゲームできっちり決めなければなりません。

とはいえ、マンチェスター・ユナイテッドは、これでプレミアリーグ18戦連続負けなし。選手層は厚いので、ヨーロッパリーグを優先したとしても、国内で散々な戦績に終わることはないでしょう。プレミアリーグで2位に食い込み、欧州とEFLカップ、コミュニティシールドの3冠で終われれば、新監督の初年度としては文句なし。きつい、負けるなどといわず、最後までポジティブに戦い抜いていただければと思います。

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“【Middlesbrough×MAN.UTD】危なかった超守備的戦術…マン・ユナイテッドは一見完勝、実は辛勝!” への2件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    日曜に負けると言った時から勝つための心理戦をはじめていたのでしょうが、今季特にいい関係を築けていたフェライニ、バレンシアがこの厳しい試合でこたえてくれました。
    6バックは笑いましたが、モウは試合後もわかっててやったと後悔はないようで、たぶん前がかりになっての普通の戦いでは一見調子よくみえても疲労で足が鈍ったところをトラオレにやられると見たのでしょうか。トラオレには2人つけてたように見えましたし。
    守備的采配も攻撃的采配と同じくリスクがありモウは賭けに出ましたが、今日は賭けに勝ちました。最後のガッツポーツしながらの試合終わる前に帰ったのは、FAざまあみろ、カランカ仇はとったぞ、というところでしょうか(笑)

  2. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    選択肢としてなくはない(6はやり過ぎ感はありますが、意図としては4-5-1だったのでしょう)のですが、時間が早すぎ、1点差にされた後攻められなかったのが怖かったです。あれだけ出られない選手がいながら勝ったのが、よっぽどうれしかったのでしょうね。

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