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【Leicester×Sunderland】スリマニとヴァーディーが決めたレスターが、プレミアリーグ5連勝!

プレミアリーグ2015-16シーズン優勝監督クラウディオ・ラニエリの解任に「起こってはいけないこと」と憤然とした方たちは、後任のクレイグ・シェイクスピア監督の下で鮮やかに復活したレスターを見て、振り上げた拳を下したのではないでしょうか。「確執」「困惑」「混乱」「モチベーション低下」…現場が実際にどうなっていたのかは、関係者が口をつぐむ以上、知る由もありません。今、確実にいえるのは、監督が勝つための方法論を見失っていたか、選手たちが監督の意図通りに動けなくなっていたか、いずれかの理由でレスターがチームとして機能しなくなっていたということだけです。

シェイクスピア監督が施した立て直し策は、極めてシンプル。スタメンを優勝チームのレギュラーに戻し、強かった4-4-2を思い出させただけです。リヴァプール戦に勝って自信を取り戻したチームは、チャンピオンズリーグでもセヴィージャを破り、プレミアリーグ4連勝、公式戦5連勝。彼らが本拠地キングパワーで最下位サンダーランドに負けるとは思えませんが、この試合は欠場中の主将ウェズ・モーガンの代わりにベナルアンが入っており、オルブライトンもベンチスタートです。ジェイミー・ヴァーディ、岡崎慎司、マフレズとともにゴールを狙うのは、20歳のデマライ・グレイ。3試合めとなる急造CBコンビは、プレミアリーグ14ゴールのジャーメイン・デフォーから目を離してはいけません。

3分、左サイドを突破したデマライ・グレイがニアの岡崎慎司にグラウンダーを通すと、ダイレクトの一撃はポストの外。サンダーランドはセントラルMFのチェックが緩く、バイタルエリアに入り込んだマフレズに簡単に前を向かせています。10分、サンダーランドの最初のチャンスは、右からのアーリークロス。ゴール前に走り込んだラーションに届いたボールは、シンプソンが手前に入ってCKに逃れました。13分、マフレズの縦パスで岡崎が右から上がり、デマライ・グレイにラストパスを入れると、ロドウェルがカット。17分にGKピックフォードのキックをラーションがヘッドで逸らすと、デフォーがシュマイケルの前に躍り出ますが、コースを抑えられてCKをもらうのが精一杯です。

マフレズのアイデアで多彩な崩しを見せるレスターに対して、サンダーランドはオーソドックスなクロスと後ろからのロングボールで対抗。時折デフォーにシュートを許すことを除けば、レスターの最終ラインに問題はありません。27分にレスターが仕掛けたカウンターは、デマライ・グレイのミドルが大きくアウト。31分にボックスの外から岡崎が放ったミドルはDFの壁に阻まれ、逆襲から右足を振り抜いたエンドングの一撃は左に切れていきます。44分、左サイドからエンドングをかわしたデマライ・グレイが右足で巻いた強烈なシュートは、ピックフォードが指先で弾くビッグセーブ。直後のCKでニアに飛び込んだ岡崎は、ヘッドを浮かしてしまいます。前半は0-0で終了。マフレズとデマライ・グレイが好調のレスターは、岡崎に代えて高さとフィジカルで勝負できるスリマニを入れてもいいかもしれません。

49分、左からグラウンダーをもらったボリーニは、フートが足に当てやすいほうに持ってしまいました。どちらが先にゴールを決めるかわからない展開。55分のラーションのFKは明らかなミスキックです。58分、右からのFKをドリンクウォーターがクリアすると、胸で止めたデフォーのボレーはシュマイケルの正面にいってしまいます。シェイクスピア監督は、62分に動きました。岡崎慎司とデマライ・グレイを下げて、スリマニとオルブライトン。フクスのロングスローに競り勝ったフートのヘッドは、ピックフォードが左に飛んでセーブします。サンダーランドは縦1本しかなく、レスターはサイドで封じられ、やや弛緩していたキングパワーが沸いたのは69分でした。左のオルブライトンが右足で上げたクロスをヘッドでGKの足元に落としたのは、イスラム・スリマニ!シェイクスピア采配が大当たりし、キングパワーに大音量のチャントがこだまします。

前に出るしかなくなったサンダーランド。73分にラーションとカッターモールが下がり、ハズリとアニチェベが入りましたが、モイーズ監督が狙っていたのが勝ち点3なら、レスターに勢いが出始めた60分過ぎに動いてもよかったのではないかと思います。76分、スリマニが中央から突進して右のヴァーディに預けると、ニアへのシュートはピックフォードがキャッチ。77分、サンダーランドがようやく決定機を創ります。ボックス左を崩したロドウェルの折り返しから混戦となり、フクスのクリアをカットしたハズリが左足で狙うと、フートに当たったボールは左のポストを直撃。この直後に、ハーフライン付近で足を滑らせたビリー・ジョーンズがオルブライトンにドリブル突破を許し、レスターの11番が完璧なグラウンダーをエースに通します。マーカーは無力、左足一閃、ジェイミー・ヴァーディ!これで勝負は決しました。

エンディディがアンディ・キングに後を譲ったのは、週末のエヴァートン戦でまた走ってくれという指揮官からのメッセージ。残りの時間は、レスターの攻撃練習に充てられました。監督交代というきっかけひとつで、選手はこうも変わるものかと驚かされます。何もできずにプレミアリーグ5連敗と停滞していた年明けからの数週間と比べると、シンプソンとフクスはまるで別人。シュートを打つことすらできなかったヴァーディは、5戦5発と絶対的エースに戻りました。かみ合えばプレミアリーグ最強、リズムが狂えば6戦連続ノーゴールの最弱チーム。ここ数年のレスターほど、極端なチームは見たことがありません。シェイクスピアさんは、監督デビュー以来6連勝。1週間後の同じ時間に、アトレティコ・マドリードの本拠地エスタディオ・ビセンテ・カルデロンに乗り込む昨季王者は、負傷者だらけのシメオネ軍団相手に大きな仕事をやってのけるかもしれません。

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“【Leicester×Sunderland】スリマニとヴァーディーが決めたレスターが、プレミアリーグ5連勝!” への2件のフィードバック

  1. アイク より:

    いや〜気持ちのこもった、そして気持ちのいい記事ありがとうございます!
    岡崎は惜しかったですが、強いレスターをまだまだ観ていたいですね!

  2. makoto より:

    アイクさん>
    キャラが立っていて、とてもおもしろいチームだと思います。波に乗ると守備の機能性が高まってカウンターも研ぎ澄まされ、本当に強いですよね。

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