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【Stoke×Liverpool】危なかった…リヴァプールを救ったミニョレのビッグセーブ2発!

プレミアリーグ32節、本拠地ブリタニアでリヴァプールを迎え撃つストークは、チェルシー、レスター、バーンリーに敗れて12位に転落。4年連続のTOP10フィニッシュを達成すべく、このホームゲームを巻き返しの足掛かりとしたいところです。アンフィールドのボーンマス戦を痛恨のドローで終えたクロップ監督は、フィルミーノとコウチーニョをベンチに置き、フォーメーションを変えてきました。GKミニョレ、DFはマティプ、クラヴァン、デヤン・ロブレンの3バック。右にアーノルド、左にナサニエル・クラインを配し、エムレ・ジャン、ワイナルドゥム、ミルナーの3センター。前線はオリギとプレミアリーグ初先発となるウッドバーンの2トップです。開始からわずか2分、ラインの裏に飛び出したシャキリが左足のシュートでネットを揺らすと、ジャッジはオフサイド。いつもと勝手が違うリヴァプールは、ラインコントロールのミスに気をつけなければなりません。

ロングボールを効果的に使い、サイドを攻めるストークがゲームを支配しています。8分、ジョー・アレンとグレン・ジョンソンの元レッズコンビで右サイドを攻略しますが、クロスが中に合いません。10分にアーノルドをあっさり抜いたアルナウトヴィッチは、右足アウトにかけたクロスをミス。レッズの前線と中盤に、いつもの厳しいプレスは見られません。15分を過ぎても、レッズのアタックはアーノルドのクロスとCK1本のみ。17分、シャキリが入れたゴールに向かうボールをアルナウトヴィッチがヘッドで落とすと、フリーになりかけたベラヒーノは打ち切れません。WBAから冬のマーケットで移籍してきたストライカーは、未だプレミアリーグでゴールがなく、プレイに迷いが感じられます。

17歳が、鋭いインターセプトから単独で攻め上がったのは25分。3人に囲まれながらボックス手前まで進んだウッドバーンは、シュートを打つ前につかまってしまいました。ジョー・アレンは27分にハムストリングを痛めてしまい、チャーリー・アダムにチェンジ。中央でウォルターズがポスト役を果たし、アルナウトヴィッチが左足を振り抜いたシーンは危険でした。ここはミニョレが正面でキャッチして事なきをえますが、レッズの3バックは機能的とはいえません。32分、背後に縦パスを出されたデヤン・ロブレンが必死に足を伸ばしてクリアしますが、落下点に入ったアルナウトヴィッチがミニョレと1対1。右足のダイレクトボレーは左に外れ、失点を覚悟したであろう守護神は助かりました。

43分、レッズのチャンスはこれが初めてといっていいでしょう。ミルナー、ナサニエル・クラインとつながったボールが中のウッドバーンへ。右にいたオリギが空いていたにも関わらず、ファールをもらいにいくような動きをした17歳はパスを出せず、ストークの反撃を喰らいます。右サイドでグレン・ジョンソンに戻し、リターンを受けたシャキリがナサニエル・クラインに走り勝ってクラヴァンをちぎると、ニアに浮かしたボールにウォルタースがノーマーク。イージーなヘッドがネットに突き刺さり、ストークが1-0とリードしたままハーフタイムを迎えます。クロップ監督がアーノルドとウッドバーンを下げ、フィルミーノとコウチーニョを入れたのは当然でしょう。ナサニエル・クラインとがいつもの右に入って4-3-3にシフトしたレッズは、別のチームのようにパスがつながり始めます。

しかし、セカンドハーフ最初の決定機は52分のストークでした。CKのクリアをワイナルドゥムがヘッドでミニョレに戻すと、GKの前にはストークの選手が4人残っていました。チャーリー・アダムが即座に蹴っていれば、ストークに決定的な2点めが入っていたはずですが、途中出場のアタッカーは逡巡した末に足元に入ったミニョレに当ててしまい、CKをもらっただけに終わりました。54分、左からボックスに入ったオリギのシュートはドライブがかからずファーポストの外。浮き球に反応して右から抜け出したフィルミーノのクロスははね返され、こぼれ球を叩いたボレーはGKリー・グラントにセーブされます。59分にナサニエル・クラインがアルナウトヴィッチをかわし、グラウンダーを中に通すと、コウチーニョのダイレクトショットはリー・グラントが左手で外に弾き出します。このCKをヘディングで狙ったデヤン・ロブレンは、クロスバーで跳ねたボールを見て頭を抱えています。

アルナウトヴィッチのFKをニアで合わせたマルティンス・インディのヘッドは、左にアウト。69分にマーク・ヒューズ監督がウォルタースをウィーランに代えて守備を固めると、クロップ監督はオリギを下げてスタリッジで勝負です。この1分後、両チームの交代選手が絡んでコウチーニョの同点ゴールが決まります。エムレ・ジャンがラインの裏に走ったスタリッジとワイナルドゥムを見て浮き球を入れると、ウィーランのクリアは小さくコウチーニョの足元へ。レッズの10番にフリーで打たせれば、失点はまぬがれません。ボールは左隅に転がり、勢いに乗ったアウェイチームはさらなるゴールを狙います。72分、逆転ゴールはワイナルドゥムが縦に出した素晴らしいフィードからでした。ハーフライン付近から走って最終ラインの裏を取ったフィルミーノが迷いなく右足を振り抜くと、ボールはリー・グラントの手の先を抜けてネットに突き刺さりました。

1-2となった直後の74分、カウンターから左サイドを突破したのはアルナウトヴィッチ。ファーサイドへのラストパスはベラヒーノにぴったり。ストーク移籍後のプレミアリーグ初ゴールかと思われたボレーを、ストライカーのミスといっては酷でしょう。足に当ててクリアしたミニョレのビッグセーブは、チームを救いました。なおも必死に攻めるストークに対して、レッズの守備陣は決定的なラストパスを許しません。89分、エムレ・ジャンのミドルはDFの足をかすめて枠にいかず。ソブヒがサイドに入り、アルナウトヴィットとベラヒーノめがけてロングボールを入れる作戦に出たストークに対して、ミニョレと最終ラインは落ち着いていました。結局1-2のまま、タイムアップ。プレミアリーグ3位が、ブラジル人コンビと守護神の活躍で不振の12位を撃破しました。

「危なかった!」というのが率直な感想です。シャキリとアルナウトヴィッチが両翼にいるチームに対して、対応するサイドの選手が1枚になる3-5-2はさすがに無謀だったのではないでしょうか。ゴールを奪えなくても無失点で前半を終えたかったはずのクロップ監督のプランはシャキリに崩され、後半の頭からフィルミーノとコウチーニョを投入せざるをえなくなりました。チャンスを確実に活かした2人のブラジル人も素晴らしかったのですが、今日は何といってもミニョレです。守護神がチャーリー・アダムを止めていなければ敗戦、ベラヒーノにやられていればドローで終わっていたと思われます。ここから先は、週1試合ペース。ヘンダーソンとララナが戻ってくるまで耐えられれば、リヴァプールは3年ぶりのチャンピオンズリーグ出場権を手に入れられるでしょう。(ロベルト・フィルミーノ 写真著作者/cfcunofficial (Chelsea Debs) London)

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“【Stoke×Liverpool】危なかった…リヴァプールを救ったミニョレのビッグセーブ2発!” への7件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    アウェイ久々の勝利でしたが、正直前半の布陣は無謀と言うか、、、クロップも悩んだと思いますが、スタメンを見たときは期待より不安の方が大きかったですね。後半は役者が変わるとレベルが一気に上がり逆転しましたが、ミニョレに救われました。あれだけビッグセーブしてくれると来季も正GKはミニョレでいいんじゃないかって思うほどです(笑)
    次も難敵WBA気が抜けませんね。

  2. K より:

    ミニョレはハル戦のキャッチングミスはありましたが、本当に同じ人間なのかというレベルで昨年から見違える素晴らしいパフォーマンスですね
    守備はこれからのアーノルド、普段と逆サイドのクラインは常に1対2で負けて前の2人をフリーにさせ、
    3バックの前2人がつり出される構造的な欠陥で守備は崩壊、攻撃のビルドアップも中盤ミルナーと両SBが微妙で繋がらない

    ウッドバーンとアーノルドを両翼に配置換えして3-4-3に変更するのはいつでも出来たのに、45分続けた時は頭がおかしくなったのかと思いました
    攻守ともに数が合わない陣形で前半のメンバーを非難する事は出来ません

    後半はスタリッジが入ってブラジルコンビが活性化したのとチャン、ワイナルダムで中盤を制圧出来たのは大きかったですね

    録画でマドリーダービーを見て、世界のトップまで恐ろしく遠い事を痛感しましたが
    あと6試合で11ポイント取れたら目標のCLは達成できそうで本当に本当に大きな勝利でした

  3. w より:

    いつも楽しく拝見しております。
    文章で一つ気になったのですが、1点目を決めたのはアルナウトヴィッチではなくウォルタースではないかと思います。
    これからも楽しみにして、更新を待ってます。

  4. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    アウェイ、若手抜擢、システム変更、ボーンマス戦でやらかしてから中2日、ワクワクよりもハラハラの展開での勝点3はラッキーの部分も大きいと思います。
    おそらく前半は0‐0で後半勝負なのはゆるい前半とベンチメンバーをみて感じましたが、結局前半のうちに先制されてしまいました。
    とにもかくにもブラジルコンビとミニョレの神セーブで勝った試合でした。
    若手の台頭、スタリッジの復活がなければ厳しいとコメントさせてもらいましたが、どちらも空振りでしたね…、ちょっとさびしいです。
    3‐5‐2へのシステム変更もマネ不在での苦肉の策かと思いますが、明らかにバランスが悪く失点どころか攻撃もうまく運ばないのでやめたほうがいいと思います。
    私はルーカスをアンカーにしたエヴァートン戦とボーンマス戦前半でなぜいけないのかが3バックの試合をみて疑問に感じています。
    とにかくブラジルコンビの回復とララーナ、ヘンドの復帰がないと今後の勝点は期待できないことがよくわかったストークでした。
    次節WBA戦はセットプレーが心配で、ミニョレの真価が問われる一戦となりそうです。
    ミニョレ、がんばれ!

  5. グッチ より:

    やっぱりチームが最悪な状況で勝ち点をもぎ取るにはFWとGKのクオリティですね。ミニョレがここ数試合の安定したプレーを残り試合で発揮してくれればCL出られると思いますし、オリジの成長が有ればなお良しって形ですね。

  6. ぐら より:

    個人的にはベラヒノよりクラウチの方がいいんじゃないかと思うんですが…
    早くゴールを決めて乗ってきてほしいです

  7. makoto より:

    Mackiさん>
    ミニョレ、完璧でしたね。3-5-2と土曜日の4-3-3は、戦術的な類似点がセントラルMFにしかないのでシフトは難しいと思います。

    Kさん>
    同感です。むしろサイドを固めたくなる相手ですよね。

    wさん>
    すみません。アルナウトヴィッチと書いてましたね。おっしゃるとおりです。訂正させていただきました。ご指摘ありがとうございました。

    nyonsukeさん>
    ヘンダーソンかルーカスがアンカーに入る戦い方がしっかりインストールされているので、あまりいじらないほうがよさそうですね。フィルミーノとコウチーニョの飛び道具で何とか勝ちましたが、マネもさることながらララナがいないのが、とにかく痛いです。

    グッチさん>
    オリギにはティエリ・アンリになっていただきたいと期待しています。まだちょっと波がありますよね。

    ぐらさん>
    「今日の試合を勝つ」ことだけを考えればおっしゃるとおりです。マイク・ヒューズ監督は少し先をみて使っているのかもしれません。今のベラヒーノに必要なのは、自信ではないかと思います。

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