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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Tottenham×Bournemouth】無敗のホームは最高の雰囲気!4発スパーズがプレミアリーグ7連勝!

スパーズサポーターのみなさんは、今夜はさぞやお喜びのことと存じます。無敗の要塞ホワイト・ハート・レーンでボーンマスを4-0と叩き、プレミアリーグ7連勝。堅守の評判は高かったチームですが、最近7試合で22ゴールという攻撃陣の好調により、プレミアリーグ最多ゴールも最少失点も手に入れました。チームのエンジンであるデンベレがゴールショーの口火を切ると、エース不在を感じさせない活躍を見せているソン・フンミンが今季プレミアリーグ12ゴールめをゲット。前半を2-0で折り返すと、後半開始早々にハリー・ケインが20発の大台に乗せ、追加タイムにはくすぶっていたフィンセント・ヤンセンが初めてPK以外でゴールを決めました。圧倒的に押したゲームは、展開もゴールシーンも着地も文句なし。明日のゲームでマンチェスター・ユナイテッドがチェルシーを破れば、非の打ちどころのない週末です。

GKロリス、DFカイル・ウォーカー、アルデルヴァイレルト、フェルトンゲン、ベン・デイヴィス。デンベレとエリック・ダイアーがセントラルを担い、エリクセン、デル・アリ、ソン・フンミンが2列め、トップにはコンディションを上げてきたハリー・ケイン。ダニー・ローズとワニャマの不在を気にするより、前線の破壊力に期待したくなる盤石のスタメンです。リズミカルなパスサッカーと脆いディフェンスが同居するボーンマスは、開始早々から圧倒されています。5分、CKをカイル・ウォーカーに預けてリターンをもらったエリクセンは、速いクロスをニアのソン・フンミンに通しますが、ボレーはDFに当たって右に外れます。

ボールを失った直後から厳しいチェックを始めるスパーズに対して、ボーンマスはハーフラインを越えるのもひと苦労でしたが、10分に差しかかった頃から少しずつ自分たちのサッカーを思い出し始めました。しかし相手は絶好調トッテナム。健闘の予感が漂ったのはここまででした。12分、カイル・ウォーカーが落としたボールを叩いたデンベレのミドルはボルツが何とかセーブしたものの、16分のCKは守りきれませんでした。左からのエリクセンのキックが、密集を抜けてファーのデンベレへ。ワントラップで放った右足のシュートに、観念したボルツはただ後ろに倒れ込んだだけでした。

3分後、これぞスパーズのフォアチェック。ジャック・ウィルシャーの不用意なヒールパスをエリック・ダイアーが足に当てると、ハリー・ケインが巧みなヒールでソン・フンミンを縦に走らせます。キレキレの韓国代表が、右からGKの股間を抜いて2-0。歓喜の7番は両手で「12発」を示してゴール裏にアピールし、最近デル・アリとよくやるゴールセレブレーションを楽しんでいます。苦しくなったボーンマス。このまま敗れてスウォンジーがワトフォードに勝てば4差となり、プレミアリーグ残留が怪しくなってきます。

トッテナムの試合を観ていていつも感心するのは、アルデルヴァイレルトとフェルトンゲンの展開力と、「影のプレイメーカー」デンベレの運動量です。CBの正確なロングフィードがサイドアタッカーやSBに通ると一気にチャンスになり、前が空かないときはデンベレがドリブルで相手を動かしながらスペースに出た選手を使います。中盤を省略する速いアタックと、タメを創ってポジションチェンジを促す遅攻を繰り返されると、守りにくいことこのうえなし。37分のエリクセンのきわどいボレーは、アルデルヴァイレルトの速い縦パスをポストのハリー・ケインが脇に流してフィニッシュ。たった2本のパスで創った決定機でした。

40分、ハリー・ケインが左のベン・デイヴィスに展開すると、ニアでもらったソン・フンミンが上がってきたエリクセンにボレーを打たせます。力が入った一撃はバーを越えてしまいますが、ボーンマス守備陣を翻弄したきれいな攻撃でした。1分後、左から上がったエリクセンが中に入れたボールをフリーで叩いたのはソン・フンミン。左足のボレーはボルツの正面にいってしまい、貪欲なアタッカーは笑顔を見せつつ悔しがっています。前半は2-0。デル・アリがまったく目立たない試合ながら、完全なるスパーズのペースです。

後半開始から間もない48分、決定機にようやくデル・アリが登場します。エリクセンとのパス交換で右サイドに出たデル・アリがチップキックを中央に入れると、ハリー・ケインが足の裏を使ったフェイントでサイモン・フランシスを抜き去り、左足のシュートをゴール左隅に突き刺します。3-0としても容赦なく攻めるスパーズ。52分に中央でパスを受けたエリクセンは、シュートのフェイクから一転、ハリー・ケインをフリーにするラストパスをフィード。よくぞそのモーションでそんなに優しいパスを出せるなと、天才的な緩急に惚れ惚れします。プレミアリーグ得点王を狙う10番は、このチャンスは活かしたかったでしょう。ボルツに止められた瞬間、コースを誤ったことに気づいたハリー・ケインは頭を抱え、天を仰ぎました。

トッテナムがホワイト・ハート・レーンで無敗を続けている理由のひとつに、スタジアムの雰囲気のよさがあるのではないかと思います。ロングフィードを裏に出されて全力で戻るフェルトンゲンに拍手、DFを背負ってボールを受けたエリクセンが振り向きざまにシュートを放つと、すかさず拍手。チャントや絶叫だけでなく、全力のプレイを見逃さずにリスペクトするサポーターを見ていると、この若いチームがチャンピオンズリーグで借りたウェンブリーで戸惑ったのも無理はないと思えてきます。プレミアリーグ4位以内が厳しくなっているオールド・トラフォードとエミレーツで、ブーイングやプラカードが目立つのをことさらに咎めようとは思いませんが、あちらは悪循環に陥り、こちらには一体感が充満しているのは確かです。76分、カイル・ウォーカーがフェルトンゲンに戻すと拍手、縦パスを受けて左足を振り抜いたベン・デイヴィスにも拍手。スパーズの選手たちは、気分よく勝利に近づいています。

78分、ハリー・ケインにスタンディングオベーション。2試合いなかったワニャマがピッチの感触を確かめます。81分にデンベレのスルーパスで抜けたソン・フンミンがシュートをポストに当てると、84分にはデル・アリに代わってシソコが登場。さらに87分にはエリクセンが下がり、フィンセント・ヤンセンが最前線に入ります。先を見据えたポチェッティーノ監督の用兵に、暗いトンネルから抜け出せなかったストライカーが応えたのは92分でした。左サイドからスプリントしてダイレクトで折り返したベン・デイヴィスのグラウンダーを、昨季エールディヴィジ得点王がプッシュ。最初のシュートはクックに当ててしまったものの、足元に戻ってきたボールを蹴り込んだ2発めは文句なしでした。この直後の歓声が、いちばん大きかったのではないでしょうか。ポチェッティーノ監督は、チャンピオンズリーグを制覇したようなガッツポーズ。最高の締め方で、スパーズはチェルシーとの差を4に詰めました。

残り6試合のうち3つ勝てばアーセナルより上が決定、4つ勝てば2位以上が確定。チェルシー次第ではあるものの、プレミアリーグ創設以来初の優勝も視界の隅に見え隠れしています。選手たちの好調ぶりに加えて、小さなナイスプレーをすべて拾って選手を盛り立てるスパーズサポーターの姿が印象的な一戦でした。わがマンチェスター・ユナイテッドは、ここでの試合を残しているんですね…。どうやって彼らに勝つかよりも、直前のヨーロッパリーグ準決勝を制して、チャンピオンズリーグ出場権に王手をかけた状態でノースロンドンを訪れることを真剣に考えたほうがよさそうです。ホワイト・ハート・レーンでは今季無敗で現在16連勝、5ヵ月以上ドローすらないチームに勝てる気はしません。

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“【Tottenham×Bournemouth】無敗のホームは最高の雰囲気!4発スパーズがプレミアリーグ7連勝!” への4件のフィードバック

  1. sini より:

    更新おつかれ様です。

    上手くいきすぎていて逆に何があったのか気になるくらい完璧な試合でしたね。
    ケインもワニャマも復帰して、孫とエリクセンはかつてなかったくらい好調。デンベレはいつも通りの安定ぶり。あのスパーズがこんなに見ていて安心できる試合をするなんて、、、ヨル時代からのファンとしては感動してしまいました。
    そしてヤンセンのゴール。

    パブリュチェンコやソルダードの時もそうでしたが、燻っている選手を全力でサポートしようというWHLの雰囲気も感動的でした。
    ヤンセンがこれをきっかけに来季、今の孫みたいに自信を持ってプレイできるようになってくれると頼もしいです。
    デンベレやフェルトンゲンですらポチェ就任初年度は苦しんで乗り越えてきたわけですし、可能性はある筈と信じています。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    ボーンマスサポはシュートを撃ったとチャントしてましたね。
    得点どころか、シュートを撃つこと自体が褒める対象になるレベルの圧倒的強さは脅威です。

  3. スパーズ推し より:

    完璧な内容で、見ていてとても楽しい試合でした

    前線の攻撃力もさることながら、ベルギーコンビのCB+その間に落ちてプレーするダイアーの
    3人の展開力、楔の縦パスを通せる力が印象的です

    ここまでホワイトハートレーンで圧倒的だと、むしろ来シーズンがとても怖くなります……

  4. ホタ より:

    この最高のスタジアムの雰囲気の中でもう試合ができないのかと思うと惜しい限りです
    しかし今のスパーズのパフォーマンスを見る限り、何も心配することなく次のステップへ踏み出せそうです。
    何より、まだまだ発展途上の若いチームですので

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