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【WBA×Liverpool】セットプレーで決めたのは、最多ゴールのWBAではなくリヴァプール!

土曜日に、「セットピースの王者WBAに勝つための3つのポイント」という記事を書かせていただきましたが、プレミアリーグ4位以内フィニッシュをめざすリヴァプールにとって、WBAはやっかいな相手です。今季プレミアリーグでCKからのゴールが14本と最も多いピューリス監督のチームに勝つためには、前で奪って直線的に攻めるゲーゲンプレッシングを続けられるかがポイントだと見ていました。コウチーニョ、ミルナー、オリギ、ナサニエル・クラインが対峙する選手を自陣に押し込めれば、両サイドから攻めようとする相手のチャンスを減らせるはずだ、と。ルーカス・レイヴァはミドルレンジのスペースを埋め、ワイナルドゥムとエムレ・ジャンはリヴァモアとフレッチャーにプレッシャーをかけて中盤を制圧するのが仕事。マティプとデヤン・ロブレンはロブソン=カヌを見失ってはいけません。プレミアリーグ33節のゲームは、WBAの積極的な仕掛けでスタート。サイドからクロスを狙うWBAに対して、レッズ守備陣は中央を固めて対応しています。

11分、これぞピューリス監督のチーム。ロングフィードが右のマット・フィリップスに渡ると、左足で巻いたシュートがミニョレのゴールの脇を抜けていきます。15分、こちらもレッズらしい攻撃。横パスを敵陣でインターセプトしたコウチーニョがドリブルで進み、左に流れたフィルミーノにラストパス。左足でクロスに狙ったシュートは、惜しくもポストの外に切れていきます。ピューリス監督は、やはりミルナーの裏のスペースに注目しているようですが、再三入るロングボールはデヤン・ロブレンが読んで冷静に処理しています。セットピースの王者が牙を剥いたのは、23分。右サイドに浮かしたFKをドーソンがヘッドで落とすと、マット・フィリップスが左に入れたボールに走り込んだのはシャドリ。前にプッシュすれば1点のビッグチャンスでしたが、フィルミーノが目に入ったのか、元スパーズのMFは絶好球を空振りしてしまいました。

ボックスに7~8人が固まるWBAの守備に、攻めあぐむリヴァプール。マティプまで前線に上がるものの、なかなかシュートコースが空きません。30分、右のマット・フィリップスにロングボールが通ると、エムレ・ジャンが体を寄せて奪取。両監督とも、相手の戦い方はしっかりインプットできているようです。34分にフィルミーノからパスをもらったコウチーニョは、右足で巻く得意のシュートを上に外し、シャドリの縦パスでデヤン・ロブレンを振り切ったロブソン=カヌは、フリーのシュートをミニョレの正面に打ってしまいます。0-0のままハーフタイムを迎える雰囲気が漂っていた46分、レッズが相手のお株を奪うセットプレーで先制します。右サイドからミルナーが入れたボールをルーカスがヘッドでスライドさせると、ファーに走り込んできたフィルミーノが完璧なヘッド!直近のプレミアリーグ6試合のうち5試合でノーゴールのWBAは、自陣から出て行かなければなりません。

いつもなら攻めて勝ちにいくはずのクロップ監督は、今日の展開では丁寧に守るほうを選ぶかもしれません。後半開始直後からの放り込みには落ち着いて対応。フィルミーノが左に展開した55分のチャンスは、オリギが右足で放ったシュートが曲がり切りません。さらにその1分後、ワイナルドゥムの縦パスで右サイドに流れたフィルミーノが、逆サイドからフリーで入ってきたミルナーに優しいクロスを上げるも、ミルナーが打ち上げてしまい追加点は入りません。クロップ監督は呆然、フィルミーノは苦笑い。デヤン・ロブレンに後ろをカバーしてもらっている左SBは、こういうシーンで結果を出さなければなりません。

ピューリス監督は、モリソン、マクレーン、サロモン・ロンドンを次々と投入して勝負に出ます。徐々にチャンスを増やすホームチーム。77分にシャドリのミドルが左に外れると、80分には最近お約束のハイライトシーンです。サロモン・ロンドンのスルーパスでマット・フィリップスがGKの前へ。右隅を狙ったシュートは、チームを勝利に導くビッグセーブを連発しているミニョレが、今日も止めました。レッズに点数をつけるなら、ミニョレは満点、マティプとデヤン・ロブレンは合格点。マット・フィリップスに置いていかれたナサニエル・クラインと、リスクをとって上がりながらゴールをお膳立てできなかったミルナーは厳しめの点数でしょう。そして攻撃陣は、フィルミーノ以外には「枠に入れましょう」と書いて返さなければなりません。

15本放ったシュートのうち、オンターゲットはわずか2本。82分にオリギと代わったスタリッジは今日も不発。93分のセットプレーでGKフォスターがゴール前に上がったシーンでは、クリアを拾ったフォスターが後ろにいたマクリーンに預けると、入ったばかりのアルベルト・モレノがインターセプト。ドリブルでゴールに向かったスペイン人SBには無人のゴールが見えており、転がせば決定的な2点めが入ります。ところが…。

PKやゴルフのパターよりもイージーだったチャンスでアルベルト・モレノは右に外し、並走していたエムレ・ジャンとフィルミーノの表情を凍らせます。さらに1分後、今度はワイナルドゥムがハーフライン付近でGKを抜き去りますが、逆サイドに上げたクロスはスタリッジに届かず。最後はドタバタでしたが、リヴァプールが0-1でタイムアップを迎え、プレミアリーグにおけるレッズ相手のホームゲームで無敗だったピューリス監督をようやく仕留めました。

いろいろあった試合ではありますが、「WBAがやりたかった試合をリヴァプールがやった一戦」だったと思いました。今季プレミアリーグで1-0勝利は、年末のマンチェスター・シティ戦以来2回め。中盤の選手を交えてマット・フィリップスやシャドリをケアするというクロップ監督のアプローチは、ゲーゲン・プレッシングでボールを出させないようにしなければいけないという私の考え方を見事に裏切ってくれました。冷静に戦ったミニョレ、デヤン・ロブレン、マティプに加えて、しばしば下がって後ろの面倒を見ていたルーカス・レイヴァとエムレ・ジャンにも「勝利おめでとう」といいたくなる試合でした。残り5試合、全勝ならもちろん4位以内確定です。

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“【WBA×Liverpool】セットプレーで決めたのは、最多ゴールのWBAではなくリヴァプール!” への4件のフィードバック

  1. グッチ より:

    年明けのミニョレはワールドクラスです!原因は不明です!!
    もっと楽に勝てたかもしれない…と思いつつ期待の薄かったセットプレーで決まったのは嬉しいです。ミルナーかモレノが決めてれば文句無かったですが、勝ったのでまあ笑いの種としておきます^^;

  2. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    まさかのレッズがセットプレーで得点、1-0勝利でした。
    ミルナーとモレノが決めていればもっと楽な試合となりましたが、勝点3がなによりも重要です。
    WBAはさすがの堅守でしたが、攻撃は少し迷いというか淡白でした。
    最近得点できていないことが影響してか、攻撃の狙いがあいまいだったので、相手のお株を奪うセットプレーでの得点は大きかったと思います。
    またゲーゲンプレスに拘らず、あせらずボールを奪い攻められたことも試合巧者となれた要因ではないでしょうか。
    このような試合ができるようになれば、今後引いてくるであろう下位チーム相手にも簡単には負けないと思います。
    次節はまたまた鬼門のパレス戦ですが、DF、中盤が調子いいのでオリギがうまく攻撃に関わることができれば大丈夫ではないでしょうか。
    しかし、後からは不気味にマン・ユナイテッドが来ています。
    管理人様のチームにはELでがんばって頂きたいのですが、CL権獲得のためにレッズはもう勝点は落とせませんね、一戦一戦が緊張です。

  3. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    難敵相手に辛勝でしたが、勝てたことは大きいです。終了のホイッスルが鳴った時のクロップとブパチのハグが印象的でした。もっと楽にゲームを展開できたかもしれませんが、これもレッズですね。
    この様なゲーム展開時にはサッカー脳が非常に重要なことを改めて感じました。アディショナルタイムのジニのプレーは素晴らしかったです。次節も難敵パレス痺れる戦いが続きますね。

  4. makoto より:

    グッチさん>
    素晴らしいですよね!ここ数ヵ月は、リーグNo.1クラスです。

    nyonsukeさん>
    WBAの攻撃は徹底度が足りなかったですね。とはいえ、サイドをしっかりケアするなど、全体的にはうまく対応していたと思います。

    Mackiさん>
    アーセナルとマンチェスター勢はつぶし合いがあるので、断然レッズ有利です。次は重要な一戦ですね。

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