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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Wolves×Tottenham】危なかったトッテナム!3点リードからPK2発献上で冷や汗の勝ち点3!

プレミアリーグ8節までで4勝3分1敗と健闘し、7位に上がっていたウルヴスは、ワトフォードとブライトンに連敗して10位に転落。2試合連続ノーゴールの攻撃陣が、プレミアリーグ5位をどう崩すかが、この試合の注目ポイントのひとつでした。前節はマンチェスター・シティにホームで敗れたトッテナムは、伏兵に足を取られてずるずる下がるわけにはいきません。ベストメンバーで臨むかと思いきや、ポチェッティーノ監督はCBにフォイト、中盤にハリー・ウィンクス、シソコ、ラメラを起用しています。エースのハリー・ケインと好調なルーカス・モウラが前線に君臨し、デンベレ、トリッピアー、ベン・デイヴィス、アルデルヴァイレルト、ロリスと要所に主力はいるものの、いささか不安なキックオフでした。

開始から1分少々で、ポチェッティーノ監督はゲームプランの修正を強いられました。エルデル・コスタと絡んだデンベレが転倒。足の着き方が悪かったのでしょう。倒れた瞬間に手を上げたセントラルMFは、足を引きずりながらピッチを後にしました。代わって入ったのは、ソン・フンミン。シソコがハリー・ウィンクスと同じラインに下がるようになりました。ボールを支配するスパーズは、前線で勝負せず、ボールを奪ってもスローに落としてしまうのが気になります。昨日見たガナーズの2センターがあまりに素晴らしかったために、要求レベルが上がってしまっているのかもしれません。10分のヒメネス、1分後のドハーティと、ウルヴスはロングフィードからドリブルで仕掛けてフィニッシュというシンプルなアタックを展開。プレミアリーグ5位相手に組織力勝負はしないと宣言するかのように、個の戦いに持ち込もうとしています。

20分、左サイドでソン・フンミンとパス交換したルーカス・モウラが、ボックス左に流れたハリー・ケインに斜めのラストパス。縦に仕掛けて左足を振り抜いたエースの一撃は、ルイ・パトリシオが左手でセーブしました。27分に右サイドでボールをキープしたラメラが、近くにいたソン・フンミンに戻すと、ダイレクトの折り返しが通って一瞬でフリー。右足で蹴らざるをえず、角度も厳しいフィニッシュでしたが、ルイ・パトリシオの股間を通して0-1。3分後、スパーズはまたも右サイドから追加点を奪いました。中央のソン・フンミンが右のトリッピアーに展開すると、プレミアリーグ屈指のクロス職人のフィードは、きれいな弧を描いてルーカス・モウラの頭にぴったりでした。ノーマークのドリブラーは、当てればOK。今のウルヴスに、2点のビハインドは相当厳しそうです。

32分のハリー・ケインのミドルは、虚を突かれたルイ・パトリシオが何とか体に当ててセーブ。37分にジョアン・モウティーニョの浮き球でラインの裏に出たドハーティは、オフサイドポジションにはおらず、ヒメネスのゴール取り消しは不運でした。ここからの猛攻は実らず、ホームチームは0-2のままで折り返しました。後半開始直後の49分、右から中央に持ち込んだエルデル・コスタが、ここしかないというタイミングで右のヒメネスにパスを通すと、フリーで放った強烈なシュートはロリスがセーブ。1分後に右から上がったエルデル・コスタが切り返しからニアを狙うと、ポストに当たってゴールならず。51分にクロスのクリアをボックスの外から直接叩いたネヴェスのミドルは、ロリスの超絶ビッグセーブに阻まれました。フォイスの股間を抜けてくるまで見えなかったはずで、フランス人守護神の瞬発力の高さはプレミアリーグ最高レベルです。

劣勢のポチェッティーノ監督は、59分にエリクセンを投入。途中出場で1アシストながら代えられたソン・フンミンは、明らかに不満げです。62分、ロリスのロングキックから、スパーズの3点めが入りました。ハリー・ケインがヘッドで流したボールを、ラメラが右から持ち込んでリターン。右足のボレーはルイ・パトリシオが右に弾き出しますが、こぼれ球を左から蹴り込むと、さすがのポルトガル代表GKも触れず。これで諦めるかと思われた今季のプレミアリーグ昇格クラブは、ここから素晴らしい追い上げを見せてサポーターを沸かせました。

68分にフォイスがヒメネスを引っかけてしまい、ネヴェスがPKを左に突き刺して1-3。74分には途中出場のモルガン・ギブス=ホワイトの素晴らしいスルーパスでエルデル・コスタが抜け出すも、ロリスの飛び出しをかわしたシュートは左に外れてしまいます。78分、またもフォイスがボックスでホナタン・カストロを倒してPK。ヒメネスが冷静に右に決め、ウルヴスは1点差に迫ります。仏頂面のポチェッティーノ監督は、ルーカス・モウラをダヴィンソン・サンチェスにチェンジして逃げ切りモード。84分に登場した快足ウインガー、アダマ・トラオレはチャンスを創れず、攻め続けたウルヴスはあと1本を決められませんでした。スパーズがアウェイゲームを制し、アーセナルを抜いてプレミアリーグ4位に浮上しました。

序盤は個人技勝負だったウルヴスは、スパーズの戦い方を把握した後は組織で攻められるようになり、後半は上位を圧倒しました。勝負を分けたのは、決定力の差だったのではないでしょうか。トリッピアーの必殺クロス、ハリー・ケインのフィニッシュ、ロリスのセービングと、ワールドクラスの武器を備えていたチームが上回ったという印象です。フォイスの不安定な守備が試合をおもしろくしてしまいましたが、こんな試合でも勝ち切れるのがポチェッティーノ監督のチームの強さでもあると思います。

彼らの当面の問題は、セントラルMF。不振のエリック・ダイアーとトップフォームを忘れたワニャマが負傷で離脱していたところに、デンベレが加わってしまいました。「ハリー・ウインクスがチャンスを活かして完全ブレイク」と、うまく転べばいいのですが…。PSV、クリスタル・パレス、チェルシー、インテル、アーセナルと強敵続きのスパーズは、ここから1ヵ月が正念場です。

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“【Wolves×Tottenham】危なかったトッテナム!3点リードからPK2発献上で冷や汗の勝ち点3!” への9件のフィードバック

  1. スパーズ推し より:

    ボランチを補強しなかった(出来なかった)ツケが回って来ている感じがします。

    フォイスの守備が不安定、と書かれていますが、20歳のCBとしては十分な出来だったと思います。
    2つ目のPKは反省して経験としてほしいところですが、1つ目に関しては完全にトリッピアーの軽率な判断が原因。
    これをフォイスの不安定さと断じるのはアンフェアです。
    90分通して見ても守備面では落ち着いた対応が多く、攻撃でもポジティブなチャレンジが見られました。

    彼は今後も期待させてくれるはずです。
    と言うか、トリッピアーとロリスは若手に負担をかけないでもらいたいものです、ベテランなんだから……

  2. makoto より:

    スパーズ推しさん>
    トリッピアーのミスがあれど、ウィンクスと2人でヒメネスを囲んでいるセーフティな状態で後ろから足をかけるのは軽率で、1試合2回の痛いホイッスルはまずいでしょう。「他者がミスしたのが原因だから、PKを取られるファールを咎められない」とはさすがにいえないのでは?いいプレイと軽率なプレイが混在している状態を「不安定」と表現しました。

  3. スパーズ推し より:

    ポチェもこの件に関しては、フォイスのプレーに満足しており、経験豊富な選手(恐らくトリッピアー)が学ぶべきだと話すことは不満、だと述べています。

    フォイスがリーグデビュー戦である事実は考慮されるべきでしょう。
    2回目は十分に反省してもらいたいですが、1回目は彼に主たる責を負わせるのはやはり酷です。
    結果を作った選手を責めるのは簡単ですが、重要なのは原因の方で、そうでなければただの結果論に終始してしまいます。
    何より彼の90分のプレーで大きなミスはそれらの僅かな場面のみ。
    他は攻守ともに優れたセンスと落ち着きを見せており、低評価は不当です。

    本件でもっとも憤っていることは、フォイスはチームの足を引っ張っただけ、と言う印象を与えかねないような表現であることです。
    トリッピアーとロリスのアシストやセーブは言及されても、トリッピアーのミスでファールを呼んだプレー、ロリスの危ないパスをフォイスがフォローした面などは読み取れません。
    不安定か、咎められるか、それは何に重きを置くかによっても左右されるのでこれ以上の議論をするつもりはありません。
    ただ、高いパフォーマンスでチームを助けた選手が2回のミスで(それも片方はベテランの尻拭いで)およそ不当な印象を与えられることに忸怩たる思いがしました。

    上記のプレーについて、限られたお時間で記述されるのが不可能であることは十分に理解しています。
    逐一のプレーについて記述するのは不可能であるからこそ、彼のプレーは良い面もあった、と言う程度の言及の配慮はあっても良かったのではと言うことです。

    良くないチーム状況故に、希望を見せた若手に対する苦言に、少々過剰に反応してしまっている自覚はあります。
    ご気分を害されたならば、謝罪致します。
    ご判断によっては、以後コメントについても控えたいと思います。
    毎節に渡り、フラットな視点から素晴らしいマッチレビューを投稿されていること、感謝し、敬服しております。
    今後とも興味深い記事を楽しみにしております。

    失礼致しました。

  4. sini より:

    >スパーズ推しさん

    おっしゃっている内容そのものには、完全に同意で、一失点目の責はトリッピアーですし、フォイスに求めるのは酷という主張もわかります。
    が、本レスで議論することではないかなあ、というのが個人的に思うところです。

    makotoさんにはmakotoさんの観点がありますし、たとえば「それでももっと上手くやれた」というのがmakotoさんの視点ですし。
    スパーズファン的には、若いフォイスにそこまで求めるのは酷なわけですけど。
    フォイスが不安定だったとは私も思っていませんが、そこは居酒屋とかでビールを飲みながら楽しく議論するような部分かな、と。

    個人のブログで、360度見渡しても100%妥当性のあることを書けというのも酷ですし、ここはmakotoさんの視点を楽しむ場として考えていただけたらと思いますが、いかがでしょうか?

  5. サンドバッグ より:

    ああ、モウ、単純に、このサイトはこのかの男の見識を味わう場なのだと、私はそう認識しております。
    しかし、、、本当に広告が邪魔ーっ!!

    せめて書き込みに支障がない位には
    気を使えよというそんなに金が欲しいのかい
    クソカスがーっ!! 何てね。
    ちょっち憤ってみましたよ。。。

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    広告、スマフォだと下にちょっと出てるだけですけど、自分のは。

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    無料で毎回楽しめる記事を書いてくれているのに金がとはまた…
    1記事書くのにどれぐらい労力かかるかご存知ないんでしょうけど
    次回も楽しみにしております!
    いつもありがとうございます!

  8. アイク より:

    更新ありがとうございます。
    makotoさんの仰ることはいつも100%鵜呑みにしておりますが、
    それはそれとして、スパーズ推しさんのおかげでフォイスへの関心がグッと高まりました。熱いコメント、イイですね。

  9. makoto より:

    スパーズ推しさん>
    守備の選手が失点直結のミス2回は、他のプレイがよかったとしても、ポジティブにフォローはしにくいなと思います。「勝ったからいえる」…それこそ結果論の要素はないですか?勝ち点を落としていたら、トーンが変わったように思います。「いいプレイもあった」とフォローできるのなら、(いい・悪いは別として)ロリス・カリウスがあれだけ厳しい状況に置かれ、自責の念を抱き続けなくてもよかったのだろうなと思ったりもします。

    アイツはダメだ、もう使うななどとディスったのなら、お怒りも理解しますが、「フォイスの不安定な守備が試合をおもしろくしてしまいましたが」と、「PK献上シーンについて部分的に」書いたことがそこまでの憤りになるのですね。全員ほめるか、全員詳細に採点しないと解決しないですね…。さすがに無理ですね、それは。

    みなさま>
    広告はアドセンスを最小限入れているだけなので(お金目的というより、Webサービスの研究目的です)、そんなに邪魔しないはずなのですが…。忍者ブログのいたずらですかね。確認し、快適をめざします。ご指摘ありがとうございました。また、数々のフォローコメントもありがとうございました。引き続き、がんばります。

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