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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Chelsea×Wolves】シュート数22対2、しかしドロー!ミスを重ねた失点シーンをチェック!

何かが起こる予感はありました。ホルヘ・メンデスのコネクションでポルトガル代表をごっそり集めたウェスト・ミッドランズのクラブを、昇格初年度と侮ってはいけません。プレミアリーグ7位のウォルヴァーハンプトンは、マンチェスター勢やアーセナルとドローに持ち込み、トッテナムにアウェイで勝っているチームです。プレミアリーグ30節のチェルシー戦でも90分まで0-1でリード。最後にアザールに素晴らしいゴールを決められながらも、ビッグ6から4つめの1ポイントゲットに成功しました。

スタンフォード・ブリッジに難敵を迎えたチェルシーは、左SBのエメルソン以外はいつものメンバー。ケパの前にアスピリクエタ、リュディガー、ダヴィド・ルイス、中盤にはカンテ、ジョルジーニョ、コヴァチッチ。前線には絶好調のペドロとプレミアリーグ5戦3発のイグアイン、アシストランキングTOPのアザールが並んでいました。ポゼッション76%、シュートの総本数22、オンターゲット6本、パス本数820&成功率90%は勝者のスタッツ。自陣にこもっていたウルヴスは、たった2本しかシュートを打っていません。ホームチームが中盤を支配したハーフコートマッチは、なぜドローに終わったのでしょうか。そのプロセスを振り返ってみましょう。

スタンフォード・ブリッジを埋めた熱狂的なサポーターの歓声を受け、慎重に立ち上がったチェルシー。後ろでゆっくりまわしながら空いた選手を見つけ、一気に速度を上げてゴールに迫ろうとしています。11分のジョルジーニョのプレイは、地味ながら彼の真骨頂。ただ縦に出しただけでなく、コヴァチッチを前に向かせるボールだったのが大きな価値です。中央でラストパスを受けたイグアインのシュートはサイスにブロックされますが、サッリ監督のチームらしい見事なアタック。15分にボックス右に走ったペドロへの浮き球も、ジョルジーニョの得意技のひとつです。力んだウインガーはボレーを空振りしてしまいましたが、CBとSBの間を狙うボールは4バック崩しの教科書どおり。19分にもカンテが同じエリアにスルーパスを通し、イグアインが角度のないところから狙うも、GKルイ・パトリシオが落ち着いて対応しました。

ジョルジーニョ、カンテ、アスピリクエタが絡む右からのアタックは迫力がありましたが、ラストパスがことごとくウルヴスの守備陣に捕まります。23分、ペドロのクロスに合わせたイグアインのヘッドは右にアウト。執拗に入れる右からのクロスはその都度クリアされ、相手のファールをアピールして流されるシーンが目立っています。40分にネヴェスのロングフィードでラインの裏に出たジョッタは、トラップを手に当ててしまいました。前半は0-0、アウェイチームはノーチャンス。次の45分も、チェルシーが仕掛けてウルヴスが耐える時間が続くものと思われました。アザールが倒されて得た50分のFKは、ボックス手前やや左の「ウィリアンのエリア」。ダヴィド・ルイスが決められるのは、もっと遠めからのキックでしょう。CBがインフロントに乗せたボールは、モウティーニョに当たって外に逸れてしまいました。

攻めていたチームは、55分のカウンターで先制を許してしまいます。ボリが背後に蹴り出し、モウティーニョがジョッタに預けるまでは、何でもないシーンでした。チェルシー守備陣はジョッタとヒメネスを5人で囲んでおり、誰かがボールに触ればそこで終わりです。最初のミスは、ダヴィド・ルイスとカンテがワンツーで置き去りにされたこと。リターンが通った瞬間、リュディガーとジョッタが1対1となり、ヒメネスからの奪取をしくじったカンテとエメルソンが置いていかれるという2度めのエラーが致命的でした。リュディガーを右に誘ったジョッタが中央に転がすと、ヒメネスがフリーでフィニッシュ。外から追いついたアスピリクエタの右足にヒットしたボールは、ケパのグローブの先を抜けて左隅に吸い込まれました。

1点を追うチェルシーは、すかさず反撃。コヴァチッチと代わったロフタス=チークがペドロに預け、イグアインが振り向きざまに放った左足シュートはルイ・パトリシオが右に弾き出しました。60分の好調ペドロのミドルも、ポルトガル代表GKが上にセーブ。サッリ監督はこの直後にペドロを諦め、カラム・ハドソン=オドイでサイドアタックを仕掛けます。4人のCBと5人のMFがゴール前に下がり、蜘蛛の巣のような緊密なラインを敷くプレミアリーグ7位は、アザールやイグアインにシュートを打つ時間を与えません。ジョルニーニョをウィリアンという3枚めのカードは、果たして妥当だったのか。ウルヴスDFの奮闘を見ながら、「エメルソンを削ってジルーを投入し、前線に拠点を築いたほうが蜘蛛の巣が綻びる可能性は高いのでは…」などとぼんやり考えていました。

いや、これだけ引かれれば、プレミアリーグの上位といえども崩すのが難しいのはわかっています。しかし、ミドルシュート以外の打開策がハイクロスぐらいしかなければ、空中戦に強いジルーが効果的だったのではないかと感じたのでした。87分、ウィリアンが右足で巻いた一撃はルイ・パトリシオが左に飛んでセーブ。91分に右隅に突き刺したアザールのミドルは完璧でしたが、ウルヴスの粘り勝ちという印象が残った一戦でした。唯一のピンチに、複数のミスを重ねてしまった失点シーンが悔やまれる結果となりました。

1試合消化試合が多いアーセナルとの勝ち点差は3。ビッグ6とのシックスポインターをすべて終えたライバルに対して、こちらはアウェイゲームを2つ残しており、アンフィールドとオールド・トラフォードという難関を克服しなければなりません。2020年1月まで、2度の補強の機会を禁止とされたクラブは、来季もELで戦うことになるのでしょうか。現在の勝ち点×残りの上位対決×ホームorアウェイを掛け合わせると、最も不利なのはチェルシーですが…⁉

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“【Chelsea×Wolves】シュート数22対2、しかしドロー!ミスを重ねた失点シーンをチェック!” への2件のフィードバック

  1. nor より:

    更新お疲れ様です。サイドに展開して溜めて戻して斬り込めず、、の繰り返しでしたね。スペースを与えずにチェックに行けば、ほぼCBまで戻す攻めは、相手からすると守りやすいのではないでしょうか?おっしゃるようにジルーへのスイッチなど、より柔軟な対応ができないと今後も一進一退、6位くらいが定位置な気がします。

  2. パチ より:

    裏への意識が右しかなく、左は足元ばかり。ペドロを裏へ走らせるパスもジョルジーニョやルイスからでコバチッチからは一回あったぐらい。セスクが左インサイドとして残っていればな…という試合でしたし、交代策もいまいちでした。

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