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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Everton×Chelsea】激勝エヴァートン!夢を叶えたOBの情熱的なパフォーマンスに感動!

フランク・ランパードは、最悪のタイミングでエヴァートンと当たってしまいました。マルコ・シウヴァ解任の後を受けて、ピッチサイドで選手に檄を飛ばしていたのは、現役時代に悪童として名を馳せたトフィーズOBのダンカン・ファーガソン。プレミアリーグ歴代最多のレッドカード8枚、グラスゴー・レンジャース時代にはジョン・マクスティに頭突きを喰らわせ、禁固3ヵ月の実刑判決を下されたデンジャラスな男です。エヴァートンで10シーズンを過ごした「ビッグ・ダンク」に、選手たちは相当気合いを注入されたのではないでしょうか。

GKケパ、DFリース・ジェームズ、ズマ、クリステンセン、アスピリクエタ、MFコヴァチッチ、カンテ、メイソン・マウント、FWプリシッチ、タミー・アブラハム、ウィリアン。アストン・ヴィラに2-1で勝った前節のメンバーをそのまま持ち込んだランパード監督の戦い方に、プレミアリーグ18位に敗れる要素は見当たりませんでした。キックオフからしばらくは、イーブンの展開。ビッグ・ダンクは、さっそくピッチの脇から選手たちに発破をかけています。スコアが動いたのは4分。チェルシーの最初の速攻がゴールキックになった直後でした。

シグルズソンが敵陣でカンテから奪い、縦パスをもらったカルヴァート=ルーウィンがリシャルリソンに落とすと、今季プレミアリーグで5ゴールのエースは右のウォルコットに展開しました。中央に走り込んだリシャルリソンのポジショニングが見事で、マークがずれたチェルシーは、クリステンセンが2人を見る格好となってしまいます。フリーのヘディングがネットに届き、1-0。グディソン・パークのボルテージは、チームの不振が嘘のように高まっています。

11分、ウォルコットの鋭いアーリークロスに、リシャルリソンのスライディングは及ばず。タミー・アブラハムとメイソン・マウントが裏に抜け出しそうになると、マイケル・キーンやシディベが必死に戻ってシュートを打たせません。16分、ピックフォードのゴールキックをカルヴァート=ルーウィンがウォルコットに預け、リターンをもらってズマの裏に抜けたチャンスは、クロスに飛んだシュートをケパがセーブ。19分、自陣ボックス手前でマイケル・キーンがトラップミスをウィリアンにさらわれたピンチは、ホルゲート、シグルズソン、シディベが次々に戻ってシュートコースを塞ぎました。

出足がいいエヴァートンに対して、チェルシーのアタッカーたちはサイドに持ち込むのが精一杯。26分にウィリアンが縦に突破すると、ニアに走ったタミー・アブラハムは速いクロスに触れませんでした。プリシッチがシディベを抜き去り、ゴールライン際を進んだ39分のチャンスは、ウィリアンへのラストパスをディーニュがクリア。チェルシーに足りないのは、ラストパスのコースを増やす最前線への飛び出しです。

1-0で後半に突入したゲームは、49分に動きました。プリシッチのクリアをシディベがカットし、チェルシーのゴール前に浮いたボールをズマが真上に蹴ってしまいます。クリステンセンがヘディングを空振りすると、ズマとの競り合いに勝ったカルヴァート=ルーウィンがケパの脇を抜きました。ビッグ・ダンクは勝利が決まったかのように大騒ぎ。スタンドの雰囲気は、否応なく盛り上がります。

2-0とされたチェルシーは、3分後に1点を返しました。左サイドに流れたカンテがボックスに入ったアスピリクエタにつなぎ、グラウンダーをディーニュがクリア。コヴァチッチが、ボックスの外から直接叩くとは思いませんでした。右足のボレーは、ゴール左隅に一直線に突き刺さるスーパーショット。残り時間は30分以上あり、2-1ならどう転ぶかわかりません。

57分、自陣左サイドで珍しくコヴァチッチがシディベに奪われ、グラウンダーがカルヴァート=ルーウィンに渡りますが、右足のシュートはブロックされ、フォローしたシュナイデルランの左足も枠を捉えることができません。直後、カンテを抜き去って右から上がったウォルコットのシュートは、ケパが冷静にセーブ。63分のコヴァチッチのミドルは右に外れ、1分後にコヴァチッチがゴール前に浮かしたボールをカンテが後ろに落としますが、フリーのメイソン・マウントはボレーをアウトにかけてしまいました。

青いシャツがピッチに転倒するたびに、ビッグ・ダンクはオーバーアクションで相手のファールを主張しています。71分にリシャルリソンをトム・デイヴィスに代えると、静かに戦況を見守っていたランパード監督もウィリアンをカラム・ハドソン=オドイにスイッチ。80分、アスピリクエタの折り返しをニアのメイソン・マウントが右足で合わせると、ホルゲートが体を張ってクリアします。足を痛めたディーニュは82分にレイトン・ベインズに後を譲り、チェルシーの指揮官はリース・ジェームズをバチュアイというギャンブル発動です。

勝負が決したのは83分。トリガーはケパのミスキックでした。奪ったウォルコットがカルヴァート=ルーウィンに預けると、ヒールキックが中央のトム・デイヴィスに通ります。21歳のMFが粘り、カンテに当たったボールがフォローに入ったカルヴァート=ルーウィンへ。アウトにかけた巧みなシュートが右隅に転がると、はしゃぎまくったビッグ・ダンクがボールボーイとハグをかわしています。苦い表情のランパード。チェルシーはゴールを決められず、3-1のままでタイムアップの笛を聞きました。

エヴァートンでプレミアリーグ239試合60ゴールというスタッツを残した熱きOBの最大の手柄は、グディソン・パークのサポーターたちを目いっぱい煽ったパフォーマンスでしょう。スタンドの圧力を受けたチェルシー守備陣とカンテ、コヴァチッチはいつになくミスが多く、やらなくてもいい失点を重ねてしまいました。「エヴァートンの監督になるのは私の夢だが、現実的に考えないと」と語った暫定監督がいうとおり、近いうちに新しいマネージャーがやってきて、彼はコーチングスタッフという元の役割に戻るのだと思われます。

この日のグディソン・パークの雰囲気を、うたかたでも夢を手に入れた男の情熱を、忘れずにいようと思います。83分のゴールシーンは感動的でした。彼もまた、愛するクラブの勝利を無心に喜ぶサポーターのひとりです。ベンチとスタンドとピッチが共鳴し合って辿り着いた貴重な勝ち点3のように感じられました。エヴァートンは、次の指揮官をいつ決めるのでしょうか。プレミアリーグで初めての勝ち点3を、ビッグ6からもぎ取ったOBの思い溢れるパフォーマンスを、もうしばらく見ていたい…おお、次はマンチェスター・ユナイテッドじゃないですか。ビッグ・ダンク、ここはひとつお手柔らかに!

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“【Everton×Chelsea】激勝エヴァートン!夢を叶えたOBの情熱的なパフォーマンスに感動!” への5件のフィードバック

  1. n より:

    試合が詰まってきたせいもあり、チェルシーの勢いに陰りが見えてきましたね。何よりDFの綻びが繕えないのが致命的です。サイドが勢いよく前がかりになる攻めと相反ではありますが、クロス対応、特にズマとケパの相性が悪い気がしてなりません。クロスを見送る、深い位置でカットされた時に戻りきれない、クリアの精度、今回は致命的なキーパーからのパス連携ミスもありました。移籍禁止で、もの足りなくても呼び戻さなければどうにも埋まらなかったポジションには、解禁と同時に新たな才能を呼び、生え抜きとのベストミックスに期待したいです。とはいえ今季は中位でも全然OKだと思うので、性急な改造で元のチェルシーには戻らないで欲しいのですが。

  2. 高 たかし より:

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  3. マルシアルル より:

    最悪なタイミング。これはスールシャールにも言えますね。

  4. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    エヴァートンはライバルチームですが、クラブレジェンドがチームやサポーターを鼓舞する姿は嫌いではないです。見事な勝利でしたね。

  5. ランパードが好き より:

    nさんと一緒の意見になっちゃいます。
    どうしてもクロス対応の面で綻びが出てしまいますね、後ろの枚数的に厳しかったりとか現状の戦術上仕方ない欠陥でもあるかもしれません、縦パスカットやビルドアップを狙われてからのショートカウンター受けなども含めて
    前がかりにいくチームなのでカバーエリアが広く数的不利もはね返す力強さを持ったCBに頼りたい部分はありますしリュディガーの復帰、そして本来の調子を取り戻していく所は期待したいです、トモリも地上戦に関しては目を引く早さと強さを持っていますね

    今のDFラインは成長は見えますがビルドアップの能力に優れてるわけではないですし、本来そこが武器のケパも割とパスミスや判断の悪い場面があるので中盤のタスクや負担がかなり大きいです
    左SBで出るアスピも攻めあがっていく場面や低い位置でボールを預ける部分を考えれば右に専念してほしいかなーとも
    コバチッチカンテジョルジーニョに頼る部分は凄まじく、この中盤とエイブラハムの得点力がチームの強さのベースなので過密日程でのケガやパフォーマンス低下は不安になりますね
    バレンシアに引き分け、調子の良くないシティ、下位のウエストハム、エバートンに敗れてチームは黄信号が点滅している状態とでも言えばいいのか、リール戦のオシムヘンも怖い存在ですし、アーセナルスパーズ戦も残したままです

    内容は悪くないと思いますしこの時点ですでに充分やってくれてる実感があるので結果が出なくなっても全然許容出来るんですけどね

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