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マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

軒並み低調スタートの上位クラブが直接ぶつかる、9月に流れが決まる!?~プレミアリーグ開幕戦総括

ワールドカップ明けは、やはり難しいですね。土曜日のランチタイムキックオフ、マンチェスター・ユナイテッドVSスウォンジーに始まったプレミアリーグ2014-15シーズンの開幕節は、先ほどのバーンリーVSチェルシーまでで、ひととおり終わりましたが、昨季の上位クラブで「快勝」といっていいのはチェルシーのみ。順当勝ちと思われたクラブが、軒並み苦戦しました。3大トピックスを選ぶとすれば「マンチェスター・ユナイテッド、まさかの敗戦」「エヴァートンがプレミアリーグ昇格したてのレスターとドロー」「セインツ大健闘、冷や汗リヴァプール」ではないでしょうか。

マンチェスター・ユナイテッドの敗因は、「準備不足」「激痛のケガ人」「ファン・ハール監督のリアリティ不足」だと思います。昨季、新監督だったマンチェスター・シティのペジェグリーニさんとチェルシーのモウリーニョさんは、7月頭にはクラブに乗り込み、補強もチームづくりも順調だったにも関わらず、やはりプレミアリーグ最初のシーズン、序盤戦では苦労しました。ファン・ハール監督が現場に入ったのは、前年の新任監督よりも2週間以上も遅い7月18日。ワールドカップで3位決定戦まで戦った代表チームの監督を連れてきたマンチェスター・ユナイテッドは、昨季のライバルたちより多くの「新監督合流遅延料」を払わないと、チームを軌道に乗せられないようです。

3バックを短期間で作り上げようと取り組んだファン・ハール監督にとって、最大に痛かったのは、ルーク・ショーとジョニー・エヴァンスの離脱でしょう。「厳しかったら4バックに戻す」と公言していた新指揮官が、開幕戦で発展途上の3バックを選んだのは、プレシーズンマッチ全勝という結果を過大評価したこともあったかもしれませんが、「本職の左SBが欠け、代役に不安があったから」だと思います。ルーク・ショーなら、サイド後方のスペースはより埋められたはずで、エヴァンスがいれば、失点シーンで2人から目を離すというパニックは起こさずに済んだのではないかと思います。

「今季もダメじゃないか」「モイーズ監督より開幕戦の結果が悪いじゃないか」と、何かとセンセーショナルに語られておりますが、ファン・ハール監督は、この結果で現状認識と相場観を持てたはずなので、必ずや改善してくれると期待しています。完全なる頭数不足で、補強がなければプレミアリーグ4位以内は無理だと思いますが、8月末までにクラブがきちんと適材を獲得してくれれば、秋には巻き返しモードに入れるでしょう。

エヴァートンのドローは、無理めなロングシュートをブロックしたこぼれ球がレスターFWの前に出るなど、ラッキーパンチ2発を受けた結果なので、気にしすぎることはないでしょう。ただし彼らも、ワールドカップの余波やケガ人の影響を受けています。ロス・バークリーの離脱は痛手。ルカクやミララスの調子が上がっていないように見受けられます。新加入のベシッチやアツも、登場は少し先になるでしょう。彼らも今後、充分巻き返せるはずですが、ここからの2戦がアーセナル、チェルシーというのが厳しいですね。その後のWBAもやっかいで、昨季プレミアリーグに旋風を巻き起こしたマルティネス監督のチームは、「開幕4戦勝利なし」という最悪の展開まであるかもしれません。

そして、あわやドロー決着という厳しいゲームを、終了直前のゴールで勝ち点3に変えたのは、ノースロンドンの2チームです。エジル、ポドルスキ、メルテザッカーの復帰が見込まれ、戦力に余裕があるアーセナルよりも、昨季フィットしなかった選手を再生させながら勝たないといけないトッテナムのほうが、初戦勝利の意味は大きいでしょう。しかし、20歳の新人右SBエリック・ダイアーは、チームが10人で戦っているなか、あの土壇場のしびれるシーンで、よく前線に飛び込みましたね。GKをかわした瞬間、つい「ハリー・ケイン!」と叫んでしまったのですが…。

若い選手が決勝ゴールを挙げたというのも弾みがつきます。今季のトッテナムとエヴァートンでは、いい補強をしたエヴァートンが上と見ていたのですが、3節の本拠地で戦うリヴァプール戦、6節のアーセナル戦を勝ち点4でクリアできれば、「序盤戦の明暗をそのまま引っ張ってポチェッティーノ監督のチームが上にいく」という結末もあるかもしれません。

さて、同じく苦戦したリヴァプールですが、この試合はクーマン監督のセインツのほうをほめるべきでしょう。ジェラードに思い通りの配球をさせなかった、前線からのプレスはお見事。後半の怒涛の攻撃は完全にリヴァプールを凌駕しており、内容で評価すればドローという結果が妥当だったと思います。リヴァプール守備陣が余裕を失っていた85分過ぎ、新加入のFWシェーン・ロングに落ち着きがあれば、無人のゴールへのヘディングシュートで2-2決着となっていました。リヴァプールをポジティブに捉えれば、あれだけチャンスの少ない試合で、きっちり2点を奪えたのがよかったですね。ストライカーがもうひとり必要なのは間違いありませんが、ケガさえなければスタリッジはプレミアリーグ得点王の座をジエゴ・コスタと争うのではないかと思います。

昨季は重度の「アウェイおとなしい病」を、半年以上克服できなかったマンチェスター・シティは、ペジェグリーニ体制2年めの今季は簡単に負けないでしょうね。チェルシーとマンチェスター・シティの取りこぼしが減り、アーセナルが戦力UPで昨季以上の力を発揮できるとすれば、今季プレミアリーグの上位の並びは、昨季以上に直接対決の結果で決まりそうです。その意味では、5節までにリヴァプール、アーセナル、チェルシーと戦うプレミアリーグ王者が、9月末に何位にいるかに注目です。ここで首位なら、独走あるいはチェルシーとの一騎打ち。2敗以上していようものなら、今季のプレミアリーグも戦国時代さながらのカオスが続くと思われます。初戦に負けたマンチェスター・ユナイテッドのサポーターとしては、隣町のライバルをアーセナルとリヴァプールに止めていただき、チェルシーとの「決勝戦」は痛み分けとしていただけるとありがたいのですが…。

モウリーニョさんのチームには、いうことはありません。相手がプレミアリーグ昇格組とはいえ、前半のパスワークを見るにつけ、昨季よりも強くなったのではないかと思いました。ドローならともかく、彼らが負けるシーンがイメージできません。今季の優勝は、チェルシーだと思います。悔しいですが。

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“軒並み低調スタートの上位クラブが直接ぶつかる、9月に流れが決まる!?~プレミアリーグ開幕戦総括” への4件のフィードバック

  1. リバサポ より:

    ジエゴ.コスタとスタリッジ、アグエロあたりが得点王を争いそうですね。しかし、この3人が怪我しがちということをかんがえると、しれっとジェコあたりが追い上げてきそうです笑。個人的にはタディッチが15点くらいとるのではないかと予想です。

  2. makoto より:

    リバサポさん>
    タディッチが15点入れたら、セインツは相当上に行きそうですね。個人的には、「ルーニーと香川真司で20点、ファン・ペルシまで入れて35点希望」なのですが…。

  3. スパーズ推し より:

    今シーズンもよろしくです

    ダイアーに関しては、移籍前から期待の若手として注目していたので
    決まった時はかなり驚きました(笑)

    一つ、指摘しておきますが
    ダイアーは本来CBですので、悪しからず

    ラメラの復活とベンタレブ、ケインが成長してくれることを願ってます
    今年は良いとこ5位争いじゃないですかね?
    あわよくば4位、も狙いたいですけど
    周りの戦力を見ると、あまり現実的じゃないかな^^;

  4. makoto より:

    ユナイテッドサポの方には悪いですがプレシーズンで夢を見過ぎたのではないでしょうか…
    少なくともエレーラ&ショーだけでは昨季の厳しい戦いから抜け出せないのでは?
    最低CB1枚&CMF1枚は必要でしょう
    それも数合わせではなくそこそこビッグネームの選手が…
    噂にあがってあるのがロホ、ブリント、ビダルあたりらしいのでビダルは申し分ないですがロホ、ブリントはどうなんでしょうか?
    W杯だけなら2人とも良かった印象ですが…

    —–
    スパーズ推しさん>
    こちらこそ、よろしくお願いします。なるほど、ダイアーは本職CBですね。そこまでキャッチアップできておりませんでした。ありがとうございます。

    明日エコトさん>
    プレシーズンで全勝だったから今季はいける、とは到底思えないほど、中盤センターと最終ラインの人員不足に胸を痛めておりました。何せ、リオ、ヴィディッチ、エヴラ、ビュットナーを一気に出し、ギグスもいなくなったのですから。先ほど、明日UPの記事を用意していたのですが、私はロホとブリントでOK、ビダルは無理せず、むしろソングはどう?と思っています。

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