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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

プレミアリーグ勢が席捲。「ブランド価値の高いサッカークラブランキング」2015年版発表!

プレミアリーグ、恐るべし。「ブランド・ファイナンス」が、興味深いレポートを発表しました。「The annual report on the world’s most valuable football brands(世界で最も価値のあるサッカーブランドについての年度報告)」と題された56ページに及ぶレポートは、サッカークラブにおいてブランドがもたらした売上と資産を定義づけ、金額として算出したもの。これによると、今年度はマンチェスター・ユナイテッドが「最もブランド価値が高いサッカークラブ」となるようです。7億2700万ポンドは、日本円にして約1400億円。同じレポートで、前年はバイエルン・ミュンヘン、レアル・マドリードに次ぐ3位だったマンチェスター・ユナイテッドは、スポンサー契約の増加やテレビ放映権料によって大きく価値を伸ばし、世界1位という評価を受けることになりました。

レポートを見てびっくりしたのは、欧州主要10ヵ国(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス、オランダ、トルコ、ブラジル、ポルトガル、スコットランド)のなかでシェアをとると、プレミアリーグが46%を占めるということ。2位のブンデスリーガが16%、3位のリーガ・エスパニョーラが15%となっており、TOP3だけで全体の3/4に及びます。TOP20の顔ぶれを見ると、プレミアリーグ勢は9クラブがランクインしており、2強以外は圏外のスペインや、TOP10にはバイエルンしかいないドイツを大きくリードしています。プレミアリーグで9位のサウサンプトンがインテルより上というだけでもちょっとしたサプライズです。

もうひとつ、興味深いのが「Winners and Losers」という項目です。ブランド価値を大きく伸ばした10クラブとワースト10をグラフで比較してみせているのですが、伸び率TOP10の上位は軒並みプレミアリーグ勢で、1位サウサンプトンの89%UPを筆頭に、2位エヴァートン、3位ストーク、4位ウェストハムと80%以上伸びたクラブはすべてプレミアリーグ。テレビ放映権料がいかに大きいのかがわかります。サッカー界全体が好景気のなか、TOP50クラブのうちブランド価値が下がってしまったクラブ(=ドル換算)は6クラブしかないのですが、ブレーメン、シャルケ04、ドルトムント、ハンブルガーSVと4クラブまでがブンデスリーガです。今季ブンデスリーガで最後まで残留争いを続けた「ドイツで唯一2部以下に在籍したことがないクラブ」ハンブルガーSVは、ブランド価値の伸び率では50クラブ中ワーストとなってしまいました。

【ブランド・ファイナンス ブランド価値が高いサッカークラブランキング】
1位/マンチェスター・ユナイテッド(7億2700万ポンド:約1389億円)
2位/バイエルン・ミュンヘン(5億6200万ポンド:約1073億円)
3位/レアル・マドリード(5億2600万ポンド:約1004億円)
4位/マンチェスター・シティ(4億8200万ポンド:約921億円)
5位/チェルシー(4億7900万ポンド:約915億円)
6位/バルセロナ(4億6500万ポンド:約888億円)
7位/アーセナル(4億2300万ポンド:約808億円)
8位/リヴァプール(3億4700万ポンド:約663億円)
9位/パリ・サンジェルマン(3億2600万ポンド:約623億円)
10位/トッテナム・ホットスパー(2億1700万ポンド:約414億円)
11位/ユヴェントス(2億1100万ポンド:約403億円)
12位/ドルトムント(1億9600万ポンド:約374億円)
13位/シャルケ04(1億8200万ポンド:約348億円)
14位/ACミラン(1億4700万ポンド:約281億円)
15位/エヴァートン(1億3700万ポンド:約261億円)
16位/ウェストハム(1億2600万ポンド:約241億円)
17位/ASモナコ(1億2200万ポンド:約233億円)
18位/サウサンプトン(1億1000万ポンド:約210億円)
19位/ガラタサライ(1億700万ポンド:約204億円)
20位/インテル(9600万ポンド:約183億円)
※本レポートを紹介しているメディアによって日本円換算の金額がまちまちですが、こちらはレポートに表記されたポンドの数字を1ポンド191円で計算しています。

クラブの愛称をもじって「Billion Dollar Devils(10億ドルの悪魔)」というキャッチ―な見出しを付けられたマンチェスター・ユナイテッド。レポートのなかで「silverware(銀の器、すなわちトロフィー)のない季節」といわれながらも、1位に返り咲いた彼らに対する評価を紹介することが、チャンピオンズリーグでは不振でもブランド価値が上がっているプレミアリーグ全体の状況をつかむことにつながると思いますので、以下に列記させていただきます。

サー・アレックス・ファーガソンとクラブの継続的な支配でファンとスポンサーを増やし、2009年に初めて1位となったものの、名将の引退と「モイーズ監督による壊滅的なシーズン(レポートより)」によって名声と欧州からの収入を毀損し、ここ2年は評価額も順位も下落していました。相変わらずタイトルとは無縁ながら今季になって再度価値を高めたのは、アディダス社との7億5000ポンド(約1433億円)以上となる10年契約をはじめとするスポンサーフィーの増加と、テレビ放映権料の影響です。彼らの数字を見ていると、サッカークラブはコンテンツビジネスであり、「スタジアムという自前の舞台を持つ芸能プロダクション」、さしづめ吉本興業のようなものなのだなとあらためて思います。

ディ・マリアという類まれなるエンジンと、シャビ・アロンソという守備の要を放出してしまい、ハメス・ロドリゲスやトニ・クロースというワールドカップを盛り上げたタレントを獲得するというややミーハーなチョイスをしたレアル・マドリードは、今季無冠に終わりました。フローレンス・ペレス会長の強引な手法に「サッカーをわかってない!」と怒る方は多いと思われますが、経営的な観点でみると、新しいスターが毎年入ってくることは正しいのかもしれません。杉下右京さんにはときどき新しい相棒が来てくれたほうが視聴率は上がり、バラエティ番組に大物ゲストが登場すれば話題になります。善し悪しはともかく、ペレス氏は代々の監督に「儲けるために新しいの獲ってくるから、チャンピオンズリーグはうまくやっといてね」といっているわけです。

「最低」「信じられない」と怒りたくなる気持ちを少し抑えて、「儲けたい」と「勝ちたい」のせめぎ合いに思いを馳せながらピッチを眺めると、スーパーゴールやビッグセーブに出会った興奮とはまた違ったサッカーシーンの味わい深さがそこにあるように思います。「ブランド・ファイナンス」のレポートは、こちらで閲覧できます。ご興味あれば、ぜひ。

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“プレミアリーグ勢が席捲。「ブランド価値の高いサッカークラブランキング」2015年版発表!” への2件のフィードバック

  1. a より:

    お疲れ様です。
    今年は、そのミーハーにうちのデヘアが巻き込まれるわけですね。なんというか、やはりレアルは好きになれません。勝負よりも金儲けを優先している感がありますし、下部組織でしっかりと育成を行っているバルサのほうがよっぽど好感が持てます。カシージャスのパフォーマンスが下がった途端に、今までのチームへの貢献を忘れたかのように叩き出しますし、ホームで(確か)バルサに負けると、スタジアムから帰るラモスやベイルの車を蹴るなど、サポーターの民度も低い。
    なんかこう、すっきりしません。

  2. makoto より:

    aさん>
    私も、好みはファーガソン時代のマンチェスター・ユナイテッドであり、グアルディオラ時代のバルサなのですが、レアル・マドリードのペレス会長はエキセントリックではあるものの、経営者としてはおもしろい人物です。デ・ヘア移籍が決まったら、自分のなかで「スペイン憎し&レアル・マドリードだけには負けるなスイッチ」が発動しそうではありますが…。

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