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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

走行距離の上位でベテランが健闘…プレミアリーグのハードワーカーランキング!

イギリスメディア「インディペンデント」が、プレミアリーグにまつわる興味深いデータを紹介しています。「Premier League’s hardest working player revealed: who leads Arsenal, Chelsea and Man Utd?(プレミアリーグで、最もハードワークをこなしている選手が明らかになった。アーセナル、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドをしのぐのは誰だ?」と題された記事は、「EAスポーツ」が提供しているプレイヤーズ・パフォーマンス・インデックスの「走行距離」に着目。25節終了時に、トータルでよく走っている選手と、1試合あたりの走行距離が長い選手をランキングにしています。

さて、最も走っている選手は誰でしょう…と、クイズにしたら、おそらく当たらないでしょう。ボーンマスのセントラルMF、アンドリュー・サーマンは、プレミアリーグ全20クラブの選手のなかで、唯一300km以上を走破しているハードワーカー。ボーンマスの試合を何回か観た方は、中盤で攻め上がってくる選手をしつこくチェックする背番号6を覚えてらっしゃるのではないでしょうか。2位は何とエヴァートンの34歳、ギャレス・バリーで、3位はWBAのドーソン。4位にワトフォードの心臓というべきエティエンヌ・カプエが入り、5位には32歳のベテラン、ダレン・フレッチャーの名前があります。マンチェスター・ユナイテッドのファンとしては、長く潰瘍性大腸炎で苦しんでいたフレッチャーが元気に活躍しているのをみると、胸が熱くなります。右SBのドーソン以外はすべてセントラルMFの選手で、所属クラブは8位~15位におさまっています。プレミアリーグ残留をめざすクラブにとって、このポジションが走り回ることがいかに重要かがわかります。

第2問は、走行距離TOP5の選手の共通項は何でしょう…こちらは察しのいい方は一発で正解を出せそうです。そう、「プレミアリーグ25試合全試合スタメン」。彼らは全員、出場時間が2300分を超えており、まさに無事是名馬。各クラブの監督は、中央の軸を固めることが守備の安定をもたらすと考え、大事なポジションに経験豊富な選手を置いているのだと思われます。6位以下を見ると、攻撃における貢献度が高い選手が顔を出します。マーク・ノーブルはパイェと絡んで右からクロスを上げるシーンが多い選手で、ボーンマスのマット・リッチーとゴスリングも上下動が激しい選手。10位には、昨季の伸び悩みモードを完全に払拭したロス・バークリーがいます。これだけの距離を走りながらルカクにパスを供給し、自らも8ゴールを決めている22歳のトップ下は、今後のゲームでもセンターサークル付近から重戦車のように上がってくる力強いドリブル突破を見せてくれるでしょう。

TOP10の共通項は…といえば、「全員欧州で戦っていない選手」。総走行距離ランキングは、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグを戦っているクラブの選手が、すべての試合で走り続けることがいかに難しいかを語っているデータでもあるのかもしれません。上位クラブのチーム内1位を見てみると、レスターはカンテかドリンクウォーターかと思いきや、実は左MFのオルブライトン。アーセナルはナチョ・モンレアル、リヴァプールはナサニエル・クライン、マンチェスター・ユナイテッドはファン・マタです。マンチェスター・シティのバカリ・サニャは、試合を観ている方なら大きくうなずくのではないでしょうか。そしてトッテナムは、全試合スタメンのストライカー、ハリー・ケインです。

【プレミアリーグ2015-16 選手別の総走行距離ランキング】
1位/アンドリュー・サーマン(ボーンマス ) 303.85km
2位/ギャレス・バリー(エヴァートン )   297.64km
3位/クレイグ・ドーソン(WBA)      278.57km
4位/エティエンヌ・カプエ(ワトフォード ) 278.43km
5位/ダレン・フレッチャー(WBA)     271.46km
6位/マーク・ノーブル(ウェストハム)    271.31km
7位/マット・リッチー(ボーンマス )    268.71km
8位/ヤン・エムヴィラ(サンダーランド )  268.59km
9位/ダン・ゴスリング(ボーンマス )    267.91km
10位/ロス・バークリー(エヴァートン )   267.31km

ここからは、1試合あたりの走行距離ランキングのほうを見てまいりましょう。こちらの顔ぶれは、納得感が高いのではないでしょうか。プレミアリーグで最もよく走るトッテナムから2人、クロップ監督のリヴァプールからフルスロットルを体現する2人。デル・アリ、ミルナー、ララナ、エリクセンは、サイド、中、最前線、後ろとカバーエリアが広く、さまざまな役割をこなせるのが特徴の選手たちです。泥臭い守備をこなしながら、今季プレミアリーグで7ゴールを決めているデル・アリは、トッテナムが優勝すれば20歳の若さでMVPに選ばれるかもしれません。

【プレミアリーグ2015-16 1試合あたりの走行距離ランキング】
1位/ダン・ゴスリング(ボーンマス)     11.92km
2位/デル・アリ(トッテナム)        11.86km
3位/ジェームズ・ミルナー(リヴァプール)  11.82km
4位/クリスティアン・エリクセン(トッテナム)11.55km
5位/アダム・ララナ(リヴァプール)     11.51km
※いずれもプレミアリーグ25節終了時

レギュラー選手を固定して戦い、カウンターで走り回るイメージがあるレスターの選手がランキングに入っていないことに驚く方がいらっしゃるかもしれませんが、彼らとトッテナムのカウンターを比較してみると、その理由の一端に気づくのではないでしょうか。レスターは少人数の速攻が多く、基本はヴァーディを含む2~3人。トッテナムのカウンターは多いときは6人が全力疾走します。自陣にこもる時間が長く、効果的な連携とポジショニングで相手を囲むチームは、誰かが突出して走るチームではなく、全員が走るチームなのだと思われます。それにしても、ギャレス・バリー、フレッチャーのオッサンパワーは素晴らしいですね。30歳になったミルナーと、29歳のサーマンもこちら側のくくりに入れていいでしょうか。ゴールシーンや、GKの美しいセービングが話題になりがちなサッカーですが、試合を観る際にはハードワーカーにも注目していただき、素晴らしいタックルや巧みなインターセプトにも、ぜひ声援を送っていただければと思います。

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“走行距離の上位でベテランが健闘…プレミアリーグのハードワーカーランキング!” への2件のフィードバック

  1. ヤンガナ大好き より:

    この記録やランキング、これまで縁の下の力持ちで中々評価せれなかったスタッツが評価され、本当に面白いデータですね!

    サッカーをやっていた人ならわかりますが、ミルナーのように特別上手くなくてもハードワークを厭わない選手がチームの心臓にいる本当に助かりますよね!それには怪我をしない強靭な身体と体力、そしてボールに食らいつくタフネスさが必要かと思います。

    デルアリ、エリクセンのトットナム、ミルナー、ララーナのいるレッズ、それにゴスリンクのいるボーンマスのサッカーが観ていてなぜスピーディーで清々しく感じるのかが納得できました。

    ガヤーズでは唯一プレミア全試合出場中で評価が高まりつつあるモンレアルの頑張りが数値で見える化され嬉しいです。ガナーズからはラムジーが1試合平均の走行距離ランクに入ってもおかしくないですが、それが今シーズン今一つで乗り切れない彼を表しているのかと思いました。

    それにしてもデルアリ、あの若さで恐るべしですね!このまま怪我なく成長したら間違いなくモンスターになりますね!

  2. makoto より:

    ヤンガナ大好きさん>
    ラムジーにはぜひ入ってほしいランキングです。デル・アリは、あれだけ動き回ってゴールまで決めてしまうところが凄いと思います。

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