イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ユーロのピッチで見たいもうひとつの夢物語…レスターのドリンクウォーターとカンテが代表初選出!

今週はインターナショナルマッチウィークで、週末のプレミアリーグはお休み。ユーロ出場国はいよいよ総仕上げの時期に入るわけですが、イングランド代表は3月26日にドイツ、29日にはオランダと対戦することになっています。先週発表された代表メンバーで話題になったのは、プレミアリーグ首位を走るレスターから、中盤を支えているダニー・ドリンクウォーターが選出されたこと。リーグ戦を通じて成長した選手を代表監督が抜擢する、という流れ自体はいいと思うものの、ホジソン監督にとってのドリンクウォーターの立ち位置が気になります。本来なら、この時期にはレギュラーメンバーは固まっており、代表初選出の選手はサブからスタートして出来がよければポジション奪取も…というお話のはずですが、まさかいきなりスタメン?救世主⁉セントラルMFの軸は、エリック・ダイアー、デル・アリ、ヘンダーソンのなかから2人という目論見なのか、ロス・バークリーを起用するのか、あるいは「最後の一斉テスト」をしたいのか。前線もそうですが、ホジソン監督の代表チームの芯が見えてこない感覚があり、そわそわしてしまいます。

イングランド代表についてもうひとつ気になるのは、層の薄さです。ヒディンク監督就任以降、スタメンを外されていたガリー・ケーヒルは、ズマの重傷やテリーの離脱がなければベンチにいる時間が長くなっていたはずのCB。不安定なプレイが目立っていたジョン・ストーンズは、しばしばフネス・モリにポジションを奪われ、最近のプレミアリーグ3試合は、ハーフタイムで代えられた試合がひとつ、途中出場が2つと状態がいいとはいえません。最大の困惑は、年明けのプレミアリーグではレスター戦のゴール以外に目を引く仕事をしていないウォルコットの選出です。同じアーセナルのチェンバレンやウィルシャー、マンチェスター・シティのデルフとスターリング、マンチェスター・ユナイテッドではルーニー、アシュリー・ヤング、フィル・ジョーンズと全体的に負傷者が多いのは確かですが、クラブで調子を落としている選手を帯同させなければならないところに、イングランドの地盤沈下が見て取れます。

【イングランド代表メンバー】
GK:
バトランド(ストーク)、フレイザー・フォースター (サウサンプトン)
ジョー・ハート(マンチェスター・シティ)
→負傷のため、バーンリーのヒートンを追加招集

DF:
バートランド(サウサンプトン)、ケーヒル(チェルシー)
ナサニエル・クライン(リヴァプール)、ジャギエルカ(エヴァートン)
ダニー・ローズ(トッテナム)、ジョン・ストーンズ(エヴァートン)
スモーリング(マンチェスター・ユナイテッド)
MF:
デル・アリ(トッテナム)、エリック・ダイアー(トッテナム)
ロス・バークリー(エヴァートン)、ドリンクウォーター(レスター)
ヘンダーソン(リヴァプール)、ララーナ(リヴァプール)
ミルナー(リヴァプール)、ウォルコット(アーセナル)
スターリング(マンチェスター・シティ=負傷により辞退)
FW:
ハリー・ケイン(トッテナム)、スターリッジ(リヴァプール)
ジェイミー・ヴァーディ(レスター)、ウェルベック(アーセナル)

2週間ほど前に発行された「フットボリスタ」のグアルディオラ特集にて、僭越ながら「ペップ戦術はマン・シティのどこを変える?」という記事を書かせていただいたのですが(10日間カンヅメ状態でここ3年のバイエルンのゲームを見まくり、疲弊しました)、そのショルダータイトルを、こうつけさせていただいたのです。

初めて味わう”世界一なきチーム”での挑戦

そうなんです。ペップ・グアルディオラが率いたバルセロナとバイエルンは、世界一となった自国代表のレギュラークラスが集まっていたチームだったのです。彼にとって、マンチェスター・シティは、ワールドクラスの水準ではない自国選手をうまく使わないといけない初めてのチームであり、ホームグロウンルールに苦しむかもしれません。噂のジョン・ストーンズ獲得に成功したとしても、今の彼を見ていると、リオ・ファーディナンドになれると胸を張ってハンコを捺せる状態ではありません。バイエルンに毎年変化をもたらし、今シーズンはより縦への志向を強めているペップはプレミアリーグでも成功すると思いますが、こと初年度はプレミアリーグをよく知る他の監督にアドバンテージがあるのではないでしょうか。

さて、ここからは明るい話題です。ドリンクウォーターと時を同じくしてエンゴロ・カンテがフランス代表に選ばれ、レスターはスタメンに8人の代表選手がいるチームとなりました。

【レスターのスターティングメンバーと代表選手】
GK:カスパー・シュマイケル(デンマーク代表)
DF:シンプソン、ウェズ・モーガン(ジャマイカ代表)
  フート、フクス(オーストリア代表)
MF:ドリンクウォーター(イングランド代表)、
  カンテ(フランス代表)、オルブライトン
  マフレズ(アルジェリア代表)
FW:岡崎 慎司(日本代表)
  ジェイミー・ヴァーディ(イングランド代表)

カンテのコメントが感動的です。「自分の名前がリストにあるのを見た時の感情は説明できない。何ていえばいいんだろう? 僕は…幸せだった。これまでの道のりを思い起こした。数年前には想像できなかったけど、今、僕はこのレベルにいる。本当に満足しているよ。新しい経験だ。どうなるか見てみよう。うまくいくことを望んでいる。フランス代表については、1998年のワールドカップから出場した全ての国際大会を追い続けていた。このシャツを着ることができるのは光栄だ」。送り出したラニエリ監督も、プレミアリーグ首位の原動力となった2人のセントラルMFについて、手離しでリスペクトしています。

「喜ばしいことだね。チームメイトも喜んでいるだろう。カンテはプレミアリーグのテンポとリズムにすぐなじんだ素晴らしい選手。ドリンクウォーターは常に献身的にプレイし、優れたクオリティを見せ、得点も重ねているからこそ選出されたんだ。カンテといい関係を築いており、試合を組み立てられるのが魅力だ」(クラウディオ・ラニエリ)

レスターがプレミアリーグ優勝を果たすのも素敵な夢物語ですが、レスターでの活躍が認められて代表入りした選手がユーロのファイナルのピッチに立ったらと想像すると、それもまたワクワクします。イングランド代表のふわっとした雰囲気は大いに気になるものの、今回のインターナショナルマッチウィークは、降格候補筆頭だったクラブから本番直前に選ばれた2人がチャンスをつかめるかどうかに注目したいと思います。がんばってください!

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“ユーロのピッチで見たいもうひとつの夢物語…レスターのドリンクウォーターとカンテが代表初選出!” への9件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    フランス代表がいると、なんだか強そうに見えます!

  2. リバサポ より:

    おつかれさまです。
    主様から見てイングランド代表にさん関して、この選手を入れて欲しかったという選手はいますか?

  3. queen より:

    10年ほど前のイングランドと比べると、キーパーは格段に良くなったけど、ディフェンダーが下がった印象が強いです。
    当時のリオ、テリー、ソルらの域までは行かずとも彼らに近いレベルに一人でも育てば良いのですが、ストーンズも足踏みですし、なかなかうまくいかないものですね。

  4. あすえこと より:

    今の活躍からしたらウォルコットよりレノンやオルブライトンじゃないかという気がしますね。
    FWとして割って入ることは不可能でしょうし。

    怖いなあと思うのは、ホジソンさんが未だにショウやウィルシャーに期待するコメントをしていることです。怪我するまで頑張っていて実績も抜群なルーニーとは異なり、前者二人は今季ほぼ所属先で貢献ゼロに近いですから。もう割りきって二人が居ないチームを決断すべきと思います。

    CBの人材難も不安要素ですね。
    ストーンズとジャギエルカが十分でないことはトフィーズの失点数が示していますし、ガリー・ケイヒルもチェルシーでは疑問符を持たれてる選手。個人的にはスモーリングもいまいちな印象です。守備は良くてもビルドアップでもたついてユナイテッドの攻撃を停滞させているように見えてしまうので(実際、キャリックが最終ライン入った試合のほうが守備はお粗末でもユナイテッドの攻撃はテンポ良かったですし)。
    リオ、テリー、レドリー、キャラガー、ウッドゲイト、ソル・キャンベルが凌ぎを削っていた2006年頃と比べると、隔世の感がします。
    レスコットやリチャーズ、ドーソンなんかがいまいち伸びなかったせいなんでしょうが。。。

  5. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    なるほど。以前のニューカッスルも、強そうではありました。レスターはホントに強いですが。

    リバサポさん>
    今はマイケル・アントニオです。カイル・ウォーカーとシェルヴィも、もう一度試してほしい選手です。

    queenさん>そうですよね。最終ラインが厳しいです。CBはこれといった若手もいないですね。

  6. makoto より:

    あすえことさん>
    シーズン前半のスモーリングはトータルでよかったですよ。今の彼を評価しない、というのはわかりますが。ウォルコットに関しては同感です。ルーク・ショーは、骨折するまでがあまりに素晴らしかったので、ホジソンさんの気持ちもわかります。ウィルシャーの代わりはいるので、こちらは諦めて今いる選手で連携を熟成させたほうがいいと思います。

  7. にわかスパーズファン より:

    更新おつかれさまです。
    ウォーカーは選出されないのは謎ですね。守備はクラインより上だと思うんですけどね。クロスの精度はまぁご愛嬌なんですが。
    ショーがいないうちに是非ローズにはアピールしてきてもらいたいです。

    しかしまぁ正直なところ私の心情は今選手層が薄いとかウォルコットの謎選出とか、テロのせいでどうでもよくなってしまってます。勝とうが負けようがまずは選手、関係者、サポーターが安全第一である事を願うばかりです。ノリッジのエンボカニが巻き込まれたニュースを聞いて気が気ではありません。

  8. ヤンガナ大好き より:

    地味ながら泥臭く相手チームが嫌がるプレーが持ち味のドリンクウォーターの選出は嬉しいものの、ホジソンさんが試してくれないことには意味がないかと。ユーロ前の最後のセントラルバックアッパー候補となることを祈ってます。

    これまでユース世代でも代表歴のないカンテのコメント、本当に初々しいですね!フィジカルモンスター揃いのフランス代表中盤にはいないタイプかと。伸びしろもまだまだたっぷりあるので活躍を期待します!

    本題ではないものの最初のペップの記事、楽しく読ませていただきました!最近、やけにガナーズのチェンバレンの名前をペップがあげている記事と合致し、なるほどと思いました。CLの競合とのゲーム、相手から一番嫌がられ、最も輝やき、サプライズだったのが彼の強引な突破力でした。

    ウォルコットにはもう伸びしろ余り期待できませんが彼はまだ若く、確かにスターリングと組ませたら確かに面白そうです。が、ヤンガナ大好きな自分としては、何としてもガナーズにキープして欲しい選手です。彼とウェルベックは今後のガナーズのレギュラーを張って欲しい、イングランドメンバーと思っています!

    いずれにしても戦術家ペップのプレミアリーグ参戦は、リーグのレベルアップも含め大歓迎です!

  9. makoto より:

    にわかスパーズファンさん>
    継続性という点でナサニエル・クラインがリードしているのでしょうね。カイル・ウォーカーは、ひと頃の凄みは失せたものの実力的には遜色ないと思います。

    ヤンガナ大好きさん>
    チェンバレンは起用なので、ペップが気に入りそうですよね。いちばん好きなのはロス・バークリー、次いでデル・アリではないかとにらんでいます。

makoto へ返信するコメントをキャンセル