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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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アストン・ヴィラに続く中国資本投下。WBAはクラブ売却で強くなれるのか!?

5月のアストン・ヴィラに続いて、WBAのクラブ売却が発表されました。プレミアリーグから降格してしまったヴィラを6000万ポンド(約96億円)というリーズナブルな価格で買ったのは、トニー・ジアントン・シア氏の「レコン・グループ」。WBAの売却額は2億ポンド(約260億円)前後と伝えられていますが、出資したのはライ・チュアン会長のユインイ・グオカイ・スポーツ・ディベロップメント。いずれも中国企業です。

マンチェスター・ユナイテッドのグレイザー一族、リヴァプールを所有するフェンウェイ・スポーツ・グループはアメリカ資本で、アーセナルの筆頭株主スタン・クロエンケ氏もアメリカ人。チェルシーはいわずと知れたロシア人のアブラモヴィッチさんで、マンチェスター・シティはアブダビと、プレミアリーグのトップクラブには軒並み外国資本が注入されています。一方、中堅クラブ・小規模クラブには英国人のオーナーが多かったのですが、近年はこちらにも外国からの投資が増えてきました。プレミアリーグ2016-17シーズンを戦う20クラブのうち、英国人のオーナーのみで経営されているのは、ストーク、スウォンジー、トッテナム、ミドルスブラ、ウェストハム、バーンリーの6クラブだけです。

2007年よりイングランド人のジェレミー・ピース会長によって運営されていたWBAは、このたびの買収によって、トップが代わります。チェアマンに指名されたのは、ブラックバーンでCEOを務めていたジョン・ウィリアムズ氏。スポーツ業界に対して積極的に投資を行っているライ・チュアン氏は、プレミアリーグやイングランドサッカーをよく知る人物を抜擢することが成功への近道だと心得ているようです。「素晴らしいクラブのオーナーに就任する機会を得られたことに、興奮している」と語った42歳の中国人オーナーは、WBAが重ねてきた歴史と伝統を大事にすると明言しています。

「安定的な構造をキープすることが最優先だ。私はクラブの精神を変えるつもりはなく、個性や財産を尊重したい。正しい組織とコーチングスタッフの下で、競争力のあるチームになれると信じている」(ライ・チュアン)

オーナー変更、クラブ買収というニュースを聞くと、慣れ親しんだクラブの伝統をいじくりまわされてしまうのではないかと警戒するサポーターも多いでしょう。カーディフのチームカラーを青から赤に強引に変えてしまい、サポーターから総スカンを食ったマレーシア人実業家ヴィンセント・タン氏や、ハル・シティを「ハル・タイガース」にしたいと再三動いているエジプト人アシーム・アラム氏などを見れば、期待より不安が先に立つのはむしろ自然です。しかし、スポーツの世界を知る今回のオーナーは、成功するかどうかはともかく、カーディフのような心配はいらないのではないでしょうか。2013年から3年の長きにわたって取り組んできた売却がようやく本決まりとなり、昨季プレミアリーグ14位のクラブは本格的にチーム強化に着手するはずです。

マンチェスター・シティもそうですが、「わからないことをわかっているオーナー」、すなわちイングランドの文化やプレミアリーグにおけるチーム運営などに素人であるという自覚を持ち、その道のプロを招聘してしっかりまかせられる経営者は成功の可能性が高いのだと思います。ここから1ヵ月弱、移籍市場の締め切りまでに、新聞の紙面をいちばん賑わす下位クラブは彼らかもしれません。今までとは違うWBAのチーム作りと、ピューリス監督の手綱さばきに注目してまいります。

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“アストン・ヴィラに続く中国資本投下。WBAはクラブ売却で強くなれるのか!?” への2件のフィードバック

  1. にわかスパーズファン より:

    更新お疲れ様です。
    分かってない事を分かっている。
    これは何においても非常に大切な事ですね。
    中国人オーナーと聞くと不安が先に来るのは日本人の性なんでしょうが、このオーナーの発言はすごく好感が持てます。
    ファギー最終戦の打ち合いの印象が強いチームなので、そんな面白いチームになるといいなって思ってます。

  2. makoto より:

    にわかスパーズファンさん>
    そうですよね。私も好感を抱きました。クセのあるおもしろいチームとして、プレミアリーグに居続けてもらえればと思います。

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