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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ジョー・ハートの素晴らしさを確認しただけの一戦…無策のイングランドは幸運なドロー!

開始1分、中央のデル・アリが右に流したボールをスタリッジがカーブをかけたミドル。4分には、デル・アリのスルーパスでスタリッジが抜け出し、GKと1対1になるもオブラクが目いっぱい手を伸ばしてCKに逃れるビッグセーブ。9分、中央やや左からスタリッジがニアを狙った左足ミドル。プレミアリーグでは3試合ノーゴールと出遅れ気味のリヴァプールのストライカーは、体のキレがよさそうで、最初の10分だけはイングランドが快勝するかと思われました。ワールドカップ欧州予選グループF、スロバキアとマルタに1-0、0-2と辛勝続きのイングランドは、敵地スタディオン・ストジツェでスロベニアと戦っています。

スタリッジの脇にはウォルコットとリンガード。ヘンダーソン、デル・アリ、エリック・ダイアーが中央に配され、カイル・ウォーカー、ダニー・ローズ、ケーヒル、ジョン・ストーンズ、GKジョー・ハートは予想通りの顔ぶれです。プレミアリーグ得点王のハリー・ケイン、ララナ、スターリングらを欠き、ゴールが奪えないイングランドは、押しているゲームをものにすることができるでしょうか。10分、エリック・ダイアーがやってしまいました。バックパスをベジェクにかっさらわれ、ジョー・ハートとの1対1は出足がよかったGKがブロック。ルーズボールを拾われた後、クルティッチに対するジョン・ストーンズのマークが甘く、絶望的なシュートを右隅に打たれますが、幸運にもゴールポストに救われました。より慎重に戦うべきアウェイゲームで、このミスはいただけません。23分にウォルコットが右足を振り抜いたミドルはバーの上。今日もこのチームのシュートは枠に飛びません。

8日のマルタ戦の後、「デイリー・ミラー」が、「England’s record in front of goal is worse than that of EVERY Premier League team this season(イングランドがゴールを決める率は、今季のプレミアリーグにおけるどのチームよりも悪い)」というレポートを掲載していました。直近4試合のイングランド代表のシュート決定率は4.6%で、プレミアリーグ最下位のサウサンプトンの6.3%を下回っています。ボールポゼッションは高いのに、なぜフィニッシュが決まらないのか。連携でサイドを崩すシーンがほとんどないこと、クロスが入る際のゴール前の薄さ、カウンターができないことが、主たる理由なのではないでしょうか。彼らのシュートの多くは、意外性がなく予測しやすいミドルです。この日の前半も尻すぼみとなり、ミドルとセットプレーしかないまま、0-0でハーフタイム。プレミアリーグのトップクラブに所属する選手でフィールドを固めたサウスゲイト監督のチームは、明らかにうまくいっておらず、ハーフタイムを告げる笛が鳴ると、一様に下を向いてロッカーに引き上げていきます。

後半開始直後、ボックスに侵入したスロベニアのイリチッチがワンツーで右サイドを完全に崩しました。ラストパスは味方に届かなかったものの、こういった連動性のある攻撃こそ、イングランドがやりたいことでしょう。直後のCKは、チェサルの至近距離からのヘッドをジョー・ハートが素晴らしい反応で左に弾き出し、さらに次のCKではクルティックのバックヘッドが右隅へ。これも何とかジョー・ハートが触ってクロスバーに助けられますが、ニアに入ったボールにイングランド守備陣は対応できず、危険なシーンが続きます。58分、中央からのイリチッチの左足は、わずかに右ポストの外。デル・アリのシュートはGKの正面、62分にウォルコットと代わったタウンゼントがGKのタイミングを外して放った左足ミドルも、オブラクが楽にセーブして0-0は変わりません。

70分、本日2本めのバックパスミスが出てしまいました。イリチッチの姿を確認せずにCBに戻したのはヘンダーソン。ボールを奪い、ゴール前まで単独で運んだイリチッチをストップしたのは、出るタイミングとポジショニングを間違えなかったジョー・ハートでした。イングランドに必要だったボールがやっと出たのは76分。ジョン・ストーンズがロングフィードをダニー・ローズまで通し、ひとり抜き去った左SBがシュートを放ったシーンは、最後のプレイ選択以外はよかったと思います。MFやSBがサイドで優位に立った瞬間にパスが出れば、イングランドのシュート決定率は上がるはずです。ダニー・ローズが中のヘンダーソンに流していれば、イングランドは勝ち点3を持って帰れたかもしれません。

73分にデル・アリと代わってピッチに登場したキャプテン・ルーニーは、79分に中央から右隅を狙ったコントロールショット以外に、これといったプレイはありませんでした。82分のリンガードの強烈なミドルは、オブラクがセーブ。ミドル、ミドル、ミドル…イングランドは最後まで相手を崩すことができませんでした。致命的なミスが2回、セットプレーで至近距離から打たれたシーンが2回という危険なゲームで敗戦を免れたのは、ジョー・ハートが完璧だったからです。どんなにポジティブに書こうとしても、GKをほめる以外に何も浮かばない近年最悪のゲーム。今のイングランドに必要なのは、早く次の監督を決めることです。イングランド人にこだわらず、プレミアリーグ経験云々にも縛られず、連動性のあるサッカーをチームに叩き込める監督を。

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“ジョー・ハートの素晴らしさを確認しただけの一戦…無策のイングランドは幸運なドロー!” への2件のフィードバック

  1. サンドバック より:

    ルーニー外しと言う大ナタを振ったにも関わらず、大して変化の無い、退屈なチームにしかならなかったですね。
    キーパーがハートじゃなけりゃ3-0くらいで完敗してたんじゃないでしょうか。。

    早く次の監督を決めるべきと言う意見には360度全面的に賛成です。
    ファンハールに次のW杯までお願いして、そこから満を持してヴェンゲルが登場するのじゃ。ってお祖父ちゃんも枕元で言ってました。
    W杯男・ファンハールが率いるイングランド。かなり面白くなりそうな気がします。

  2. makoto より:

    サンドバックさん>
    同感です。ファン・ハール監督は私もありだと思います。戦術の引き出しが多く、一発勝負でバクチが打てる監督ですので。

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