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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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「ラニエリは生涯監督」「降格は伝説を大きくする」…ガリー・リネカーの熱血サポーターぶりに脱帽!

これは、天晴れ。プレミアリーグ広しといえど、ここまで腹が据わった熱血サポーターは、なかなかいないのではないでしょうか。若い方々や、最近プレミアリーグにはまり始めた方は、ガリー・リネカーといわれてもピンとこないかもしれません。イングランド代表としての48ゴールは、ルーニー、サー・ボビー・チャールトンに次ぐ歴代第3位。名古屋グランパスエイトでは期待に応えられなかったこと、20年間1度もイエローカードをもらったことがないフェアな選手だったことにも触れないわけにはいきません。いや、選手時代の話よりも、バリバリのレスターサポーターとしての最近のエピソードのほうが興味を持っていただけるでしょう。

ご存じの方も多いと思われますが、10代の頃から7シーズンをレスターで過ごしたリネカーさんは、一昨年の12月、わがクラブの奇跡的な躍進に興奮して「レスターが優勝したら、新シーズン最初の『Match of the Day』にパンツ一丁で出演する」と宣言。クラブがプレミアリーグ優勝を遂げた後、「BBC」の名物番組の司会者は、公約通りにレスターのエンブレム入りのトランクスで番組に登場しました。本日紹介したいのは、レスターの話となると見境がなくなる56歳の最新コメントです。「ESPN」が「Claudio Ranieri should have ‘a job for life’ at Leicester – Gary Lineker(クラウディオ・ラニエリはレスターの終身監督となるべき)」と題した記事で、あまりに熱すぎて感動と爆笑が同時に押し寄せてくるレジェンドの珠玉の言葉を報じています。

「私なら、彼を終身監督にするね。しかし、これはフットボールだからね…」と、オトナな滑り出しで語り始めたリネカーさん。「昨シーズン、あれだけのことを成し遂げてくれた監督を、降格したからといって解任したら後味の悪さだけが残るだろう」と、ここまではわかります。「…だから残留してくれることを願う」とでも続けるのかと思いきや、ここからパンツ宣言のときと同じようにネジが外れ始めます。

「降格すれば、伝説はより大きなものになる」

ええっ!?いいんすか。前年度王者の降格は、もちろんプレミアリーグ創設以来初の怪挙。イングランドリーグ時代を遡っても、1938年のマンチェスター・シティまで見当たらない、79年ぶりの大事件です。落ちてもOKというわけではないですよね…と思いながら読んでいると、どうやらホントに落ちてもいいようです。その理由について、リネカーさんはこう語っています。

「降格危機の次のシーズンにチャンピオンとなり、さらに降格したとすれば、タイトルを獲った奇跡の価値がより高まるだろう。これは驚くべきことだ。レスターサポーターに『10年間中位で安全に過ごせるようにするから、その代わり昨季のタイトルをはく奪させてよ』といえば、みんなこういうよ。『いえ、結構。われわれは降格するさ』ってね」
「でも、それが現実だ。夢と奇跡に生きた代償だね。サポーターはいつも自分のチームが気がかりで、今季はレスターにとって楽しくないのは確かだ。でも、昨年の魔法のような出来事が、このような難しい影響を及ぼすのなら、いいじゃないか」

ビミョーな「もしも」と、唐突な「究極の二択」を続々と繰り出してくるリネカーさんの天然トークに、「おっさん何いうてんねん」しか返す言葉が見当たらないのですが、辛抱強く意訳すると、こんな感じでしょうか。

「あんなにいいことあったし、降格なんかへっちゃらー。てか、スゴくない?これもう・ん・め・い、かも?」

いかがでしょうか。「セカイのオザワ」的天然ポジティブなコメントに触れ、じんわり残るのは、「プレミアリーグっていいな、サポーターっていいな…」といった何ともふんわりした清涼感なのであります。ご興味とお時間がある方は、「ESPN」の原題でググっていただいて、訳してみてください。リネカーさんの真の怖ろしさは、ワケのわからないハッピーサポータートークをひとしきりかました後に、チャンピオンズリーグについてのまともな見立てとフツーのジョークが続くところです。プレミアリーグ17位に沈むレスターのカウンター一本槍の剛直なサッカーと比べると、何とまあ、変幻自在な…。

「チャンピオンズリーグでは、チャンスをもらえなかったね。最悪のドローだ。巨人か殴り倒せるチームがよかったけど、セビージャはそのどちらでもない」「欧州における名門とのゲームは難しいけど、少なくともいえるのは、あそこはいいところだということだね。こっちより暖かくてさ」

マジメか!?

(ガリー・リネカー 写真著作者/Christophe95)

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“「ラニエリは生涯監督」「降格は伝説を大きくする」…ガリー・リネカーの熱血サポーターぶりに脱帽!” への2件のフィードバック

  1. 三段跳び より:

    イングランドでサッカーに関係するお仕事をされる方たちはプロとして冷静に仕事をこなすと同時に情熱ほとばしるファンとしての顔を覗かせる時があり(古巣のこととなるとネビルさんでも)、そこが魅力でもありダメさでもあるのかなぁと感じるときがあります。公の場所でも曲げることの出来ない自分の個性としてファンがあると言うことはイギリスのサッカー文化の深さを感じますが、入れ込みすぎて冷静さを失うことが代表の迷走の原因かもと邪推してしまうこともあります。
    良い面もダメな面も個人的なイングランドサッカーの魅力であるのは間違いないのでリネカーさんおよびイングランドサッカー関係者にはこれからもご機嫌なコメントをして欲しいと思います。

  2. makoto より:

    三段跳びさん>
    ちょっと屈折した感じがイギリス人っぽいですね。大好きです、こういうコメント。

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