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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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3バック流行りは今季も続く!? チェルシーの3-4-3攻略法を「スカイスポーツ」と一緒に研究!

アントニオ・コンテが火付け役となり、プレミアリーグを席巻した3バックは、新シーズンもメインストリームとなるのでしょうか。イギリスメディア「スカイスポーツ」が、「Premier League managers must learn how to play against 3-4-3(プレミアリーグの指揮官たちは、3-4-3にどう立ち向かうかを学ばなければならない)」と題した記事で、今季のカギを握るであろう王者の戦術を攻略する方法について考察しています。プレミアリーグのクラブが3バックを採用した回数は、2015-16シーズンの22回に対して昨季は135回。2017年9月にアーセナルに3-0とリードされたコンテ監督が後半にトライしたシステムは、プレミアリーグ13連勝という派手な快進撃を生み、瞬く間にイングランド全土に浸透しました。20チーム中18チームが使ったと「Opta」が伝えるフォーメーションは、ガリー・ネヴル氏いわく「最も崩すのが難しい布陣」。以下は、3バックのなかでもチェルシーが用いた3-4-3にフォーカスして、「スカイスポーツ」の主張を追いかけていきます。

プレミアリーグ王者の戦術のキーマンは、ヴィクター・モーゼスとマルコス・アロンソの両WBと、カンテとマティッチの2センター。WBは豊富な運動量でアザールとペドロの守備の負担を軽減し、スペースを与えないセントラルMFの守備が3バックを落ち着かせました。10月以降の27勝2分3敗という戦績は、このシステムが得点力と守備力のバランスに優れていることを示しています。彼らを追撃する一番手となりそうなペップ・グアルディオラは3バックと4バックを併用してくるはずで、カイル・ウォーカーとバンジャマン・メンディはそのための補強でしょう。アーセナルのヴェンゲル監督のスタートは、間違いなく3バック。1月のチェルシー戦で、相手とまったく同じ布陣を取る「ミラーリング戦術」で勝ち点3を奪ったトッテナムのポチェッティーノ監督も、頻繁に3-4-2-1あるいは3-4-3を採用してくると思われます。

ガリー・ネヴィルさんが攻略が難しいといった主たる理由は、10人の配置のバランスがよくスペースをこじ開けるのが難しいこと、サイドの高い位置に2枚いるのでマッチアップに敗れると一気にピンチを招くこと、リードされると5-4-1にシフトしてサイドを埋められてしまうことでしょう。これに対して、ジェイミー・キャラガー氏は「スペースはウイングバックの周辺、前か後ろにできる」と指摘しています。「ウイングバックを高い位置に置き、ロングフィードを入れてセカンドボールを奪うとする。5バックとなった相手を攻めるチェルシーは、WBの背後を2人のセントラルMFがカバーしなければならず、これが大きな問題となる。セントラルMFの脇にできるスペースこそ、対戦相手が崩すために必要なものだ」。この説を証明したのが、ホワイト・ハート・レーンでチェルシーを2-0で下したゲームの主役となった天才エリクセンです。デル・アリの頭に正確なクロスを2本届けたプレーメイカーは、サイドにできたポケットを見逃さずにうまく使いこなしました。

スパーズの勝利は、スペースの使い方だけでなく「深いポジションからの正確な配給に依存するチェルシーのアタック」を封じることにも成功していました。私は知らなかったのですが、この試合のダヴィド・ルイスのパス成功率は68.8%で昨季プレミアリーグにおける最低の数字。エンゴロ・カンテのボールロスト16回はシーズン最多だったそうです。WBが劣勢に立ったチェルシーがいかに引かされ、前線にボールをつなげなかったかがわかります。「スカイスポーツ」は、3敗しかしなかったシステムの残り2つの敗戦についても、攻略成功例として紹介しています。ジョゼ・モウリーニョの秘策、アンデル・エレーラのエデン・アザールへのマンマーク作戦。エースを封じられ、バイタルエリアのスペースを完全に埋められたチェルシーは、10年ぶりのオンターゲットゼロで無為に試合を終えました。モウリーニョ監督は、「FAカップ準々決勝でも同じ戦術を用意してスタンフォード・ブリッジに乗り込み、完全にコントロールしていた。あのときとの違いは、90分間11人でプレイできたこと」と試合を振り返っています。

チェルシー相手に4-2-3-1の普段着で対峙したクリスタル・パレスは、前線のベンテケが左に流れてタウンゼントのロングボールのターゲットとなり、ザハの仕掛けからゴールを陥れました。「スカイスポーツ」が紹介した3つの攻略サンプルのうち、いちばん真似できそうなのが「ロングフィードで3バックを引かせてラインを間延びさせる」アラダイス戦術でしょう。トッテナムのWB攻略は、エリクセンとカイル・ウォーカーという強力なタレントと豊富な運動量でサイドを制したもので、同じ勝ち方ができそうなのはアーセナル、リヴァプール、マンチェスター・シティぐらいではないでしょうか。モウリーニョのマンマークも、中盤の精密なカバーリングがなければアザールをおとりに使われて終わり。マンマークというパーツだけ導入してうまくいくものではありません。

記事を読み、プレミアリーグ2017-18の予想布陣をチェックすると、最恐のチェルシーの刺客が浮かび上がってきます。オリヴィエ・ジルーなどターゲットマンを獲得できたら、エヴァートンは事件を起こしてくれるのではないでしょうか。クラーセンやトム・デイヴィスが前線のターゲットに当て、落としたボールをルーニーがサイドのシグルズソンに展開。正確無比なクロスが長身FWとルーニー、クラーセン、カルヴァート・ルーウィンが待つ中央に飛んできたら…。クーマン監督の新チームには、チェルシーが嫌がりそうなタレントが揃っています。さあ、みなさん。最初のヤマ場はさっそく8月です。コンテ監督のチームが対戦する相手は、2節でウェンブリーのトッテナム、3節にスタンフォード・ブリッジでエヴァートン。昨季なかなか勝てなかったフットボールの聖地をホームと思い込むところからスタートする前者よりも、マンチェスター・ユナイテッドから百戦錬磨のベテランを呼び寄せ意気上がる後者の「プラン通りの勝ち点3」がより楽しみです。

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“3バック流行りは今季も続く!? チェルシーの3-4-3攻略法を「スカイスポーツ」と一緒に研究!” への2件のフィードバック

  1. シャーザー より:

    シティもプレシーズンでは352がメインでレアルやスパーズを倒してますしペップも3バックと4バックを使うと言っていたので今期はさらにプレミアで3バックが見れそうですね
    ユナイテッドもCBが万全ならプレで最高のパフォーマンスを見せている(らしい)トゥアンゼベを入れた3バックもあるかもしれません
    トゥアンゼベが好調な分ブリントは不調みたいですが

  2. makoto より:

    シャーザーさん>
    モウリーニョ監督が人数的にはダブつき気味のCBを放出しないのは、プレシーズンに試していた3バックをにらんでいるからかもしれませんね。トゥアンゼベには大いに期待しています。

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