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プレミアリーグの上位はショートパス志向!現地メディアの「GKのキック分析」がおもしろい!

数字を見ると、マンチェスター・ユナイテッドのダヴィド・デ・ヘアがいかにクラシックなスタイルであるかが鮮明に浮かび上がります。「スカイスポーツ」が配信している「Premier League goalkeepers assessed for passing style and goal involvement(プレミアリーグのGKたちにおけるパスのスタイルとゴールへの関与を査定する)」という記事は、守護神たちが蹴るボールを徹底分析。ラ・リーガを知る監督が増えたプレミアリーグでは、後ろからつなごうとするGKが年々増え、2014-15シーズンには50%程度だったパス成功率は57%まで上がっていると指摘しています。ショートパスの比率が最も高いのは、やはりマンチェスター・シティのエデルソンで、137本のショートパスに対してロングキックは44本。76%という高い比率でDFやセントラルMFに配球しており、2位のケパと3位のアリソンの61%を大きく上回っています。

トッテナムの主将ロリスはショート75本、ロング55本で58%。GKのビルドアップへの参加を求めているエメリ監督のチームでは、不慣れなチェフが124本のショートに対してロングを104本も蹴っており、54%に留まっています。ここまでが、TOP5。1試合あたりのショートパスが15本を超えるのは、彼らに加えてベルント・レノ、フォルム、ガッザニーガで、プレミアリーグ5位以内のチームのGKだけです。10本~15本のGKはひとりもおらず、ショート志向かロングが基本かで完全に分かれているのが見て取れます。マンチェスター・ユナイテッドの守護神は、レスターのシュマイケルよりもショートパスが少なく、1試合あたり7本程度。ロングキックは18本もあり、ショート志向のなかでは最も多いチェフよりも高い数字を叩き出しています。

味方につながる確率が高いショートパスですが、GKがボールを持ちすぎると、イヘアナチョにドリブルをカットされたアリソンのようなミスが起こります。リスクをとってつないだ後、直接得られる果実はどれだけあるのでしょうか。「Opta」が計測している「オープンシークエンス」は、それぞれのプレイの結果を「シュート」「試合がストップ」「ボールロスト」の3つに分類しているのですが、GKのショートパスの結果を見ると、シュートで終わったのは64本、そのうちゴールは8発。ロングボールからシュートに漕ぎ着けたのは38本で、3ゴールに留まっています。

この数字がおもしろいのは、決まった11ゴールのうち4発までをチェルシーのケパ・アリサバラガが記録しており、そのうち3ゴールはロングボールによるものだということです。今季プレミアリーグで唯一のアシストとなったエデルソンの85ヤードは、ゴールキックからアグエロが直接決めたため、ここには含まれておらず、GKが35ヤード以上のロングを出した後、オープンプレイで決めたのはチェルシーのみということになります。アリソンのパスからの2ゴールと、マッカーシー、エデルソン、チェフ、ガッザニーガ、ベゴヴィッチから前線につながって決まったゴールは、すべてショートパス。GKがロングパント中心の下位15クラブで、守護神のキックがゴールに関与したのは、チーム自体はショートパス志向のボーンマスのベゴヴィッチのみです。

「スカイスポーツ」の結論は、「マンチェスター・ユナイテッドを除くプレミアリーグのビッグ6はショートパスを追求している」「ショートパスが直接ゴールにつながることは少ないが、ポゼッションに貢献している」「ケパとエデルソンは正確なロングキックで相手を崩すことができ、状況に合わせて適切なキックを選ぶのが重要であることを示している」。エデルソンの数字はイメージ通りでしたが、ケパの精度の高さがこれほどとは思っていませんでした。「スカイスポーツ」のデータ分析記事は的確で発見が多く、いつも楽しませていただいております。元のレポートを読みたい方は、冒頭の英文のタイトルがリンクになっておりますので、そちらからどうぞ。

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“プレミアリーグの上位はショートパス志向!現地メディアの「GKのキック分析」がおもしろい!” への4件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    Skyの写真の絵が濃過ぎて一瞬誰が誰だか分からなかった笑

  2. gsm より:

    リバプールの試合を観ていると、昨年までは大きく蹴り出し相手ボール、または競り合いになっていたパスがアリソンの加入で味方に繋がれています。
    このため相手の攻撃回数が減り、今年の少ない失点数に大きく寄与してそうですね。ショートパスの成功率と失点数は相関があるかもしれません。

    またケパもサッリサッカーでジョルジーニョ同様、替えの効かない選手かもしれませんね。

  3. エミリー より:

    GKからショートで組み上げて行くのを見慣れると、ロングキック時のマイボール率がもったいなく感じてしまいますもんね。
    GKや、DFにもパスセンスが要求されるようになり、ラガーマンみたいなDFは絶滅危惧種です。
    個人的には大好きですけど(笑)

  4. nor より:

    ケパ。
    いわれてみればですが、確かにロングフィードからのチャンスメイクの印象ありますね。史上最高額のプレッシャーの中でも着実に結果がついてきて、安心してます。ケパって誰?のような第一印象から、個人的にはもはやクルトワが過去の人になりつつあります。

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