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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

今のままじゃ物足りない!「プレミアリーグ中継の解説者を考える」~激励を込めて(後篇)

「今のままじゃ物足りない!「プレミアリーグ中継の解説者を考える」~激励を込めて(前篇)」からの続きです。

プレミアリーグ中継の解説者が、ともすると結果に理由をぶら下げているだけと化している番組を見るにつけ、いい解説者には「未来予測力」「創造力」「エンタメ力」が必要なんじゃないかと思うわけです。「未来予測力」は、専門的な知識や視点を活かして、視聴者から見えているものの先を語れるスキルです。個人的にはアツすぎてあまり好きではありませんが、最近人気が高まっている松木安太郎さんは、実はこれを持っていて「あそこを抑えないとやられる」「右が空いてるから岡崎を使いましょうよ」「オランダは疲れてきてるから、速くパスをまわせば突破できる」というような、未来を語る言葉が多いです。「ふざけたロスタイムですね!」といった、乱暴でおもしろい発言が多いので、「解説じゃなくて応援団じゃん!」と思う方もいるかもしれませんが、意外と(?)ちゃんとしているんですね。競技は違いますが、この「未来予測」の究極が、プロ野球中継で野村克也さんがやっていた「野村スコープ」です。解説者は予言者でも占い師でもないので、当たるかどうかよりも、「どうしてプロはそう考えるのか」という、背景やプロセスをわかりやすく伝えられるのが大事なのだと思います。

そして「創造力」ですが、これは「その方なりの視点で、こういう見方をしたら新しい解釈ができる、こうなればおもしろい、といったアイデアをどれだけ提供できるか」です。結果追認型、採点型の解説にはこれが欠けており、ことサッカーというシンプルなスポーツにおいては、「今のプレイが今イチなのは、見てりゃわかる」となってしまいます。上から目線で、すかしている感じが好きではないのですが、粕谷秀樹氏のプレミアリーグ解説には、ときどきこの力を感じます。

さらに「エンタメ力」は、コミュニケーションとしてわかりやすいこと、おもしろいこと、期待感のあるキャラを持っていること、ですね。サッカー界でこれが強いのは、中山さんと松木さんでしょう(ただし、キャラかぶりしてるので一緒に出ないでください、とお願いしたいです)。いくらサッカーをわかっていて、コアなファンをうならせるくらいの未来予測と視点提供ができても、ライトなファンにとっては「ふーん(よくわかんない)」で終わったりします。バイタルエリア、ダイアゴナル、勝者のメンタリティなどという曖昧で複雑な言葉を使わず、シンプルで平易な言葉で、日常的におもしろいと感じることとサッカーをつなげられる力が、中継をよりおもしろいものにするはずです。

現在のスポーツ中継で、これら3つの要素を持った解説者を挙げるなら、マラソンの増田明美さん、フィギュアスケートの八木沼純子さん、プロ野球の桑田真澄さんでしょうか。映像も競技も単調になりがちなマラソンで、緻密な取材で得た知識を駆使して選手の人となりを紹介し、試合を盛り上げようとする増田さんのパワーはすごいですね。「前回の失敗を活かして、今朝はパスタとバナナを食べてきた〇〇さん」なんていわれると、ああ、この人、選手の朝メシチェックしてんだ…いつ聞いてんの!?と思ったりします。また、素人目線では競技の内容に差を見つけにくいフィギュアスケートにおいて、ジャンプの説明だけじゃなく、他選手との違いにまで踏み込む八木沼さんのコメントもおもしろいです。桑田真澄さんは、一流の投手だった経験を活かした心理分析や、ピッチングの組み立てに関する切り口が鋭いのが魅力です。3人とも、選手への愛があり、応援団的盛り上げテイストを持っており、言葉がシンプルかつポジティブで明るいのも素晴らしいと思います。

というわけで、プレミアリーグの解説者のみなさん、まずは明るくいきましょう。Jスポーツの視聴者は、サッカーに毎月お金を払うくらいの情熱があるコアな層が多いと思われますが、プレミアリーグのサポーターは、アツいがゆえに、負けてるとめちゃめちゃイライラするし、勝ってるときは盛り上がりたいんです。いずれにしても、「楽しくしてもらわないとストレス解消も喜び爆発もできない」わけで、ネガティブな言葉やボソボソ話すトーンはいただけません。文章なら別ですが、テレビは明るくないとダメだと思います。

そして、今後は「プレミアリーグを始め、海外でプレイした経験のある解説者」がいっぱい出てくるといいですね。その昔、WOWOWのセリエA中継を金田さん、高木さんがやっていた頃はおもしろくて、ついこの間まで日本代表で活躍していた選手の言葉は迫力がある、と思っていたのですが、海外クラブ経験者が増えれば、プレミアリーグのロッカールームの話が聞けるなど、さらに世界が広がります。既に前園さん、宮本さんあたりが出てきていますが、できればプレミアリーグやイングランドサッカー経験者として、中田英寿、川口能活、稲本潤一といった方々の登場を期待します(川口と稲本はまだ選手ですので、おいおい)。

そんなこんなで、今週土曜日もまた、プレミアリーグに熱中するわけであります。マンチェスター・ユナイテッド戦の解説は誰でしょうね。最近不調でストレスがたまりがちなので、ネガティブで偉そうなあの人じゃなければいいのですが…もし当たっちゃったら、ネットで観りゃいいか!(って、なっちゃいますよ!)

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“今のままじゃ物足りない!「プレミアリーグ中継の解説者を考える」~激励を込めて(後篇)” への14件のフィードバック

  1. リバサポ より:

    今回の企画は奇抜でおもろいですね。
    プレミアの解説ですが、解説者のリサーチ不足があるように思えます。
    自分はskyのキャラガーとネビルの解説が面白いですね。
    英語力がある解説者なら、現地のソースを吸収しやすいとおもうので、プレミアに適してると思います。

  2. せお より:

    いつも楽しく拝見させて貰っています。とても共感しました。Jスポの解説者は冷めすぎてたり、いらない知識を試合そっちのけで語っていたり、サポーターよりも知識が乏しかったりするので、酷い時は副音声で向こうの実況を聞いています。後、明らかにサポーターの気分を害するような発言は辞めて欲しいですね。

  3. makoto より:

    リバサポさん>
    ありがとうございます。リサーチ不足が事実だとすれば、ご本人と局がもっとがんばらないといけませんね。1試合、2クラブ分なら半日あれば、それなりに集められるでしょう。

  4. makoto より:

    せおさん>
    そうなんです。視聴者不在の発言が目立つ方が多いですね。評論家っぽくふるまおうと思ったとき、手っ取り早いのは批判的な発言をすることと、レアな情報をひけらかすことです。ただし、大抵の場合は「レアな情報=多くの人にとって不要な情報」なのですが。…そういうことをする方は、自信がないのでしょうね。

  5. makoto より:

    リバサポさん>
    ありがとうございます。リサーチ不足が事実だとすれば、ご本人と局がもっとがんばらないといけませんね。1試合、2クラブ分なら半日あれば、それなりに集められるでしょう。

  6. ちくちく より:

    最近気になってちょくちょく読ませて頂いてます。今回は珍しい切り口のお話で面白かったです(*^^*)

    いつもの記事も好きですよ!応援してまーす!

  7. makoto より:

    ちくちくさん>
    ありがとうございます。プレミアリーグのおもしろい話であれば、さまざまなテーマでいろいろお伝えしたいと思っております。これからも、ぜひ読んでいただければ!

  8. コウチ より:

    すごく単純にゴールしたときの反応が薄いっすw
    上手いプレーとかミスをしたのは分かるから、戦術の解説とかしてほしいですね

  9. makoto より:

    ちくちくさん>
    ありがとうございます。プレミアリーグのおもしろい話であれば、さまざまなテーマでいろいろお伝えしたいと思っております。これからも、ぜひ読んでいただければ!

  10. makoto より:

    コウチさん>
    確かに!薄いです。ゴールしたときは、ね!…戦術については、わかる方が少ないのかもしれませんね。プレミアリーグを観ていると、強豪クラブは上下左右を結構ポジションチェンジしているのですが、解説者の半分はそのことに気づいていません。

  11. 浮気性なリバサポ より:

    常襲なので最早ネタの人によってはネタですが、選手の名前間違いが多くて小さなストレスをよく抱えます。
    リバプールでいえば
    「今のはシソコのよせが甘いですね」
    「今のは、サコですね。シソコは、今日は怪我でベンチ外です」
    等は日常茶飯事で、すぐに訂正すれば問題ないのですが訂正側も知らないのか自信があまりない時には変な沈黙が流れます。

    ゴールシーンは、色々な要因あると思いますが、個人的にはまずは得点者のプレーを褒めてあげるべきだと思います。
    多分それでは理論的ではないからなんでしょうが、あらをさがすように守備陣のミスをつついたり嘆くのは勘弁してほしいです。そのゴールの価値が薄れるばかりか、ゴールしたことがいけないことに思えてくる。
    というのも「なんで点をとるんだ」と得点したことに真っ向異議を申し立てられたことがありました。
    その解説者は降格が決まったチーム相手にだめ押し点をとったことが納得いかなかったようで「武士の情けが」云々をくどくど仰っていました。応援しているチームの得点でへこんだ経験ははじめてですね。

    個人的な部分になってしまったような気がしますが、記事読んで思い出しこともあったのでついつい書いてしまいました、趣旨に外れていたらすいません汗

    —–
    >常襲なので最早ネタの人によってはネタですが

    常習なので最早人によってはネタですが

    です。

  12. makoto より:

    浮気性なリバサポさん>
    ありがとうございます。趣旨に外れているなどということはありませんので、ご安心ください。ゴールをくさすような解説をされる方は、ご自身のなかに、「サッカーのおもしろさ、醍醐味」「解説者の役割、ミッション」といったものがきちんとインストールされていないのでしょうね。筆記試験をされればそれなりの回答は書けるのだと思いますが、試合が盛り上がっている大事なところでいいコメントができず、役割を果たせないのは、ポリシーが緩いのだと思います。

  13. ジャック より:

    ガナサポの僕にとっては先日のFAカップFoxBSの解説陣は酷かったですね。無料放送日だったから見たけど、もう二度とお目にかかることはないでしょう。殺意湧きました(笑)

    その後にこちらの記事なのでハードル下がってるかも。個人的にはJスポはそこまで気にならないかな〜あくまで最近はですけど(笑)基本的にネガティブな人はあまり好きではないです。まあ的を射ていれば別にいいんですけど…あっ川勝さんは割と好きです。ちょっと「あのクラスの〜」って言い過ぎですけどね

    自分は解説より実況の方が気になったりします。西岡さんや倉敷さんだと安心する(笑)逆に金子爺引いた時のハズレ感はやばいorz

    一つ言えるのは完全に好みですね。ぶっちゃけ自分の応援してるチーム以外の解説誰かなんてどうでもいいですし、でも今季はユナイテッドの試合結構見てるので金子爺だけはやめてほしい。。

    初カキコでしたが、いつも記事楽しみにしています。更新がんばってください^^

  14. makoto より:

    ジャックさん>
    ミスが多い試合は、一定指摘しないといけないのですが、見ている人を極力不快にしない、というのが基本だと思います。ベーシックなところで「おもしろい」「なるほど」と思わせてくれていれば、多少の間違いや言い方は気にならないものですよね。

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