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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ホーム無敗、失点最少、いつの間にか2位進出…ポチェッティーノ監督のスパーズはなぜ強い!?

いつの間にか2位にいた、という感覚です。マンチェスター・シティが開幕6連勝のロケットスタート。10月にアーセナルが追いつくと、11月には走行距離No.1のリヴァプールが首位に立ち、これをまくったのは3-4-3にシフトしてからプレミアリーグ13連勝を遂げたチェルシー。ここまで1度も主役になっていないトッテナムが、現在はチェルシー追撃の一番手です。平均年齢がプレミアリーグ最年少のチームは、最少失点16の堅守でチェルシーよりも少ない2敗で踏ん張っており、ホワイト・ハート・レーンでは未だ無敗!ウェンブリーで2敗してしまったチャンピオンズリーグをノースロンドンで戦えれば…と悔しさがこみ上げてきますが、話を拡散させるのはやめましょう。直近のプレミアリーグで7勝2分と安定感抜群のスパーズは、なぜ強いのでしょうか。ポチェッティーノ監督のチームの魅力に迫ってみたいと思います。

ワニャマ、シソコ、エンクドゥ、フィンセント・ヤンセンを獲ったとはいえ、ライアン・メイソン、シャドリ、ベンタレブを手離しており、大型補強に打って出たわけではありません。しかも、エールディヴィジ得点王の期待のストライカー、フィンセント・ヤンセンは、プレミアリーグになじむのに時間がかかっており、PKを一発決めただけ。シソコもユーロ2016の輝きを再現できず、エンクドゥは出場5試合で20分以上ピッチにいたことがありません。新戦力がこれだけ空回りすれば、普通は沈むもの。さらに今季は、前シーズンのプレミアリーグでフル出場だった大黒柱のアルデルヴァイレルトが8試合に欠場しています。フェルトンゲンも負傷で戦列を離れ、トリッピアーのプレミアリーグ出場は3試合で100分に満たず。ラメラを最後に見たのは10月です。勝てない言い訳はいくらでもあるのに、やりくり上手のポチェッティーノ監督は、昨季よりもすべての数字を上げているのです。

2015-16シーズン/3位トッテナム12勝9分3敗 得点45失点19
2016-17シーズン/2位トッテナム14勝8分2敗 得点46失点16

彼らの強さのポイントを挙げてみましょう。「GKロリスの統率力、セービング」「最終ラインの攻撃力の高さ」「多彩な攻撃」「流動的なフォーメーション・ポジション」。ウーゴ・ロリスが、今季プレミアリーグにおいてトム・ヒートンと双璧をなすベストGKであることは、論を待たないでしょう。チームの危機を救うセーブが多いのに対して、マンチェスター・シティ戦のファンブルぐらいしか致命的なミスはありません。カイル・ウォーカーとダニー・ローズの上下動の激しさは、プレミアリーグ屈指の迫力。マイボールの際はマイケル・キャリックのように長短の縦パスを通しまくるアルデルヴァイレルトも貢献度が高く、最終ラインの攻撃力はリーグNo.1でしょう。

ゴールシーンの多彩さも、このチームの特徴です。サイドにロングフィードを通し、攻め上がったSBが厚みのある中央にクロスを通すのがよく見る形。カイル・ウォーカーは、DFでは最多の5アシストを記録しています。敵陣でボールを奪えば少ない手数でショートカウンターを仕掛け、自陣ゴール前でクロスをカットした後の長いカウンターも脅威です。エリクセンがサイドに出れば魔法のようなボールが中央を襲い、ハリー・ケイン、ソン・フンミン、デル・アリはダイレクトパスを駆使して真ん中から破ることもできます。高さがないマンチェスター・シティ、FKのスペシャリストがいないリヴァプール、ミドルが決まらないアーセナルに比べて、このチームはウィークポイントが目立ちません。

昨季までは4バックで、アルデルヴァイレルトとフェルトンゲンを真ん中に固定していたポチェッティーノ監督は、3バックを導入してゲームの途中でもスイッチするようになりました。左右真ん中と、2列めならどこでもできるエリクセン、前後にポジションを変えられるデル・アリ、アンカーとCBをこなすエリック・ダイアーと、中盤の選手の流動性が高く、負傷者が出ても極端にクオリティが下がることはありません。唯一ハリー・ケインはアンタッチャブルですが、今季はソン・フンミンが穴を埋められるようになりつつあります。さらにフィンセント・ヤンセンが力を発揮できるようになれば、エースを休ませる機会を増やせるでしょう。

週末、アンフィールドに乗り込むスパーズは、勝てばレッズと7ポイント差。相手が嫌がる堅守速攻で、ライバルをひとつ減らすことができるでしょうか。名将への道を確実に歩むポチェッティーノ監督の変幻自在のサッカーに分があるように感じます。上位相手のゴールが多いデル・アリをキーマンに指名しましょう。今から土曜日が楽しみです。

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“ホーム無敗、失点最少、いつの間にか2位進出…ポチェッティーノ監督のスパーズはなぜ強い!?” への6件のフィードバック

  1. ホタ より:

    スパーズが今季初めて3バックを敷いたのは記憶が正しけれ第11節のアーセナル戦なのですが、当初これはアルデルヴァイレルトが離脱していた中、前線が強力なガナーズへの応急処置的な対応でした。が、ここまでハマるとは正直思いませんでした。
    昨シーズンから3バックはワトフォード戦で初導入するなど、前線に強力なアタッカーがいるチームと対戦するときのウルトラC的な戦術ではあったのですが。怪我の功名ですね。

    いや、しかし。ポチェッティーノ監督のやりくりの上手さには感服します。この選手層でこれだけやれてるのならメガクラブでは…..いやいや、ポッチにはこれからもホワイトハートレーンに居続けて貰わねば困ります笑
    その為には夏にしっかり補強をお願いしたいです。特に3バックに対応できるCBと左ウイングバックを

  2. makoto より:

    ホタさん>
    就任初年度の「ELで11人全員入れ替え」の頃から、大胆な采配をする方だと注目してました。ターンオーバーや、フォーメーションスイッチのうまさではペップと双璧ですね。素晴らしいです。

  3. セブンスター より:

    最近考えていたことが記事になりコメント書き込んでしまいました(笑)

    主様のおっしゃる通りスパーズはメインライトの影で静かに活躍してたような印象があります!
    昨今も良かったチームをベースに磨き上げてるのには、昨シーズンのレスターのような継続性のある力に見えてブルーズファンとしては不気味な存在です。

  4. セブンスター より:

    最近考えていたことが記事になりコメント書き込んでしまいました(笑)

    主様のおっしゃる通りスパーズはメインライトの影で静かに活躍してたような印象があります!
    昨今も良かったチームをベースに磨き上げてるのには、昨シーズンのレスターのような継続性のある力に見えてブルーズファンとしては不気味な存在です。

  5. 雨好 より:

    更新お疲れ様です。

    もし、コンテが居なくなったら…としたくも無い想像ですが、その時は是非ポチェッティーノにやって頂きたいと思える監督です。
    サウサンプトン時代から選手のやりくりや選手のやりくりを見てもチームの勝ち負けで大きな波がなく、ほとんどの局面でなんとかしてくれるイメージが凄くあります。それはトットナムでも変わりませんね。
    現在はフロントとしっかり連携も出来ていると思いますしこれからも継続は出来ると思います。どの様な形であれずっとプレミアリーグに居て頂きたいですね。

  6. makoto より:

    セブンスターさん>
    ポチェッティーノさんは、相当先まで考えてフォーメーションやメンバーの選択をしている印象です。シーズン終わりにどんなポジションにいるか、興味深いですね。

    雨好さん>
    クラブ内で、全権監督の地位をゲットしたようですね。長期政権になりそうな雰囲気が漂っています。

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