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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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誤算だらけの補強と主力の負傷を乗り越え、優勝に近づくポチェッティーノ監督の采配に脱帽!

プレミアリーグは30節を消化し、いよいよラストスパートの季節です。チェルシーがスタンフォード・ブリッジで16位のクリスタル・パレスに敗れるという事件が起こりましたが、「優勝争いがおもしろくなった!」と叫ぶのは、水曜日が終わるまで待ちましょう。ミッドウィークの31節でマンチェスター・シティがチェルシーに勝ち、やりくり上手なポチェッティーノ監督がアウェイのスワンズ戦で勝ち点3をゲットすれば、トロフィーの行方はわからなくなります。いや、それにしても、ポチェッティーノ監督は素晴らしいです。負傷者続出のモウリーニョ監督とララナを失ったクロップ監督がイングランド代表のフレンドリーマッチに苦言を呈し、カソルラ、ラムジー、ウェルベックなど長期離脱した選手が多いアーセナルはプレミアリーグ6位に沈んでいますが、誤算やアクシデントの多さならスパーズも負けていません

そもそも、夏に獲得した選手で期待通りに活躍しているのはワニャマだけ。エールディヴィジ得点王という勲章を引っ提げてプレミアリーグにやってきたフィンセント・ヤンセンは、リーグ戦22試合でレスター戦のPK1発のみ。ユーロ2016の獅子奮迅の活躍で評価を高めたムサ・シソコは鳴りを潜め、先発出場はわずか6試合。22歳のドリブラー、エンクドゥはプレミアリーグ出場5試合、目いっぱいがんばってほめても「来季に期待」としかいえません。ファシオ、イェドリン、シャドリ、ベンタレブ、ライアン・メイソン、トム・キャロルを放出したチームは、トランスファーマーケットにおける戦力的収支をフラットに見ればマイナスでしょう。

新戦力がなかなかフィットせず、層が薄いチームは、負傷者にも悩まされます。前半戦は5試合でハリー・ケインを欠き、後を追うように昨季プレミアリーグで全試合出場だったアルデルヴァイレルトと、前線のキーマンとして当てにされていたラメラがリタイア。ラメラは未だ戻ってきておらず、9戦1ゴールという寂しい数字で2016-17シーズンを終えることになりそうです。年明けからはフェルトンゲンを1ヵ月失い、ダニー・ローズは2月以降の全試合を欠場しています。手駒が豊富とはいえないなか、慣れないウェンブリーでのチャンピオンズリーグで苦戦し、ヨーロッパリーグでは勝てたはずのヘンクにやられてしまったものの、プレミアリーグではホームで13勝2分と無類の強さを発揮し、リーグ最少の21失点で堂々の2位。FAカップでもベスト4に進出し、最強チェルシーをウェンブリーの一発勝負で倒すチャンスを手に入れています。昨季は28節終了時点で15勝9分4敗の2位、今季は1年前のレスターを勝ち点で5も上回る18勝8分3敗。29戦22勝などと突然変異的に強くなったチームがなければ、スポットライトは45歳の若き指揮官に当たっていたはずです。

土曜日のバーンリー戦は、選手のやりくりに苦心してきた今季のスパーズを象徴するような試合でした。相手はアウェイでは3分12敗とぶっちぎりの最下位ながら、ホームで9勝2分3敗とトッテナム以上の内弁慶チーム。ハリー・ケインとダニー・ローズを欠いたうえにデンベレとカイル・ウォーカーを休ませていたチームは、前半終了間際にワニャマとハリー・ウィンクスが立て続けに負傷リタイア。デンベレとシソコを出さざるをえなくなり、交代カードが残り1枚で0-0という苦しい状態で後半に突入しました。

ピンチを打開したのは、エリクセンの素晴らしいキックでした。絶妙なCKがヘンドリックのクリアミスを誘い、エリック・ダイアーが押し込んで先制。センターサークル付近でボールを奪取してすぐに出したデル・アリへの正確なロングフィードから、20番がファーサイドに通した完璧なグラウンダーをソン・フンミンがプッシュして勝負あり。ハリー・ケインが不在のゲームを4勝3分と無敗でやり過ごせているのは、14ゴール4アシストのデル・アリ、8ゴールのソン・フンミン、プレミアリーグ3位となる10アシストのエリクセンが見事な連携で穴を埋めているからです。

長いボールを効果的に使ったシンプルなアタック、縦にも中にもいけるカイル・ウォーカーが仕掛けるサイド攻撃、ワニャマとアルデルヴァイレルトのポジショニングとフェルトンゲンのハードワークが光る安定したディフェンス。走るリヴァプールと堅守速攻のチェルシーのいいとこ取りをしたようなポチェッティーノ監督のサッカーは、就任3年めにして大きな果実を手に入れるかもしれません。2分2敗と崩れてアーセナルの後塵を拝した昨季の反省を活かせれば、今年はセント・トッテリンガムズ・デイは訪れず、ポドルスキが神戸でラザニアを愉しむことはできなくなります。否応なく期待が膨らみますが、冒頭で戒めた通り、優勝云々は水曜日のゲームが終わるまでお預けとしましょう。スウォンジーVSトッテナム、アーセナルはウェストハムとのロンドンダービー、15分遅れでチェルシーVSマンチェスター・シティが始まり、同時刻にリヴァプール…水曜日の早朝は、何とも悩ましい時間になりそうです。(マウリシオ・ポチェッティーノ 写真著作者/Дмитрий Голубович)

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“誤算だらけの補強と主力の負傷を乗り越え、優勝に近づくポチェッティーノ監督の采配に脱帽!” への3件のフィードバック

  1. シェンムー より:

    ポッチェティーノはいわずもがな、支出第一な移籍戦術で近年は1シーズンに1名、驚異的なフィットをする選手を獲得できていること、アカデミー組の台頭には感慨深いものがあります。

    しかし私は長年スパーズ贔屓で今の状況は嬉しいですが
    あの安定感のないクラブが負傷者を抱えても勝ち点を積み上げていることなんてヨル、レドナップ時代ではあり得なかったことですから不思議なものだと感じます(笑)

    ですが、今のチームは若い、若すぎるくらいです。最大の弱点は精神面でしょう。
    昨年の終盤は戒めとし、地に足をつけて残りの試合に臨んで欲しいです。

  2. すぱさぽぽ より:

    スパーズのファンになって6年近くなりますが、前節のバーンリー戦でこのメンバーで勝った時に本当に強くなったんだなと感じました。
    今シーズンの補強は仰られるとおりワニャマ以外はパッとしませんがワニャマは私たちの期待通りではなくそれを遥かに上回る活躍をしたというところが今シーズン強い理由のひとつだと思ってます。

    昨シーズン苦い思いをしましたが若さゆえに来シーズンはまた強くなれるということを期待して今シーズンを見始めましたがこの戦術の柔軟性や安定感は想像以上の出来でポチェには是非長い間いていただきたいです…

  3. makoto より:

    シェンムーさん>
    ありがとうございます。アルデルヴァイレルトとワニャマは、最近の補強のなかでは驚異的な大ヒットでしたね。若手が多いのも好感度大です。フィンセント・ヤンセンに期待していたので、今後につながる活躍を見せてシーズンを締めてもらえればと思います。

    すぱさぽぽさん>
    強くなりましたよね。ワニャマは大当たり。華のある前の3人やリーグトップクラスの最終ライン+ロリスに加えて、デンベレの奮闘も見逃せませんね。

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