偏愛的プレミアリーグ見聞録

政情不安のため、移籍や帰国を検討している外国人選手が増えているウクライナやロシアのクラブから、掘り出し物がリーズナブルな価格で獲得できる可能性が高まっています。マレーシア航空機墜落事件の後、ウクライナへの入国を拒否した選手のひとり、アルゼンチン人FWファクンド・フェレイラを獲ったニューカッスルの補強は大ヒットでしょう。2012-13シーズン、21歳で頭角を現したアルゼンチンU-20代表の点取り屋は、前期リーグ得点王の活躍でベレス・サウスフィールドの優勝に貢献。2013年の夏にシャフタル・ドネツクに移籍すると、出場13試合、先発5試合という限られた時間のなかで6ゴールを挙げ、ゴールセンスを証明しました。

ワールドカップで活躍したオランダ代表DFダリル・ヤンマート、モナコのFWエマニュエル・リヴィエール、アヤックスのMFシーム・デ・ヨンク、モンペリエMFレミ・カベラなど、積極的な補強を仕掛けているニューカッスルですが、買い取りオプション付きのレンタルであれば、フェレイラ獲得でさほど懐が寂しくなることもないでしょう。昨季は1月のキャバイェ退団、3月のパーデュー監督頭突き事件のあおりを受けて失速。終盤に6連敗を喫して10位となり、巻き返しを狙う今季は、ベナルファ、グフラン、シソコなどの主力を抜かれなければ、プレミアリーグ上位進出も狙える布陣となりました。

そういえば、「ニューカッスルがロイク・レミー獲得を狙っている」と報じているイギリスメディアがありましたが、こちらはどうなのでしょうか。リヴァプールがメディカルチェックで問題を発見してレミー獲得を断念したと報じられ、QPRのハリー・レドナップ監督がこれに対して疑義を表明したと報じられていましたが、真相は藪の中。ロイク・レミー自身はクラブを出たがっており、欧州で戦えるクラブを希望しているものの、プレミアリーグの上位クラブからオファーがあれば、すぐにでも決まるのではないかと思われます。メディカルに問題があったのか、あったとしたらそれはどのくらいのものなのかはわかりませんが、プレミアリーグで15ゴール決めた選手を14億円程度で獲得できたら、売るときはさらに移籍金を上乗せできるでしょう。こちらも、今後何らかの動きがあるかもしれません。

ウクライナのシャフタル・ドネツクといえば、ファクンド・フェレイラ同様、マレーシア航空機事件の後にクラブに戻らなかった選手として、「ロナウジーニョ2世」MFダグラス・コスタや、2009年のU-20ワールドカップで3ゴールを挙げ、昨年の暮れにマンチェスター・ユナイテッドのモイーズ監督がリストアップしていたといわれるアレックス・テイシェイラの名前も挙がっていました。彼らにアプローチしているクラブの噂は聞こえてきませんが、本人たちがクラブを出たがっているのは間違いなく、リーズナブルな価格で獲得できそうですよね。ニューカッスルの補強ニュースをきっかけに、ブラジルの有望な若手選手たちに触手を伸ばすクラブが出てくるかもしれません。ニューカッスルに追われる立場となるトッテナムには、ポジション的にもいい補強になりそうですが…。