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オランダ代表ヤンマートを10億で獲得!? 割安なフランス&オランダ選手特化のニューカッスルの補強戦略!

フランス代表MF、グリーズマンをリヴァプールとチェルシーが狙っているというイギリス紙「メトロ」の記事を読んで、愕然としました。リヴァプールが用意している移籍金は34億円と書かれています。この記事の真偽はともかく、少なくともフランス代表で23歳の注目株を獲得する費用として、34億円という数字にそれなりのリアリティがあるというだけでも驚きです。プレミアリーグにおいては、イングランド代表とはいえルーク・ショーが51億円、アダム・ララナが43億円で取引された、といわれているわけですから。

今季、プレミアリーグ6位以内をめざすニューカッスルが、ここにきて積極的に補強を進め、直近で2人の獲得が発表されていますが、いずれもフランス人です。23歳のフランス代表MFレミ・カベラは、1月からモンペリエとの間で「夏に譲渡する」という合意があったとされる選手。1月にチームを離れた同じフランス人のカバイェの後継者として期待されているMFです。そして、昨日発表があった24歳のリヴィエールは、ラダメル・ファルカオの長期離脱中に代役としてモナコの前線を担っていたテクニカルなFW。2013-14シーズンのリーグ・アンで10ゴールを決めており、こちらは昨季のプレミアリーグで14ゴールを挙げたロイク・レミーの後釜です。

この2人の入団で、ベナルファ、グフラン、シソコなど9人のフランス人を抱えることになったアラン・パーデュー監督は、「フレンチ・コネクション」の理由について、「イングランド人が高すぎる。フランスの選手は妥当な値段で獲得できるから」と語っています。両者とも移籍金は非公表ですが、レミ・カベラの移籍金については、モンペリエのルイス・ニコリン会長が「1500万ユーロ(約20億6000万円)ではないが、それほど遠くない」と語っており、リヴァエールのほうは、フランス紙「レキップ」が1000万ユーロを下回ると報じています。うーん、確かに安い。リヴァプールのマルコヴィッチが34億円、マンチェスター・ユナイテッドのアンデル・エレーラが50億円と、プレミアリーグのクラブが獲得したイングランド人以外の選手と比べても、超割安です。

プレミアリーグやリーガ・エスパニョーラの選手は間違いなく高騰しており、ポルトガルにおいてもベンフィカやポルトからは安く選手を引っ張れないのが現状ですが、オランダとフランスが安いのは、「リーグの上位クラブも、選手を売るというビジネスをより重要視している」からではないでしょうか。この2国で、本気でチャンピオンズリーグを勝ちにいっているのはパリ・サンジェルマンのみ。最近、選手獲得に積極的なモナコも、あれだけ主力放出の噂があるのをみると「勝つための投資」なのかは微妙です。オランダでは、名門アヤックスでも移籍関連の収支は10億単位で黒字。とにかく若い選手を育てて売る。チャンピオンズリーグは、勝てなくてもレアル・マドリードやバイエルン・ミュンヘンを苦しめ、自軍の選手に注目してもらえればOK。思想の違いが、欧州のトップリーグとの移籍相場ギャップを生んでいるように思います。

と、書いていたら、先ほどフェイエノールトにいたオランダ代表ダリル・ヤンマートのニューカッスル移籍が発表されました。移籍金は750万ユーロ(約10億3000万円)程度だそうです。ほらほらほら、オランダも安いです。ワールドカップで活躍した24歳が10億!20億でアーセナルに売ったドビュッシーの後をまかせる選手としては、経済的にも能力的にも申し分ないでしょう。ニューカッスルは、同じオランダ人のシーム・デ・ヨングも先に獲得しており、今季加入する6人のうち、フリートランスファーのイングランド人とスペインの若手を除けば、すべてフランスとオランダです。アラン・パーデュー、買い物上手!

プレミアリーグのイングランド人の高騰については、クラブに一定以上のイングランド人とそれに準ずる選手を置かないといけない「ホームグロウンルール」もあってニーズが高くなっており、高くても売れるから値が張るという状況に陥っているようです。「売りたくないから高くなる4大リーグの自国出身選手⇔ビジネスとしてマネタイズしたいからお買い得となるフランス・オランダの有望選手」という構図。市場原理に組み込まれている価格相場を変えるのは相当難易度が高いことなので、しばらくはどうしようもないでしょう。しかし、頭数だけ揃えられてベンチで指をくわえ、ピッチで経験を積みまくっている「割安フレンチ&ダッチマン」を眺めているイングランド人が増えるとなると、母国のワールドカップ優勝という快挙は、私が生きているうちには観られそうもありません。

うまいオチが見つかりませんが、「ルーク・ショー、ララナがんばれ!イングランド人選手は高いけどやっぱり素晴らしい、とプレミアリーグの経営者たちにいわせるためにも」といったところでいかがでしょうか?

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“オランダ代表ヤンマートを10億で獲得!? 割安なフランス&オランダ選手特化のニューカッスルの補強戦略!” への5件のフィードバック

  1. 明日エコト より:

    新城は最近なかなか渋い補強してましたからね
    ヤンマートとはまたいい補強をしたもんだ
    QPRもファーディナンドを補強したしこれでプレミアで夏の補強をしてないのは我がスパーズだけか…
    頼むぜレヴィ…

  2. makoto より:

    明日エコトさん>
    スパーズ、ロブレンやデストロ、獲るんですかね。今季はあまり動かなそうですが…。

  3. セブンスター より:

    いつも楽しく拝見しています!

    確かにオランダ、フランス産は手頃ですね〜
    それにしてもイングランド選手は高すぎるような・・・

  4. UFO より:

    イングランド選手はHGの影響から高くなりますからね。ある程度は仕方ないと思うんですがやっぱり高いとなるとニューカッスルみたいに多国籍化が進んでイングランドのチームとは思えなくなったりなど弊害もあるのかなと思います。
    ブンデスやリーガのようにHGルールなしの国の方が自国の選手も強い印象があるのでFAには思い切ってHGを無くすなどの改革をして欲しいです。

  5. makoto より:

    UFOさん>
    ホームグロウンは、現状は弊害のほうが目立ちますね。私も、思い切って撤廃するか、もしくは緩和してもいいのではないかと思います。

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