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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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3ヵ月がかりの「ポグバでふんだくり劇場」!?名門を掌で転がすミーノ・ライオラのシナリオは最終章へ…?

騒いだり嘆いたりするのは、話が決まってからでいいのですが…。「ガゼッタ・デロ・スポルト」をはじめ、「スカイイタリア」「スカイスポーツ」が報じているポグバのプレミアリーグ復帰は、実現してしまう可能性が高そうです。「してしまう」と表現したのは、「ガゼッタ・デロ・スポルト」が掲載しているマンチェスター・ユナイテッドの支払い内容が壮絶だからです。移籍金は1億2500万ユーロ(約146億円)、ポグバのサラリーが5年総額で6000万ユーロ(約70億円)。この金額を見て、とてつもない数字に驚いた方と、疑問に思った方がいらっしゃるのではないでしょうか。後者は、プレミアリーグの移籍情報を丹念に追いかけていた方だと思われます。「ユーヴェに支払うのは1億ユーロ(約117億円)と報じられていたのに、上がったんですか?」。

…いい質問です。今回の話が真に怖ろしいのは、移籍金の中身なのです。イタリア紙は、こう伝えています。「ユヴェントスには1億ユーロ(約117億円)が支払われ、残りの2500万ユーロ(約29億円)は代理人にいく」。私は、これを見て言葉を失いました。イブラヒモヴィッチとムヒタリアンを、比較的リーズナブルな条件で獲得できたのは、代理人のカルミネ・”ミーノ”・ライオラが本丸はポグバだ、そこで儲けるのだと思い定めていたからではないでしょうか。そうだとすれば、飛車角を切って王を射止める、見事な詰将棋です。

これは決して途方もない妄想ではなく、傍証めいたネタはあります。当時はゴシップだと笑い飛ばしていた「ワールドサッカーダイジェスト」の4月3日付の記事です。移籍市場の専門記者として有名なジャンルカ・ディ・マルツィオ氏が綴っていたのは、「ミーノ・ライオラがアトレティコ・マドリードのアンドレア・ベルタSDにイブラヒモヴィッチとポグバ獲得の意向を打診した」という話でした。これだけでは何のことやら…という方も多いでしょう。かいつまんで説明すれば、こういうことです。ジョゼ・モウリーニョ氏がマンチェスター・ユナイテッドの監督に就任することをキャッチしたライオラ氏が、ポルトガル人指揮官の就任と同時にベルタ氏がマンチェスターの移籍担当窓口になるはずと読み、先回りして電話で様子を窺った…。ジャンルカ・ディ・マルツィオ氏は、アンドレア・ベルタはマンチェスター行きを躊躇していると書いていましたが、実際には敏腕SDはマドリードに残りました。ライオラ氏の読みは外れたわけですが、マンチェスター・ユナイテッドを狙い撃ちするという目論見は変えず、別口で手を打っていたのでしょう。筋書きはチャプター2まで成功しており、現在、最終章が彼の望みどおりになろうとしているのだと思われます。

交渉上手なミーノ・ライオラは、選手のサラリーを最大限引き出す代理人として知られています。デニス・ベルカンプをインテルに売るとき、同僚のヴィム・ヨンクをセットで獲ればベルカンプを安くすると持ちかけて商談成立。パヴェル・ネドベドをラツィオ、ユーヴェと動かして年棒を雪だるま式に増やし、イブラヒモヴィッチのユーヴェ移籍の際にはアヤックスに入る移籍金を抑えさせて、選手の懐に入るお金を作ったと伝えられました。今回もライオラによって導かれたズラタンが、「俺を最強にしたのは、マフィアみたいにしつこいデブ」と、独特の愛情表現でリスペクトしたのもむべなるかな。サー・アレックス・ファーガソンを「ライオラに契約延長の話をめちゃくちゃにされた」と激怒させたポグバのユーヴェ移籍から4年、プレミアリーグの名門は、またしても辣腕代理人のシナリオ通りにパトロン役を演じさせられているようにみえます。

ライオラ氏はマンチェスター入りした…イタリア紙はそう報じています。マンチェスター・ユナイテッドがホームで惨敗したFCライオラとのセカンドレグは、イブラヒモヴィッチとムヒタリアンにつられて最終ラインの裏を空けたアウェイチームが、ライオラの狙いすましたスルーパスでポグバにすり抜けられて失点。残り時間はほとんどなくなっているようです。以上はあくまでも私の推測ですが、いかにもありそうな話だと思いませんか?これが事実なら、同じライオラ案件のマチュイディなど完全にブラフだと、一瞬でも喜んだ自分にがっかりしました。このうえは、移籍が決まった際に、ポグバが満面の笑顔で「プレミアリーグに戻れて幸せ。マンチェスター・ユナイテッドに帰ってきたかったんだ」と、(嘘でもいいから)いってくれるのを願うしかありません。ああ、216億円…。

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“3ヵ月がかりの「ポグバでふんだくり劇場」!?名門を掌で転がすミーノ・ライオラのシナリオは最終章へ…?” への14件のフィードバック

  1. mufc7 より:

    途方ない金額です。1億を越える価値のある選手はこの世に実在しないと思うのですが……。年俸も高額ですね。スポンサー連れてくるのは上手いですが移籍市場でのウッドワードは弱すぎるので専門の方がほしいです。
    これだけの金額かけるならば、モウリーニョには優勝だけを約束してもらわなければ誰も納得しないでしょう(もちろん下部組織の選手を疎かにせずに)

  2. A・スミス より:

    こんだけでかい顧客がひとつのチームに集まるとこれからライオラはユナイテッドを軽く見ることはできなくなるからパワーバランスが変わってくるでしょう

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    代理人って政治家みたいですね。選手という有権者に利益を与えることだけを考え、様々なものを隠れ蓑にして、それを実行する。
    ただ今回に関してはCLに出ないのにイブラ、ムヒ、ポグバをセットで獲得したと考えれば適正価格と言えるのでは?

  4. makoto より:

    mufc7さん>
    「モウリーニョには優勝だけを約束してもらわなければ誰も納得しないでしょう」
    →投資額は、最終的にはマンチェスター・シティの次ぐらいでしょうか。優勝してもらわないと、ですね。

    A・スミスさん>
    変わりますかね。翻弄されなければいいな、と思います。

  5. おハム より:

    この金額で獲得したら、かける言葉が見つからないです……

  6. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    なるほど。3人で200億ということですね。決まったら、その線でいきましょうか。

    おハムさん>
    すごいですね。

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    ファンってやたら移籍金気にするけど関係ないよな
    良い選手来るなら嬉しいに決まってるやん
    活躍せんかっても損害受けるんクラブやし

  8. ポイント より:

    市場相場を釣り上げると結局自分のチームも苦しむことになるから気にするのも無理ないんじゃない?

    それに、それ言い出したら自分の持ち物でもないチームを応援してること自体が奇妙とか、もうキリがないよね

  9. プレミアリーグ大好き! より:

    ザ・シークレット・フットボーラーなんかを読むと代理人は選手にとって益になり必要なのがわかるし、移籍金の高騰は毎年全体的に上がってるんでサッカーの市場価値が上がってる間は続く傾向と思われる。
    アメリカのメジャーリーグだと代理人の報酬は移籍金らの5%以内とかにおさえる規則があるらしいのでサッカーもそういう規制は必要かもしれない。
    そしてユナイテッドサポーターは普通にポグバおかえりフロントようやく仕事したな、モウリーニョ効果でCLないのにこんなに選手が!と喜んでる人が多くいると思うので、何かポグバ取ることをネガティブなような前提で、こんな金使うなら~しないと許されないみたいなサポーターが多数派とも思えないけれどもどうなんだろう。

  10. シティふぁん より:

    イブラヒモビッチ、ムヒタリアン、ポグバ
    CLありのチームからCLなしのチームに移籍ですね
    CL出れないことが大きく影響すると思ってましたが違うみたいです
    ライオラが代理人ってこともあるのですかね?

  11. ワッザ より:

    ユナイテッドのポグバ獲得きまったようですね。130億くらいでの移籍だったのかな、、嬉しい気持ちもあるのですが値段にあった仕事をしてほしいです。それとピッチ外の振る舞いにも気をつけてほしいですね、ユナイテッドの一員らしい振る舞いをお願いしたいです。

  12. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん プレミアリーグ大好き!さん>
    「生え抜きの選手が活躍しているから好き」「サッカーが美しいから好き」などと、ファンそれぞれにクラブへの思いがあります。マンチェスター・ユナイテッドのファンには「ファーガソン時代は自前の選手が多く、高額でスターを買うことを主体に強くなったチームとは一線を画していた」ところが好きだった方も多いのだと思います。ポグバを要らないとまでいうファンは少なく、私も来たらうれしいし応援しますが、「最近、いい若手が出てきたので何とか成長してほしい」「以前のマン・ユナイテッドらしさが戻ってきた」と思うサポーターなら、史上最高の移籍金を使って選手を買い戻すということに抵抗感がある方も多いでしょう。その気持ちは、よくわかります。私のなかにネガティブな気分はさほどありませんが、急激な変化に対する戸惑いはあります。

  13. makoto より:

    ポイントさん>
    それはありますね。マンチェスター・ユナイテッドは、コマーシャル収入とユニフォーム売り上げが世界トップクラスで、ポグバに費やしたお金も相当取り戻せるのでアーセナルやリヴァプールほど気にしなくてもいいのですが。それでも、ギルCEOがいなくなった後の経営陣のお人好しな感じは心配で、「これ払っちゃったらよってたかって売り込みされるんじゃないか」というハラハラ感があります。

    シティふぁんさん>
    決まれば、ライオラ戦略の完全勝利ではないでしょうか。ユーヴェにポグバを渡す時に自身に有利な条項を加え、ズラタンとムヒタリアンをお手頃価格でまとめて恩を売ったうえでポグバで儲けを取る、という作戦だったのではないかと推理しています。

    ワッザさん>
    そうですね。これだけの選手を一気に揃えたわけですので、優勝してほしいです。

  14. プレミアリーグ大好き! より:

    サポーターの中でも、サポーターの言葉の意味通り、チームをサポートしていくという意識の人と、これだけ投資したならこれだけのリターンがあって当然、これ以下なら許さないという何というか評論家というか株主目線みたいな人がいるということでしょう。
    私はシティがいるので、PSGやバイエルンのようにリーグ優勝がノルマといえるほど戦力が一人突出してるわけではないと思うので、何らかのタイトルと、リーグで最後まで優勝争いすること、を期待したいところですね。

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