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ポグバのマンチェスター・ユナイテッド復帰決定!高額移籍金&サラリーのモトは取れるのか?

「REUNITED POGBACK!」…決まる決まるといわれ始めてから、ずいぶん時間が経ちましたが、ポール・ポグバのマンチェスター・ユナイテッド入団がついに正式発表されました。契約は5年で、1年の延長オプション付き。「BBC」は、ポグバの移籍金は8900万ポンド(約119億円)で、パフォーマンスによって450万ポンドのオプションがあるとしており、支払いは2年の分割とのこと。過去最高は、2013年の夏にトッテナムのガレス・ベイルがレアル・マドリードに移籍した際の8500万ポンドで、今回のポグバが世界レコードとなります。代理人のミーノ・ライオラ氏への手数料を乗せれば、1億1000万ポンド(約148億円)の大商い。アーセナルのヴェンゲル監督が、「クレイジーだが、われわれの棲む世界はお金が動くものだ。数年のうちに、2億~3億と跳ね上がっていくのかもしれない」とため息をつくのもわかります。プレミアリーグがさらに収益力を上げれば、今回の数字を上回るディールが発生するのも、そんなに先の話ではないかもしれません。

サー・アレックス・ファーガソン監督に脅かされながらも、自分の意志を貫きマンチェスター・ユナイテッドを離れたのは2012年。以来4シーズン、ユヴェントスの中心選手に成長したポグバは、セリエA通算134試合28ゴールという数字を残し、チームはその間すべてリーグ優勝。2014-15シーズンにはチャンピオンズリーグで決勝に進出し、優勝したバルセロナと残り25分までイーブンという激闘を経験しています。馬車馬のようなドリブル、最終ラインの裏に抜けた選手にピンポイントで合わせる正確なラストパスはポグバの真骨頂。プレミアリーグの新シーズンでは、シュナイデルランやキャリックと並んで中盤の真ん中でチームを仕切ることになるでしょう。

われわれサポーターからすれば、「おかえりなさい」「久しぶりのプレミアリーグ優勝を頼む!」ですが、ご本人はどんな心境なのでしょうか。まずは、マンチェスター・ユナイテッドの英語版公式サイトより、ポグバ本人とモウリーニョ監督のメッセージを拾ってみましょう。

「またユナイテッドに加われてうれしい。このクラブは、いつも自分の心のなかで特別な位置にあった。ジョゼ・モウリーニョ監督と一緒に働けるのをとても楽しみにしている。私は、ユヴェントスでの時間を愉しみ、友と呼べる選手たちとファンタスティックな思い出を作った。しかし今は、オールド・トラフォードに戻る最適な時期だと感じている。いつも、ファンの前でプレイする時間を愉しんでいたので、チームに貢献できるときが来るのを待ちきれない。ここは、すべてを達成するのにふさわしいクラブだ」(ポール・ポグバ)
「ポールは世界のベストプレーヤーのひとりであり、私が築きたいユナイテッドのカギとなる存在だ。速く、強く、ゴールを決められて、同世代の選手に比べて試合展開を読む力がある。…彼は若く、成長し続ける。今後10年、あるいはそれ以上の年月においてクラブの中心となる機会を手にするはずだ」(ジョゼ・モウリーニョ)

オフィシャルなコメントはおとなしめですが、「MUTV」のほうでは「言葉がないよ。キャリントンに戻ってきた。家に帰ってきた気分だ」「ユヴェントスには休暇を取って行っていただけ」「母親には、あなたはここに戻ってくるといわれていた。彼女は正しかったね。素晴らしい」と、お調子者な発言を連発しています。プレミアリーグが始まる前に決着がついて、「よかった、よかった」ではあるのですが、これだけの出費となると、やはりこちらのテーマが気になります。「ポグバに支払った高額移籍金とサラリーのモトは取れるのか?」。ポグバの年俸は15億円とも23億円ともいわれていますが、間を取って20億円としましょう。支払い総額は、5年で250億円。投資を回収するという意味では「選手としてこれだけの価値があるのか」「クラブはかけたお金でどのくらい利益が得られるのか」という2つの視点があると思われます。この難解な問いに対して、イギリスメディア「スカイスポーツ」「サンデータイムズ」が興味深い記事を掲載していました。

Will Paul Pogba transform Manchester United?(ポグバはマンチェスター・ユナイテッドを変えるのか?)」と題された「スカイスポーツ」の記事は、戦力としてのポグバ効果について分析しています。ニック・ライト記者は、昨季プレミアリーグでマンチェスター・ユナイテッドのセントラルMFを担ったシュナイデルラン、キャリック、エレーラ、シュヴァインシュタイガー、フェライニのスタッツとセリエAのポグバを比較。5人足しても5ゴール2アシストだった中盤の真ん中は、8ゴール12アシストだったポグバ加入で、よりゴールに貢献できる布陣になるとみています。1試合あたりのシュート数3.5は、いちばん多いフェライニの1.3に対して2.7倍。ドリブルは、やはり最多のフェライニが0.9で、ポグバは2.9と3倍以上。チャンスメイクもエレーラの倍あり、タックルはシュナイデルランの2.4と僅差の2.3です。プレミアリーグ5位とセリエA王者を単純比較するのは無理があるものの、記事は「ポグバはマンチェスター・ユナイテッドが長年抱えていた問題を埋める」と結んでおり、セントラルMFがゴールに絡む頻度が上がる効果は大きいと分析しています。

一方、経済的な観点では、「サンデー・タイムズ」が、「マンチェスター・ユナイテッドは、地球上で最も高価なサッカー選手としてプレミアリーグに復帰したポグバによって、初年度で4000万ポンド(約53億6000万円)の価値を提供可能と確信している」と報じました。これが事実なら、1年めだけで移籍金の1/2近い額をカバーできることになり、スポンサーを増やせれば、全額回収できる可能性もあるということになります。レアル・マドリードもそうですが、営業力がある欧州のトップクラブは、毎年のように大物選手を獲得することによってマッチデイ収入やコマーシャル収入の増額が期待でき、戦力強化だけでなく経済的にもプラスになる可能性が高いのだと思われます。このあたりは、1年後の決算をチェックして、「ズラタン+ミキ+ポグバ」効果による増収がどのくらいの規模になるのかを確認してみたいと思います。いや、それにしてもひとりの選手に250億円ですか…。ヴェンゲルさんがいうように、サッカー界はとんでもない時代に突入しつつあるようです。

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“ポグバのマンチェスター・ユナイテッド復帰決定!高額移籍金&サラリーのモトは取れるのか?” への13件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    完全に過大評価

  2. とん より:

    後は、誰が出ていくか、ですね。
    シュバインシュタイガー、エレーラ、フェライニ‥‥‥‥‥。
    皆思い入れのある好きな選手なので、心境複雑です。
    確かに出費は凄いですが、出すもの出したらある程度回収できるんでしょうね。
    移籍が当たり前の時代ですが、レスターが優勝したりするので、アカデミー出身者中心のチームがプレミアリーグを席捲するという夢を見続けたいと思います。

  3. パチ より:

    お久しぶりの投稿です。

    すごい選手が着ましたね。
    印象ではすべての能力が高い選手という感じでしょうか。
    で何でも出来るだけにフランス代表みたいにDFラインの前でボール捌きといった、キャリック的な仕事をさせるようだったら移籍金には見合わないってことになりそう。
    プレーの発想とか面白いのでどれだけポグバが相手PAまで上がっていけるシステムを作るかでしょうかね。

  4. yuto より:

    確かに金額に関してはみなさんが言われているようにクレイジーだと思いますが、自分がお金を払っているわけでもないし、チームがより強く、魅力的になるのであればいいのかなと最近思い始めることにしました。
    今夏の移籍市場はマンチェスターの2チームが主役でしたが、シーズンに入っても主役でい続けてほしいと願うばかりです。

  5. シティふぁん より:

    呆れた。

    —–
    250億円ですか。凄いですね。どこにそんなお金が・・・とは思いますね。

    ただ、バブルが弾けない限り、最高級の物を買う戦略は、結構あたりますからね。グローバル化で、アジア・アフリカ・アメリカも見ることができる以上、最高を見たい・憧れるという人間の気持ちは当たり前のこと。そうなれば、中途半端な選手を買うよりも最高級選手をゲットすることで、勝者総取りができます。

    サッカーの実力やチームバランスを考えないとだめですけどね。
    音楽が売れないと言われる時代にあって、米国の歌姫、テイラー・スウィフトの年収は1億7000万ドル!

    サラブレッドも高額な馬が素直に勝つことが多く、オグリキャップやタマモクロスの安い馬が勝津パターンのドラマが減りました。

    昨年のレスターの快進撃の後に、これだと、分かっちゃいるけど釈然としませんので、プレミアリーグ一のヒールとして君臨してください。(笑)

    —–
    PSG、ドルトムント、ユーベの10番がユナイテッドに来ましたね
    真ん中がしっかりしてるとチーム全体が引き締まる気がします
    ユナイテッドは優勝しなければならないでしょう
    もうすぐ開幕ですが順位予想はするのですか?

  6. スパーズ推し より:

    移籍金の額はさて置き、ポグバが世界最高クラスの選手であることは間違いないと思います
    この移籍をもって、いよいよモウユナイテッドは優勝出来なければ失敗と評されかねないシーズンになりますね

    戦力的には間違いない上澄みである一方、現有戦力との兼ね合いを考えると
    果たして最高額を支払ってまで獲るべき選手だったのか、という問題が付いて回ります
    やってみなければ分からない、と言うのが正直なところで、海外の選手よろしく「様子を見てみよう」と言いたくもなりますが(笑)
    少なくともユーロを見る限り、4231システムの2ボランチとしての起用を考えるならば、移籍金に見合うリターンは無いと思われます

    獲得した選手たち(イブラ、ポグバ、ムヒ)と現有の中心選手(ルーニー、マタ)によって、発掘した期待の若手(ラッシュ、マルシアル)の出番が減る可能性も否定出来ませんし、モウの手腕が問われますね

  7. K より:

    必要な選手が予算内で買えるなら値段関係なくアリだと思います。貧しい英国の北部ではワールドクラスの選手を取って全世界にファンを増やしてシャツと広告を売るビジネスモデルは堅実にローカルなスターを育てるスタイルより売上的に正しいと思います。

    私の個人的な感性での話ですが、強い時のユナイテッドはその年1番美しいサッカーをするチームより圧倒的につまらなくても優勝してました。今年もイブラを活かす手堅く強いサッカーをするためにも正確なロングパスを出せるポグバは戦術的に必須な選択だったと思います。問題は彼が怪我した時の控え選手が取れない事ですけど、モウリーニョはレギュラー固定主義なので正しい選択だと思いますね!

  8. queen より:

    左近の移籍金高騰は理解しますが、今回はやり過ぎな感じがします。
    なんだかテレビゲームの世界の出来事のようで、釈然としないです。

  9. プレミアリーグ大好き! より:

    経営的にみればこの時点で大成功でしょうね。モウリーニョ、イブラヒモビッチ、ポグバというスターが揃い、話題をさらって期待感も上がる。新規ファン獲得やユニフォームグッズ販売や新スポンサーなど元はすぐに取れると思われます。株式会社であれば株価が爆上がりする状況です。

    なのでお金と人気の点ではプラスですが、チームの強さとタイトルという結果はどうか。まあマドリーやバルセロナがそうなようにここ数年は本当にトップの選手を大金で取ったクラブがCL獲れてる傾向があります。ただユナイテッドはディマリア大金でとったのに・・という話もありますが。

  10. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    移籍金の額は、「選手の意向×残り契約年数×代理人の強さ×クラブ間の強弱(出したい、獲りたいの力関係)」ですので、イコール評価ではないのではないでしょうか。高いな、とは思いますが。

    とんさん>
    バスティとヤヌザイは当確でしょうね。ここ2年も、補強の逆サイドで回収とサラリー減額もしているので、そちらにも注目したいと思います。

    パチさん>
    「プレーの発想とか面白いのでどれだけポグバが相手PAまで上がっていけるシステムを作るか」→おっしゃるとおりだと思います!楽しみです。

    yutoさん>
    始まったら、ワクワクしながらゲームを愉しみましょう。

    おはむさん>
    モウリーニョさんが結果を出したら、最短2年で移籍金は回収できそうなんですよね。ヴェンゲルさんがいった「クレイジーだがこの業界はものすごいスピード感で変化している」という意見に共感しています。

    だしまるさん>
    アディダスとテレビですね(笑)。戦略としては、おっしゃるとおり、最高級ブランド構築でお金を集めるというほうに舵を切っているのだと思います。ハイリスクではありますが。

  11. makoto より:

    シティふぁんさん>
    実は某サイトで優勝予想してまして、モウリーニョさん本命です。こちらでも書こうと思ってますが、開幕前にTOP4予想までやるのは難易度高いなと思案中です。

    スパーズ推しさん>
    プレミアリーグは優勝しないといけませんね。「初優勝をめざすEL」も楽しみになりました。私は、ポグバ獲得なら4-3-3かなと思ってました。マルシアルは問題なし、懸念はラシュフォードとデパイです。

    Kさん>
    選手が多いので、レギュラー固定主義はリスクだなと心配しております。理想は、「地元からワールドクラスのスター輩出」なんですけどね…。

    queenさん>
    エジルと比べると高すぎ感が増しますが、ベイルと比べると同価格帯ならなくはないかな、と思います。モヤモヤするのは、イブラヒモヴィッチとムヒタリアンで貸しを作り、ポグバでごっそり持っていったライオラ氏のうまさに対して、ですね…。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    賛成です。実際の株価爆上がり効果はモウリーニョ就任だったのですが(ファン・ハール解任の最大の理由は、年明けから20%以上下がった株価だったのかもしれません)、ポグバ入団でも下がり基調が変わりました。来季、チャンピオンズリーグで上に行ければ、移籍金とライオラ手数料はほぼ回収となるのではないでしょうか。

  12. makoto より:

    みなさん>
    これは穿った見方かもしれませんが、「ベイル以下の8000万ポンド」よりも、「ベイル超えの史上最高8900万ポンド」のほうがファンやスポンサーに対する訴求力が高く、微妙に上回った着地を見ると、商業的観点でわざとやったのではないかとすら思ったりします。

  13. 葛飾柴又 より:

    高いだの安いだのガタガタうるせえなこの野郎金なんか問題じゃねえだろマドリーもバルサもペップシティも首洗って待ってろ喰らわすぞこの野郎的なモウリーニョ-ユナイテッドからの返答なのだと解釈しています。
    とにかく狼煙は上げた一か八か死か栄光かハッタリ半分の痩せ我慢かもしれないけど、うん、でも、こういうの嫌いじゃないんですよね。
    モウリーニョもユナイテッドもこんな感じが良く似合ってるんじゃないかな。

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