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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ピッチに戻ってきてほしい…ジエゴ・コスタ&パイェ、移籍騒動の顛末

プレミアリーグ21節のピッチに、本来いるべき2人の選手が姿を見せませんでした。レスターとのアウェイゲームを戦ったチェルシーでは、ジエゴ・コスタが遠征に参加せず。ロンドンオリンピックスタジアムにクリスタル・パレスを迎えたウェストハムは、ディミトリ・パイェが欠場しています。プレミアリーグ14ゴールで得点王争いのトップに立つチェルシーのエースには、中国スーパーリーグの天津権健から移籍金8000万ポンド(約110億円)、サラリー3000万ポンド(約41億円)という信じられない額のオファーが届いているといわれており、パイェにはリーグアンのマルセイユから1910万ポンド(約26億2000万円)で話があったと伝えられています。

イギリスメディアの報道より、それぞれの顛末を整理しましょう。ファビオ・カンナバーロが指揮を執る天津権健からジエゴ・コスタにオファーがあったと「ザ・サン」がぶち上げたのは、年明けすぐのことでした。これを追いかけた「デイリー・メール」は、絶好調のスペイン代表FWが巨額のサラリーを見て可能性を検討しているとし、レスター戦の直前に3日間トレーニングを休んだと報道。本人は腰痛を主張しているものの、エースのコンディションには細心の注意を払ってきたメディカルチームは「そんなはずはない」と反論しており、コンテ監督も交えて揉めたと伝えています。

一部では、指揮官が「中国に行ってしまえ!」と一喝したともいわれていたこのトラブルの真相をつかむべく、レスター戦後の会見では記者から質問が集中したのですが、コンテ監督は要領を得ない受け答えに終始。「問題があればロッカールームで解決する」と、確執があるようなないような返事をした後、エースの負傷の程度について聞かれても「ケガ?」と聞き返すだけに留まり、具体的な説明はありませんでした。既にオスカルとミケルを中国に持っていかれ、「もう終わりにしてほしい」と語っていたコンテ監督は、何としてもエースの離脱は防ぎたいでしょう。スウォンジーのフェルナンド・ジョレンテに関心があると報じられているプレミアリーグ首位クラブの意図は、前線の層を厚くすることであり、エースの代役を立てることではありません。

一方のパイェも、「移籍したいから練習をボイコット」という大人げない態度を反省していないようです。3000万ポンド(約41億円)以下のオファーは検討すらしないとされているウェストハムは、マルセイユからの話を却下。共同オーナーのデヴィッド・サリバン氏は「ディミトリを売却する理由はどこにもない。1月は売らない。われわれが彼に求めているのは現在の契約を尊重すること。クラブやサポーターが彼に示しているロイヤリティを、彼も同様にウェストハムに誓うことだ」と明言しており、よほどのオファーがなければエースのわがままは通らない見通しです。

2人に関する一連の報道が事実であれば、残念のひとこと。2年前のデ・ヘアや昨夏のムスタフィのように、クラブが移籍を容認している場合は、練習や試合に出ないのもやむなしですが、必要な手続きがないままチームを離れるという行動は認められるべきではありません。「スカイスポーツ」が、「West Ham captain Mark Noble ‘angry and disappointed’ with Dimitri Payet(ウェストハムの主将、マーク・ノーブルがディミトリ・パイエに怒り、失望している)」という記事を掲載しておりましたが、シーズンの大事な時期にセルフィッシュな理由で戦列を離れた選手に対して、チームメイトが嘆く気持ちはよくわかります。

いや、私は、彼らを断罪したいわけではありません。ただただ、ピッチに戻ってきてほしいのです。チェルシーのプレミアリーグ13連勝は、勝負強いジエゴ・コスタの貢献があったからこそ成し得た快挙だと思います。このまま冷静にプレイできれば、アトレティコ・マドリード時代の2013-14シーズンに叩き出したリーグ戦27ゴールを超えるキャリアハイも望めます。パイェもまた、不振のチームにあってチャンスメイク74回という出色の数字を残しており、焦って冬に出て行かなくても、次の夏には引く手あまたでしょう。

彼らにとってよかったのは、仲間たちがしっかり穴を埋めてくれて、それぞれ3-0で快勝したことです。1試合の欠場で終わらせて、今までどおりに活躍すれば、「悪性の精神的インフルエンザ」に罹ったのだと笑ってすますこともできるのではないでしょうか。まだ、間に合います。冷静になってください。とりわけジエゴ・コスタは、プレミアリーグ首位のチームでもう2度とないかもしれない素晴らしい時を過ごしているのですから。天津権健は、昨シーズンに甲級リーグ(2部)から昇格して11位でシーズンを終えたチームです。チェルシーのエースには、こんなふうに問いかけたくなります。

「あなたは、3000万ポンドを出してくれれば、ワトフォードに行くのですか?」と。

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“ピッチに戻ってきてほしい…ジエゴ・コスタ&パイェ、移籍騒動の顛末” への5件のフィードバック

  1. nori より:

    好調チェルシーに突如起きた災難。首位・エース待遇・自身も好調と三拍子そろう中での移籍?何が不満と思ってしまいます。

    こういう話があると、思い出すのが。札幌~川崎~浦和で活躍したブラジル人ストライカーのエメルソン。札幌の岡田監督に、後1年待てばACミランに移籍させてやるから、今はここで頑張れと説得され・・・岡田さん、ボク、今、お金欲しい・・・

    —–
    コスタの件は真相がまるでわかりませんが、残念な現状ですね。一昨年も、好調から後半チームとともに失速していったので危ういなとは思っていましたが、フィジカルではなくメンタルコンディションがそういう周期なんでしょうか、、、
    中国、大都市の表向きはそれなりに見えますしスタジアムは随分良くなってきてるとはいえ、周辺の状況、生活環境はまだまだひどいものですよね。カルチャーとの折り合いを含めて、イングランド以上の好環境はまるで臨めないと思うのですが。

  2. エジルのパス より:

    更新お疲れ様です!いつも楽しい記事をありがとうございます(^^)

    南米の選手にとっては、とてつもない話のように感じてしまうのですが自分に置き換えて年収が3倍になると言われたら…すんなりと移籍してしまいそうですが、そこはあくまでフットボールのスター選手ましてやプレミアという夢の舞台…プライド見せて欲しいですね

  3. ワルテルFC より:

    コスタの件ですが、ブルーズ関連のツイートをみていると、悪童っぽいキャラづけの影響で大げさにメディアが煽っているという指摘もあれば、かなりの亀裂が生じているというものまであります。いずれにしても、もし本当に「金」だけで進路が変わるなら、残念としかいいようがない。今年のコスタは献身性もあるし、ココぞで決められる頼れるエースで、ピッチ上でネガティブを感じない逞しい存在です。なんとか気持ちよくブルーズでプレイを続けてほしい。ただ、それだけです

  4. すぱさぽぽ より:

    どちらもライバルチームの選手ですが残念でありません。

    主観ですが、特にパイェに関してはここ数年あそこまで次の動きにワクワクさせられる選手を知りません。
    彼らがプレミアで見れなくなってしまうのはどうにか阻止してもらいたいものです。

    そして天井知らずの移籍金、サラリーによって金持ちクラブが取りたいように活躍した選手を取ることを制限しないとこういう話がどんどん増えてくると思います。

  5. makoto より:

    だしまるさん>
    エヴァートンのボラシェが、「僕だったら家族とお金を選ぶ」とジエゴ・コスタを擁護する発言をしていました。当事者になってみると、3000万ポンドには揺れるのかもしれませんね。

    noriさん>
    イングランドがあまり好きではないのかもしれません。日々、ストレスが溜まっていると考えるといろいろ辻褄が合います。

    エジルのパスさん>
    そうなんですよね。当事者目線とサポーター目線のギャップは確実にあるでしょうね。

    ワルテルFCさん>
    レッズが2位になったときのスアレスのような凄みを感じていたので、いいシーズンにしていただきたいです。

    すぱさぽぽさん>
    パイェについては同感です。インターナショナルなルールを作るのはかなり難しそうですが、これ以上金額が上がるとプレミアリーグですらもお手上げになりそうです。

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